管理会計における変動費・固定費とは?区分する目的や削減方法を紹介

最終更新日時:2024/01/22

管理会計システム

管理会計の変動費と固定費

管理会計は、企業の経営戦略を考える際の指標となる要素です。具体的な計画を立てるには、正確な数値を算出する必要があり、そのために変動費や固定費を把握しなければなりません。これらを正しく処理するために、変動費と固定費を区分する目的や削減方法について確認しておきましょう。

この記事の要約

・変動費とは製品の生産量や販売量に応じて変化する費用のことであり、固定費は売り上げに関わらずにかかる費用のこと
・変動費と固定費を区別する上では、勘定科目法と回帰分析法の2つがある

管理会計の基本|変動費と固定費とは?

変動費は、製品の生産量や販売量に応じて変化する費用を指します。一方固定費は、売上が増えても減っても関係なく、決まった額がかかる費用のことです。ここからは、それぞれに分類される費用の例を紹介します。

変動費に分類される費用

変動費は、売上の増減に伴って変化する費用を指します。具体的には、以下のような費用が変動費に分類されます。

  • 原材料費
  • 商品売上原価
  • 外注費
  • 荷造運賃
  • 広告費

このように、製品の増減に応じて増えたり減ったりする費用が変動費として挙げられます。売上に対して変動費が占めている割合を知りたい場合は、変動比率÷売上で求めることが可能です。

固定費に分類される費用

固定費は、売上の増減に関わらず一定で発生する費用を指します。固定費に分類される費用は以下の通りです。

  • 給与
  • 賃金
  • 法定福利費
  • 地代家賃
  • 保険料

これらの費用は、企業の活動水準に影響されないため、生産活動を行わない場合も発生する費用といえます。

管理会計で固定費と変動費を区分する目的

管理会計では、なぜ固定費と変動費を区分する必要があるのでしょうか。ここでは、その目的について紹介していきます。

正確な利益予測を行うため

固定費と変動費を分けるのは、正確な利益予測を行うためです。経営者は、売上に対して利益がどの程度あるのかを把握しておかなければなりません。そのため、変動費と固定費をあらかじめ分類しておき、予測売上から計算した変動費と固定費を差し引く必要があります。

これにより、将来の収益と費用の変動をより正確に予測でき、事業計画や予算策定において現実的な見通しを立てることが可能になります。

新事業のリスクを抑えるため

新しい事業を始める際には、固定費を最小限に抑えることが重要です。なるべく固定費になりそうなものを減らしておくことで、すぐに売上が上がらなかったときでも赤字幅を少なく済ませることが可能になります。ただし、変動費が割高になる傾向にある点には注意が必要です。

効果的な経費削減策を見極めるため

固定費と変動費は、経費削減による効果に違いがあるため、それぞれを分類しておくことで削減すべき経費が見極めやすくなります。

企業では、売上が減少し利益が少なくなったときの対策として、経費の削減を行うことがあるでしょう。このような場合に削減の対象となりやすいのが人件費です。人件費は固定費に分類されるため、削減によって短期間での収益改善が可能になります。

管理会計で固定費と変動費を区分する方法

ここからは、管理会計で固定費と変動費を区分する方法について紹介します。

勘定科目法

勘定科目法は、会計で使用される科目を基にして固定費と変動費を区分する方法です。この方法では、家賃や保険料のような費用は固定費に、原材料費や販売手数料のような売上に連動する費用は変動費として分類していきます。

判断に迷う勘定科目があったときのために、固定費と変動費どちらの性質が強いのかなど、自社の判断基準を設けておくとよいでしょう。

回帰分析法

回帰分析法は、売上高と総費用を散布図に当てはめて個変分解を行う方法です。手順は以下の通りです。

  • 縦軸を総費用、横軸を売上高とした散布図を作成する
  • 過去12か月分の売上高と総費用に該当する点を書いていく
  • 12か月分の点を線で結ぶと近似曲線が描かれ、固定費と変動比率を求めることができる

この分析を通じて、費用構造についてより深く理解でき、正確な財務計画や戦略的な意思決定を行うことが可能になります。まずは簡易的に行える勘定科目法で求めることをおすすめしますが、より正確さを求める場合は回帰分析法を試してみるとよいでしょう。

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管理会計の変動費と固定費から推測できる指標

変動費と固定費を把握することで、企業の健全性や効率性を示す重要な指標を得ることが可能です。ここでは、変動費と固定費から推測できる4つの指標について解説します。

限界利益

限界利益とは、売上から変動費を差し引いた金額です。この数字が大きいほど会社の利益が大きいことを示しています。たとえば、1,000円で販売している製品の製造にかかる変動費が600円だったとしましょう。

この場合、限界利益は400円となります。ただし、限界利益には固定費も含まれるため、すべてが企業の利益になるわけではありません。儲けを正確に把握するには、限界利益から人件費などの固定費を差し引く必要があります。

損益分岐点

損益分岐点とは、企業の売上と費用が等しくなる点のことで、売上高もしくは販売数量を示すものです。損益分岐点は「固定費÷限界利益率」で求められます。

損益分岐点を求めることで、どれくらい販売すれば利益が出るのかを把握することが可能です。また、利益を出すために固定費や変動費をどの程度下げればよいか知りたい場合にも活用できます。

安全余裕率

安全余裕率は、現在の売上高が損益分岐点をどの程度上回っているかを示す指標であり、「(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100(%)」で求められます。たとえば、現在の売上が1,500万円で損益分岐点が1,000万円の場合、安全余裕率は33%になります。

この数字が高いほど、売上が減少しても利益を維持しやすく、企業の財務的安定性が高いといえるでしょう。

売上高変動費比率

売上高変動費比率は、売上高に対する変動費の割合を示す指標です。これは、変動費を売上高で割ることで計算されます。たとえば、売上が1,000万円で変動費が600万円の場合、売上高変動費比率は60%です。

一般的には70~80%程度が平均とされ、それよりも著しく低い場合は経営環境の変化に弱いと考えられるでしょう。

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管理会計における変動費・固定費を削減するポイント

効率的なコスト管理は、企業の収益向上に不可欠です。ここでは、変動費と固定費の削減を行う際のポイントを紹介します。

変動費の削減対策

変動費を削減する際は、原材料などの仕入れを見直すことが大切です。具体的には、以下のような削減対策が挙げられます。

  • 在庫管理を徹底して無駄をなくす
  • 現金で仕入れて単価を下げる
  • 定期購入などを条件に価格交渉を行う
  • 原材料の変更
  • 外注先を変更する

これらの変動費を無理に削減しようとすると、製品やサービスの品質が落ちてしまうことが考えられます。そのため、ペーパーレス化や不良品の削減など、品質を維持しながら費用を削減する工夫をするとよいでしょう。

固定費の削減対策

コスト削減を検討する際は、まずはじめに固定費の削減から優先して取り組むことが大切です。具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務のシステム化や自動化によって人件費を削減する
  • 光熱費や通信費などの見直しを行う
  • 社用車をリースからカーシェアリングに変更する

固定費として挙げられるものは、製品やサービスの品質低下に影響しないため、コスト削減を行う際には積極的に着手するべき項目です。また、売上がないときにも発生する費用であり、大きな削減効果が期待できます。

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変動費型ビジネス・固定費型ビジネスについて

ビジネスモデルは、その主要な費用構造によって変動費型と固定費型に分けられます。ここでは、それぞれの特徴と運営上の違いについて見ていきましょう。

固定費比率が高い「固定費型ビジネス」

固定費型ビジネスは、設備投資などを多額に要するビジネスモデルです。具体的には、製造業やホテル事業、電気・ガスなどのインフラ事業などが挙げられます。

一般的にハイリスクハイリターンのビジネスであるともいわれ、顧客が増えるほど利益が増える割合が多いのが特徴です。ただし、不況になると固定費が収益を圧迫して赤字になりやすい点がデメリットといえます。

変動費比率が高い「変動費型ビジネス」

変動費型ビジネスは、売上に直接連動する経費が大半を占めるビジネスモデルを指します。代表的な例としては、小売業や卸業などがあります。

これらの業種は、ローリスクローリターンともいわれ、売上が落ちた際には同時にコストも下がるため、利益に影響が出にくいのが特徴です。ただし、好況期であっても大きな利益にならないというデメリットがあります。

変動費と固定費を理解し精度の高い管理会計を行おう

変動費と固定費は管理会計を学ぶ上で重要な項目であり、経費の適切な区分と管理によって、経営を行う上で重要な指標を導き出すことができます。

簡単に分類したい場合は「勘定科目法」、より精度の高い結果を求めるのであれば「回帰分析法」を選ぶとよいでしょう。また、変動費と固定費は一度決めたら固定的に運用されるわけではありません。新たな費用が発生した際など、都度見直しを行いながら適切に計上することが求められます。

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