限界利益とは?計算方法や粗利との違い、損益分岐点・貢献利益との関係性をわかりやすく解説

2024/02/05 2024/02/05

管理会計システム

限界利益とは

事業の状態を把握するための指標の一つに「限界利益」があります。本記事では限界利益、限界利益率、損益分岐点といった重要な指標について分かりやすく説明し、それぞれの違い、関係性、計算方法などを解説します。

この記事の要約

・限界利益とは、商品やサービスを販売した時に、売上から変動費(原材料や人件費など)を差し引いて得られる利益のこと
・限界利益を理解する上では、固定費、変動費、損益分岐点を知っておく必要がある

限界利益を理解するために必要な3つの用語とは?

限界利益を理解するためには、「固定費」「変動費」「損益分岐点」という3つの用語を知っておく必要があります。それぞれ何を意味するのか、見ていきましょう。

固定費と変動費

「固定費」は売上に関係なく、一定の期間で常に発生する費用のことです。例えばオフィスの賃貸料や水道光熱費などが該当します。一方、「変動費」は売上や販売数、生産量に比例して増減する費用のことで、原材料費や運送費などが含まれます。

給与などの人件費は、一般的には固定費に分類されますが、残業手当、契約社員や派遣社員への給与は変動費に含めることもあります。

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損益分岐点

損益分岐点は、ビジネスが利益も損失も出さない「トントン」の状態、つまり売上額が固定費・変動費をカバーするポイントを指します。

売上額が損益分岐点を上回れば黒字、下回れば赤字であり、ビジネスを考える上で非常に重要な指標です。

限界利益とは?

限界利益とは、商品やサービスを販売した時に、その売上から変動費(原材料や人件費など)を差し引いて得られる利益のことです。

限界利益がマイナスであれば、そもそも事業として成り立っていないことになり、利益があっても変動費が高く利益が低ければ、コスパの悪い事業と判断することができます。

そのため、事業の継続性を見極める際や、人件費や広告費に割ける予算を見立てる時に重要な指標となります。

限界利益の計算方法

限界利益は次の計算式で求めることができます。

限界利益=売上高-変動費

例えば、1つの商品を1,000円で売り、その商品を作るための原材料が600円かかった場合、限界利益は1,000円(売上)−600円(変動費)=400円となります。

限界利益率とは?

「限界利益」とよく似た指標に「限界利益率」というものがあります。これは、売上に占める限界利益の割合のことをいいます。

限界利益率は、以下の計算式で求めることができます。

限界利益率(%)=限界利益÷売上高×100

例えば、商品を1,000円で売り、それにかかる変動費が600円なら、限界利益率は(1,000円−600円)÷1,000円×100=40%になります。

限界利益と限界利益率からわかること

限界利益と限界利益率からは、どのようなことが分かるのでしょうか。3つに分けて解説します。

商品・サービスの適正価格

限界利益率から、商品やサービスの適正な価格を割り出すことができます。

まず、目標とする限界利益率を設け、変動費を計算してみましょう。限界利益率から見た適正な価格は、価格をxとした以下の計算式で算出することができます。

限界利益率=(x−変動費 )÷x

一例として、商品の限界利益率を70%としたい場合に、変動費が600円であれば、価格は2,000円に設定すればよいことになります。そのため、限界利益率を上げたい場合は、変動費を下げるか、価格を上げるか、のどちらかの対策をとることになるでしょう。

直接利益と事業の収益性

限界利益からは、企業が商品やサービスを売ることによって、どのくらいの利益が得られているのか、いわば「直接的な利益」を見ることができます。

一方、限界利益率は、事業の収益を見ることができる指標です。つまり、「稼げる事業」かどうかを読むための材料であるといってよいでしょう。

事業の持続可能性や存続の可否

限界利益と限界利益率の算出には変動費が関係していますが、企業の経営には、固定費も発生しています。そのため、売上から変動費と固定費を差し引いて残る利益がなければ「赤字」ということになるのです。

すなわち、限界利益率が高ければ「固定費を回収しやすい事業=最終的に黒字化しやすい事業」として、存続の可否を判断することができます。

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なぜ経営に損益分岐点の算出が必要なのか

損益分岐点とは、変動費だけでなく固定費も含めた費用と利益がプラスマイナスゼロになるポイントのことです。次の計算式で算出することができます。

損益分岐点=固定費÷限界利益率

損益分岐点の算出が重要な理由を見ていきましょう。

黒字に転じる売上目標が明確になる

損益分岐点を算出することで、ビジネスが黒字に転じるために必要な売上高が明確になります。

例えば、仕入値が4,000円の商品を1万円で販売して毎月100万円の売上があり、固定費は毎月30万円かかる店舗があったとします。

この場合、限界利益は1万円−4,000円=6,000円、限界利益率は、6,000円÷1万円=60%です。これを損益分岐点の計算式に当てはめると、30万円÷60%=50万円で、売上50万円が損益分岐点であることがわかります。

ちなみに、損益分岐点販売量は以下の計算式にて求めることができます。

損益分岐点販売量=固定費÷1個あたりの限界利益

事例のケースでは、30万円÷6,000円=50(個)となり、売上高と合致することがわかります。

固定費を回収するための限界利益率

売上が上がりにくい場合は、限界利益率の数値がどのくらいになれば固定費を回収できるのか考える必要がでてくるでしょう。

上記の事例で売上と固定費が変わらず、変動費を変化させた場合の限界利益率は、次の表のように変化します。仕入値を3,000円に抑えた場合、損益分岐点となる売上は約43万円となります。

固定費変動費限界利益率
30万円3,000円70%
30万円4,000円60%
30万円5,000円50%

変動費・固定費の改善点

損益分岐点の分析を通じて、費用の改善点を特定することができます。変動費は売上に直接結びつくため、原材料コストの削減や生産プロセスを効率化することで最適化できるでしょう。

一方で、固定費は売上高に関係なく発生するため、削減するには、不要な支出を省いたり固定資産を見直したりする必要があります。こうしたコストを最適化することで、損益分岐点を下げ、ビジネスの利益率を改善することができるでしょう。

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限界利益とその他の利益との違い

ここで、ビジネスにおいてよく耳にする「利益」の種類と限界利益との違いについても見ていきましょう。

粗利との違い

粗利(あらり)は、売上総利益ともいいます。限界利益とよく似ていますが、限界利益が変動費のみを差し引いた利益であるのに対し、粗利は固定費、変動費を含めた売上原価を引いたものです。その企業が提供した商品やサービスが生み出した付加価値を示しており、企業全体の大まかな収益を知ることができます。

営業利益との違い

営業利益は、損益計算書上に記載される利益のことで、その企業が本業で得た利益を指します。売上総利益(粗利)から、さらに売上原価以外の費用も含めた全経費を差し引いた金額のため、売上総利益よりも少ない金額になります。

貢献利益との違い

貢献利益とは、商品やサービスを1つ販売したことで得られる利益のことです。商品・サービスごと、あるいは、部門ごとに貢献利益をみることで、収益性の高い商品や、収益性の高い事業を行う部門が明確になります。貢献利益は、次の計算式で算出します。

貢献利益 = 売上高 – 変動費 – 直接固定費

限界利益は、企業全体での経営判断に使われる指標である一方、貢献利益は商品やサービス単体、もしくは部門別の利益を分析するために使われる指標です。

経常利益との違い

企業では、本業とそれ以外、例えば投資などで得た利益を分けて計算します。本業で得た利益を営業利益、それ以外で得た利益を営業外利益と呼びます。

経常利益は、営業利益と営業外利益を合算したところから営業外費用を差し引いた金額です。

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限界利益の計算には会計ソフトがおすすめ

限界利益や損益分岐点を、手作業で計算・分析するのは非常に手間がかかるため、多くの企業が会計ソフトを活用しています。ここでは、おすすめの会計ソフトを3つ紹介します。導入や入れ替えを検討する際に、お役立てください。

弥生会計24+クラウド

弥生会計24+クラウドは、豊富な機能と高い操作性で知られる会計ソフトです。クラウドベースでデータを自動的に同期し、常に最新の情報にアクセスできます。業界最大規模のカスタマーセンターを持ち、手厚いサポート体制も高評価を受けています。

提供元弥生株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン

【スタンダード】

  • セルフプラン:40,370円(税込)/年
  • ベーシックプラン:54,560円(税込)/年
  • トータルプラン:74,030円(税込)/年

【プロフェッショナル】

  • セルフプラン:55,880円(税込)/年
  • ベーシックプラン:74,470円(税込)/年
  • トータルプラン:10万5,160円(税込)/年

【プロフェッショナル 2ユーザー】

  • セルフプラン:84,810円(税込)/年
  • ベーシックプラン:99,660円(税込)/年
  • トータルプラン:14万250円(税込)/年

※別途「あんしん保守サポート」付き直販あり

機能・特徴導入・設定、取引入力、集計、資金繰り、経営分析・予算管理、法人決算ほか
URL公式サイト

freee会計

freee会計は、使いやすさと、AIによる面倒な会計作業の自動化など、多様な機能性が人気のクラウド型会計ソフトです。個人事業主から中小企業、大企業まで対応可能で、人事労務システムとの連携もできます。チャットや電話でのサポート体制が整っている点も魅力と得るでしょう。

提供元フリー株式会社
初期費用無料
料金プラ

■20名以下の法人向け

【月払い】

  • ミニマム:2,948円(税込)/月
  • ベーシック:5,808円(税込)/月
  • プロフェッショナル:52,536円(税込)/月

【年払い】

  • ミニマム:2,178円(税込)/月、26,136円(税込)/年
  • ベーシック:4,378円(税込)/月、52,536円(税込)/年
  • プロフェッショナル:43,780円(税込)/月、52万5,360円(税込)/年

■21名以上の法人向け

【月払い】

  • ベーシック:5,808円(税込)/月
  • プロフェッショナル:52,536円(税込)/月
  • エンタープライズ:要問い合わせ

【年払い】

  • ベーシック:4,378円(税込)/月、52,536円(税込)/年
  • プロフェッショナル:43,780円(税込)/月、52万5,360円(税込)/年
  • エンタープライズ:要問い合わせ

※別途個人向けプランあり

導入実績有料課金ユーザー45万事業所(2022年12月末時点)
機能・特徴確定申告書作成、レポート/帳簿、明細自動記帳、OCR機能、見積/納品/請求書の作成、総勘定元帳、仕訳帳、決算書、資金繰りレポートほか
URL公式サイト

マネーフォワード クラウド会計

マネーフォワード クラウド会計は、直感的に操作できるUIと高度な機能性を兼ね備えた会計ソフトです。Amazonをはじめ、2,000以上の外部サービスと連携しており、データ入力の手間が省ける上、AIの機械学習により、使えば使うほど最適化や効率化が進みます。

提供元株式会社マネーフォワード
初期費用無料
料金プラン

【月額プラン】

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  • マネーフォワード クラウド会計Plus:要問い合わせ

【年額プラン】

  • スモールビジネス::3,278円(税込)/月、39,336円(税込)/年
  • ビジネス:5,478円(税込)/月、65,736円(税込)/年
  • マネーフォワード クラウド会計Plus:要問い合わせ
機能・特徴決算書の作成、帳票一覧、仕訳・記帳の自動化、軽減税率対応、金融機関連携、レジ連携ほか
URL公式サイト

限界利益は利益の最大化を目指すための重要な指標

限界利益や限界利益率は、自社の商品やサービスの収益性、事業の継続性などを判断する非常に重要な指標です。

限界利益を理解し、適切な生産計画や価格設定を行うことで、利益を最大化することが可能になります。生産コストと販売価格のバランスを見極め、最大の利益を追求しましょう。

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ビズクロ編集部
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