ペーパーレス化におけるワークフローシステムの活用法!導入方法も解説
業務の一連の流れを意味する「ワークフロー」。手間のかかるワークフローも、ペーパーレス化の推進と共にシステム化が進んでいます。業務効率化を図るためにシステムの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、ワークフローシステムの活用方法やメリット、導入方法を解説するとともに、おすすめのシステム5選も紹介します。
目次
ワークフローシステムとは?
ワークフローシステムとは手間のかかるワークフローを電子化・自動化し、パソコンやスマートフォン上で申請・承認が可能になるシステムです。
社内で業務を進めるにあたっては、稟議書や見積依頼書、休暇届など、さまざまな申請書が利用されます。これまでのビジネスシーンでは、申請書の類いは紙での運用が普通でした。しかし、紙文書で運用すると承認を得られるまでに時間がかかるため、業務効率低下の原因となっていました。
一方でワークフローシステムは申請書を「申請フォーム」に置き換え、パソコンやスマートフォンを使ってオンライン上でワークフローを完結することができます。紙からペーパーレス化に移行することで、手間が減り業務効率化につながると期待されているのです。
ペーパーレス化におけるワークフローシステムの重要性
申請書の作成や承認などの一連のワークフローを紙で行うことには、さまざまな課題があります。例えば、「どの申請書を使用するべきかわからない」「上司が不在で承認が得られない」「紙文書の保管に手間とコストがかかる」などといったものが挙げられます。
こうした課題を放置し続けると、スムーズな業務の進行を妨げたり高コスト体質な組織になってしまう可能性も十分にあるのです。
ワークフローシステムを導入することで、申請書などの関連書類の適切な管理が進み、上司の承認もシステム上で完結するので業務の停滞も回避できるでしょう。またペーパーレス化によって、インク代・用紙代、保管費用などを削減できるだけでなく、紙の使用を減らすことで環境保全にも貢献します。
さらに機密情報が記載された紙媒体の紛失による情報漏洩は、企業の社会的な信用の失墜、ブランド価値の毀損(きそん)につながるリスクがあります。そのためセキュリティを強化する上でも、ワークフローシステムの活用やペーパーレス化の推進が求められているのです。
ワークフローシステム活用のメリット
企業がワークフローシステムを活用する主なメリットは次の4点です。
- 業務手続きの効率化
- 内部統制の強化
- 多様な働き方の実現
- 安全面の向上・業務負担軽減
一つずつ詳細を解説していきましょう。
業務手続きの効率化
ワークフローシステムを活用することで、これまで申請業務で課題となっていたさまざまな手間の解消が期待でき、業務スピードのアップや効率化の向上につなげられるでしょう。
従来のやり方では、申請書の作成や印刷、上司に手渡しで提出、承認を受けた申請書を管理部門に提出といった作業が必要になり、工数や移動の手間が課題でした。
システムを導入してペーパーレス化を進めることで、プリントアウトの工程や離席して担当者に書類を渡すという手間が削減できます。
また申請・承認までの進捗状況が可視化されると、どこで申請書類が止まっているかがすぐにわかるので、催促・指摘によって時間短縮もかなえられるでしょう。
他にも、過去に使った書類を検索することでひな形として流用できるため、申請書作成業務がスムーズになるという利点もあります。システム上で作成した申請書は、提出先の自動判別が可能なので、同僚や上司への問い合わせや相談が減り、双方の手間の削減にも貢献するでしょう。
内部統制の強化
ワークフローシステムを活用することは、トラブル防止にも役立ちます。誰が・いつ申請や承認をしたかという一連の流れが可視化され、ブラックボックス化を防げるからです。
紙でワークフローの作業を行う場合、上司の代わりに会社にいる別の社員が捺印する、印鑑を勝手に使用する、確認が不十分なまま契約書を郵送するなど、トラブルの原因となる行動が発生するリスクもあります。
一方で、ワークフローシステムでは申請・承認できるのは原則的には本人のみです。また履歴も残るため、承認・申請のエビデンスとしても利用できます。
さらに、社内の申請・承認ルールが複雑で社員が徹底できていない場合や経費精算における計算ミスなどは内部統制の問題にもつながり、事業の健全性や財務面の信頼性に影響を与えかねません。
システムの活用で手続きのシステム化や自動化が実現できれば、社員のミス防止や内部統制の強化にも寄与するでしょう。
多様な働き方の実現
ワークフローシステムを活用することで、申請・承認のために出社する必要がなくなり、リモートワークなどの多様な働き方を実現可能にします。
システム上で申請・承認が完結するため、自宅やサテライトオフィスなどはもちろん、出先や移動中でも作業できるようになります。フリーアドレスを取り入れている場合や分散出社している企業においても、有効なシステムといえるでしょう。
安全面の向上・業務負担軽減
紙で申請書を作成した場合、紛失や盗難、個人情報漏洩、文書の改ざんなど、さまざまなリスクが伴います。
ワークフローシステムを活用した場合、書類の保管や管理が不要になるだけでなく、一連の流れが可視化され、情報漏洩や文書の改ざんも防げます。また、オフィス移転時などにおける書類の紛失も防止できるでしょう。
ワークフローシステムの活用法
ここでは、ワークフローシステムの活用方法を4つ解説します。
各種申請
ワークフローシステムの導入によって、経費や見積書、請求書など、各種申請を電子化できます。日々の業務ではさまざまなシーンで申請業務が発生します。職種別では、例えば下記のような申請書があります。
営業 | 見積書、請求書、発注書、新規取引先登録申請書、契約書 |
人事 | 欠勤届、住所変更届、定期券購入申請書 |
経理 | 経費精算書、仮払申請書 |
従来のような紙ベースでの作業の場合、Excelに入力したものをプリントアウトしたあと、別添書類を付けるなど、時間がかかる作業を行う必要がありました。
オンラインで完結するシステムならば、効率性・正確性が向上し、いつでも・どこからでも申請・承認ができるので利便性も飛躍的に高まるでしょう。
経費精算
経費精算は、業種・職種を問わず、社内のほとんどの社員が関わる業務でしょう。これまでは出社してExcelなどで入力し、印刷、領収書の貼り付けが必要でした。またどの項目で経費精算するかも考える必要があり、時間がかかります。
ワークフローシステムを使えば、項目の選択、内容・金額の入力、領収書の撮影だけで経費精算が可能です。Excelとは異なり、入力するだけで計算されるため数式を組むといった手間も省け、計算ミスの心配も不要です。
リモートワーク
申請書の作成から承認までの作業がすべてオンライン上で行えるため、印刷したり、上司に提出したりするために出社する必要がなくなります。
近年は感染症対策や働き方改革の推進などで、テレワークの導入が推奨されています。さまざまな人材がそれぞれの事情に応じた働き方ができるような環境の構築が求められている中、オフィスに出勤せずに、自宅などで申請・承認業務が行えればリモートワークの推進にも役立ちます。
出先での業務確認・対応
ワークフローシステムはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からでも活用可能です。書類の作成には向いていませんが、業務内容や書類の確認・対応はスマートフォンなどでもできます。
外出先や移動中にスマートフォンで作業をすれば、いちいちオフィスに戻る必要がなくなるので業務効率化が図れるでしょう。一方でカフェや移動中の電車内などは他人に画面を覗かれる可能性があるため、セキュリティ面には十分に注意を払う必要があります。
ワークフローシステムの導入方法
これからワークフローシステムの活用を検討している企業や担当者に向けて、導入方法を解説します。おおまかなフローは次の4つです。
- 目的をあきらかにする
- 費用の検討
- 使いやすさと利便性の確認
- システムの選定
目的をあきらかにする
まずは、導入目的の明確化が重要です。目的が明確でなければ、どのような課題を解決するために、どのような機能が必要かなどを検討できないからです。
目的を明確化するためには現状のワークフローを可視化し、整理した上で課題を抽出することが大切です。「業務効率化を図るため」「リモートワークを推進するため」「セキュリティ面を強化するため」など、自社の現状を分析して、その課題を解決できる機能があるかを確認しましょう。
費用の検討
システムを活用するためには導入・運用費用がかかります。初期費用のほか、年間または月々どのくらいの費用がかけられるかといったことも検討する必要があるのです。
ワークフローシステムによって搭載している機能が異なり、スペックに応じて費用も変動します。費用を抑えたい場合は、必要な機能のみが搭載されたワークフローシステムを選ぶといった方法もおすすめです。
機能が豊富だからといった理由でシステムを選択すると、ランニングコストが増大し、思うように費用対効果が得られないおそれがあるため注意しましょう。
使いやすさと利便性の確認
ワークフローシステムは高性能・多機能であれば良いわけではなく、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。社員のITリテラシーを考慮したうえで、使いやすさを確認する必要があります。
またすでに導入している他のシステム・ツールとの連携の可否も確認しましょう。連携が取れるとデータの再入力や検索の手間が省けて、業務効率化につながります。
システムの選定
導入するシステムの選定段階では、目的を達成でき、使いやすさ・利便性に問題がなく、予算内で導入・運用できるシステムを選びましょう。
また、システムを「オンプレミス」にするか、または「クラウド」にするかも重要な選択基準になります。近年では初期費用無料で、ランニングコストも抑えられるクラウド型サービスの人気が高まっています。ネットワーク環境とパソコンがあれば、すぐにシステムにアクセスできる利便性の高さもクラウドサービスの特徴の一つです。
オフィス以外の場所からもシステムにアクセスする機会が増えるため、サービスを検討する際にはセキュリティ機能の比較も忘れないようにしましょう。
ペーパーレス化におすすめのワークフローシステム
申請書などを紙からペーパーレス化に切り替える際におすすめのワークフローシステムを紹介します。次の5つのシステムについて、特徴や費用などを見ていきましょう。
- ジョブカンワークフロー
- バクラク申請
- X-point Cloud
- Create!Webフロー
- AgileWorks
ジョブカンワークフロー
ジョブカンワークフローはシリーズ累計導入実績15万社以上、ITトレンド年間ランキング2021でNo.1を獲得したワークフローシステムです。初期費用0円で、1ユーザーあたりの月額料金も330円(税込)という低価格で利用できます。
最初に独自の申請書フォームを作成し、作成後は申請書の種類を選択し入力するだけで申請書が完成します。また申請書の進捗状況も一覧で確認可能です。なお30日間の無料期間もあるため、使い勝手を試すこともできます。
提供元 | 株式会社DONUTS |
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初期費用 | 0円 |
料金プラン | 330円(税込)/月(1ユーザー) |
導入実績 | 15万社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
バクラク申請
バクラクシリーズは累計2,000社以上が導入する実績のあるワークフローシステムです。シリーズには、バクラク経費精算、バクラク請求書、バクラクビジネスカードなどがあり、それぞれ連携することで、より業務が効率化されます。
また、チャットアプリと連携するとアプリから申請書の承認が可能になるため、業務効率化につなげられるでしょう。
提供元 | 株式会社LayerX |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | シリーズ累計2,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
X-point Cloud
X-point Cloudは4,000社以上に導入されているワークフローシステムです。紙帳票をイメージした入力フォームとなっているため、紙のように直感的に利用できます。
また承認はワンクリックのみで完了するので、決裁までのスピードが向上し、会社全体の生産性向上にもつながるでしょう。
提供元 | 株式会社エイトレッド |
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初期費用 | 0円 |
料金プラン |
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導入実績 | シリーズ累計4,000社以上 |
機能・特徴 | 【作成・申請】
【承認】
【検索・集計】
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URL | 公式サイト |
Create!Webフロー
Create!Webフローは、これまで使用していた紙の申請書のデザインをそのままに電子化できるという特徴があります。入力する場所や項目が変わらないため、迷わずに操作可能です。
またクラウド版とパッケージ版の2種類が用意されており、自社の予算や運用方法に合わせて料金体系を選択できます。
提供元 | インフォテック株式会社 |
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初期費用 | クラウド版:0円 |
料金プラン |
※サポート費用(製品の15%/年)、初年度加入必須 |
導入実績 | 要問い合わせ |
機能・特徴 | 【基本機能】
【外部連携】 シングルサインオン
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URL | 公式サイト |
AgileWorks
AgileWorksを活用することで、組織編成や人事異動の際もシステムを止めることなくワークフローを変更できるようになります。
AgileWorksは複雑な組織構造を考慮して設計されています。組織編成を実行する前に、組織編成実行後のワークフローを設定可能です。また入力フォームは紙帳票をイメージしているため、紙と同様で直感的に入力できます。
提供元は、X-point Cloudと同じ株式会社エイトレッドです。同社では、X-point Cloudは中小企業や部門単位での利用に適しており、AgileWorksは大規模組織に適しているとしています。
提供元 | 株式会社エイトレッド |
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初期費用 |
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料金プラン |
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導入実績 | シリーズ累計4,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
ペーパーレス実現に向けてワークフローシステムを活用
本記事ではペーパーレス化におけるワークフローシステムの活用法を解説しました。
ペーパーレス化においてワークフローシステムの導入・運用は重要です。パソコンやスマートフォンだけで申請・承認が可能になるため、リモートワークの推進に役立ったり、業務効率化にも貢献するでしょう。
ワークフローシステムは、サービスによって料金や機能などが異なります。まずは自社のワークフローを見える化し、導入目的を明確化させた上で最適なワークフローシステムを選択しましょう。
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