ペーパーレス時代の印鑑の重要性や役割とは?注目される電子契約も解説

日本の文化であり、承認の証として用いられてきた印鑑。契約時に印鑑を忘れて慌てた人も多いのではないでしょうか。ペーパーレス化が進む現代や未来において印鑑は必要なのか。本記事では、ペーパーレス時代の印鑑の重要性や役割、注目されている電子契約について解説します。
目次
ペーパーレス時代の印鑑の重要性は?
これまで印鑑は承認の証として強い効力を持っていました。しかしペーパーレス化を進めるにあたって、印鑑の存在はボトルネックとなっています。印鑑は日本のペーパーレス化が遅れている原因とも言えるでしょう。
日本に強く根付いている印鑑ですが、ペーパーレス化を推進するにあたって業務効率化や多様な働き方を目的に脱印鑑を望む人が増えています。しかし承認の証として印鑑が必須と考える人もいるでしょう。
そこで、ペーパーレス時代の印鑑の重要性を解説します。
法的効力のために必要では?
契約を結ぶ際、「法的効力のために印鑑が必要なのではないか?」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし特段の定めがある場合を除いて、印鑑の有無にかかわらず契約が成立すると政府が明言しています。つまり契約を結ぶ際、必ずしも押印する必要はないということです。
また近年は電子印鑑の普及も徐々に進んでおり、印鑑のあり方が変化しています。
電子署名・タイムスタンプの利用
印鑑がなくても「電子署名」や「タイムスタンプ」を利用することで、証拠力の高い文書を作成可能です。
電子署名は電子上の印鑑の役割を持っています。政府公認の認証局が発行する電子証明書という本人確認データが付与され、信頼度は高いです。電子署名があるデータの信頼度の高さは「電子署名法」という法律で認められています。
またタイムスタンプとはある時刻に電子データが存在しており、その時間以降改ざんされていないことを証明する技術です。。
これらを利用することで印鑑なしでも信頼度の高い文書を作成できます。
法的に印鑑が必要な場合はある
ペーパーレス化が促進されている昨今では、電子印鑑の利用を可能としている業務もあるものの、法的書類などは未だに印鑑が必要な場面が多いです。
また日本能率協会は、2021年8月に1000人のビジネスパーソンを対象にペーパーレス化の状況についてアンケートを実施しています。アンケートでは、印鑑が完全にペーパーレス化されたのは1割のみで、およそ6割は電子化されていないという回答でした。
このように法的に印鑑が必要な場面もあり、日本の印鑑のペーパーレス化はあまり進んでいないと言えます。
参考元:一般社団法人日本能率協会「2021年「ビジネスパーソン1000人調査 」【ペーパレス化の実施状況】」
ペーパーレス時代に注目されている電子契約とは?
これまで紙で作成・保管・管理を行っていた契約書ですが、電子契約するとほとんどの業務をクラウド上で完結させることができます。
次にペーパーレス時代に注目されている電子契約について解説します。
紙の契約書同様の信頼性
電子契約であっても紙の契約書同様の信頼性があります。
「電子署名法」の法整備が進んだことにより、電子証明書による電子署名も手書きでの署名や押印と同様の信頼性があるとされました。
そのため安心して電子契約を利用することが可能です。
多くの企業が導入
2022年1月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が実施した調査によると、調査対象約1000社の6割以上は電子契約を導入しています。
電子契約を導入していない場合には取引先から電子契約を求められる可能性もあるため、電子契約の導入がスムーズな取引のカギになりつつあるのです。
参考元:一般財団法人日本情報経済社会推進協会「企業IT利活用動向調査2022」
▷ペーパーレス化におけるワークフローシステムの活用法!導入方法も解説
クラウドサイン
電子契約ツールにはさまざまなものがありますが、「クラウドサイン」が国内シェアNo.1のツールです。
「弁護士ドットコム」や「税理士ドットコム」などを運営する弁護士ドットコム株式会社が提供しているサービスです。導入社数は130万社以上、累計送信件数は1000万件を超えています。
クラウドサインをはじめとする電子契約を導入することには以下のメリットがあります。
- 印刷代やインク代、紙代などのコスト削減
- 押印するために出社する必要がなくなり、業務の効率化につながる
- 書類の作成・保管・管理などすべてをクラウド上で行える
電子契約ツールを導入することは業務の効率化に大きく役立つでしょう。
▷ペーパーレス化を推進する方法!基本の流れや注意点・役立つツールを解説
▷ペーパーレス化の成功事例7選!事例から学ぶメリットや進め方のポイント
電子契約の普及状況
2020年1月時点の電子契約の普及状況は調査対象約900社のうち4割以上が導入しています。
ペーパーレス化の推進によって電子契約が利用される場面が増えており、さらに政府からも安全性が認められました。
とはいえ約半数の企業が導入できていないのも実情です。
▷ペーパーレス化が進まない理由とは?よくある原因や改善方法を解説
電子契約の注意点
電子契約に関する注意点を解説します。
ペーパーレス化できない場合がある
自社が電子契約を導入していても、取引先が電子契約に同意しない場合はペーパーレス化はできません。契約に関するペーパーレス化は双方の同意が必要です。
またそもそもペーパーレス化できない業務もあります。
すべてをペーパーレス化できないことを把握し、できる限りのことから始めるのが大切です。
コストがかかる場合がある
電子契約の導入・運用にはコストがかかります。
無料プランもありますが、企業の規模が大きいと有料プランに切り替えなければ利用できない場合があります。
例えばクラウドサインを導入した際にかかるコストは以下の通りです。
プラン | Light | Corporate | Enterprise |
---|---|---|---|
特徴 | 必要最低限の機能が備えられている | 書類管理・システム連携の機能を搭載 | 高度な内部統制機能が搭載されており、複数の部署での利用に適している |
月額料金 | 11,000円(税込) | 30,800円(税込) | 要問い合わせ |
送信件数ごとの費用 | 220円(税込) | 220円(税込) | 要問い合わせ |
ユーザー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
送信件数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
上記のようにコストがかかることを踏まえて、導入を検討しなければいけません。
税務書類は要件が厳しい
政府による「電子帳簿保存法」の改正によってやや緩和されましたが、まだまだ厳しい要件となっています。
税務書類をペーパーレス化する際、具体的には以下の要件を満たす必要があります。
- 見積書・注文書・契約書・領収書などは7年間保存する義務がある
- タイムスタンプや改訂削除できないシステムを利用したり、訂正削除防止に関する事務処理規定を備え付けたりする
- 納税地や事業所に準ずる場所で、ディスプレイやプリンターを使って速やかに画面や書面が確認できる
- マニュアルが備え付けられている
- 主要項目を範囲指定および組み合わせで検索できるようにする
このように税務書類をペーパーレス化することは簡単ではありません。
安全対策が必要
電子契約には電子署名やタイムスタンプなどの改ざんを防ぐための対策がなされています。
一方で対策がされていない場合もあります。もし改ざんされた場合、取引先や消費者などからの信頼性を失うことになりかねません。そのため電子契約を導入する際は安全対策をすることが重要です。
▷電子契約できない契約書とできる契約書の違い|できない理由と電子化の秘訣
▷【最新比較】電子契約サービスおすすめ22選!失敗しない選び方も解説!
ビジネスの効率化のためペーパーレス化を進めよう
本記事ではペーパーレス時代の印鑑の重要性や役割などについて解説しました。
ペーパーレス時代において印鑑は不要です。しかし、安全性や信頼性を高めるためにも、電子署名やタイムスタンプを利用することが重要です。
本記事を参考にしてビジネスの効率化のためペーパーレス化を進めましょう。
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