PBXの種類は3種類!それぞれの違いや機能・導入メリットを解説

最終更新日時:2023/03/22

PBX

PBX

PBXの種類

PBXは、レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXに分類されます。それぞれ特徴や機能があり、導入するメリットも異なります。本記事では、3種類のPBXの詳細情報、選び方について解説しているので、PBXの導入をお考えの人は参考にしてください。

PBXとは

PBXとは、複数の電話機をまとめて管理する機能を持つ電話交換機のことで、外線・内線のやりとりを制御して、電話業務の効率化を図ります。

例えば代表電話番号への着信を他の子機で受けられるようにしたり、着信を指定の電話番号に転送したりできます。ひとつの電話回線の契約で複数の電話番号を作成し、部署ごとに連絡先の設定もできます。

電話業務をおこなう中で便利な機能が揃っているため、PBXは多くの企業やコールセンターで導入されています。

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PBXの種類は3種類

PBXは主に3種類あります。

  • レガシーPBX
  • IP-PBX
  • クラウドPBX

従来から利用されているのは、レガシーPBXです。電話回線を使うため、通話の品質が保たれます。しかし旧型なので、アナログ接続や機能が少ないというデメリットもあります。

IP-PBXやクラウドPBXは、インターネット回線を利用するPBXです。インターネットを介して、さまざまな機能が利用できます。しかし通信状況によって通話中に雑音や、セキュリティの問題があります。

ここでは、3種類のPBXの機能やメリットを紹介します。自社で導入を検討する際の参考にしてください。

レガシーPBX

レガシーPBXは、オフィス内に設備機器を置き電話回線をつなげるPBXです。PBXが市場に出回り始めた頃から使われています。高品質の通話やハッキングのリスクが低い点がメリットです。

しかし設備機器と電話機を実際に接続して使うため、線が届く範囲の電話機しか集約できません。そのため複数の拠点があると、拠点ごとにPBXの導入が必要です。またオフィスのレイアウト変更やフロアの拡大・拠点を移転する際にはPBX本体の移動が必要なため、改めて導入工事をしなければなりません。工事は専門業者でないとおこなえないため、費用がかさむ点はデメリットといえます。

レガシーPBXの機能

レガシーPBXはアナログで不便な点もありますが、電話業務を行う中では十分な機能を搭載しています。レガシーPBXの代表的な機能は4種類です。

  • 内線同士の通話
  • 各端末への転送機能
  • 各機器で代表番号への着信を対応
  • パーク保留

それぞれの機能を詳しく解説します。

1.内線同士の通話

レガシーPBXを導入すると、内線同士で通話ができます。同じ電話回線をつないでいる電話機同士に限りますが、フロアが広く部署同士が離れている場合にも連絡が取りやすいです。また同じ電話回線を利用して内線通話するため、通話料金は発生しません。レガシーPBXは、時間も費用も削減できます。

2.各端末への転送機能

PBXには、転送機能があります。例えばオフィスに社員が不在のときや別の顧客対応で通話に出られないときなどは、指定の電話番号への転送が可能です。転送機能を活用すれば迅速な顧客対応ができるため、顧客満足度の向上が期待できます。

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3.各機器で代表番号への着信を対応できる

一般的に代表電話番号の着信が受けられるのは、ひとつの電話機のみです。電話が終わるまでは通話中になるため、顧客対応ができる数に限りがあります。

しかしPBXを利用すれば、ひとつの電話への着信を複数の機器で受けることが可能です。したがって、コールセンターなど電話対応が多い企業や部署ほど役に立つでしょう。

4.パーク保留

パーク保留機能とは、PBXに接続している電話同士で保留中の電話を取り次げる機能です。保留中の電話を他の人に取り次ぐときは、電話転送をするか通話中の電話を取り次ぐ相手に渡して対応します。しかしパーク保留機能は、ボタンを押して保留すればPBXに接続するすべての機器で引き継ぎが可能です。

例えば担当者がわからない着信があった場合、パーク保留ボタンを押してオフィス内で「〇〇の件でお電話です」とアナウンスすれば、担当者が手元の機器で対応できます。電話を取り次ぐ度に転送する手間が省けるので、スムーズな電話対応ができます。

IP-PBX

IP-PBXとは、インターネット回線でIP電話を使うPBXで、LANやWANを利用して通話します。IP-PBXはハードウェアタイプとソフトウェアタイプがあり、それぞれ仕組みが異なります。

ハードウェアタイプは、オフィス内に専用機器を設置して使用するタイプです。企業内でネットワークを管理するため接続が安定し、高いセキュリティが期待できます。しかし機能の追加やオフィス内のレイアウトを変更した際には、専用機器の移設が必要なため手間やコストがかかるでしょう。

ソフトウェアタイプは、ソフトウェアを自社サーバーにインストールして使うタイプです。専用機器の設置が不要なので、ハードウェアタイプと比べると導入コストは安くなります。また、専用機器がないため機能の拡張や移転時にも対応しやすい点が特徴です。しかし、セキュリティ面のリスクの高さや導入に専門知識が必要な点はデメリットといえるでしょう。

ハードウェアタイプとソフトウェアタイプには、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらが自社に適しているか、よく検討して導入を進めましょう。

IP-PBXとは?仕組みやクラウドPBX・ビジネスフォンとの違いを比較

IP-PBXの主な機能

IP-PBXはレガシーPBXで紹介した機能以外にも、通話記録の管理や各端末の内線化ができます。ここでは、それぞれの機能を解説します。

1.通話記録の管理

IP-PBXは、パソコンから通話記録の管理ができます。また通話履歴や通話内容をもとに、顧客対応もおこなえます。通話履歴や通話内容を確認することで、顧客トラブルや社員の電話対応の教育に役立つでしょう。

2.各端末を内線として使用できる

IP-PBXは、パソコンやスマートフォンなどの端末も内線として使用できます。専用アプリをインストールし設定するだけで、端末を内線として使用可能です。個人所有の端末を内線として利用できるため、新たに電話機を購入せずに内線電話を増やせます。

クラウドPBX

クラウドPBXは、設備がクラウド上にあるタイプのPBXです。ベンダーのサーバーにあるPBXを利用するため、オフィスへの機器設置は不要です。導入工事も不要なため、初期費用を抑えられます。

しかし、ベンダーに運用費用を支払わなければなりません。具体的な費用は、システムの回線数や追加機能で変わります。追加したい機能が多かったり利用人数が多かったりする場合は、初期費用よりも運用費用のほうが高額になる場合もあるので注意してください。

またセキュリティの強さや通話の品質は、ベンダーに依存します。導入に失敗しないよう、比較検討をおこなってからベンダーを選びましょう。

【2023年最新】おすすめクラウドPBX18選!機能や費用を徹底比較!

クラウドPBXの主な機能

クラウドPBXの主な機能は4種類です。

  • CTI機能
  • UC機能
  • IVR機能
  • スマートフォンの内製化

それぞれの機能を解説します。

1.CTI機能

CTIとは「Computer Telephony Integration System」の略です。電話やFAXとパソコンをつないで、電話対応の業務を効率化するシステムを指します。着信した電話番号から顧客情報を表示できるため、相手と話す前に状況の把握が可能です。相手の状況に合わせた対応ができるため、電話応対の品質向上にもつながるでしょう。

2.UC機能

UCは、「Unified Communication」の略です。さまざまなコミュニケーション手段を統合し、状況に合わせて適した手段が使える機能です。例えば電話は内線、チャットはチャットアプリ、ビデオ会議はZoomなど、それぞれのアプリケーションを利用しなければなりません。

しかしUC機能は、ひとつに統合できるため複数のアプリケーションを使う必要がありません。複数のアプリケーションを使い分けず使いたい機能を選べるため、スムーズに業務をおこなえます。

3.IVR機能

IVRは「Interactive Voice Response」の略で、着信に対して自動音声が応答する機能を指します。事前に問い合わせ内容を確認し部署に電話をつないだり、自動音声で回答したりできます。業務範囲が広いコールセンターなどで導入されており、電話業務の効率化や電話応対の質を高めることで顧客満足度の向上が可能です。

4.スマートフォンの内線化

クラウドPBXでは、スマートフォンを内線として使える機能があります。専用のアプリケーションをダウンロードすれば、簡単に使用できます。会社用と個人用で2台スマートフォンを持つ必要がなく、外出先でも内線の受信や取引先への発信が可能です。

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PBX3種類の比較

レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXは、導入方法や運用コストなどそれぞれでメリットが異なります。PBX3種類の比較ができるように表をまとめているので、導入を検討する際の参考にしてください。

 レガシーPBXIP-PBXクラウドPBX
導入
  • 導入に工事が必要
  •  
  • ハードウェアタイプ
  • 専用機器を企業内に設置する
  • ソフトウェアタイプ
  • ソフトウェアをインストールして使用する
  • ベンダーのサーバーに設置されたPBXを使う
導入規模大規模な企業大規模な企業中小企業
初期費用
  • 導入費用に数百万円〜数千万円かかる
  • IP電話機1台につき20,000円、PBXに数百万円程度かかる
  • LAN設備が整っていない場合はさらに工事費用が追加される
  • 10,000円〜50,000円程度かかる
運用コスト
  • 基本的には通話料のみ
  • 別途機器のメンテナンス費用がかかる
  • 月額基本料金は、5,000円〜20,000円程度
  • 月額基本料金は1回線につき1,500円〜2,500円程度
  • 追加するオプションによって大きく変動する
メリット
  • 電話回線を使うので停電時にも利用できる
  • 通話の品質が高い
  • ハッキングの心配がない
  • インターネットを介して複数拠点の接続が可能
  • IP電話を使うので通話料が安い
  • 機能のカスタマイズやセキュリティ対策などに制約がない
  • オフィスにPBX本体を設置する必要がないため、工事費用がかからない
  • オフィスのレイアウト変更や事業所の移転にも対応できる
  • スマートフォンを内製化
  • メンテナンスはベンダーが行う
注意点
  • 初期費用が高い
  • 電話線が届く範囲の機器にしか接続できない
  • インターネット回線を使うためハッキングのリスクがある
  • 設備機器のメンテナンスやセキュリティの管理は自社で行う
  • 音質や通話品質はインターネット環境によって左右される
  • インターネット回線が切れると使えなくなる
  • セキュリティの強度はベンダーによって左右される
  • 音質や通話品質はインターネット環境によって左右される
  • インターネット回線が切れると使えなくなる
機能・特長
  • 内線同士の通話
  • 各端末への転送機能
  • 各機器で代表番号への着信を対応
  • パーク保留
レガシーPBXの機能に加えて以下の2つがある。
  • 通話記録の管理
  • 各端末を内線として使用できる
レガシーPBX、IP-PBXの機能に加えて以下4つがある。
  • CTI機能
  • UC機能
  • IVR機能
  • スマートフォンの内製化

メリットだけでなく注意点やコストなども踏まえて、自社に合うPBXを選びましょう。

PBXの選び方

3種類のPBXの特長やメリットなどを理解しても、どれを導入すべきか迷う方も多いでしょう。PBXを選ぶ際には、何か一つ基準を決めて検討するのがおすすめです。例えば、以下の4つを基準に考えると選びやすいでしょう。

  • 導入の手間で選ぶ
  • 初期費用・運用コストで選ぶ
  • 必要な機能で選ぶ
  • セキュリティ・安全性で選ぶ

ここでは、それぞれの項目を具体的に解説します。

1.導入の手間で選ぶ

3種類のPBXは、それぞれ導入の手間が異なります。もっとも導入に手間がかかるのは、レガシーPBXです。導入時には専門業者への工事依頼が必要なため、工事日の調整をしなければなりません。また、工事にある程度の時間がかかります。

IP-PBXはレガシーPBXよりも導入に手間はかかりませんが、インターネット回線が必要です。LANが整備されていない場合は工事をしなければなりません。導入方法はハードウェアタイプとソフトウェアタイプがあり、簡単に導入できるのはソフトウェアタイプです。ただしソフトウェアタイプの環境構築は、専門知識がないとできない点に注意してください。

もっとも簡単に導入できるのは、クラウドPBXです。ベンダーのサーバーに機器を設置するため、オフィスでの工事は設置作業は不要です。ベンダーの設置作業が終われば、すぐに利用できます。導入の手間をかけたくない場合は、クラウドPBXがおすすめです。

オンプレミス型PBXとは?クラウド型との違いや特徴・メリットを比較!

2.初期費用・運用コストで選ぶ

3種類のPBXの初期費用・運用コストを比較した表は、次のとおりです。

 初期費用運用コスト
レガシーPBX
  • 導入費用に数百万円〜数千万円かかる
  • 基本的には通話料のみ
  • 設備機器の管理費用が発生する
IP-PBX
  • IP電話機1台につき20,000円、PBXは数百万円程度かかる
  • LAN設備が整っていない場合はさらに工事費用が追加される
  • 5,000円〜20,000円程度
  • ハードウェアタイプは設備機器の管理費用が発生する
クラウドPBX
  • 10,000円〜50,000円程度
  • 月額基本料金は1回線につき1,500円〜2,500円程度
  • 追加するオプションによって大きく変動する

初期費用を抑えたいなら、クラウドPBXがおすすめです。ベンダーのサーバーに機器を設置するため、電話回線やインターネット回線の準備が不要です。運用コストも月々数千円と比較的安い傾向にあります。しかしオプションの追加や導入規模によって高額になる可能性もあるため、費用の計算をして導入を進めましょう。

レガシーPBXやIP-PBXは初期費用が高額ですが、月々の運用コストは安いです。事業規模が大きい場合は、クラウドPBXよりも費用を抑えられる可能性があります。

【最新】費用が安いおすすめPBX9選!格安の理由や導入時の注意点も解説

3.必要な機能で選ぶ

あらかじめ必要な機能を社内でピックアップしたうえで、どのPBXにするか選ぶのもよいでしょう。それぞれのPBXの主な機能は、次のとおりです。

 レガシーPBXIP-PBXクラウドPBX
主な機能
  • 内線同士の通話
  • 各端末への転送機能
  • 各機器で代表番号への着信を対応
  • パーク保留
レガシーPBXの機能に加えて以下の2つがある。
  • 通話記録の管理
  • 各端末を内線として使用できる
レガシーPBX、IP-PBXの機能に加えて以下4つがある。
  • CTI機能
  • UC機能
  • IVR機能
  • スマートフォンの内製化

電話機能だけなら、レガシーPBXで問題ありません。しかし接続方法がアナログなため、同一フロア内でしか利用できません。営業などで外出が多い場合やテレワークでも使いたい場合は、IP-PBXやクラウドPBXがおすすめです。IVRなどの機能が必要な場合は、クラウドPBXがよいでしょう。

機能性が高いのはクラウドPBXですが、業務で使わない機能があるとコストを無駄にしてしまいます。あらかじめ必要な機能を社内で洗い出したうえで、PBXを選びましょう。

4.セキュリティ・安全性で選ぶ

セキュリティ・安全性がもっとも高いのは、レガシーPBXです。インターネット回線を使わないため、ハッキングのリスクがありません。顧客情報を多く管理している企業などは、レガシーPBXを使うことをおすすめします。

クラウドPBXの場合、セキュリティ対策はベンダー任せです。情報漏洩のリスクが高まるため、クラウドPBXを導入する際は数社から比較して安心できるベンダーを選んでください。

同じくインターネット回線を使うIP-PBXは、自社の設備機器やネットワークを使うためセキュリティ対策も自由におこなえます。アップデートや保守などの管理が必要ですが、自社でセキュリティ対策がおこなえるIP-PBXの安全性は高いといえるでしょう。

PBXの種類とそれぞれの違いを理解して選ぼう

PBXは、レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXがあります。機能や導入メリット・運用コストなどがそれぞれ異なるため、理解したうえで導入するPBXを選びましょう。本記事を参考にして、ぜひ自社にあったPBXを選んでコストの削減や業務の効率化に活かしてください。

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