クラウドPBX導入のよくある失敗例とは?成功させるための対処法も解説
クラウドPBXを導入したものの、運用コストが想定以上に高くなってしまった、メーカーのサポート体制が整っていなかったなど、失敗してしまうことがあります。本記事では、クラウドPBXを導入する際のよくある失敗例と成功させるための対処法を解説していきます。
目次
クラウドPBXとは
PBX(Private Branch eXchange)とは、複数の電話回線を集約した電話交換機のことで、内線電話や外線電話の転送など、複数の電話機をコントロールする大事な役割を担っています。
そして、クラウドPBXとは、インターネット回線を通じて通信・通話するために、ベンダーがクラウド上に設置提供したPBXのことをいいます。
近年、クラウドPBXの登場によって、電話回線工事の実施や専用機器の調達が必要なくなるなど、従来のPBXよりも低コストでPBXの導入ができるようになりました。
また、メンテナンスやアップデートをベンダー側に一任できるので、運用面でも低コストが実現可能となっています。
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クラウドPBX導入のよくある失敗例8選
上記の通り、メリットが多そうに見えるクラウドPBXですが、クラウドPBXに関する調査が不足していると、ミスマッチを招く確率が高くなります。これから代表的な失敗例を8つ紹介します。
- 回線状況が不安定で通話しずらい
- 機能が不足していた
- 運用コストが想定以上に高くなった
- 新たに電話番号を取得しなければならなかった
- 便利機能を使いこなせなかった
- セキュリティ対策ができていなかった
- メーカーの対応が遅い・悪い
- リース契約が残っているのに導入してしまい、余計に費用を支払った
1.回線状況が不安定で通話しずらい
クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、回線の混雑状況やアクセス地点によって、通信の安定性が大きく左右されます。
場合によっては、通話中にノイズやタイムラグが発生するケースも珍しくありません。そうした通信環境下にもかかわらず、通話品質が悪いベンダーを選定してしまった結果、通話内容を正確に聞き取れなかった、という失敗が起こることがあります。
2.機能が不足していた
クラウドPBXには多くの機能が搭載されていますが、クラウドPBXの種類によって搭載されている機能はさまざまです。
そのため、調査不足の結果、自社が求める機能が搭載されていないPBXを選択してしまい、高い投資に見合った効果が得られなかったという失敗が起こることがあります。
3.運用コストが想定以上に高くなった
クラウドPBXは実際に電話交換機を設置するわけではないため、初期費用や月額料金を抑えられる点が魅力です。しかし、料金体系の理解が不足していたために、想定よりも運用コストが高くなる失敗が起こることもあります。
各社によって料金体系やプランは様々あり、初めて導入をする人にとってはどれが適切なプランなのかわからずになんとなくで契約を進めてしまうというのが失敗につながる原因の一つです。
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4.新たに電話番号を取得しなければならなかった
電話番号は、社会的信頼性やブランドイメージとの関連性が強く、同じ電話番号を長年使用している場合、番号を覚えている取引先や顧客も珍しくないでしょう。
しかし、調査不足のために、現行の電話番号や市外局番を継続利用できないベンダーと契約してしまい、新たに電話番号を取得しなければならなかった、という失敗も起こることがあります。
そうなった場合、取引先や顧客に負担を強いる形になり、また、名刺やホームページに掲載している番号も変えなければならなくなります。しかも、もし電話番号の変更を知らなかった顧客がいた場合には、売上拡大や新規顧客獲得のチャンスを逃すことになりかねないことになるでしょう。
5.便利機能を使いこなせなかった
クラウドPBXはオンプレミス型やビジネスフォンと比べると、これまで述べたとおり多くの機能が搭載されています。しかし、自社に不要な機能が多く搭載されていた結果、使いこなせずかえって作業効率が悪化する上に、クラウドPBXを利用するモチベーションも低下し、想定していたような導入効果が得られなかったという失敗が起こることもあります。
6.セキュリティ対策ができていなかった
クラウドPBXは、スマートフォンとの連携の高さも魅力の一つで、専用機器を導入しなくてもアプリをインストールすれば、さまざまな機能を利用できます。
そのため、スマートフォンには顧客情報や商品データなど、機密情報が多数保存されていますが、スマートフォンにセキュリティ対策をしなかったために、外出先で盗難・紛失して情報漏洩に発展してしまったという失敗が起こります。そうなると、社会的信用やブランドイメージの低下は避けられないでしょう。
7.メーカーの対応が遅い・悪い
障害復旧やトラブルへの対応は、クラウドPBXを提供するベンダー側が行うため、サポート体制が充実しているベンダーを選ぶと、システム管理者の業務負担やランニングコストを削減できます。
しかし調査不足のために、ノウハウや実務経験に乏しいスタッフが在籍しているベンダーを選んでしまった結果、復旧するまで長時間PBXを利用できず、業務に多大な支障をきたしてしまったという失敗が起こることがあります。
8.リース契約が残っているのに導入してしまい、余計に費用を支払った
ビジネスフォンにも契約期間があり、リース契約満了前に解約すると、当然違約金が発生するのが通常です。しかし、リース契約の残存期間を確認せずにクラウドPBXを導入した結果、リース契約について違約金が発生し、かえって多くの費用を支払うことになってしまった、という失敗も起こることがあります。
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クラウドPBX導入のメリット
ここまでクラウドPBXの失敗例を紹介してきましたが、では、「クラウドPBXにはどのようなメリットが望めるのか」と、思っている方も少なくないでしょう。そこで、クラウドPBXの導入によって得られる3つのメリットを以下にまとめました。
- 導入が早く、すぐに利用開始できる
- 運用コストを抑えることができる
- スマートフォンを内線化できる
1.導入が早くてすぐに利用開始できる
クラウドPBXはビジネスフォンと異なり、導入してからすぐに利用できます。導入の際に、サーバーや電話交換機を購入する必要はなく、クラウドPBXを提供しているベンダーが、インフラ環境を構築しています。
そのため、ベンダーが提示する料金プランを選択し、必要な手続きを済ませるだけで導入できます。
2.運用コストを抑えることができる
全体的にコストを抑えられる点もクラウドPBXの魅力です。スマートフォンをビジネスフォンとして利用するため、ビジネスフォンやPBX本体などの専用機器を購入する必要はありません。電話回線工事も行わないため、初期費用を大幅に削減できます。
また、サーバーやPBX本体のメンテナンスもベンダーへ一任できるため、自社がアップデート含めて保守・点検工事をする必要はなく、ランニングコストも抑えられます。
3.スマートフォンを内線化できる
クラウドPBXは、複数拠点を展開する企業にも向いています。スマートフォンを内線化できるため、異なる拠点同士の通話料金は無料となり、海外拠点との通話料金も大幅に削減できます。
また、外線電話にも担当者が直接対応できるため、転送をする必要がない点もメリットといえるでしょう。
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クラウドPBX導入のデメリット
クラウドPBXには多くのメリットがありますが、デメリットやリスクがないわけではありません。以下3つのデメリットを認識しておきましょう。
- 月額料金が発生する
- 新たに番号を取得する必要がある
- 特殊番号に発信ができない
1.月額料金が発生する
クラウドPBXを利用している限り、月額料金を毎月支払うことになります。毎月数千円〜数万円の費用が発生しますが、オンプレミス型のPBXと比べると全体的にコストを抑えられます。
なお、月額料金に固定電話への通話料金が含まれている場合、追加費用は発生しません。また、ユーザー数や通話時間で料金が変動する従量課金制を採用しているベンダーも多いため、無駄な費用の発生が避けられます。
したがって、一定の月額料金は発生するものの、コスト管理は楽になるでしょう。
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2.新たに番号を取得する必要がある
ベンダーによっては既存の電話番号が利用できず、新たに電話番号を取得しなければならないクラウドPBXがあります。
既存の電話番号を引き継ぐ方法としては、MNPとゲートウェイの2種類が存在します。MNPは通信回線を別の業者に変更する方法で、ゲートウェイは、通信を中継するための機器を交換する方法です。
どちらの方法を使っても引き継げない場合には、新たな電話番号に変更するしかありません。したがって、ベンダーとの商談時には、既存の電話番号を引き継げるか、必ず確認しましょう。
3.特殊番号に発信ができない
クラウドPBXを導入した場合には、「110」や「119」などの3桁の番号に発信ができません。また、緊急ダイヤルも位置情報を取得できず、発信規制が掛かるために電話がつながりません。緊急事態へ備えておくためにも、最寄りの警察署や消防署の電話番号を登録しておきましょう。
なお、緊急通報アプリをインストールしておくのも1つの選択肢です。
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クラウドPBXの導入を成功させるための対処法
ここまでクラウドPBXのメリット・デメリットについて述べてきました。クラウドPBXは選択肢も多く、慎重に見極めることが必要ですが、ミスマッチを回避するためにも、以下5つの内容を意識しておくことが重要です。
- 無料のトライアルを利用して通話品質を確認しておく
- 契約内容と運用コストを確認する
- 必要な機能がそろっているメーカーを選ぶ
- メーカーのサポート体制を把握する
- 契約中の機器の状況を確認する
1.無料のトライアルを利用して通話品質を確認しておく
クラウドPBXは、通話品質や通信の安定性がベンダーによって大きく異なり、インターネット回線を利用しているため、速度遅延や通信障害が発生しやすい傾向にあります。クラウドPBXを正式に導入する前に、無料のトライアルを利用して通話品質を確認しておくことが重要です。
無料トライアルは2週間〜1ヶ月、無料でクラウドPBXを利用できる制度です。コストをかけずに、通話品質や機能性を確認できるため、仮に自社と相性が合わなかったとしても、コストは発生しないので、大きな影響はないでしょう。
2.契約内容と運用コストを確認する
クラウドPBXを提供するベンダーによって、料金体系は異なります。コストを抑えるためにも、契約内容のうち、初期費用や月額料金の内訳など料金体系を事前に確認しておくことが重要です。なお、クラウドPBXの料金体系は、以下4つの項目から構成されています。
- 初期費用
- 月額料金
- 通話料金
- オプション代
ベンダーによっては、モバイル端末のライセンス費用や維持費用を月額料金に含めている場合があります。また、初期費用の有無はベンダーによって異なるため、必ず確認が必要です。通話料金に関しても、市内局番と市外局番で料金設定が異なる場合が多いため、この点も確認が必要です。
なお、オプションに関しては、必ずしも利用しなければならないわけではありません。必要な機能が基本プランにすべて含まれていれば、費用は発生しないので、そういったクラウドPBXを選べば、コストも抑えられるでしょう。
3.必要な機能がそろっているメーカーを選ぶ
便利な機能を多く搭載しているベンダーを選ぶと、業務をスムーズに進めることができます。例えば、ビジネスチャットを搭載していれば、リアルタイムでの情報共有が可能です。チャットルームにメッセージを入れておくだけで、複数のメンバーに情報を発信できます。
また、ビジネスチャットはメールと異なり、件名の入力や挨拶文の作成は必要ありません。情報発信のスピードが高まり、従業員間のコミュニケーションの活性化も期待できるでしょう。
また、外部システムとの連携性も確認しておくことが重要です。自動音声対応・受付システム・勤怠管理システムなどと連携していると、多くの業務を効率化できるでしょう。
4.メーカーのサポート体制を把握する
導入〜運用まで手厚いサポートが望めるベンダーを選ぶことも重要です。ベンダーとすぐにコミュニケーションが取れれば、トラブルの早期解決も見込めます。また、メール・電話・web会議など、ベンダーとの連絡手段の選択肢が多ければ多いほど、ベンダーとの情報共有もスムーズに進められるでしょう。
したがって、どのような連絡手段に対応しているか、確認しておきましょう。また、問合せ前に情報を収集できるオンラインヘルプ機能や、24時間365日体制でサポートが稼働しているかも重要なポイントです。
時間を問わずいつでも問い合わせや情報収集ができると、安心して利用できるでしょう。
5.契約中の機器の状況を確認する
ビジネスフォンをリース契約している場合、契約状況を確認しておくことが重要です。契約更新直後の場合、多額の違約金や残債を払わなくてはならず、クラウドPBXへの乗り換えによって得られるコストメリットがなくなってしまいます。
したがって、リース契約の残存期間が多い場合、クラウドPBXの導入時期を延期し、契約満了時に合わせて準備を進めておくのが懸命な選択でしょう。
▷【2023年最新】おすすめクラウドPBX18選!機能や費用を徹底比較!
おすすめのクラウドPBX3選
ユーザーから高い評価を集めるクラウドPBXを3つ紹介します。選定する際にはご活用ください。
- UNIVOICE
- CLOUD PHONE
- OFFICE PHONE
1.UNIVOICE
UNIVOICEは、トラムシステム株式会社が提供するクラウドPBXで、コストパフォーマンスに優れている点が特徴です。
まず、転送・パーク保留・市外局番の払い出しなど、PBXの基本機能は各プランに含まれています。また、PBXの運用環境にはAWSを導入しており、世界最高レベルの音声品質を実現している上に、通話はすべて自動で録音されるため、聞き逃しを心配する必要もありません。
その他、UNIVOICEは、自動音声対応やビジネスチャットなど、業務効率化につながる便利な機能も多数搭載しており、かつサポート体制も24時間365日である点も魅力です。
また、従業員数が30人以下であれば、1人あたり月額1,200円で利用可能で、最大でも毎月4万円程度にコストを抑えられます。予算の確保が難しい企業も十分導入を検討できるでしょう。
提供元 | トラムシステム株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 2年一括払い
1年一括払い
月額払い
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導入実績 | 500社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.CLOUD PHONE
CLOUD PHONEは、株式会社Wizが提供するクラウドPBXです。多くのユーザーから支持を集めており、導入実績は3,000社を突破、リピート率も98%と、高い信頼性があります。
初期の工事費やハードウェアの機器購入は必要ないため、低コストで利用開始できる点や、申請時に電話番号の取得手続きも行うため、最短3日で運用を始められる点が特徴です。
また、管理画面は簡単で使いやすい設計になっているので、初心者も戸惑わずに操作を進められます。
受発信・自動ガイダンス・留守電など、各種設定も自社でスムーズに進められるでしょう。
また、通話品質も総務省基準を超えるAクラスを獲得しており、外出先でも快適に通話ができます。
提供元 | 株式会社Wiz |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | アカウント料金+番号料金(以下3つのうち1つを選択)+管理システム料金
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導入実績 | 3,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
3.OFFICE PHONE
OFFICE PHONEは、株式会社ベルテクノスが提供するクラウドPBXです。端末1台あたり月額98円と圧倒的にコストパフォーマンスが高いにもかかわらず、便利機能を多数搭載している点が特徴です。
まず、自動音声対応によって、顧客対応の品質向上と業務負担軽減が見込めます。
そして、CTIも搭載しており、顧客に応じて有人対応と自動音声対応の使い分けが可能です。また、グループウェアやビジネスチャットも搭載しており、スムーズな情報共有やコミュニケーションの活性化を実現できます。
そして、さらには名刺管理や顧客管理機能も無料で利用できるので、営業活動の効率化を図れるでしょう。
提供元 | 株式会社ベルテクノス |
初期費用 | 24,800円 |
料金プラン | 月額料金+ライセンス料金+通話料金
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導入実績 | 累計20,000社 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
失敗しない選び方でクラウドPBXを導入しよう
今回の記事では以下の4点について解説してきました。
- クラウドPBXの失敗例
- クラウドPBX導入のメリットとデメリット
- クラウドPBXの失敗しない選び方
- おすすめのクラウドPBX
クラウドPBXは、初期費用とランニングコストを共に抑えられる点が魅力です。導入の際に、電話回線工事やハードウェアを購入する必要がありません。初期費用を無料と設定しているベンダーも多いため、導入コストを最小限に抑えられます。
また、メンテナンスやアップデートも、自社で対応する必要がなく、多大なコストメリットや業務の効率化も見込めますが、調査や準備が不十分だと無駄な費用を支払う可能性が高くなるでしょう。
ミスマッチを避けるためにも、今回の記事で紹介した選び方・失敗例・おすすめのクラウドPBXを参考に、選定作業を進めてください。
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