PBXとビジネスフォンの違いとは?機能や料金などを比較しながら解説

最終更新日時:2023/02/07

PBX

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多くの企業がPBXやビジネスフォンを導入しています。PBXとビジネスフォンはそれぞれ機能や料金が異なり、適切なサービスを利用することでより電話業務を効率化することができます。本記事ではPBXとビジネスフォンの違い、PBXの種類について解説していきます。

PBXとは

PBX(Private Branch Exchange)とは、複数の電話回線を1つに集約した電話交換機です。

外線の転送や内線同士の接続で、多くの電話機を効率良く使い分けることが目的です。例えば、外線からの電話をPBXが受け社内の担当者に転送します。

転送した外線電話は繋がった状態なので、同時に別の従業員が内線を使い、別の拠点で勤務している従業員と会話できます。内線通話は同じ回線が使われるため、電話料金は発生しません。

また、事前にグループ分けを設定しておけば、代表電話に掛かってきた電話を指定部署の電話機に振り分けられます。PBXは不動産会社やコールセンターなど、電話でのやりとりが多い企業に導入されています。

従来のPBXは機器購入や電話回線の工事が必要で、多額の初期費用が必要でした。しかし、近年はコストパフォーマンスに優れたタイプも増加しています。そのため、予算の確保が厳しい中小企業も利用しやすい環境が整備されています。

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ビジネスフォンとは

ビジネスフォンもPBXと同様、複数の電話回線を1つのシステムに集約した電話交換機です。ビジネスフォンは、外線の自動転送や音声自動応答など、外線対応への機能が充実しています。

PBXとビジネスフォンの共通点としては、1つの回線を複数の内線電話機で共有する点で、同様に内線と外線をコントロールする役割もあります。一方、接続台数・スマートフォンへの対応・機能など、PBXと異なる点も多数あります。

PBXとビジネスフォンの違い

PBXとビジネスフォンは、以下6つの点で異なります。

  • 接続機器
  • 接続できる電話機の数
  • 内線と外線の接続
  • システムの耐久性
  • 料金
  • 機能

それぞれ詳しく解説します。

1.接続機器

PBXはスマートフォンやパソコンとの接続ができます。

複数拠点の連絡ツールとして、スマートフォンの内線利用も可能です。一方、ビジネスフォンの場合、スマートフォンやパソコンとの接続はできません。

表:接続機器の違い

 PBXビジネスフォン
接続可能な機器や拠点
  • パソコン
  • スマートフォン
  • 一部CTIに対応

2.接続できる電話機の数

PBXは数千台の電話機に接続できます。

PBXを利用すると専用回線の使用によって、異なる拠点同士の通話を内線で行えます。内線を使うことで通話料金が発生しません。

PBXは、支社や工場を複数の拠点に展開している大企業向けのツールです。一方、ビジネスフォンの接続台数は50台程度が多く、最大でも数百台程度です。導入コストはPBXよりも抑えられるため、大企業と比較して予算が少ない中小企業の利用に適しています。

表:接続台数の比較

 PBXビジネスフォン
接続台数数千台50台~数百台
向いている企業
  • 大企業
  • 支社や工場を複数持つ企業
  • 中小企業
  • 単一拠点でビジネスを行う企業

3.内線と外線の接続

PBXとビジネスフォンが接続可能な内線・外線の種類を下記の表にまとめました。内線と外線の接続数はPBXの方が多いですが、ビジネスフォンと大きな違いはありません。

表:PBXとビジネスフォンの接続比較

 PBXビジネスフォン
内線
  • 多機能電話機
  • 家庭用電話機
  • PHS
  • IP回線
  • ISDN回線
  • 多機能電話機
  • 家庭用電話機
  • PHS
  • IP回線
外線
  • アナログ回線
  • ISDN回線
  • LAN直接収容のIP回線
  • アナログ回線
  • ISDN回線
  • LAN直接収容のIP回線

4.システムの耐久性

ビジネスフォンよりもPBXの方が、システムの耐久性・安定性は高いです。PBXは複数拠点での利用を想定しており、安定した稼働を継続的にできるよう設計されています。

停電やシステム障害が起きると復旧するまで電話が利用できず、莫大な利益損失や顧客との信頼関係の悪化につながる可能性があります。

長時間利用できない事態を避けるため、高性能のCPUを複数実装して安定性を高めている点が、PBXの特徴です。

内臓バッテリーを増設しておくと、停電が起きても数時間〜1日稼働が見込めます。一方、ビジネスフォンはPBXと比べると、システムの安定性は下がります。コストを重視しているため、PBXほど安定の対策が取られてません。

システムダウンが発生すると、復旧するまで利用できなくなります。別途機器を追加し、停電用の対策を講じておく必要があります。

5.料金

PBXの初期費用は、数百万〜数千万円かかります。システムの安定性や機能が充実しているため、導入費用も高くなります。そのため、比較的予算がかけられる大企業向けのツールと言えるでしょう。

一方、ビジネスフォンの初期費用は、数十万〜数百万程度に抑えられます。接続できる機器や電話台数はPBXより少ないものの、初期費用が抑えられます。

表:初期費用の比較

 PBXビジネスフォン
初期費用の規模数百万〜数千万円規模数十万〜数百万規模

6.機能

PBXとビジネスフォンに共通して搭載している機能を下記の表にまとめました。転送や録音などの機能はどちらを選んでも共通して利用できます。また、PBXとビジネスフォンが搭載している主な機能を表にまとめました。

表:PBXとビジネスフォンの共通機能

機能名主な機能
転送
  • 担当者が外出中や通話中の場合、別の電話機へ転送
  • 応答遅延や保留を交えた転送も可能
発着信制御
  • 直通電話と内線番号の紐づけ
  • 内線につながった電話機の制御
録音
  • 受話器のタイプを問わず通話内容を録音
  • 事前設定により自動録音が可能
  • 「通話録音中」との自動アナウンス
電話番号表示
  • ディスプレイに相手の電話番号を表示
  • システムによっては対話履歴を表示

PBXは複数の拠点での利用を想定しています。異なる拠点を内線でつなぐことができる点が特徴です。また、スマートフォンを内線として活用できるため、電話機を購入する必要がありません。

表:PBXの主な搭載機能

機能の種類主な機能や特徴
内線同士の通話機能
  • 複数拠点での内線通話を実現
  • 通信料金の発生回避
発着信の制御
  • 外線通話の発着信を制御
  • 部署の直通番号と内線番号の紐づけ
スマートフォンへの転送
  • 顧客や取引先からの電話を営業担当者のスマートフォンへ転送
  • スマートフォンを社内の内線として利用できるため、通信料金の発生回避
代表番号宛の着信接続
  • 代表番号宛に掛かってきた電話を事前に設定したグループの電話機へ転送
  • 転送先の優先順位も設定可能
パーク保留
  • 一度保留にした通話を任意の電話機で再開

ビジネスフォンの特徴は、外部からの通話にスムーズに対応するための機能が搭載されている点です。着信音の鳴り分けによって、どの部署に掛けた電話かを素早く把握できます。

また、自動音声案内によって相手がどのような理由で電話を掛けてきたか、事前にある程度把握できます。

自動音声案内を効果的に利用することで、従業員の業務負担軽減と高品質な電話対応が可能です。

表:ビジネスフォンが搭載する主な機能

機能の種類機能の内容や期待される効果
着信音の鳴り分け
  • 部署ごとに着信音を変え、どの部署の従業員が電話に出るべきかを素早く判別
自動音声案内(IVR)
  • 問合せ窓口や代表番号へ電話が入った際、発信者へ次に取るべき行動を自動音声で案内
  • 担当者が電話へ出る前に、入電理由や要望を把握
代表番号発信
  • 代表番号に電話が掛かってきた場合、空いている電話機に着信
  • すべての電話機がビジネスフォンと連動
  • どのビジネスフォンから電話を掛けても、相手の電話機のディスプレイに表示される電話番号は代表番号

PBXとビジネスフォンの比較

ここまで、PBXとビジネスフォンを様々な項目で比較してきました。下記の表にこれまで比較してきた項目を一覧表にまとめました。比較した上でどのような企業に適しているのか記載しているので参考にしてください。

表:PBXとビジネスフォンの比較

 PBXビジネスフォン考察
接続機器
  • スマートフォン
  • パソコン
  • CTI
  • 業務効率化を目指す場合はPBX
  • 資金的余裕がある場合もPBX
  • 従業員数も少なく、資金の余裕がない場合はビジネスフォン
接続できる電話機の数
  • 数千台
  • 50台~数百台
  • 複数拠点を持つ企業はPBX
  • 単一拠点の場合はビジネスフォン
内線と外線の接続ISDN回線以外は、対応可能な回線は内線・外線共に一緒
  • 差はほとんどないため、他の項目を比較してどちらにするかを選択
システムの耐久性
  • 高い
  • 高性能CPUを複数実装
  • バッテリーを増設しておくと、停電後も一定時間稼働
  • 低い
  • システムダウンが起きると、復旧するまで利用不可
  • 複数拠点を持つ企業はPBX
  • 単一拠点の場合はビジネスフォン
料金
  • 高い
  • 低コストで利用可能な種類も増加
  • 安い
  • 大企業の場合はBPX
  • 中小企業の場合はビジネスフォン
機能
  • 多機能
  • 外部システムとの連動も可能
  • 外線通話に特化
  • 業務効率化を目指すならBPX
  • 電話対応の品質向上を目指す場合は、ビジネスフォン

PBXの種類

PBXは以下の3種類に分類できます。

  • IP-PBX
  • クラウドBPX
  • オンプレミスBPX

IP-PBXやクラウドBPXは、低コストで運用できる点が特徴です。一方、オンプレミスBPXはセキュリティレベルが高く、情報漏洩のリスクを軽減できます。

IP-PBXとは

IP-PBX(Internet Protocol PBX)はインターネット回線を利用し、音声通話を実現する電話交換機です。IP-PBXの特徴は、オンプレミスPBXよりも低コストで利用できる点です。社内LANに接続するだけで設定が完了するので、回線工事をする必要はありません。

パソコンから設定作業を進められるため、業務への影響を最小限に抑えられます。また、インターネット回線の利用によって、複数拠点の通話を内線でつなぐことができます。

パソコン上で利用するWebアプリケーションも併用できるため、コスト削減と業務の効率化が可能です。

ただし、インターネット回線の利用によって、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクも高まります。情報漏洩を防ぐためには、Webアプリケーションの利用範囲を制限することが重要です。

IP-PBXは、ハードウェアタイプとソフトウェアタイプの2種類があります。ハードウェアタイプは従来と同様、自社にPBXを設置します。自社に設置しているのでセキュリティレベルが高く、安定した稼働が可能です。

一方で、導入する機器も多く、ソフトウェアタイプよりコストはかかります。また、ソフトウェアタイプは、IP-PBXの機能を搭載したソフトウェアをインストールする形です。回線工事や機器導入をする必要が無いため、コストを抑えられます。

IP-PBXとは?仕組みやクラウドPBX・ビジネスフォンとの違いを比較

クラウドPBXとは

クラウドPBXとは、自社ではなくクラウド環境に仮想PBXを設置し、各種機能をサービスとして利用します。利用できる機能は、オンプレミスPBXやIP-PBXと変わりません。クラウドPBXの特徴は、初期費用や管理の手間を削減できる点です。

ソフトウェアのインストールや回線工事を行う必要はありません。オプションを利用しない限り、ベンダーが提示する月額料金以外に費用はかからないため、コスト管理も楽になります。

メンテナンスやアップデートもベンダーが行うため、ランニングコストを大幅に削減できます。また、インターネット環境が整っていれば、アクセス地点を問わずクラウドPBXにアクセス可能です。

スマートフォンともスムーズに連携できるため、通話相手と素早く情報共有ができます。一方、通信環境や回線の混雑状況によって音声品質が低下しやすい点が、クラウドPBXのデメリットです。

導入を検討する際には、無料トライアルを利用し高品質な通話が可能かを確認しましょう。無料トライアルは1ヶ月前後、無料でPBXを利用できるのでコストをかけずに通話品質を確認できます。

クラウドPBXのメリット・デメリットを徹底解説!導入の必要性とは?

オンプレミスPBXとは

オンプレミスPBXとは自社にPBXを設置し、通話システムを構築する方法です。別名、レガシーPBXとも呼ばれています。オンプレミスPBXは安定した運用ができる点が特徴です。

インターネット回線を利用しないため、停電やサーバーダウンの影響を最小限に抑えられます。また、セキュリティレベルが高い点もオンプレミスPBXの特徴です。社内での利用を想定しているので、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクを軽減できます。

一方で、他のPBXと比べると初期費用が高くなる傾向にあります。また導入時に、回線工事やPBX本体の設定作業を実施しなければなりません。安定した運用をするには、管理者の選定や定期的なメンテナンスが必要です。

オンプレミスPBXを導入する場合は、全体的にコストが高くなる点に注意しましょう。

仕事効率化とコスト削減はクラウドPBXがおすすめ

ここまでビジネスフォンとの比較やPBXの種類を解説しました。仕事の効率化とコスト削減の両面で確認すると、クラウドPBXの導入をおすすめします。

クラウドPBXを導入するメリットは、ソフトウェアのインストールや回線工事は必要ない点です。またオプションを利用しない限り、ベンダーが提示した月額料金のみを毎月支払います。

PBX本体を設置するわけではないので、ユーザー数の増加やオフィスの移転などにも、柔軟に対応が可能です。メンテナンスや障害復旧もベンダーへ一任できるため、ランニングコストを大幅に削減できる点も魅力です。

他にも、スマートフォンを内線に活用できるため、異なる拠点で働く従業員同士の通話に料金がかかりません。従業員同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境を整備できます。

また、外部システムとの連携性に優れている点もクラウドBPXの魅力です。名刺管理ツール・グループウェア・CTIと連携し、営業活動の効率化やスムーズな情報共有につなげられます。

【2023年最新】おすすめクラウドPBX18選!機能や費用を徹底比較!

PBXとビジネスフォンの違いを理解して活用しよう

今回の記事では以下4つの点について解説してきました。

  • PBXの概要
  • ビジネスフォンの概要
  • PBXとビジネスフォンの違い
  • PBXの種類

PBXは、支社・工場・支店を複数の地域に展開する大企業向けのツールで、接続可能な電話台数や機器も多く、異なる拠点同士の通話を内線でつなぐことができます。高性能CPUを2台実装しており、システムダウンを回避しつつパフォーマンスの安定性を保ちます。

従来はシステムの安定性や機能が優れている分、多額の初期費用が必要でした。しかし近年は、低コストで利用できるクラウドBPXやIP-PBXを導入する企業が増えています。外部からも自由にアクセスできるため、今後も導入する企業は増え続けるでしょう。

一方、ビジネスフォンは着信音の鳴り分けや自動音声案内など、外部通話に特化した機能を搭載している点が特徴です。BPXと比べて接続台数や機能は少ないものの、導入費用は安く抑えられます。

中小企業や単一拠点で事業を展開する企業向けのツールと言えます。

本記事を参考にPBXとビジネスフォンの違いを理解して、自社にあったシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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