人時売上高とは?算出するための計算式や向上させる方法について

最終更新日時:2023/07/07

生産性

人時売上高とは

売上、客数、客単価は、主に飲食経営において重視されている指標です。そのひとつに人時売上高という指標があります。人時売上高を理解し管理すれば、収益性の分析が可能です。本記事では、人時売上高とはどのような経営指標なのか解説します。

人時売上高とは?

人時売上高(にんじうりあげだか)とは、従業員1人が1時間で生み出す売上のことです。主に飲食店で用いられる経営指標のひとつで、人時売上高が高い状態は、少ない労働時間で多くの売上を出していることを意味します。

人時売上高の管理によって、人員数に見合った売上を得られているのかがチェックでき、店舗の収益性を分析することが可能です。なお、人時売上高の目安としては一般的に40%と言われています。

人時売上高の計算式

人時売上高は、以下の計算式によって算出できます。

人時売上高=売上高÷労働量(労働者数×労働時間)

売上高と労働量に関しては、1日あたり、または1か月あたりで計算されるケースが一般的です。

人時売上高の具体例

イメージを掴みやすいように具体的な数値を使って人時売上高を算出していきます。

1日の売上を20万円・その日の労働者は5人で、1人8時間ずつ働いたケースを見てみましょう。計算式は以下のとおりです。

人時売上高=20万円÷(5人×8時間)

上記の条件で人時売上高を測定すると5,000円という結果になりました。これは、従業員1人が1時間あたり5,000円の売上を出した状態を意味します。

人時売上高と類似した指標

人時売上高と混同されやすい指標として、「人時生産性」と「労働生産性」の2つの言葉があります。それぞれの意味を確認していきましょう。

人時生産性

人時生産性とは、従業員1人が1時間で生み出す粗利益のことです。粗利益は、売上から売上の原価を差し引いたもので、会社の利益となる部分を指します。

人時生産性は、以下の計算式によって算出可能です。

人時生産性=粗利益高÷総労働時間

人時売上高との違いは、人時売上高が従業員1人の1時間あたりの「売上」を表す指標であるのに対して、人時生産性は「粗利益」を表す指標である点です。

人時生産性とは?計算方法や平均値や労働生産性との違い、向上させる方法

労働生産性

労働生産性は、労働量に対して得られた成果を数値化したものです。労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類があります。

両者の違いは、労働によって得られた成果の種類です。物的労働生産性の場合は、物理的に発生した成果物を算出するための指標で、付加価値労働生産性は、生産活動によって得られた付加価値(=利益)を算出するときに用いられます。

それぞれの計算式は、以下のとおりです。

種類計算式
物的労働生産性生産量÷総労働時間
付加価値労働生産性付加価値÷総労働時間

従業員1人あたりの生産力を算出する物的労働生産性では、数値が高いほど生産性の高い状態といえます。一方、付加価値労働生産性の場合は、数値が高いほど利益を出しやすい状態といえるでしょう。

労働生産性とは?正しい定義や種類・計算方法や業界による違いを解説

飲食店において人時売上高が重要な理由

人時売上高は、飲食店で活用されることが多い指標です。なぜ飲食経営において人時売上高が重要となるのか、理由をチェックしていきましょう。

シフト作成の目安となるため

人時売上高は、適切なシフトを作成するために役立ちます。シフトが適切でなければ、「スタッフが足りなくて店が回らない」「人数が多すぎて時間を持て余しているスタッフがいる」といった問題が生じる可能性があるのです。

このように、シフトへの人員配分が適切でなければ、店舗経営に支障をきたしたり、無駄な人的コストをかけたりしてしまいます。

適切な人員配分を検討したい場合に有効なのが、総労働時間の算出です。売上目標金額と人時売上高をもとに、その日の総労働時間の目安が計算できます。

売上目標を15万円、人時売上高が5,000円のケースにおける計算は、次のとおりです。

総労働時間の目安(時間)=売上目標額(円)÷人時売上高(円)
30時間=15万円÷5,000円

上記の計算から、1日の総労働時間は30時間以内に抑えるのが適切ということがわかります。このように、人時売上高を用いて分析すれば、根拠のあるシフト作成が可能です。

労働生産性の低さが問題視されているため

日本は、他の経済大国と比べて労働生産性が低い傾向にあります。日本生産性本部の調査によると、日本の時間当たりの労働生産性は49.9ドルと、OECD加盟38か国の内27位です。1つの仕事に対する労働量や残業の多さが、原因のひとつとして考えられます。

こうした労働生産性の低さを改善していくためにも、人時売上高を意識したワークスタイルが重要になっているのです。

日本の労働生産性はなぜ低い?海外との比較や低い理由について解説

[出典:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2022」]

人時売上高を向上させる方法

お店の売上アップを目指すためにも人時売上高を向上させる取り組みは欠かせません。ここからは人時売上高を上げるための取組みについて紹介していきます。

明確で具体性のある目標を定める

スタッフの行動を促すためにも、明確な目標を設定し、共通の目標に向かってスタッフが一丸になることが大切です。

「先月の人時売上高は4,000円でした。今月は4,500円を目指していきましょう」といった短期間の目標と、「2年以内に、人時売上高を6,000円まで引き上げたいと思っています」といった中長期の目標をそれぞれ設定するのがポイントです。

また、目標の達成に向けた具体的なアクションプランを作成し、スタッフへ周知することも忘れず実施しましょう。

スタッフの教育に力をいれる

人時売上高はスタッフの働きによって大きく変動するため、スタッフを教育することが人時売上高の向上につながります。

特に新人スタッフに対しては、十分な教育時間が必要になることからできるだけ効率的な教育を図るのが望ましいでしょう。

教育方法は様々ありますが、飲食店の場合では実践の中で業務を覚えられるOJTがおすすめです。教育課程で実践ができるので、即戦力となるスタッフを育て上げられます。

なお、現場の人でが足りないなどの理由がある場合には、接客や調理の方法など視覚的な情報を含んだ動画マニュアルなどを活用するのも良いでしょう。

基本的な内容を動画マニュアルで学習し、細かい点をベテランスタッフが指導するようにすれば、人的リソースを抑えながら新人教育が進められます。

生産性が高い人に共通する10個の特徴!生産性を高める秘訣や低い人の共通点

人員の配置を最適化する

スタッフごとの得意不得意を見極め、業務内容に応じてスタッフを適切に配置することも大切なポイントです。適材適所な人員配置は、スタッフの積極性やモチベーション維持につながり、人時売上高の向上が期待できます

人材配置を最適化するには、スタッフごとの長所や短所、人間関係など細かな部分まで把握する必要があります。日々の業務の中でスタッフをよく観察することからはじめましょう。

スタッフの成果を把握する

人時売上高は、基本的に売上高とスタッフ全員の総労働時間を割って算出するものです。ただし、その算出方法ではスタッフ個人のパフォーマンス状況が把握しにくく、誰にどのような問題があるのか分析できずに終わってしまう可能性があります。

重要なのは、人時売上高だけを見るのではなく、数値化するのが難しい要素にも目を向けることです。たとえば、他のスタッフへのサポートに時間を割いている人物がいた場合、具体的な成果という物差しだけで判断してしまうと、その役割の重要度を理解するのは難しいでしょう。

飲食店の場合は、個人の成果を可視化するのは困難です。そのため、店長やオーナーが現場を直接チェックし、スタッフのスキルや作業スピードなどを把握することが、適切な人事評価や個々人の成果の把握に繋がります。

人員数の最適化を図る

適材適所な人員配置は、スタッフそれぞれのパフォーマンスを高めるため、少ない人数でも高い売上を出すことが可能です。少ない人数で高い売上を実現できるようになれば、人時売上高がアップします。

ただし、スタッフ人数の極端な削減は、店舗運営に支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。まずは小規模での人員削減を試みて、様子を見ながら少しずつ理想の人員配置へと近づけていきましょう。

生産性とは何か?正しい定義や算出方法・有効な向上施策まで解説

人時売上高とは従業員1人あたりの売上高を表す指標

人時売上高は、従業員1人が1時間あたりに生み出す売上のことです。飲食店において人時売上高を把握することは、現状の人員配置が適切であるかどうかを判断するのに役立ちます。

人時売上高の向上には、明確な目標設定や適材適所の人員配置が重要です。共通の目標に向かい、スタッフ一同が連携して業務に取り組むことが、日々の売上アップに繋がります。

人時売上高を意識した飲食経営を心がけ、店舗の収益性を高めていきましょう。

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