WBSとは?ガントチャートと違う?プロジェクト管理に欠かせないWBSを詳しく解説!

最終更新日時:2023/04/26

プロジェクト管理ツール

WBSとは

プロジェクトの管理において、WBSやガントチャートを作成する場面が多々あります。上手に活用するためには、特徴を把握して適した状況での利用が重要です。プロジェクト管理に欠かせないWBSとは何か、ガントチャートとの違いやメリットなどを解説します。

プロジェクト管理に必要なWBSとは?

WBS(Work Breakdown Structure)とは、作業を分解して構造化させるプロジェクト管理の手法のひとつで、日本語では「作業分解構成図」と呼びます。プロジェクト全体の把握だけでなく、タスクの漏れ防止にも役立つとして、多くの企業で利用されている手法です。

プロジェクトに必要なタスクを洗い出し、それらを階層的にツリー構造にして表すことで、「どのようなスケジュールを組んだらいいか」「プロジェクトの達成に必要なリソースはなにか」などが正確に把握できるのです。

WBSを作る目的

WBSの目的はプロジェクトの作業を明確にすることです。

プロジェクト全体を大枠でタスク分解し、さらにそれを細分化します。細分化したタスクは実施順にツリー構造に並べていくので、タスクどうしの関連性や実施に必要な時間などが把握できるようになるでしょう。その結果、タスクを段階的に小さく分解していくことで、重要なタスクの抜けや重複などを防ぐこともできます。

WBSは2種類に分類できる

WBSは構造化する際に用いる軸によって、「プロセス軸のWBS」と「完成物軸のWBS」の2種類に分類されます。プロセス軸のWBSでは、プロジェクトの階層に注目してタスクを細分化し、構造していきます。社内の離職率をどれくらい下げたいかなど、成果物が明確でない中長期のプロジェクトで使用されることが多いです。

一方で、完成物軸のWBSでは、成果物から逆算してタスクを分解し、順序立てて構造を形成していきます。こちらはプロセス軸のWBSとは違い、成果物が定まっている短期のプロジェクトによく使用されるWBSです。

このように、同じWBSでも明確な違いがあるため、目的に応じて使い分けていきましょう。

ガントチャートとは

プロジェクト管理においてよく使用される手法のひとつに、ガントチャートがあります。

ガントチャートとは、プロジェクトの進捗管理をおこなう際によく用いられるスケジュール表のことです。縦軸にはタスクと担当者、横軸には時間を棒グラフで記入することで、プロジェクト全体のタスクの進捗状況が一目で把握できます。

ガントチャートとは何?意味やプロジェクト管理におけるメリット・デメリット

WBSとガントチャートの違い

WBSはプロジェクトのタスクを洗い出したもので、タスクの抜けがないか確認するのに役立ちます。一方でガントチャートは、進捗状況を管理するために用いるものであり、WBSとガントチャートは目的がそれぞれ異なります。

また、形式的にも、WBSがツリー構造の図であるのに対して、ガントチャートはWBSで洗い出したタスクをグラフにしたものという違いがあります。そのため、プロジェクト管理では、両方をセットで用いることが多いです。

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WBSを作成する利点

WBSを用いることで、プロジェクトはよりスムーズに管理できます。ここでは、WBSを作成する利点について解説していきます。

担当業務を把握できてタスク漏れを防げる

WBSでは、タスクを大から小へと順に分解して表すため、プロジェクトに必要な作業の見落としや漏れが防げます。これによってプロジェクト全体を把握することができるので、トラブルやリスクを未然に発見できるのが利点です。

また、プロジェクトメンバーそれぞれが担当業務を把握しやすくなり、タスクの関連性も可視化できるため、メンバーの業務重複の防止にもつながるでしょう。

管理や運用がしやすい

WBSは、タスクを順に細分化していくというシンプルな手法で作成するため、管理や運用もそれに沿ってシンプルにおこなうことができます。さらに、自社のプロジェクトに合わせたテンプレートの作成もできるので、誰が担当者になっても運用しやすいという利点もあります。

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WBS作成時の注意点

WBSの作成時には、情報が不足している状態で見込みの計画を立てないように注意しましょう。情報が不足していると、不明確なタスクが発生する可能性があり、トラブルにもつながりかねません。不明確なタスクはいったん留保し、情報が出そろった時点で細分化するのが大切です。

また、タスクの管理が正確な管理がおこなわれないと、プロジェクトの進行に多大なリスクが生じる恐れがあります。実際にプロジェクトが始動してから生じるタスクの増減は、常に確認しながら変更・反映しましょう。

WBSを作成する手順

ここでは、実際にWBSを作成するための手順について紹介します。WBSの基本的な作成に慣れてきたら、自社のテンプレートに落とし込むこともできますので、試してみてください。

必要な作業を洗い出す

WBSを作成するにあたってまずやるべきことは、必要な作業の洗い出しです。プロジェクト完了までに発生するタスクなどを漏れなく洗い出したあとは大枠で分解して細分化していきましょう。

なお、作業を洗い出す際には抽象度が高いとその後のWBS作成に向けた動きが難しくなります、そのため、作業の洗い出しはなるべく具体的に進めていきましょう。

作業の順序を整理する

次に、細分化された作業タスクの順序を整理します。このとき、タスク間の依存関係を明確にしておくことも重要なポイントです。まず最初に着手すべき作業など、タスクに優先順位をつけて整理することで、よりスムーズにプロジェクトを進めることができるでしょう。

作業の構造や期日を設定する

タスクの整理をしたあとは、作業タスクを構造化します。時系列に並べ、関連する作業などを踏まえて整理していきましょう。これによって、プロジェクト全体が見渡せるようになるので、作業の重複や漏れも発見しやすくなります。

作業に担当者を割り振る

次にすべきことは、細分化し整理されたそれぞれのタスクへの担当者の割り振りです。作業に担当者を割り振るときに注意すべき点として、担当者が複数いると責任の所在がわからなくなることがあるので、基本的には1タスクに1人の担当者を割り振るのがよいでしょう。

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WBSを作成する際に気を付けたいポイント

WBSを作成することで、プロジェクトにおけるタスクを構造的に可視化することができます。ここでは、そんなWBSを作成するときに気を付けたいポイントについて解説していきます。

作業タスクを明確にする

作業タスクが不明確だと、担当者の混乱をまねくだけでなく、作業範囲の認識にもズレが生じてしまいます。タスクの確定が難しいときは、いったん保留にし、プロジェクトを進めていくなかで改めて細分化するようにしましょう。

工数の見積りを正確に行う

WBSを作成するときは、工数の見積もりは正確にしておきましょう。見積もりをだす際にタスケジュールに余裕を持たせすぎると次のタスク開始までにムダな時間が生じるため、タスクの関連性を考えて工数を出すようにします。

タスクごとではなく、プロジェクト全体のスケジュールに余裕を持たせ、タスクの所要時間は必要最低限に見積もるようにしてください。

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マインドマップを用いる

WBSを作成する際の思考整理に、マインドマップを活用してみましょう。プロジェクトを計画する段階では考えるべきことが多く、思考がまとまらないことも少なくありません。そこでマインドマップを用いることで、タスクを洗い出すことができ、WBSを作成しやすくなるでしょう。

マインドマップの作成ポイントとしては、まず大まかなテーマを中心に書いて、そこから関連事項をつなげていくことです。これによってタスクそれぞれのつながりが可視化でき、思考も整理できます。

適したツールを活用する

プロジェクト管理ツールを利用すると、より精度の高いWBSが作成できます。プロジェクト管理ツールは、WBSの作成が簡単にできるだけでなく、プロジェクトが始動してからの進捗管理や、完了後の分析などもサポートしてくれるので便利です。

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WBSの作成に役立つツール

ここでは、WBSの作成に役立つツールを紹介します。自社の状況に合わせて導入を検討してください。

Asana

Asanaは、情報収集や進捗確認などの時間がかかる作業を効率化できるツールです。業務に必要な情報やコミュニケーションなどをタスク単位で紐付けし、仕事や人の可視性や生産性の向上が図れます。

また、自社の目標に対して、自分のタスクがどのように結びついているのかが把握できるので、より自発的になり、仕事へのモチベーションにもつながるでしょう。

提供元Asana, Inc.
初期費用要問い合わせ
料金プラン
  • Basic:無料
  • Premium:1,200円(税抜)/月、1ユーザーあたり(年間払い)
  • Business:2,700円(税抜)/月、1ユーザーあたり(年間払い)
  • Enterprise:要問い合わせ
導入実績世界190カ国100万以上のチーム(※2023年04月時点)
機能・特徴ワークフロービルダー、アプリとの連携、オートメーション、タイムライン、レポート、ワークロード、ボード、ゴール、デスクトップアプリとモバイルアプリなど
URL公式サイト

Redmine

Redmineは、プロジェクト全体やタスクごとの進捗状況をチームで共有し、進行するサポートをしてくれます。タスクの進捗確認ができたり、メンバーと共同のメモが作成できる機能など、プロジェクトをスムーズにおこなえる機能を搭載しています。

オープンソースのツールなので、まず試してみたいというときにもおすすめです。

提供元ファーエンドテクノロジー株式会社
初期費用無料
料金プラン無料
機能・特徴チケット、ガントチャート、Wiki、リポジトリ、ニュースなど
URL公式サイト

Backlog

Backlogは、ひとつのプラットフォームからプロジェクトチームメンバー全員の作業状況が共有できるツールです。誰にでも直感的に使えるデザインで、シンプルな機能が搭載されているため、業務のコラボレーションを促進してくれます。

また、どのプランを選んでも、まずは30日間無料で試すことができるので、実際の操作性なども確認が可能な点もメリットです。

提供元株式会社ヌーラボ
初期費用無料
料金プラン
  • スタータープラン:2,970円(税込)/月
  • スタンダードプラン:17,600円(税込)/月
  • プレミアムプラン:29,700円(税込)/月
  • プラチナプラン:82,500円(税込)/月
機能・特徴プロジェクト管理、課題管理、バグ管理システム、バージョン管理など
URL公式サイト

CrowdLog

CrowdLogは、直感的に簡単に操作できて、細やかに工数管理をサポートしてくれる、工数管理に特化したツールです。半自動で簡単に工数入力ができたり、リアルタイムでの集計分析など、工程管理に必要な機能が豊富に備わっているのが魅力です。

提供元株式会社クラウドワークス
初期費用要問い合わせ
料金プラン
  • ベーシックプラン:要問い合わせ
  • プレミアプラン:要問い合わせ
導入実績650社以上(※2023年02月現在)
機能・特徴工数管理、プロジェクト管理、ガントチャートとの連動、レポート、多言語対応、管理機能、外部連携など
URL公式サイト

Smartsheet

Smartsheetは、組織の業務向上をサポートしてくれるツールです。強力なひとつのプラットフォームを使用して、チームでプロジェクトを自動化し、プログラムを拡大できるうえ、数人での同時編集やレポート作成など、共同作業にも柔軟に対応しています。

提供元Smartsheet Inc.
初期費用要問い合わせ
料金プラン
  • 無料:無料
  • プロ:984円/月
  • ビジネス:3,543円/月
  • エンタープライズ:要問い合わせ
機能・特徴チームでの共同作業、ワークフローの自動化、コンテンツ管理、大規模なプロセス管理、安全なリクエスト管理、統合、合理化されたビジネスアプリ、ガバナンスの管理など
URL公式サイト

WBSとはプロジェクト管理を手助けする手法のひとつ

WBSは、作業を分解して構造化するプロジェクト管理の手法のひとつです。タスクを細分化しツリー構造化することで、プロジェクトの全体像が把握できます。また、それぞれのタスクの関連性についても可視化できるという利点から、多くの企業で利用されています。WBSは、シンプルで作成しやすく運用しやすいプロジェクト管理の手法ですが、より高精度な作成や運用をするなら、専門のツールを利用するのもよいでしょう。自社の状況や目的をかんがみて、プロジェクト管理にWBSを取り入れてください。

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