タスクフォースとは?意味やメリット・デメリット、プロジェクトチームとの違いを解説

最終更新日時:2024/02/08

タスク管理ツール

タスクフォースとは

ビジネスシーンで耳にするタスクフォース。大手企業を中心に注目されているものの、タスクフォースとはどのような意味や目的で使われているのかよく分からない方も多いかと思います。本記事では、タスクフォースを編成する目的やメリット・デメリットのほか、プロジェクトチームとの違い等とあわせて詳しく解説します。

この記事の要約

・ビジネスにおけるタスクフォースとは、緊急性の高い課題を解決するために一時的に構成された組織のこと
・組織で優秀なメンバーを集められ、急を要する課題に十分なリソースを当てられるのがタスクフォースの大きなメリット

ビジネスにおけるタスクフォースの意味とは?

タスクフォース(Task force)とは、組織内で緊急性の高い課題や開発などを達成するために、一時的に構成された組織のことです。タスクフォースのメンバーは、組織内の各部署から選定されるのが一般的です。

元々は軍事用語として用いられることが多かったタスクフォースですが、現代ではビジネスシーンにおいても、緊急性の高い課題解決や企画開発などのシーンで導入されるようになりました。

タスクフォースと類似した用語との違いについて

ビジネスにおけるタスクフォースには、性質の類似した用語が存在します。それぞれの違いについて紹介していきます。

プロジェクトチームとの違い

タスクフォースと似ているプロジェクトチームですが、異なる点は課題解決に要する期間が違うことです。

タスクフォースは迅速に解決すべき課題を取り上げるため、いかに短い期間で解決に導くかが求められます。一方でプロジェクトチームは、課題の検証や解決を繰り返す性質から、成果を上げるまでには長期間かかるのが通常です。

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ワーキンググループとの違い

タスクフォースと類似した言葉としてワーキンググループという用語があります。

どちらも特定課題の解決を目的としたチームであるものの、違いとして挙げられるのは解決すべき課題の規模です。

ワーキンググループは国の政策や経営状況の改善など、比較的大きな規模の課題を解決するために活用されるのが特徴と言えるでしょう。企業の中における課題などの限られた規模ではタスクフォースが使われるほか、ワーキンググループ内で細分化した作業チームをタスクフォースと呼ぶ場合もあります。

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クラスファンクショナルチーム(CFT)との違い

クラスファンクショナルチーム(CFT)は、複数の部門や社外の人員を含む、課題解決のためのチームを指します。タスクフォースと似た性質を持ちますが、課題やチームの規模が主な違いです。

タスクフォースは緊急性の高い課題に対する限定的なチームであり、招集の規模も限られています。CFTが取り組む課題は全社的な規模を前提とするため、より広く部門を横断した人選がなされるほか、時には社外から人材を集めることもあるのです。

タスクフォースの役割

タスクフォースには緊急性の高い課題解決のためだけではなく、その他にも様々な役割があります。

意思決定を迅速に行う

通常、部署をまたぐ企画や課題は部署ごとに決裁が必要となり、意思決定に時間がかかりがちです。

一方で、タスクフォースでは複数の部署・役職の人が集まるため、意思決定に必要な情報伝達がスピーディーになります。決裁をあおぐことができ、円滑な意思決定を促すでしょう。会社として意思決定が遅い場合には機会損失のリスクが生まれてしまうものの、タスクフォースを組むことによりそのようなリスクを防ぐことができます。

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他部署との架け橋になる

タスクフォースではさまざまな部署から人材を集めて構成するため、通常の業務では関わることがないメンバーと接する機会が多くなり、部署間の連携が強化できます。

タスクフォースが架け橋となって部署間のつながりができると、今後の業務でもつつがなく連携が可能です。横断的な部署交流が活性化すれば、知識やスキルのやりとりも促進されるでしょう。

タスクフォースのメリット

タスクフォースに取り組む企業が増えていますが、その理由にはタスクフォースのメリットが深く関係しています。取り組むとどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。

課題解決に対してリソースを十分に注げる

タスクフォースは目的が明確で短期的に取り組むため、必要な人材・経費・情報などのリソースを確保しやすい利点があります。短期間に集中して解決を目指すことから、リソースを効果的に注げるのもメリットです。

各部署から専門性の高い知識やスキルを持った人材を集めることが可能なので、すぐに課題解決に導く体制を構築できます。

課題解決に向けた優秀な人材を組織を横断して集められる

知識や経験豊富な社員を横断的に集められるのは、タスクフォースの大きなメリットでしょう。

目的を明確に設定するため、適した部署と人材を絞りやすくなります。各部署から優れた人材が集まると、短期間でも有効な施策をうつことが可能です。それぞれのスキルを融合させれば、新たなアイデアから効率的に課題解決が望めます。

スキル・組織力の向上が期待できる

タスクフォースでは、複数の社員がプロジェクトを進行していくので、組織で動くためのスキルが磨かれます。チームの中での自身の役割を理解し、必要な働きを担う力を強化可能です。リーダーであれば、チームの統括力や牽引力の増強も期待できるでしょう。

部署同士で交流する機会にもなるため、通常の業務では得られないスキルやノウハウの共有も活性化します。社員一人ひとりのスキル向上に役立ち、組織力の強化にもつながるタスクフォースは、企業にとって大きなメリットを秘めているのです。

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企業課題の解決にもつながる

業務上の緊急性を考慮して組まれるタスクフォースですが、企業としての課題の解決にも有効です。

例えば、商品開発の知識・スキルが高い社員でチームを組むことで、新たな商品やサービスの創出を促進可能です。同じ部署の有望な人材に対し、ナレッジの共有や育成を効果的に行うこともできます。

限定的な課題の解決にとどまらず、企業が抱える課題の解消が狙えることがタスクフォースの強みなのです。

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タスクフォースのデメリットや課題

様々なメリットのあるタスクフォースですが、デメリットの側面もあることを理解しておきましょう。

ノウハウを蓄積ができないケースがある

タスクフォースはチーム構成期間が短いため、取り組んだ戦略や実績の蓄積が難しくなります。高いノウハウを用いても資産として残りにくく、別のプロジェクトに対して柔軟に活用ができないケースがあるのです。

タスクフォースで生まれた新たなアイデアや知識を会社の資産としていくためにも、どのように記録するかが課題としてあげられます。

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メンバーの選出に時間がかかる

チーム構成はタスクフォースの重要なポイントですが、明確な基準を定めておかないと選定に時間がかかる側面もあります。通常業務のある社員の中から選出するため、兼任の可否を確認したり、時間を調整したりするのにも手間がかかるのです。

また、人選はもちろん、選定基準の考案にも時間を要します。選出基準が不明確だとチーム内で対立が起きてしまい、意見の食い違いや問題に発展する可能性もあるでしょう。トラブルを回避して効果的に課題を解決するには、タスクフォースメンバーの選出にある程度時間がかかることを想定しておかなくてはなりません。

通常業務へのリソースを確保できなくなるケースがある

タスクフォースに招集された社員は、普段の業務と同時進行でプロジェクトにも取り組んでいるので、通常業務にリソースを充てられないことも考えられます。

タスクフォースのプロジェクトを優先しすぎてしまい、普段の業務がおろそかになると、部署内での評価に影響を及ぼしかねません。円滑に兼任できるよう、社員に不利益とならない配慮が必要です。

タスクフォースの作り方

ここからはタスクフォースを作る際の手順について紹介していきます。基本の手順を把握し、タスクフォースの取り組みを成功させてください。

課題・タスクを明確化する

タスクフォースの目的がぶれないようにするためにも、課題とタスクを明確化しておきましょう。具体的にどのような課題があるかを抽出し、原因や取り組むべきタスクを考案していきます。

課題の解決をプロジェクトのゴールに見据えれば、目的達成に必要なタスクもわかりやすくなるでしょう。ゴールに向かってタスクを設け、スケジュールを決定していくのがポイントです。

タスクフォースを編成する

緊急性の高い課題に取り組める知識やスキルを持った人材を選出します。単に優れた人材を選ぶのではなく、短期間で能力を発揮できるかどうかや、課題との相性も考慮しなくてはなりません。

中でもリーダーの選定は重要です。マネジメント力に優れていることを念頭におき、チームの連携を強化できる人材かどうかも判断してください。

タスクフォースの構成後は、タスク遂行に必要な権限を各メンバーに与え、迅速な対応ができるようにしておきましょう。

編成する際には組織図の作成もおすすめ

タスクフォースの編成におすすめなのが、組織図の活用です。プロジェクトに必要な人材を図解したもので、誰がどのポジションに属し、どんな役割を持っているのかがわかりやすくなります。

自身だけでなくメンバーの担当作業も理解できるため、連携姿勢を強化するのに効果的です。

方向性やルールを共有する

普段一緒に業務に携わることがない社員が集まるタスクフォースでは、一貫した方向性やルールを共有しなくてはなりません。共有がうまくされていないと目的意識が統一できず、課題解決に遅れが生じてしまうからです。

課題解決の趣旨や意思決定のルールなどを具体的に決めておき、可視化してから共有するのが良いでしょう。方向性やルールが明瞭になれば、やりとりのズレや行き違いを減らせます。

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課題を解消させるための施策を実行する

タスクフォースの目的を果たすため、有効な施策を実行していきます。緊急性の高い課題を扱うことから、現状を真摯に受けとめスピード感を持って取り組まなくてはなりません。

プロジェクトの進行中に小さな課題が生まれる可能性もあります。イレギュラーがあった場合には内容の変更や追加ができるよう、施策に柔軟性を持たせておくことが必要です。

モニタリングを行う

プロジェクトが成果につながっているか、他の課題が生まれていないかなどをモニタリングしましょう。定期的なモニタリングは、タスクフォースの効果を高めていくのに必須の工程です。

モニタリングではPDCAサイクルを意識し、繰り返し改善や見直しを行います。最初に計画した施策だけでうまくいくとは限らないため、モニタリングによって最適解を発見し、取り組み内容を研磨することが大切です。

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振り返り・ノウハウの共有

タスクフォースの取り組みを振り返り、施策で得たノウハウの共有をしていくことは今後にも役立ちます。実施した内容の詳細を残しておけば、次に問題が発生した場合にスムーズな対応を取ることが可能です。

期間限定のチームであるタスクフォースは、活動中にノウハウを蓄積するのが難しいため、一段落したおりに振り返って取り組み内容を記録します。詳細に記録することで、次回以降のプロジェクトに役立つノウハウを共有しやすくなるのです。

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成功しやすいタスクフォースの特徴

ここでは、タスクフォースの導入に成功しやすい特徴を紹介していきます。

適切なリーダーが選定されている

適切なリーダーの選定は、タスクフォースを成功に導くための第一歩です。チーム管理に優れたスキルを持っているリーダーがいれば、メンバー間の連携や個人の働きが発揮され、課題の解消がスムーズになります。

リーダーの素質として重要なのは、成果を出すために継続的な管理ができるかどうかです。適正が高い人は、Keep(継続)・Problem(問題改善の抽出)・Try(実行)に基づくKPT法でプロジェクトを管理するなど、適切なフレームワークを活用しています。

スキルやフレームワークをうまく用いてチームを管理できる人材なら、タスクフォースの成功を実現しやすいでしょう。

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課題が明確でメンバー同士が共通認識を持っている

タスクフォースを編成して課題を解決するためには、メンバー間で課題に対しての取り組みや考え方など、共通の認識を持っている必要があります。

課題や目的に対する認識がバラバラだと、緊急性の高い課題を素早く解決できません。課題が何かを明白にすれば可視化もしやすく、メンバーに正しく認識してもらいやすくなります。

ルール・ガイドラインが定まっている

タスクフォースのルール・ガイドラインが明確であれば、ミスの防止につながり、課題の早期解決につながります。

個々のルールでプロジェクトを進めても、クオリティや方向性に一貫性がなく、早急な解決は困難になるでしょう。上申手続きや作業手順など、時間がかかりやすいプロセスほどしっかりとガイドラインを設けてください。これにより、タスクフォースの目的である緊急課題の解決がしやすくなります。

ステークホルダーへの効果的なPRができている

ステークホルダーにタスクフォースの取り組みをうまくPRできると、企業イメージや信頼性を高められます。PRに関する規定を設け、活動内容を効果的にアピールするのがポイントです。

課題解決までの取り組みが社会全体で評価されると、全社的な士気向上も期待できます。国内はもちろん、世界各国からの認知アップにつながる可能性もあるでしょう。社員のモチベーションを高め、企業のブランドイメージにもプラスの働きが見込めるのです。

知見やノウハウの共有ができている

優れたタスクフォースの取り組みでは、知見やノウハウの共有ができています。企業の貴重な資産となり、社員の教育にも役立つでしょう。

共有を行うには、プロジェクトの一環として振り返りの工程を設け、実行するのが重要です。また、実践した対策やプロセスなどを詳細に残しておきましょう。

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タスクフォースの事例

ここではタスクフォースに取り組んだ企業の事例を紹介します。具体的なプロジェクトの内容を参考にしてみてください。

日本マクドナルド株式会社

マクドナルドはサービスの品質向上を目的にタスクフォースを構築し、顧客からの問い合わせ対応を見直しました。

具体的な取り組みとして、問い合わせ対応の見直しに際し、トラブルの実例をもとに対応プロセスの課題抽出を行っています。異物が入った場合の調査や保管のルール、顧客の要望を理解するための意識改革など、課題を具体的に掘り下げました。抽出した課題に対しては、社内における情報管理の徹底や顧客対応の姿勢まで、迅速かつ網羅的な施策を設けています。

株式会社ウェルクス

コミュニケーション施策の一環としてタスクフォースを取り入れたのが、株式会社ウェルクスです。部署を横断する人員を招集し、発表された課題について各チームが取り組みを行っています。

オフィスの移転に伴い発足したタスクフォースでは、社内の散策やサンクスギフト制度などの具体策が立案・実行されました。ほかにも運動を増進するタスクフォースもあり、健康のためのウォーキングイベントを開催するといった取り組みが行われています。

ウェルクスのタスクフォースは、企業理念・戦略に特化したさまざまなチームがあり、取り組みが細分化されている点が特徴的です。

味の素株式会社

味の素では「食と健康の課題解決企業」となるべく、2つのタスクフォースを立ち上げました。いずれもCEO直轄のチームであり、他の組織との連携や情報共有の活性化に取り組んでいます。

タスクフォースの設置により社内外の組織との連携を強め、柔軟な運営を可能としました。グループ会社との意見交換も活発になるなど、組織の体制に新風を巻き起こしています。

総務省

総務省は、さまざまな目的に合わせてタスクフォースを構築し活動しています。最近の事例に挙げられるのが、携帯電話の乗り換えの自由度拡大を図る「スイッチング円滑化」です。

eSIMの促進をはじめ、具体的かつ実現可能性のある施策の議論がなされています。その結果、SIMロック状態での端末販売が原則禁止になるなど、消費者の利便性を向上する措置が取られました。

携帯電話という消費者に身近な要素はスピード感が求められる課題であり、効果的にタスクフォースを用いた事例と言えます。

タスクフォースを編成し課題の早期解決に努めよう

タスクフォースは、緊急性の高い課題を解決に導くのに効果的です。社員一人ひとりのパフォーマンスやリーダーのマネジメント力の向上も期待でき、企業の生産性を高めることにもつながります。

うまく取り組めば、実績やアイデアを他の施策に活かしたり、ステークホルダーへのアピール材料にすることも可能です。タスクフォースを成功させるためにも、本記事で紹介した作り方や成功事例を参考に取り組んでみてください。

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