外国人を採用するメリット・デメリット|受け入れ方法や流れについて紹介
少子高齢化による労働力の不足を補填する「外国人採用」。サービス業や宿泊業などでは既に多くの外国人労働者が活躍していますが、文化の違いなどを理由に雇用を躊躇している企業も多いでしょうか。本記事では、外国人採用のメリット・デメリットについて解説します。
目次
外国人採用の現状
現在、日本国内における外国人労働者の数は200万人を超えており、その数は年々増加しています。これに伴い、外国人を雇用する事業所も30万所以上に達し、2022年に比べ、2023年には労働者が約22.6万人、事業所が約2万所増加しました。
こうしたデータは、日本企業が外国人労働者の採用に積極性を見せていることを示しているといえるでしょう。
[出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)」]
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外国人労働者の受け入れ制度である「特定技能制度」について
特定技能制度は、外国人労働者を日本に受け入れるために設けられた制度で、2019年4月から受け入れが可能となりました。この制度は、特定の分野で即戦力となる外国人を対象としているのが特徴です。
特定技能の1号と2号の違い
特定技能制度には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
特定技能1号は、比較的簡単な作業に従事する外国人労働者を対象としており、在留期間は最大で通算5年です。
一方、特定技能2号は、より高度で熟練した技能を持つ労働者を対象としており、要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能で、在留期間の更新もできます。
このように、1号と2号では技能のレベルと在留期間の条件に違いがあります。
「技能実習」と「特定技能」の違い
技能実習と特定技能は、共に外国人労働者を受け入れるための制度ですが、それぞれ目的が異なります。
技能実習はその名のとおり、外国人労働者に技術や知識を習得させることを目的としており、労働力の確保は主な目的ではありません。一方の特定技能は即戦力となる労働者を対象としており、労働力確保が主な目的です。
これら2種類の制度には、在留期間や家族の帯同の可否など、さまざまな違いがあります。詳細は表のとおりです。
項目 | 技能実習 | 特定技能 |
目的 | 技術習得・国際貢献 | 労働力確保 |
作業内容 | 学びを目的とした訓練 | 即戦力としての仕事 |
人数制限 | 制限あり | 制限なし |
在留期間 | 最大5年 | 最大通算5年(1号)、更新可能(2号) |
家族滞在 | 不可 | 2号では可能 |
試験 | 必要なし | 必要 |
技術水準 | 初級から中級 | 中級から上級 |
外国人労働者を受け入れるメリット
外国人労働者を受け入れることで、企業にはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
労働力不足を解消できる
少子高齢化が進む日本では、労働力不足が深刻な問題となっています。特に、建設業や介護業、農業、製造業など、人手が求められる業界では、外国人労働者の採用が労働力不足を補う有効な手段だといえるでしょう。
外国人労働者によって企業は必要な人材を確保し、生産性を維持することができるのです。
語学スキルの高い人材を確保できる
外国人労働者を採用することで、就労レベルの日本語スキルに加え、英語やその他の外国語を母語とする人材を確保できます。
国際取引や海外顧客とのコミュニケーションが重要な場面で、語学スキルの高い外国人労働者に活躍してもらうことで、企業の競争力を高めることも可能です。特に、貿易や観光、IT業界などでの活躍を期待できるでしょう。
採用費用を削減できる
外国人労働者の採用も視野に入れることで、求職者の母数を増やすことができます。その結果、応募者がなかなか現れないために長期間採用活動を続けなければならないといった状況が改善され、採用コストの削減が可能です。
また、政府による助成金制度を活用すれば、さらにコストを抑えることができます。予算を効率的に活用しながら、必要な人材を迅速に確保できるという点でも、外国人労働者の受け入れにはメリットがあるのです。
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社内を活性化できる
外国人労働者の高い就労意欲や豊かな言語スキルに触れ、日本人の従業員も刺激を受けることで、全体の士気向上を期待できます。
このようなポジティブな影響を受けることで社内にシナジー効果が生まれ、グローバル化の機運も高まるでしょう。
多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、新しいアイデアや視点がもたらされ、企業の成長を後押しする環境が整うのです。
外国人労働者を受け入れるデメリット
外国人労働者を受け入れる際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
価値観の違いによるトラブル発生の可能性がある
外国人労働者を受け入れる際には、文化や価値観の違いから、職場内でのトラブルが発生する可能性がある点に注意しましょう。
例えば、仕事に対する考え方やコミュニケーションの方法が異なることで、誤解や摩擦が生じることがあります。文化的な背景の相違によるトラブルは、日本人従業員と外国人労働者の間の溝になりかねないため、企業は文化の違いを尊重し、柔軟な姿勢を持って適切に対処することが重要です。
意思疎通がとれない場合がある
外国人労働者の日本語スキルが十分でない場合、職場での意思疎通が難しい場合もあるでしょう。特に、業務上の指示や細かなニュアンスが伝わりにくいと、誤解が生じやすくなります。
意思疎通がスムーズにいかないと作業のミスや業務の遅延につながってしまうため、企業側は言語サポートを提供するなど、適切な対応策を講じる必要があります。
雇用手続き・準備に手間がかかる
外国人労働者を雇用する際には、日本人を雇用する場合とは異なる手続きや就労ルールに従う必要があります。具体的には、在留資格の確認や申請・変更のサポート、さらに適切な住居の確保などが挙げられるでしょう。
これらの準備には時間と手間がかかるため、企業にとって負担となる可能性も考えられます。とはいえ、外国人労働者が安心して働ける環境を整えるためには、これらの手続きを適切に行う必要があるのです。
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外国人労働者を受け入れる方法・流れ
外国人労働者を受け入れるためには、具体的な方法と流れを理解することが重要です。ここではステップごとに見ていきましょう。
求人募集
外国人労働者を募集する際には、自社サイトや求人サイト、人材紹介会社を活用することが一般的です。自社サイトでの募集は、企業の理念や具体的な業務内容を直接伝えることができます。一方、求人サイトや人材紹介会社を利用すると、広範な求職者にアプローチすることが可能です。
これらの手段を組み合わせることで、求めるスキルや経験を持つ人材を効率的に見つけることができます。
選考
外国人労働者の選考では、経歴やスキルの確認に加え、日本在住の場合は労働が可能な在留資格があるかをしっかりと確認することが重要です。また、面接時には言語の違いや文化的な背景を考慮し、コミュニケーションの取り方や質問内容に配慮する必要があります。
求める職務に対する理解度や適応能力を慎重に評価し、互いに誤解が生じないようにすることが、選考プロセスを円滑に進めるポイントです。
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雇用契約を結ぶ
外国人労働者と雇用契約を結ぶ際には、双方が理解できる言語で明確に書かれた契約書を用意することが重要です。
特に、労働条件や業務内容、賃金、就労時間などの基本的な条件については、誤解が生じないように丁寧に説明し、理解を得ることが不可欠です。また、在留資格の種類によっては就労制限があるため、上限時間数などに応じた契約内容とする必要があります。
こうした準備を万全に行うことで、安心して働ける環境を提供することができるのです。
在留資格の申請・変更を依頼
外国人労働者を採用する際、該当の労働者が海外在住の場合は在留資格認定証明書交付申請を、日本在住の場合は在留資格変更許可申請の手続きを依頼する必要があります。これらの申請・変更手続きがスムーズに進むよう、必要書類の準備や正確な情報提供を徹底しましょう。
また、住居の確保やライフラインの契約、自治体への届け出など、外国人労働者が一人で対応しきれない場面では、企業側のサポートが重要です。安心して生活・仕事ができるよう、積極的にサポートを行いましょう。
入社準備〜雇用開始
外国人労働者の入社にあたっては、必要な書類や物品の準備、受け入れのオリエンテーションを実施しましょう。受け入れの体制をしっかりと整えることで、新しく入社する外国人労働者がスムーズに職場に適応し、業務を開始できます。
特に、企業文化や業務手順についての理解を深めてもらうために、丁寧な説明とフォローを行いましょう。
外国人を受け入れる際の注意点
ここでは、外国人労働者を受け入れる際の注意点について紹介していきます。
在留資格(就労ビザ)が必要
外国人が日本国内で働くには、適切な在留資格(ビザ)が必要です。労働可能な在留資格を持たない外国人を誤って雇用してしまうと、不正就労と見なされ、企業にも罰則が科される可能性があります。
このような事態にならないよう、採用時に必ず在留資格を確認し、その資格が従事する業務に適しているかを確認することが重要です。法令を遵守し、安心して労働者を雇用できるようにしましょう。
在留資格に適した仕事内容である必要がある
外国人労働者が持つ在留資格によって、働ける職種や仕事内容は異なります。そのため、企業は採用時に労働者の在留資格をしっかりと把握し、資格に適した業務内容を提供しなくてはなりません。
万が一許可されていない仕事を任せると、不正就労となり、労働者だけでなく企業側にも罰則が科される可能性があるため注意しましょう。
文化や仕事観に違いを尊重する
外国人労働者は、一人ひとりが異なる生活習慣や文化、仕事に対する価値観を持っています。一般的な日本人の感覚とは異なる場合も多いため、企業はその違いを尊重することが重要です。
また、外国人労働者が働きやすい環境を整備するよう努めることも欠かせません。例えば、コミュニケーションの方法や働き方に柔軟性を持たせることで、文化の違いを乗り越え、互いに協力し合う職場環境を築くことができるでしょう。
外国人労働者への理解を深め雇用を検討してみよう
外国人労働者を雇用することには多くのメリットがありますが、同時に文化や価値観の違いを理解し、適切な対応を行う必要があります。労働力不足の解消や社内の活性化を目指す企業は、外国人労働者の雇用を検討してみてはいかがでしょうか。
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