【解説】SDGsの面白い取り組みまとめ!ユニークな事例を厳選して紹介
世界中で取り組みが進んでいるSDGs。企業や国内でも取り組むことが当たり前のようになった現代、SDGsの取り組みがどのような進化を遂げたのか気になる方も多いでしょう。そこで本記事では、SDGsの面白い取り組み事例について、厳選してご紹介していきます。
目次
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な開発目標という意味です。
2001年にMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、2015年9月の国連サミットにて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。これは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標として掲げられています。
SDGsは17のゴールと169のターゲットで構成され、発展途上国だけでなく、先進国自身が取り組む普遍的なものとして、日本でも積極的に取り組む動きが加速しています。
▷SDGsが企業になぜ必要なのか?注目された背景や企業にもたらす効果
SDGsのおもしろい取り組み事例1|企業のユニークな事例
企業のSDGsへの取り組みについて、いろいろ考えられたユニークなものが数多く見られます。
SDGsのおもしろい取り組みの事例を2つ紹介します。
森永製菓株式会社
SDGsはニュースなどで頻繁に見かけるものの、子どもたちからはどうしても遠い存在となりがちです。
そこで森永製菓株式会社では、「サステナブルなおかしって、どんなおかし?」というコンセプトのもと、代表的な商品である「チョコボール」や「ラムネ」、「おっとっと」をベースとして、未来のお菓子のアイデアを募集するキャンペーンをおこなっています。
子どもたちに未来のお菓子がどういうものか考えてもらうことで、SDGsがより身近なものとなり、SDGsへの理解をさらに深めるきっかけとなっています。その結果、多くの子どもたちがSDGsを意識するようになれば、SDGsの目標達成にもつながるでしょう。
出典:森永製菓株式会社「モリナガ・サステナブル~笑顔を未来へつなぐプロジェクト~」
ネスレ日本株式会社
ネスレ日本株式会社は、おいしいコーヒーを提供している一方で、紙パッケージやコーヒー残渣がゴミとして大量に出てしまうという課題がありました。
そこでネスカフェと日清紡グループが共同し、普段は捨てられていた紙のパッケージやコーヒー残渣を活用し、「アップサイクル」という身近なものに生まれ変わらせる取り組みを始めています。
具体的には、紙の空きパッケージを回収するためのBOXを各所に設置し、集めた空きパッケージをTシャツやエプロンという価値あるものに変えて、ネスレ日本直営の店舗でユニフォームとして使用しているのです。
「ネスカフェアンバサダー」というネスレ日本が企業に展開しているプログラムに参加中のオフィスに対しても、SDGsへの取り組みに賛同してもらえれば、回収BOXを設置します。ネスレ日本の取り組みに参加することで、家庭やオフィスでSDGsについて話す機会が増えることでしょう。
出典:ネスレ日本株式会社「アップサイクル衣服の製作を開始!」
▷中小企業のSDGs取り組み事例を紹介!必要性や進め方も解説
SDGsのおもしろい取り組み事例2|個人のユニークな事例
SDGsは、企業だけでなく個人としても取り組んでいく必要があります。ここからは個人でも気軽に取り組めるSDGsのおもしろい事例を紹介します。
SDGsイベントへの参加
SDGsへのイメージがいまいちはっきりしないという人にはイベントへの参加がおすすめです。
SDGsと聞くと堅苦しいイベントをイメージしてしまいがちですが、決してそのようなことはありません。具体的な例を紹介します。
株式会社BLOOM MEETING
株式会社BLOOM MEETINGが開催している「SDGs演芸会」では、対面か非対面かを選択したうえで、SDGsをテーマにした落語を見ることができます。
落語の鑑賞によって、笑いながらSDGsを学び、未来について考えられるようになることでしょう。
出典:株式会社BLOOM MEETING「SDGs演芸」
一般社団法人イマココラボ
一般社団法人イマココラボは、SDGsのカードゲームを提供しカードゲームで楽しく遊び、その結果SDGsの本質を理解してもらうことが狙いです。
「2030SDGs」というワークショップイベントでは、ゲームに参加した人が「2030年の世界」をつくってゲーム体験した後に振り返り、自分の生活とSDGsとがどうつながり、何ができるのかを一緒に考えていくことができます。
その他にも初心者向けの体験型SDGsイベントや、自宅から参加できるオンライン開催イベントもたくさんあります。企業や大学などが主催するカンファレンス系のイベントは中級者、上級者向けで少し堅い内容のものが多いため、まずは初心者向けのイベント参加から始めてみてください。
出典:株式会社BLOOM MEETING「SDGs演芸」
SDGsを意識した商品の購入
SDGsを意識して世の中に出回っているものを見渡してみると、未来と向き合って作られた商品が存在しています。
SDGsに取り組んでいる商品は他と比べると少し割高かもしれませんが、高いという理由だけで敬遠せず、その商品がたどってきた経緯をよく考えてみてください。
これによって、SDGsに関する商品に興味を持ち、その商品を応援したいという気持ちが生まれることでしょう。商品を選ぶ基準として以下のことを意識して見てみましょう。
- 生産過程で労働力を不当に搾取していないか
- 商品を製造することで周辺地域や環境を破壊することになっていないか
- 広告宣伝で差別的な表現を使われていないか
未来にとってプラスになることをするのも大事ですが、何をしていない商品かというのを見ることも、SDGs実現にとって非常に大切な観点です。理念に共感できる商品を買うことで、だれでも気軽にSDGsに参加できます。
SDGsのおもしろい取り組み事例3|海外のユニークな事例
SDGsについては海外の方が日本よりもさらに進んでおり、おもしろい取り組みがたくさんおこなわれています。
海外のSDGsに関するユニークな事例について紹介します。
オランダ
ファッション業界では服の廃棄が大量に出ることが長年の課題となっています。これに対して、サーキュラーエコノミーの先進国オランダは、国として大量の廃棄物の問題に取り組むべく、「服の図書館」を設立しました。
サーキュラーエコノミーとは、廃棄予定の製品や材料を経済活動の循環内に入れて再活用し、廃棄を減らそうとする経済活動を指します。服の図書館は、そのようなファッション業界を変えたいという業界内の強い思いから生まれ、オランダのアムステルダムにある「LENA」では高品質のヴィンテージ服や、地元出身のデザイナーによる服が取り扱われています。
服の図書館を訪れた人は上質な服をレンタルすることで、ファッションを楽しみながらSDGsに取り組むことが可能となりました。
デンマーク
家を建てる、住む、壊すという住宅サイクルのなかでは、膨大な量の廃棄物が出てしまいます。このサイクルにもSDGsを取り入れようという動きを国としておこなっているのがデンマークです。
コペンハーゲンの南部にある約3万5千㎡の土地に「UN17 Village」がつくられようとしています。UN17とは国連採択されたSDGs17のゴールのことを指しており、デンマークは国が中心となってSDGsを体現した場所づくりのプロジェクトを進めているのです。
建材にはリサイクルされたコンクリートや木材、ガラスなどを使い、UN17の名が示しているとおり、包括的なライフスタイルの実現を目指しています。具体的には再生エネルギーを100%使用し、生活に必要な水は年間で1500万リットルを雨水の再生利用でまかなう予定です。
住まいについてもダイバーシティに富んだライフスタイルに対応できるように設計しようとしています。
SDGsのおもしろい取り組み事例4|日本のユニークな事例
日本国内でも続々とおもしろい取り組みが出てきています。そのなかでも特にユニークな事例を紹介します。
愛知県豊橋市の「久遠チョコレート」
愛知県豊橋市ではSDGsへの取り組みとして「久遠チョコレート」が誕生しました。
久遠チョコレートは、創業者の「すべての人がかっこよく働ける社会」という目標を掲げて立ち上げられたブランドで、全国の福祉事業所などがオーナーとなって28店舗、51拠点を展開しています。
スタッフは全国に約500名在籍していますが、そのうち約300名が障害者でさらに、約100名が子育て中や障害者の子を持つお母さん、引きこもりの若者、LGBTの方などもいます。
久遠チョコレートの「全国夢のチョコレートプロジェクト」という取り組みは、SDGsの以下の5項目で評価されており、第2回ジャパンSDGsアワードで「内閣官房長官賞」を受賞しています。
- すべての人に健康と福祉を
- ジェンダー平等を実現しよう
- 働きがいも経済成長も
- 人や国の不平等をなくそう
- パートナーシップで目標を達成しよう
出典:久遠チョコレート「SDGs演芸」
沖縄県恩納村の「グリーンフィンズ」
沖縄県恩納村では「グリーンフィンズ」を提供しています。グリーンフィンズはサンゴを始めとして、海の生き物に配慮したシュノーケリングやダイビングを記した国際的ガイドラインです。
沖縄県の美しい海は近年の環境破壊による被害が深刻であり、一刻も早い対応が求められています。沖縄県恩納村も沖縄を代表するリゾート地で、豊かなサンゴ礁と美しい海が魅力であり、サンゴの村宣言」を掲げて、世界一サンゴ礁に優しい村になることを目指しています。
恩納村では日本初の国際的ガイドライン「グリーンフィンズ」を周知徹底することで、持続可能な社会を実現予定です。
出典:恩納村「Green Fins(グリーン・フィンズ)」
SDGsのおもしろい取り組み事例5|学生のユニークな事例
若者の間でもSDGsに対する意識が高まっています。学生が取り組んでいるSDGsのユニークな事例について紹介します。
慶應義塾大学の「キャンパスSDGs」
慶應義塾大学では「キャンパスSDGs」プロジェクトが立ち上げられています。キャンパスSDGsは、個々の学生がSDGsを始めとしてさまざまな社会問題を知ることで、自ら行動することを促すためのプロジェクトです。
SDGsは国際目標ではあるものの、一人ひとりにどのようなかたちで浸透させていくのかという課題があります。
キャンパスSDGsは、まず人々にSDGsがどういうものかを認知してもらうことを趣旨としてステッカー2,500枚の制作がおこなわれました。
ステッカーにはSDGsのロゴ以外にも、ロゴに関連するターゲットや一言メモ、SNSの情報も載せて、教室や食堂、トイレなど、学生が必ず目にするであろう場所に貼っていったのです。
プロジェクト開始後におこなった調査では、SDGsを認知させるだけでなく、行動に移すきっかけになったとの結果が出ており、取り組みは成功したといえるでしょう。
出典:慶應義塾大学「キャンパスSDGsプロジェクト」
早稲田大学の「W-BRIDGE」
早稲田大学では「W-BRIDGE」が設置されています。地球環境を守っていくことは地球上すべての人の課題であり、環境問題に対して積極的に取り組んでいく必要があります。
W-BRIDGEは地球環境問題に貢献するために、早稲田大学と株式会社ブリヂストンが共同で2008年に設立し、以下を目的としています。
- 自然との共生
- 資源の循環の仕組み
- 2050年視点からの二酸化炭素の削減
- 環境保全の知見や手法の広がり
W-BRIDGEは2009年1月から始動しており、1年単位でさまざまな取り組みがおこなわれています。
出典:早稲田大学「W-BRIDGE」
SDGsのおもしろい取り組み事例を参考にしていこう
SDGsに関する大学や企業、自治体、国などのさまざまな取り組みを知ることで、SDGsがとても身近なものであるというのが理解できたのではないでしょうか。
SDGsへの取り組みは一部の熱心な人たちだけがやればいいというものではありません。持続可能な社会を実現するために、すべての人が積極的に関わっていく必要があります。
今はまだ何もしていないとしても気にせず、SDGsのおもしろい取り組み事例を参考に、できるところから始めてみてください。
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