CSV経営とは?CSRとの違いや経営戦略・メリット、取り組み事例を解説

最終更新日時:2023/06/30

SDGs

CSV経営とは

CSV経営とは、社会的価値と企業の利益を同時に追求しようとする経営方法のことです。海外でも実践されており、近年日本でも実践する企業が増加しています。本記事では、そんなCSV経営について、メリットや課題など詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

CSV経営とは?

CSV経営とは「社会的課題の解決」と「経済効果の創出」を両立する経営方法です。ここでは、CSVの意味やCSRとの違いについて詳しく解説します。

CSVの意味・定義

CSVとはCreating Shared Valueの略称であり、日本語に訳すと「共通価値の創造」です。元来、慈善活動などの社会貢献と経済活動は、相容れないものと認識されていました。

確かに、寄付やボランティアといった利益を度外視した方法では、事業として運営するのは極めて困難です。逆に企業利益のみを追求してしまえば、社会問題の解決は二の次になります。

CSVは、社会と企業で「共通の価値を見出していく考え方」です。

具体的には、ビジネスの中に社会的問題を解決できる要素を組み入れます。結果、社会貢献をしつつ企業利益も追求でき、双方にとってよい効果が期待できます。

CSVの概念は2011年にアメリカの経済学者マイケル・ポーターによって提唱され、認知が拡大しました。しかし、はじめてCSVの概念について提唱をしたのはネスレです。2006年CSRレポート内にて発表されました。

CSVとCSRの違い

CSVとCSRの違いは利益への捉え方です。

CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業の社会的な責任を果たすことを主たる目的としています。社会における責任を果たす活動であれば、利益の有無は関係ありません。具体的な活動例としては、寄付や植樹活動などが挙げられます。

一方でCSVは、社会的な問題に大して事業を深く結びつけ、双方の価値や利益を同時に見出します。あくまで社会的な責任を果たすことを目的としているCSRと異なり、利益を生み出すことも組み込まれているのがポイントです。

CSVとCSRは、社会的な問題を解決する活動をしている点が共通しています。しかし活動自体が「利益を生み出すことを前提にしているか否か」は大きな相違点です。

今まで企業が行う社会貢献活動はCSRが主体であり、事業内容とは無関係な活動をするのが常でした。しかし昨今では、社会的な問題を既存事業と関連付けたり社会貢献度の高い事業を新たに開始したりなど、CSVを取り入れる企業が増加傾向にあります。
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CSV経営が注目されている背景

CSV経営が注目されている背景にはSDGsの認知拡大があります。

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年の国際サミットにて全会一致で採択されました。

貧困や食糧問題など、あらゆる社会的な問題を解決していくことがゴールとして掲げられています。発展途上国や先進国含め、多数の国がSDGsに取り組んでいますが、個人や企業も例外ではありません。

企業がSDGsに取り組む際、既存の事業をSDGsと結びつけるのは1つの方法としてよく見られます。しかし、ただ関連付けただけではSDGsを達成できなかったり、事業を成長させられなかったりと課題を抱えてしまう可能性もあるでしょう。

CSV経営を取り入れれば、SDGsと経済活動の両立が可能です。世界規模でSDGsへの取り組みが活性化している今、CSV経営は具体的な手段の1つとして注目を浴びています。CSVは既存事業だけでなく新規事業にも役立てられるでしょう。

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CSV経営のメリット

注目されているCSV経営には取り組む上で大きく3つのメリットがあります。

企業イメージの向上

企業の一事業でありつつも社会問題へ取り組む積極的な姿勢は、企業イメージの向上につながる可能性があります。

企業イメージは、商品のブランディングと同様に一朝一夕で成せるものではありません。日々の積み重ねで形成されていくため、利益につながらない方法では持続的な試みは極めて困難です。

CSV経営ならば、利益を得つつ企業イメージの向上を同時に狙えます。

社会問題への貢献

CSV経営で事業に社会問題に取り組めば、経済活動通して社会へ貢献できます。

人が行う経済活動は、自然の環境や資源を利用して成り立っています。意識的に取り組みを変えなければいつまでも消費するばかりで、社会問題は加速の一途をたどるでしょう。

社会問題への貢献は個人でも可能です。しかし企業規模で取り組めば、より一層大きな効果を得られます。

ビジネスチャンスの拡大

CSV経営を通じてビジネスチャンスの拡大が望めます。

企業へ新たにCSV経営を根付かせるためには、今まで得てこなかった情報や知見を蓄積していかなければなりません。新たな業務を通して、既存事業では関わらなかった企業との関係も、おのずと構築されるでしょう。

業務で関わる領域が拡大すれば、新たなビジネスチャンスも比例して拡大する可能性が高まります。

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CSV経営における課題

イメージ向上やビジネスチャンスの拡大など様々なメリットのあるCSV経営ですが、取り組む上で課題があるのも事実です。大きく2つの課題について紹介していきます。

課題解決が難しい

CSV経営では単に事業で利益を上げていくだけではなく、社会課題も同時に解決していかなければなりません。

社会が抱える課題は貧困や地球温暖化など、規模が大きいものばかりです。一企業が事業として解決していくには難しく、越えなければいけないハードルは高いでしょう。

CSV経営を成功させるためには、企業全体で取り組むだけではなく、外部の企業とも密に連携していく必要があります。

取り組みが長期化する

CSV経営は社会的な問題を事業で解決していくといった特性から、取り組みが長期化する傾向にあります。

CSV経営のもと、事業を立ち上げるためには自社以外の協力が必要不可欠です。外部との関係を新たに構築していくにも多くの時間を要します。また事業がスタートした後も、自社イメージの向上や社会問題の解決といったゴールはすぐに見えてきません。

一定の成果を確認するまでには、地道な活動の積み重ねが必要です。

もしCSV経営が悪く作用すれば、自社イメージの低下などを招いてしまう可能性があります。リスクをしっかりと予測しつつ事業計画を立てましょう。

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CSV経営の実現に向けた経営戦略

ここからはCSV経営を実現するための経営戦略について解説していきます。

自社の製品や市場の見直し

CSV経営を実現するためには、自社の製品や市場の見直しを行いましょう。

新規製品を作ったり事業を立ち上げたりするだけが、CSV経営の実現方法ではありません。既存の製品がCSV経営に結びつけられる可能性もあります。

自社の参入している市場についても、今一度見直しましょう。

市場は常に変化しています。現時点の状況について改めて把握しておけば、CSV経営の実現を検討するのに役立ちます。

バリューチェーンの改善

バリューチェーンは、製造や販売といったビジネスの過程で発生する価値を流れとして捉える考え方であり、改善することによってCSV経営の実現に近づきます。

例えば、自社の製品の梱包資材をエコな素材に変更すれば、環境改善に貢献できるでしょう。その際、同時にコストを見直せば、企業利益の向上も図れます。

産業クラスターの形成

産業クラスターの形成は、CSV経営で重要な戦略の1つです。

自社を含めた産業クラスターを形成すれば、他企業の協力を得やすくなります。密に連携していくためにも、地域の既存企業との親交は重要です。

形成した産業クラスターが成長していけば、人口の増加やインフラ整備の拡充など、地域貢献にもつながります。

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CSV経営に取り組んでいる企業の事例

ここからはCSV経営に取り組んでいる企業の事例を4つ紹介します。

ユニリーバ

ユニリーバは、石鹸をはじめとして多数の衛生商品を販売している企業です。同社は創業当初から事業を通して、気候変動や衛生環境といった社会が抱える問題を解決していくことを意識し行動しています。

SDGsが策定される前の2010年から、ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)を打ち出し、自社製品を活用して社会問題の解決に取り組んできました。

衛生面に課題を持つ国にライフボーイという自社製品の石鹸を用いて、手洗いプログラムを実施しています。結果、同プログラムを通して自社製品の認知拡大に成功しただけでなく、2018年時点で4億2600万人に手洗いの大切さを広め、衛生環境の改善に貢献しました。

同社は2021年1月よりUSLPを後継する新たなプランとして、ユニバーサルコンパスを新たに導入しています。新ビジョンである「サステナブルなビジネスのグローバルリーダーになる」ことを実現するため、さらに活動を加速させています。

ネスレ日本

ネスレ日本は、飲料・菓子などを製造販売している企業です。同社は「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」を存在意義として掲げ、CSV経営に取り組んでいます。

2019年より、同社製品キットカットは、パッケージをプラスチックから紙に変更しました。結果、話題性を集めただけでなく、2021年末時点には累積790トンのプラスチックの削減に貢献しています。

2021年6月には、食品ロス削減の取り組みとして「みんなが笑顔になる 食品ロス削減ボックス」の運用を始めました。納品期限を超えた商品の流通チャネルを新たに構築する試みを行い、さらなる食品ロスの削減に挑戦しています。

キリンホールディングス

キリンホールディングスは、キリンビールや清涼飲料水などを販売する企業です。同社は「酒類メーカーとしての責任」を前提として「健康」「コミュニティ」「環境」に関する社会問題に取り組んでいく姿勢を示しています。

「午後の紅茶 おいしい無糖」は、食事中にも楽しめる紅茶として作られました。健康のカテゴリーで掲げている「摂りすぎない健康」を体現する同製品は、多くの消費者に人気を博しています。2022年11月、シリーズ販売量の累計は2年連続1,000万箱を突破しました。

ヤマトホールディングス

ヤマトホールディングスは、宅急便などの運輸サービスを提供している企業です。同社は行政や地方自治体と協力し、プロジェクトGの名称で社会問題の解決に取り組んでいます。

プロジェクトGの具体的な取り組みは「生活支援」「地域産業支援」の2つです。

生活支援では全国に約4,000カ所ある拠点と約60,000人の従業員を活かし、高齢者を対象として、買い物代行や配達時の見守りを行っています。業務を通して、行政や自治体との連携強化につながりました。

地域産業支援では地域の同業他社に協業という形で、同社の持つ物流技術やノウハウを提供しています。結果、地域と密接な関係が築けただけでなく、リードタイムの短縮やコストの削減など、物流環境の改善に役立ちました。

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CSV経営を実践して未来に貢献できる企業を目指そう

CSV経営とは、社会と企業双方に利益をもたらす経営方法です。社会的責任の遂行が主たる目的のCSRとは異なり、CSV企業利益も共に追求できます。

SDGs達成の一手段として注目を浴びるCSV経営は、成功すれば企業イメージの向上やビジネスチャンスの拡大が望めるでしょう。

CSV経営を取り入れ、自社の事業を活かしながら未来に貢献できる企業を目指していきましょう。

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ビズクロ編集部
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