中小企業のSDGs取り組み事例を紹介!必要性や進め方も解説

2022/08/02 2023/06/06

SDGs

中小企業のSDGsの取り組み

昨今ではSDGsが多くの人に認知され、積極的に取り入れる企業が増えてきたものの、企業規模に関わらず中小企業でも取り組みは積極的に行われているのでしょうか?この記事では、中小企業におけるSDGsへの取り組み事例や進め方などを解説していきます。参考となりそうな取り組み事例を見つけて自社の取り組みに役立ててみてください。

SDGsとは?

SDGsは、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」です。

人々が地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしをするために取り組むべき世界共通の行動目標で、17の目標と169のターゲットによって構成されています。

「地球環境」「ジェンダー平等」「社会・経済」などさまざまな課題の目標について、2030年までの達成を目指しています。

【解説】SDGsの歴史的背景とは?年表別に要点をわかりやすく解説

中小企業におけるSDGsの必要性

SDGsへの取り組み姿勢は取引から人材採用、資金調達にまで影響を与えます。SDGsに取り組む企業は成長が期待され、SDGsに取り組まない場合は、企業間の取り引きや資金調達、そして人材採用などの企業活動に影響を与えるためリスクにもなるケースもあります。

例えば大企業をはじめとするSDGsに取り組む企業では、環境負荷の高い活動やジェンダー差別といった課題を持つ企業との取り引きを不可とするケースが生じてくるでしょう。

また、行政と金融機関が一体となった動きとしては、SDGsへの取り組み姿勢で資本投資や融資における資金調達に差が広がることが予想されています。

さらに、特に若い世代では、働く環境にエシカルな考えを求める傾向が高まっています。求職活動をする際、SDGsへの意識が低い企業にマイナスのイメージを持つ人が増えているため、SDGsへ取り組んでいない中小企業は、優秀な人材の採用が難しくなってくるでしょう。

中小企業でのSDGs取り組み状況・課題

昨今注目が集まっており、ビジネスシーンだけではなく様々な場所で耳にするSDGsは、大企業だけではなく中小企業でも認知度・知名度は向上しています。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が2023年に実施した調査によると、SDGsの認知度については約9割の人が認知しており、理解度についても40.9%と前回の調査を上まっております。

しかし、現段階で取り組んでいる・今後は取り組む予定があると回答した割合は33.8%。今後も取り組む予定がないと回答した割合は28.7%と約3割程度にとどまっています。

[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のSDGs推進に関する実態調査(2023年)」]

SDGsが企業になぜ必要なのか?注目された背景や企業にもたらす効果

SDGsへの取り組みが中小企業にもたらすメリット

SDGsの取り組みをおこなうことで、中小企業が得られる下記のメリットについて解説します。

  • 他社との差別化ができる
  • ビジネスチャンスが生まれる
  • 企業のイメージが良くなる
  • 社会がかかえる課題に対応できる

他社との差別化ができる

中小企業でSDGsに取り組んでいる中小企業はまだ少ないのが現状です。他社がやっていないことに取り組むことは、差別化につながります。

例えば同じような商品が並んでいるとき、環境や人権に配慮された商品・サービスが選ばれる時代です。SDGsの取り組みが中小企業に浸透していない今だからこそ、SDGsの取り組みが自社の価値を高める要因のひとつにもなるのです。

ビジネスチャンスが生まれる

2017年に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「SDGsの達成を目指すことで、2030年までに12兆ドル以上の経済価値をもたらし、最大3億8,000万人の雇用が創出される可能性がある」と発表されました。

SDGsによって新たな市場が創出され、SDGsに取り組む他社・他業種、行政などと連携したり協力を得られる可能性も考えられます。自社だけでは挑戦できなかった分野にも挑戦できるという、ビジネスチャンスの機会も増えるでしょう。

企業のイメージが良くなる

SDGsは世界共通の課題です。そのため、SDGsに取り組む企業は、社会貢献に積極的な企業としてイメージアップが期待でき、先進的な企業として注目される機会も増えるでしょう。

企業イメージが向上すれば、企業の信頼獲得や優秀な人材の確保、売上の向上につながる可能性も生じます。

社会がかかえる課題に対応できる

社会問題への対応は、経営リスクの回避にもつながるといえます。SDGsは世界共通の課題で、既に大企業の多くはSDGsに取り組んでいます。

環境問題を疎かにする企業は大手企業との取り引きが不可となるなど、ビジネスのチャンスを失う可能性もあります。SDGsに取り組み、社会がかかえる課題に対応することは、企業の存続においても重要なことなのです。

企業がSDGsに取り組むメリット・デメリット|注目される背景や事例を解説

中小企業におけるSDGsへの取り組み事例

ここからはSDGsに取り組む中小企業について、それぞれの取り組み事例をご紹介します。

株式会社ワンダフルライフ

ワンダフルライフでは、海岸のごみを拾う「ワンダフルCHITA」という活動を開始しました。ヘアサロンを経営していた同社は、「ヘアサロンでは大量の水を使い環境に負荷をかけているため、水に関連する活動をおこないたい」という考えがきっかけでした。

当初は従業員とその家族だけでおこなっていましたが、今後は一般市民にも参加してもらうイベントとして展開していく予定です。

[出典:株式会社ワンダフルライフ「SDGsへの取り組み」]

流通株式会社

流通株式会社は、引越や片付けなどのサービスを展開している企業です。同社では、経済的な理由でランドセルを購入できない子どもにランドセルを贈る取り組みをしています。

きっかけは、勤務中の従業員の「多くの家には使われなくなったランドセルがある」という気付きでした。この取り組みで集まった約200個のランドセルを社員がメンテナンスし、同社の倉庫で譲渡会を実施。

子どもたち自身が好きなランドセルを選ぶ「ランドセル FOR ALL」はテレビや地方紙などのメディアでもたびたび紹介され、大きな反響を呼びました。

[出典:流通株式会社「流通のSDGs活動 3つのフェーズ」]

八光建設株式会社

建設業を営む八光建設では年に1回、従業員をたたえる「アワードセレモニー」を開催しています。

この取り組みでは、「後輩の面倒をよく見ている」「自主的に社内の清掃をおこなっている」など、数値化できない貢献にも光を当てて評価するというものです。総務や経理などで働く女性を評価する賞もあります。

働きがいのある会社づくりやセレモニーの開催で、社員のやる気や結束力が向上し、従業員のモチベーション維持につながっているといいます。

[出典:八光建設株式会社「SDGsの取り組み」]

株式会社ワンプラネット・カフェ

株式会社ワンプラネット・カフェは、SDGsやサステナビリティの講演や研修などを行う企業です。同社では日本初のフェアトレード認証のプロデューサーとなったことでも知られています。

サステナブルな現場を体験できる視察ツアーも開催しており、地域にSDGsを理解してもらう機会も提供しています。

[出典:株式会社ワンプラネット・カフェ「SDGsの取り組み」]

株式会社大川印刷

大川印刷では、SDGsにある17の目標すべてに貢献できる取り組みをおこなっています。環境負荷低減のため、運送には電気自動車もしくはディーゼル車を利用しており、コピーにはエコ用紙を使っています。

このように、多くの企業が社内でできる取り組みをはじめ、さまざまな側面からSDGs推進に貢献しているのです。

[出典:株式会社大川印刷「SDGsの取り組み」]

ホットマン株式会社

ホットマンは、タオル製造をおこなうメーカーです。同社では、可燃ごみを固形燃料として再利用、ボイラー燃料の切り替えによってCO₂削減など、タオルの製造過程における環境負荷を低減させています。

また、国内では初の日本製フェアトレードコットンタオルの製造・販売を行っています。そして、工場見学や職場体験などを通じて、SDGsの重要性について教育する場を設けているのです。

[出典:ホットマン「ホットマンSDGsへの取り組み」]

有限会社ワールドファーム

ワールドファームでは、日本における将来的な農業の担い手育成に注力しています。同社では「第六次産業の推進」に大きく貢献しています。第六次産業とは、農業生産から販売までを一貫して行う食農ビジネスの取り組みのことです。

同社は地域の生産者との連携も図りながら、大規模で効率的な農業を目指しています。また、国産野菜の新しい需要を創出するための商品づくりも推進しています。

[出典:ワールドファーム「ワールドファームの取り組み」]

株式会社水島紙店

紙や紙製品の卸売業などを営む和洋紙の専門商社の水島紙店では、店舗で使用する袋をポリ袋から紙袋へと切り替える「紙袋プロジェクト」を実施しました。

同社は、ポリ袋を利用する店舗に、「紙袋に切り替えないか」と長野県内の約100店舗に提案したのです。提案の結果、プロジェクトに参加した店舗は、38社。紙袋のデザインは、店舗によってオリジナルデザインで製作され、店舗の特徴やイメージを再現した質の高い紙袋を提供しました。

[出典:かぶしき水島紙店「【長野県】株式会社水島紙店 ~事業を多角化し、海洋プラスチック問題の解決と環境・観光県ブランドの支援に貢献~ 」]

株式会社山翠舎

山翠舎は、空き家となった古民家がただ解体され処分されると、コストがかかるばかりという点に着目しました。同社では、職人が丁寧に解体することで、再利用できる木材の保管・利用を始めました。

木材の処分には大量のCO₂が排出されています。そのため、この取り組みは環境負荷の低減につながっています。

[出典:株式会社山翠舎「山翠舎のSDGs」]

平井建設株式会社

平井建設では、宴会や会食におけるフードロスを削減するため、最初の30分と最後の10分間を食事のみに充てる「30・10運動」を推進しています。

そのほかにも、予防接種の全額負担や毎週水曜日のノー残業デーなど、従業員の健康を考えた制度が取り入れられています。そして、積極的な女性採用など、さまざまな側面からSDGs推進を図っているのです。

[出典:平井建設株式会社「SDGsへの取組み」]

石屋製菓株式会社

石屋製菓は白い恋人を看板商品とする製菓会社です。同社では、看板商品に使うトレーには、バイオマス素材を使用するなど、環境にやさしい素材を活用しています。また、「NO!ハラスメント」宣言をおこない、働きやすい職場づくりに力を入れています。

[出典:石屋製菓株式会社「トレーは環境にもやさしいバイオマス素材」]

アイビック食品株式会社

アイビック食品では、日本赤十字への寄付をおこなっています。日本赤十字への寄付は、貧困や飢餓で苦しむ人々の支援になります。

また、従業員の健康を守るために禁煙やがん検診を推進しているほか、女性が働きやすい環境づくりにも努め、従業員の健康やジェンダー平等の実現に向けて取り組んでいます。

[出典:アイビック食品株式会社「アイビック食品 SDGs宣言」]

SDGsで簡単に実践できることは?〜私たちの日常生活での取り組み〜

中小企業が取り組みを成功させるためのポイント

ここで、中小企業がSDGsの取り組みを成功させるため、下記のポイントについてご紹介します。

  • 経営者が率先して取り組む
  • 優先するべき課題を明確にする
  • 会社全体で取り組む

経営者が率先して取り組む

SDGsは世界的な課題であり、企業が取り組む場合は、企業全体で推進していかなければなりません。社内にSDGsを浸透させるためには、SDGsの目的や自社でおこなう取り組みを共有することが大切です。

そのためには、発言力・影響力のある経営陣が率先して取り組み、社内や社外に向けても発信するといった行動が必要です。一部の従業員に任せきりでは、従業員全体からの協力が得られず、SDGsの取り組みも失敗するリスクがあるので注意しておきましょう。

優先するべき課題を明確にする

SDGsではさまざまな分野の課題が挙げられています。しかし、企業によって貢献できることは異なるため、SDGsの観点から見て自社で取り組むべき課題を明確にしましょう。

取り組みの優先順位について、SDGsの取り組みの妨げになっているなど、自社にとって課題であるものから検討することが大切です。

会社全体で認識を統一して取り組む

SDGsは経営層や推進する部署だけではなく、全社的に協力をして推進する必要があります。そのため、一部の従業員がSDGsを全く理解していない状況を防ぐためにも、共通の認識を持ってSDGsに取り組むようにしましょう。

全ての従業員がSDGsへの理解を持つことによって、SDGsを推進するための意見交換が活発になったり、社員間での意識の向上が見込めます。

SDGsウォッシュとは?意味のない取り組み?事例とリスク回避策も解説

中小企業が行うSDGsの進め方【6step】

中小企業がSDGsに取り組む際の進め方を6ステップでご紹介します。

1.SDGsについて理解を深める

まずは、SDGsについて理解を深めましょう。SDGsについての知識がなければ、取り組む意味や目的が伝わらず、協力体制を構築できない可能性があります。

SDGsにおける17の目標や169のターゲットなどのSDGsの基礎知識だけでなく、自社がSDGsに取り組む際の方向性なども社内で共有しましょう。

2.課題を洗い出す

SDGsで掲げられている目標をもとに自社の課題を洗い出し、現状を分析することが大切です。

そしてSDGsの課題と照らし合わせながら、自社が貢献できる分野を探すとよいでしょう。企業によってSDGsに貢献できる分野は異なるため、独自の取り組みを見つけてみてください。

3.目標を決める

課題を洗い出したら具体的な目標を設定します。目標を設定する際には、できる限り具体的に数値を用いて目標を設定すると行動しやすくなります。

「○○年で××%アップ」など具体的に目標を定めて、同時に取り組む計画も立てましょう。最終的な目標だけでなく、段階的に計画を練ることで、目標までに遅れがあれば、早期発見や改善につなげます。

4.自社の経営と統合する

決定した目標をどの部門が担うのかまで想定します。課題に対して関わりの少ない部門が中心となっても、SDGsへの取り組みはなかなか進みません。

ジェンダー平等の課題に取り組むのであれば、採用や育成をおこなう人事部が主体となるなど、各部門に落とし込むと取り組みやすくなります。なお、部門を横断して取り組む課題があれば、専門のプロジェクトチームを編成してもよいかもしれません。

5.SDGsの取り組みを実行する

実際にSDGsの活動を実行に移します。実行する直前には今一度、自社がSDGsに取り組む目的や効果を、社内全体で確認するとよいでしょう。SDGsの認識のズレや方向性の違いを、実行前に正すことができます。

6.活動報告を発信する

SDGsの取り組みは、活動報告として積極的に発信しましょう。社内報告にとどめず、社外にも発信することが大切です。社外に発信することで、社外からの意見や協力を得られる可能性があります。

また、活動報告をする際は、同時に計画の見直しや改善をおこなうとよいでしょう。定期的に進捗状況を確認することで、取り組みの遅れや新たに生じた課題を早期発見できます。

SDGsネイティブとは?世代の特徴や企業に必要なキャリア戦略について

中小企業も積極的なSDGsへの取り組みが必要

SDGsへの取り組みは企業規模に関わらず、中小企業でも取り組むべきプロジェクトの一つです。大企業や大手企業と比べて取り組んでいる企業が少ない中小企業だからこそ、SDGsに取り組むことでイメージアップや他社との差別化につながります。

実際にSDGs取り組んで注目を集めている中小企業の数も非常に多いので、様々な取り組みを参考にしつつ、自社ではどのように取り組めるのか考えてみてください。

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ビズクロ編集部
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