タレントマネジメントに役立つフレームワーク一覧!具体的な活用方法
人材の有効活用を目的とするタレントマネジメント。タレントマネジメントを効果的・効率的に実施するにはどのように取り組めば良いのでしょうか。本記事では、タレントマネジメントに役立つフレームワーク・手法一覧を、導入で得られる効果や注意点等とあわせて紹介します。
目次
タレントマネジメントとは?
タレントマネジメントは、組織内の個々の才能を最大限に活用し、組織の目標を達成するための戦略的なプロセスです。具体的には、採用、育成、配置、評価、報酬、後継者計画などの人事戦略全体を包括します。
従業員がもつ特性や能力を把握し、スキルを活かせる環境の提供や成果への評価をすることがタレントマネジメントの一例です。社員・パート・アルバイトなど、立ち位置に関わらずすべての従業員が対象となります。タレントマネジメントを効率的に行うシステムも登場するほど、企業戦略の一つとして認知拡大しているのです。
タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの主要な目的は、組織の競争力を維持・強化することにあります。目的の具体的な例としては下記の通りです。
- 企業目標の達成
- 企業の生産性向上
- 人事関連の課題解消
- 公平な評価制度の確立
- 部署同士のつながりを増強
タレントマネジメントは、企業が達成すべき目標や理想の形を実現し、さまざまな課題を解決するために用いられます。
タレントマネジメントの導入を通して、人材の特徴を詳細に分析することで、異なる部署同士の人材把握も容易になり、必要に応じて協力体制を敷くことができるでしょう。また、タレントマネジメントでは明確な基準をもって評価を行うため、より公平な評価制度の確立にも寄与します。
タレントマネジメントに役立つフレームワーク・手法一覧
タレントマネジメントの取り組みを成功に導くためには、さまざまなフレームワークや手法を用いるのがおすすめです。各フレームワーク・手法の詳細について、具体例を交えながら紹介します。
ロジックツリー
ロジックツリーは、主要な課題に対して小さなタスクを配分し、タスクをこなすことで自ずと主要課題の解決を図るフレームワークです。主要な目標や課題を樹木の幹、それを達成または解決するためのタスクを樹木の枝になぞらえて表します。
「営業成績の向上」が主要課題である場合、枝となるタスクは見込み顧客の抽出や訪問リストの作成、営業メールの配信拡大などが挙げられるでしょう。端から大きい課題を解決しようとせず、複雑な問題や目標を細分化することで、主要課題クリアに向けた具体的なアクションを実行できます。
タレントマネジメントにおいても、ロジックツリーを活用することにより、全体の構造や関連性を理解しやすくなるのです。
▷ロジックツリーとは?種類別の作り方や具体例・活用するメリットを解説
SWOT分析
課題解消や計略を練るのに役立つSWOT分析は、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素からなるフレームワークです。強みと弱みは組織の内部要因に基づくものであり、機会と脅威は外部環境からの要因となります。
SWOT分析に沿ってタレントマネジメントを行えば、長所をさらに伸ばし、短所は改善することが可能です。自社の強みが技術力なら、若手の育成や異部署との交流を促すことで、技術革新を図る施策がとれます。弱みへの対策としては、該当部門における評価基準の見直し、教育の水準を上げるなどが例でしょう。外部要因である市場環境や顧客ニーズの変化もあわせることで、より的確なタレントマネジメントの実践につなげられます。
▷SWOT分析とは?目的ややり方・具体例からわかるメリットを解説
TOWS分析
TOWS分析もSWOT分析と同様に強み、弱み、機会、脅威の各要素を相互に組み合わせ、具体的な戦略を導き出す手法です。
TOWS分析は、単にSWOTの要素をリストアップするだけでなく、それらを具体的な行動や戦略へとつなげるためのフレームワークと言えます。そのため、タレントマネジメントをより丁寧に具体性をもった施策へと昇華できるでしょう。
▷TOWS分析とは?読み方や活用事例・SWOT分析との違いを解説
ひし形モデル
ASTD(米国人材開発機構)が推進しているひし形モデルは、以下8つの要素のバランスをとりながら運用するフレームワークです。
- 組織開発
- 業績管理
- 人材獲得
- 人材定着
- 後継者育成計画
- 評価
- キャリア開発
- チームと個人の育成
ひし形モデルを用いることで、組織全体の方向性を一貫して示し、満遍なく施策を実行できるため、社内にタレントマネジメントを浸透させたい時に役立つでしょう。
PDCAサイクル
PDCAサイクルはプラン(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、アクション(Action)の4つのステップから成り立つフレームワークです。
「プラン」で立てた目標や課題、およびその解決策を「実行」で行動に移し、「チェック」でその結果を評価します。「アクション」では、評価に基づき次の行動や改善策を決定します。このサイクルを繰り返し行うことで、持続的な改善を追求する文化を育むことができ、業績の向上や品質の確保を目指せます。
PDCAサイクルで効果を適切に評価し、改善策をもとにステップアップを図ることで、より良い施策へとつなげられるでしょう。
▷PDCAとは?サイクルを回す意味や具体例・失敗する原因をわかりやすく解説
PPM
PPM(Portfolio Project Management)は、従業員や事業を重要な資源と捉えて人材の管理や配置などを最適化する手法です。部門や製品ごとに区分けを行い、「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つにそれぞれ当てはめます。分類は、市場成長率や市場占有率に基づいて決定します。
PPMにより、投資対効果の高いプロジェクトを特定し、リスクを適切に管理することで、タレントマネジメントの効果を最大化することが可能となります。
タレントマネジメントを導入するメリット
タレントマネジメントの導入には多くのメリットがあり、組織の競争力を高める要素として注目されています。具体的なメリットを知ることで、導入効果を正確に理解しましょう。
人材配置を最適化できる
タレントマネジメントの導入により、組織内の各人材の特性、強み、スキルを詳細に把握することが可能となります。この情報を活用すれば、人材がもつ能力や適性に合致するポジションへの配置が可能です。
適切な人材配置により、社員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるでしょう。組織全体の生産性や効率性が向上することはもちろん、人材のモチベーションも高まり、職務満足度や離職率の改善にも寄与します。
人材育成を計画的にできる
人材育成を計画的に進められるのも、タレントマネジメントのメリットです。
タレントマネジメントによって、社員ごとにどのようなスキルを身に付けたいのか・どういったキャリアを形成したいのかなどを把握できるため、個別の育成プランや研修プログラムの策定に役立ちます。計画的な人材育成で得たデータは、新たな教育方法や引き継ぎプロセスなどに反映できるでしょう。
社内で埋もれている人材を発掘できる
タレントマネジメントに取り組むことによって、個人レベルで従業員のスキルやポテンシャルを把握できるため、これまでには見つけられなかった人材の適性を発掘できます。
適性を把握して最適なポジションに人材配置をすることで、従業員にとってはやりがいや成長を実感でき、企業にとっては新たな人材を採用するコストや負担が軽減されるでしょう。
スピーディーに事業展開できる
適切な人材配置は従業員ごとの適正やスキルなどを把握しておく必要があり、正確に把握するにはまとまった時間がかかってしまいます。
しかし、タレントマネジメントを導入することで素早く正確に人材のスキルを把握し適切に人材を配置できるため、スピーディーな事業展開が可能となります。市場の変化やビジネスチャンスに柔軟に対応できるでしょう。
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フレームワークを活用しタレントマネジメントを成功させよう
タレントマネジメントの成功は、組織の競争力を向上させる鍵となります。そのための強力なツールが、フレームワークです。フレームワークを活用すれば、戦略的かつ体系的に人材を管理・育成するためのタレントマネジメントを実践できます。
適切なフレームワークを選択し、組織の文化やニーズに合ったタレントマネジメントを展開してください。
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