タレントマネジメントとは?仕事内容や目的・期待効果を紹介

最終更新日時:2023/03/17

タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントとは

限られた人材を最大限に活用するために必要なタレントマネジメント。しかし、タレントマネジメントとは一体どのようなマネジメントなのかわからない方も多いでしょう。そこで本記事では、タレントマネジメントについて仕事内容や期待できる効果などを徹底解説していきます。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、従業員の能力や経験などの情報をもとに人材配置や人材育成を行うマネジメント方法です。社員のパフォーマンスを最大限引き出したり、企業の成長につなげたりできます。

「タレント」は「才能がある人(従業員)」と「才能・素質」の2つの意味があり、タレントマネジメントは書籍「THE WAR FOR TALENT」によって提唱された概念です。

タレントマネジメントの仕事内容

タレントマネジメントは、「人事戦略そのもの」に近いです。採用管理や人事評価・人材育成など、人材領域のすべてに関係しています。しかし人事戦略は人事課題や目標によって異なるため、企業によって仕事内容も変わります。そのため、特定のアクションを起こせばタレントマネジメントをおこなったことになるわけではありません。

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タレントマネジメントをおこなう目的

タレントマネジメントをおこなう目的は、主に以下の2つです。

  • 企業を継続的に成長させるため
  • 人材を適切に配置するため

企業を継続的に成長させるため

タレントマネジメントをおこなう目的は、企業を継続的に成長させるためです。企業の継続的な成長には、社員一人ひとりが最大限能力を発揮し、高いパフォーマンスで仕事をしなければなりません。

そのためには、企業が社員一人ひとりのスキルや経験を把握し、適切な業務の割り当てや育成方法の工夫が必要です。タレントマネジメントは社員の才能や資質を理解・把握したうえでおこなうマネジメント手法です。したがって、企業を継続的に成長させたい経営者や人事担当者から注目されています。

人材を適切に配置するため

適切な人材の配置が目的で、タレントマネジメントを導入する企業もあります。人材を適切に配置できないと、社員が持つ能力を最大限生かしきれません。せっかく持っている能力を生かせないのは、企業にとっても大きな損失です。また人材に適した業務でないと、社員のモチベーションの低下につながる可能性もあります。

したがって、経営するうえで人材の適切な配置は非常に重要です。そこで社員の能力や経験値を可視化するタレントマネジメントを導入して人材配置の問題を解決し、業績や社員パフォーマンスの向上を目指す企業が増えています。

タレントマネジメントが注目されている背景とは

タレントマネジメントが注目されている背景は、主に3つです。

  • 少子高齢化により労働人口が減少しているため
  • 労働者の価値観が多様化しているため
  • 経営戦略が目まぐるしく変化しているため

少子高齢化により労働人口が減少しているため

少子高齢化により労働人口が減少しているため、今までのように社員の大量採用が難しくなりました。そのため、在籍している社員のポテンシャルを引き出したり、人材配置を工夫したりして、生産性を向上しようと考える企業が増えています。

また企業は、少ない新卒社員の中からできるだけポテンシャルが高く企業にマッチした人材を採用する必要があります。そのためには、社内でどのような人材が必要かを知っておかなければなりません。その際にタレントマネジメントをおこなえば、どのポジションを募集すべきか、どのような能力を持った人材を採用すべきかが把握でき、効率的な採用活動がおこなえます。

労働者の価値観が多様化しているため

労働者の価値観が多様化している点も、タレントマネジメントが注目されている理由のひとつです。近年では終身雇用制度が崩壊しつつあり、転職が一般化し時短勤務や在宅勤務をおこなう人が増えています。とくにワークライフバランスを重視する人が増えたため、企業は生産性の向上や業務の効率化が求められているのが現状です。

タレントマネジメントをおこなえば人材を適切な部署に配置できるため、生産性の向上につながります。また社員は自分の能力や経験を活かせる仕事ができるため、モチベーションが向上することで人材の定着にもつながるでしょう。

経営戦略が目まぐるしく変化しているため

グローバル化や急速なテクノロジーの進化で、社会経済が目まぐるしく変化しています。将来の予測も困難となっており、変化へ柔軟に対応できる人材の採用や育成が必要です。

タレントマネジメントで個々の能力を把握・管理すれば、経営戦略に合わせた人材配置や業務内容を柔軟に変更できます。また経営戦略の変化に対して必要な人物像をすぐに把握できるので、効率的な採用活動が可能です。

タレントマネジメントのメリット・デメリット!導入を検討している人は必見!

タレントマネジメントの導入効果

タレントマネジメントを導入することによって様々な効果が得られ、企業にとってもプラスの要因となります。ここからは具体的に期待できる効果について紹介していきます。

タレントのモチベーション向上

タレントマネジメントは、社員の能力や経験値など特性を見ながら人材の配置や育成をおこなう手法です。社員の適性にあった仕事を割り振れるので、取り組みやすくやりがいを感じられます。

また社員のレベルに応じた目標設定がおこなえるため、モチベーションの向上が可能です。仕事に楽しさややりがいを感じると、モチベーションを維持したまま業務をおこなえるでしょう。

タレントのスキル・能力の向上

タレントマネジメントの導入は、社員のスキル・能力の向上も期待できます。なぜなら、社員の強みと弱みを理解し、効率的に育成できるからです。伸ばすべきところと強化すべきところは社員によって異なります。

それぞれに適したアプローチをとることで、社員のスキルや能力の向上につながるでしょう。また、企業が求める人材との差を把握できるので、理想の社員へと育てやすくなる効果もあります。

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タレントマネジメントの導入手順・7つのステップ

タレントマネジメントを導入する際には適した手順があり、正しい手順に沿って導入していけば効果の最大化が期待できます。

それぞれの手順を具体的に紹介するので、導入時にやるべきことや手順をイメージしておきましょう。

1.導入目的の設定

最初に、タレントマネジメントの導入目的を設定しましょう。導入目的を設定するには、自社の課題を把握する必要があるため、現状の問題点の洗い出しから始めてください。

自社にどのような問題点があるかが理解できれば、タレントマネジメントの導入自体が目的になることを防げます。自社の課題や問題点を把握したあとに、経営理念や戦略から何を目的に導入するのかを検討しましょう。

2.人材情報の可視化

導入目的を設定したら、自社にどのような人材がいるのか確認するために人材情報の可視化をおこなってください。学歴・経歴・保有資格・目標・自己評価・これまでジョインしたプロジェクトとその成果など、さまざまな情報を可視化します。さらにセグメント分けをして整理しておくと効率的に人材情報の可視化ができます。

人材情報の可視化を具体的におこなうと、タレントの発掘がしやすくなります。また自社に不足している人材も把握できるため、採用活動も効率的におこないやすくなるでしょう。なお人材の情報は常に最新情報になるよう、定期的に更新することも忘れないでください。

3.タレントの発掘

人材情報の可視化をしたら、タレントの発掘をおこないます。タレントマネジメントの導入目的を設定する際に、必要な人物像が見えてくるはずです。企業全体で必要な人物像もあれば、部署ごとに必要な人物像もあります。

可視化した人材情報の中から必要な要素を持つ社員や、育成で必要な条件を満たせる社員を抽出してください。大企業ほど社員一人ひとりの把握が難しいため、抽出後はタレントごとにグループ分けしておくことをおすすめします。

4.育成計画の立案

タレントを抽出したら、育成計画を立案しましょう。必要な人物像とのギャップを埋めるために何をすべきか検討します。研修・勉強会の設定や1on1ミーティングのスケジュールなど、いつまでに何をするかを明確にしてください。社員や経営陣のスケジュールも考慮しながら育成計画を立てましょう。

また人員不足が顕著にも関わらず人材の育成に時間がかけられない場合は、新規採用も視野に入れてください。一方で大企業の場合は、グループによっては人材が充足していることもあるので、その場合は配置の変更も検討しましょう。

5.人材の配置

育成計画を立案したら、計画に沿った人材の配置をおこないます。配置後は現場管理者が、「タレントマネジメントで十分に能力を発揮できているか」「スキルアップにつながっているか」「モチベーションはどうか」など、細かくタレントの状況をチェックします。

現場管理者がタレントの状況を把握できないと、タレントマネジメントの意味がありません。また現場管理者がタレントマネジメントに理解がないと、タレントの情報蓄積も形骸化してしまう恐れがあります。現場管理者と連携して、タレント情報の更新はこまめにおこなってください。

6.成果の評価

人材の配置を実施した後は、成果の評価をおこないましょう。人材配置で企業の業績がどのように変わったか、業績に対して社員がどのように貢献したのかを確認します。

また、人事配置の前後でどのように変化したかを比較することも大切です。必要に応じて育成計画を変更や再配置も視野に入れて見直しをおこないます。しかしタレントマネジメントはすぐには成果が出ないため、長期的な視点でチェックしましょう。

7.リテンションの実施

リテンションとは、人材の定着や社員の継続的な活躍を促す施策です。社員が長く働けるように個人のコンディションに関わる情報を集め、適切なタイミングでサポートをおこないます。

また社員の成長度合いを確認して適切にフォローをおこない、スキルアップを図ることも有効です。スキルアップでスムーズな業務や目標達成ができれば、モチベーションが上がります。社員のモチベーションを上げることは、人材の定着にもつながります。

タレントマネジメントを導入する際の注意点

タレントマネジメントを導入する際の注意点は主に3つです。

  • 部下が成長できる組織風土を醸成する
  • 手段が目的にならないよう意識する
  • 人材情報は常に最新の状態を保つ

ここではそれぞれを具体的に解説します。

部下が成長できる組織風土を醸成する

タレントマネジメントを導入する際には、部下が成長できる組織風土の醸成が大切です。日本では年功序列が一般的だったため、企業によっては「勤続年数が長くなれば自然によいポジションにつける」と考えられています。

しかしタレントマネジメントは、能力の高い社員を育成し適切なポジションを与える手法です、したがって従来おこなってきた日本の雇用制度のままではうまく機能しません。社員の協力を得ながら部下が成長できる組織風土を醸成できるかどうかが、成功のポイントといえます。

手段が目的にならないよう意識する

タレントマネジメントを導入する際には、必ず目的を明確にしておきましょう。

導入後に失敗する多くの企業は、タレントマネジメントをすること自体が目的になってしまっているからです。手段が目的にならないためには、なぜタレントマネジメントをおこなうのかを意識してください。

人材情報は常に最新の状態を保つ

タレントマネジメントを行う際は、常に人材情報を最新にしてください。人材情報を更新していないと、古い情報のままタレントマネジメントをおこなうことになります。

時間が経つと社員一人ひとりの能力や経験値なども変化します。したがって、こまめに人材情報を更新しないと、適切な人材配置や人材育成ができなくなります。また社員のモチベーションや生産性の低下につながる可能性もあるでしょう。常に最新の人材情報を登録できるような仕組みづくりが重要です。

タレントマネジメントの導入事例

タレントマネジメントの目的やメリット・デメリットを紹介しました。しかし実際に導入すると、どのような効果が得られるのか事例を知りたいと考えている方もいるはずです。ここでは、タレントマネジメントを導入した事例を2社紹介します。

株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスがタレントマネジメントを取り入れた理由は、企業としてより大きな成長をするためには「人」の力をより引き出す必要があると考えたからです。同社では、今まで通りのやり方では急激な成長が難しいと考えタレントマネジメントを導入しました。

株式会社ニトリホールディングスでは、「配転教育」という独自の教育方針をベースにタレントマネジメントをおこなっています。配転教育とは数年で部署移動をおこなう仕組みで、専門性を高めることを目的として異動をおこなっています。

社員に将来のビジョンを描いてもらい、そこから逆算してさまざまな部署に配属させ必要な業務を学べるようにします。配転教育の狙いは、さまざまな部署で知識や経験を蓄え社員の可能性を広げることです。社員一人ひとりの専門性を高めた結果、社員1人あたりの付加価値額が約2,200万円と業界平均の3倍強になりました。

サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社では、ダイバーシティ経営を掲げており「全社員型タレントマネジメント」をおこなっています。

個人の適性やキャリア志向にあわせて社員一人ひとりが活躍できる場を用意するために、配置の希望を申告できる制度やキャリアビジョンシートの導入、キャリアプランを実現するための話し合いを導入しました。その結果、2019年の組織風土調査では、仕事にやりがいを感じている社員の割合が76.2%と高い水準になっています。

タレントマネジメントの効果や目的を押さえておこう

タレントマネジメントは、企業の継続的な成長や人材の適切配置を目的にしたマネジメント手法です。タレントマネジメントを導入することで、モチベーションやスキル・能力の向上が期待できます。

ほかにも、人材の定着や生産性向上・業績アップなども期待でき、変化の激しい時代に対応できる人材の育成が可能です。今後タレントマネジメントの導入を検討している企業は、本記事を参考にして検討をしてみてください。

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