タレントマネジメントの市場規模は?拡大している理由と注目されている背景
年々市場規模が拡大しているタレントマネジメント。しかし、タレントマネジメントの市場規模がなぜ拡大しているのかが分からない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、タレントマネジメントの市場規模について、拡大理由や将来性などを徹底解説していきます。
目次
タレントマネジメントとは?
タレントマネジメントとは、企業に所属する人材の能力を一元管理し、適切な人材配置や人材開発を行う人材マネジメントの手法の一つです。今いる人材を最大限活用し、企業は目標設定した経営目標を達成することで企業の発展を目指します。
経営目標を達成するためにも、従業員一人ひとりの能力を最大限発揮させるタレントマネジメントは必要です。近年では、公平に従業員を評価するためにタレントマネジメントシステムを活用する企業も増えています。
タレントマネジメントシステムを導入することで、全従業員の情報が集約されて効率的な人事業務が行えるほか、人材のパフォーマンスを最大化できます。
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タレントマネジメントの国内市場規模
タレントマネジメントは近年注目を集めていますが、国内の市場規模やシェアの状況はどのようになっているのでしょうか。ここからは、タレントマネジメントの国内市場規模を解説します。
市場規模
株式会社矢野経済研究所が2021年に発表した、国内の「タレントマネジメントシステム市場規模推移・予測」によると、2020年のタレントマネジメントシステム市場は前年比22.1%増となる180億9400万円にのぼります。
市場規模が拡大している要因として、導入コストが安く運用が容易であること、UIやUXが向上してファンが増えていることなどがあげられている点が特徴です。中小企業を中心としてニーズを拡大しながら、大企業でも導入が進んでいます。
2021年のタレントマネジメントシステム市場は、前年比20.2%増の217億5000万円になると予測されており、今後も市場規模はさらに拡大していくと考えられています。
[出典:株式会社矢野経済研究所「HCM市場動向に関する調査を実施(2021年)」]
企業規模別の導入状況
日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書 2023」によると、売上高別のタレントマネジメント導入状況は、売上高1兆円以上の企業では2022年度の導入済みが60%、試験導入中・導入準備中が17.5%となりました。
一方で、売上高が1兆円未満の企業では導入済みが30%以下となっています。
売上高によって導入状況に大きな差があるように見えますが、前年度と比べて導入する企業は増加しており、売上高の規模を問わずタレントマネジメントの導入が進んでいることが分かります。
[出典:日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書 2023」]
業界別の導入状況
同じく日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書 2023」によると、2022年度にタレントマネジメントシステムの導入が最も進んでいたのは金融・保険業で、導入済みの割合が23.8%となりました。
次に導入済みの割合が高いのは社会インフラ業で23.3%、卸売業で18.8%となっています。導入済みの割合が少ないのは基礎素材型製造業の9.5%で、業界によってタレントマネジメントの普及率は大きく異なっています。
[出典:日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書 2023」]
タレントマネジメントの海外市場規模
続いて、海外でのタレントマネジメントの市場規模やシェアの状況について詳しく見ていきましょう。
市場規模
Grand View Research社の調査によると、世界の人材管理市場の規模は2021年に53億ドルドルだったものが2030年には12.8%伸長することが予測されています。
この調査結果から、日本だけではなく海外でもタレントマネジメント市場の拡大が見込まれていることがわかります。
[出典:Grand View Research社「Human Resource Management Market Size Report, 2030」]
日本と海外のタレントマネジメントの違い
日本と海外では、タレントマネジメントの活用方法に大きな違いがあります。
ポジションに人材を配置するジョブ型雇用を設定している欧米では、ポジションの適任者を確保・育成するためにタレントマネジメントシステムを活用する傾向があります。
一方で、日本はメンバーシップ型であり、すでに在籍している人材の配置にタレントマネジメントシステムを用いている点が大きく異なる特徴です。
そもそもタレントマネジメントはアメリカが発祥であり、日本でそのまま活用すると日本の制度とズレが生じてしまうため、活用方法も異なっています。
タレントマネジメント市場が拡大している理由
近年、タレントマネジメント市場が急速に拡大している背景には、どのような理由があるのでしょうか。ここでは、主な理由を3つ紹介します。
働き方が多様化しているため
日本でも働き方改革が推進され、コロナ禍以後はリモートワークなど多様な働き方が浸透しました。また週4日勤務やフレックスタイムなどの拡大によって画一的な働き方が減っていく中で、企業の人材が能力を最大限発揮していくためには人材の管理が不可欠です。
慢性的な人手不足で変わりつつある働き方に対応する方法として、タレントマネジメントは市場拡大を続けています。
転職が当たり前となり人材が流動しているため
終身雇用や年功序列といった日本型の雇用制度が徐々に崩れ、人材が流動しています。そのため人々にとって転職は大きな決断ではなく、「当たり前のこと」として定着しつつあります。
転職が当たり前となった現代において、能力ある人材の確保・育成・配置は人事領域で欠かせない要素です。転職市場が変化しているため、人材の管理育成に役立つタレントマネジメントの市場が拡大しています。
テクノロジーが急激に普及しているため
クラウド型ツールなどさまざまなITツールが導入されており、テクノロジーの普及でさまざまな能力を持った人材がいます。
スキルフルな人材を確保し、管理して育成するためにタレントマネジメントは不可欠です。テクノロジーの普及や取り扱える人材の管理も、タレントマネジメントの市場が拡大している要因です。
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タレントマネジメントの将来性
タレントマネジメントは、今後どのように展望していくのでしょうか。ここからは、タレントマネジメントの将来性について解説します。
人的資本経営への注目
人的資本経営とは、人材を資本として捉えて価値を最大限に引き出すため投資を行い、中長期的に企業価値の向上へとつなげる手法のことです。
近年では人的資本経営がトレンドとなっており、従業員のスキルや育成状況などを可視化することが求められています。
タレントマネジメントを導入すれば、全従業員の情報や現在の育成状況などがすべて可視化できるため、人的資本経営を実現することを目的に導入する企業が増えていくと予想されています。
戦略人事の拡大
戦略人事とは、経営戦略の実現のために人的資本である従業員の人材マネジメントを行うことです。具体的には、自社が求める人材像に育成したり、適切な人材配置を行ったりします。
近年では、経営戦略に人事部が関与する戦略人事が重要視されるようになり、従業員のスキルを可視化して公正な評価が行えるタレントマネジメントの必要性が高まっています。
タレントマネジメントシステムの進化
タレントマネジメントの導入数増加に伴い、タレントマネジメントシステムも進化してより利便性が高まっています。そのため、タレントマネジメントとシステムのどちらも導入する企業が今後も増えることが予測されています。
近年では働き方も多様化しており、従業員の管理が煩雑になるためシステムを活用せずにタレントマネジメントを行うのは非効率です。
タレントマネジメントシステムを導入すると、従業員一人ひとりの能力やスキルなどを可視化しやすくなるだけではなく、外部システムと連携して人事業務やそのほかの業務をより効率化することが可能です。
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タレントマネジメントの市場拡大の理由を押さえておこう
本記事では、タレントマネジメントが市場を拡大しつつある理由や、注目を集めている背景について解説しました。
さまざまな能力を持った人材が登場する中で、人材の一元管理は企業にとって課題といえます。適切な人材配置や育成に力を入れていきたい場合には、タレントマネジメントの導入を検討してみてください。
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