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オフィス移転にかかる費用相場はどのくらい?概算費用や内訳・コストを削減する秘訣を解説

2024/06/27 2024/06/28

働き方改革

オフィス移転の費用

オフィス移転にはまとまった費用が必要です。企業の規模や移転する立地によって費用は異なりますが、一般的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか?本記事では、オフィス移転にかかる費用相場やその内訳の概算に加え、コストを削減する秘訣などを詳しく解説します。

オフィス移転にかかる費用

企業のオフィス移転にかかるコストは、一般的な相場を把握することが難しい分野です。なぜなら、オフィスの規模や従業員数、必要な什器の数や不動産相場などによって、数十万円~数千万円までコストが変動するためです。

しかし、コストの試算方法については一定の基準が存在しますので、本記事で詳しく解説していきます。

旧オフィス退去費用の内訳・相場

現在使用しているオフィスから退去するためには、工事費用や廃棄費用などが必要になります。主な費用項目と金額の目安は、以下のとおりです。

費用内容目安
原状回復工事費内装などを入居前と同じ状態に戻すために行う工事の費用6~8万円/坪(大型ビルの場合は10~12万円/坪)
引っ越し費用什器や書類などを新しいオフィスに移動させるための費用2~5万円/従業員1人
不用品廃棄費移転に伴う不用品を処分するための費用7~8万円程度/2トン車1台、12~15万円程度/4トン車1台

それぞれの費用項目について、詳細を解説します。

原状回復工事費

原状回復工事費とは、物件を入居前と同じ状態に戻すために必要な工事の費用です。

例えば、パーティションや看板、電話線の撤去や床の補修などが、原状回復工事費の代表例として挙げられます。原状回復の責任範囲は契約書に詳しく記載されているため、退去コストを試算する際には改めて確認しておきましょう。なお、原状回復工事は原則として、ビルオーナーが指定する工事会社に発注することが通例です。

費用は坪6〜8万円程度が一般的ですが、大型ビルであれば坪10~12万円程度を見込んでおいた方がよいでしょう。入居後に大きく間取りを改装しているケース、あるいは摩耗を伴うような使い方をしていた場合には、さらに費用が増す可能性もあります。

引越し費用

引っ越し費用は、机やイス、棚や書類などを新しいオフィスに移動させるためにかかる費用です。

従業員1人につき2〜5万円が相場ですが、引っ越し業者が繁忙期だと料金が上がるケースもあります。また、現オフィスから新オフィスまでの距離やエレベーターの有無、運搬量でも費用は変動します。事前に複数の引っ越し会社から見積もりをとるようにしましょう。

コストを抑えるために、従業員自らの手で引っ越しを行う会社もありますが、荷物を落として破損させたり建物の壁を傷つけて賠償金を請求されるなどのリスクがあるため、引っ越し会社への依頼をおすすめします。

不用品廃棄費

不用品廃棄費は、オフィス移転に伴い廃棄が決まった什器などを処分する費用です。

廃棄する不用品の量で費用は異なり、2トン車1台分であれば7〜8万円、4トン車1台分であれば12〜15万円程度が相場でしょう。

ただし、不用品のうち産業廃棄物に該当する備品は、産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に運搬・廃棄を依頼しなければなりません。また、個人情報などが記載された書類は、溶解サービスの利用が必要となるので、別途費用がかかります。

什器によっては、中古品の買い取り業者が買い取ってくれる可能性もあるので、移転費用を抑えるために利用を検討してもよいでしょう。

オフィス移転時のチェックリスト|流れやスケジュール・コスト削減のポイント

新オフィスの入居費用の内訳・相場

新オフィスに入居するにあたって発生する主な費用とその目安を、以下の表にまとめました。

移転計画を立てる際に活用してください。

費用内容目安
敷金・礼金敷金は家賃滞納や退去時の原状回復に備えて払う費用。礼金はオーナーに対する謝礼。
  • 敷金
    大手ビル:家賃の6~12か月分
    個人オーナー:家賃の3~6か月分
  • 礼金
    個人オーナー:家賃の1~2か月分
保証委託金保証会社を利用する場合に、保証会社に支払う費用賃料・共益費の半月~1か月分
仲介手数料不動産会社に支払う手数料家賃の半月~1か月分
火災保険料火災や災害に備えて保険会社に支払う保険料2~3万円程度(2年契約の場合)
前賃料当月分の賃料家賃の1~2か月分

それぞれの費用項目について、詳細を解説します。

敷金・礼金

敷金とは、家賃滞納や退去時の原状回復に備えて、前もって支払っておく預け金であり、礼金とは物件ビルのオーナーに謝礼として支払う慣例的な費用を指します。

敷金の目安は、大手ビルの場合は家賃の6〜12か月、個人オーナーの場合は家賃の3〜6か月だと言われています。礼金の目安については、個人オーナーの場合は家賃の1〜2か月分が多く、大手ビルの場合には支払う必要がないケースも多く見られます。

敷金、礼金ともに、オフィス規模によって金額は大きく変動します。敷金は退去時に全額返金される場合もありますが、契約で別途「償却〇か月」と決められている場合には、〇か月分は確実に返却されないシステムです。

保証委託金

保証委託金は、保証会社を利用する時に発生する費用です。金額の目安は賃料・共益費の半月〜1か月分程度ですが、保証会社によっても異なります。

ビルのオーナーの意向や敷金の低減条件などにより、保証会社を利用しなければならないケースがあるので、賃貸契約を結ぶ前に保証委託金の有無をチェックしましょう。

仲介手数料

物件を仲介した不動産会社に支払う費用であり、家賃の半月〜1か月分が目安です。

最近では、仲介手数料が無料の会社も増えていますが、その条件では紹介される物件が限られる場合があります。物件を探す段階から仲介手数料の有無を意識するようにしましょう。

火災保険料

火災保険料は、火災や災害により建物などが被害にあった場合に備えて、保険会社に支払う保険料です。

法的な要請から、オフィスを借りる際には必ず加入しなければならない保証です。費用の目安は、2年契約で2〜3万円程度ですが、条件や補償内容で金額は変わります。

前賃料

入居した月の賃料、または入居した月と翌月分の賃料で、契約に含まれている場合は支払う必要があります。家賃の1〜2か月分が目安です。

新オフィスの構築費用の概算

移転先で業務を行うためには、新オフィスの構築を済ませる必要があります。そのために必要となる、内装工事や什器購入などの代表的な費用概算は、以下の通りです

費用内容目安
内装・設備工事費オフィスの内装や電気、空調に関する工事費用
  • 内装工事費用:5~20万円/坪
  • 設備工事費用:20~35万円/坪
電話・通信ネットワーク工事費電話工事やLAN工事にかかる費用5~15万円/従業員1人
オフィス家具購入費机やイスなど新たに什器を購入する費用5~30万円/従業員1人(新調する場合)
その他諸費用住所変更に伴う手続き、印刷物の刷り直しにかかる費用など
  • 住所変更の手続き:10~20万円(司法書士に依頼する場合)
  • 印刷物の刷り直しやIDカードの導入など:1~2万円/従業員1人

それぞれの費用項目について、詳細を解説します。

新オフィスの内装・設備工事費

一般的なオフィスの場合、内装工事費用は坪単価5〜20万円、設備工事費用は坪単価20〜35万円程度を見込んでおきましょう。

内装工事費用の内訳は、パーティションの設置やカーペットの張り替えなどの費用です。なお、レイアウトやデザインにこだわった内装を希望すると、より多くの費用がかかる傾向があります。また、発注先を入居者が選べる場合と、ビル指定業者に発注しなければならない場合でも費用は異なります。

設備工事費用の内訳は、電気や空調、防災などの設備に関わる費用です。パソコンやプリンターなど電気機器をスムーズに使えるようにするためにも、非常時に従業員の安全を守るためにも、適切な設備工事は欠かせません。

電話・通信ネットワーク工事費

電話工事やLAN工事の費用は、従業員1人あたり5〜15万円が目安です。

電話工事費用は、主に電話機の設置数で決定されます。また、LAN工事は有線・無線LANのどちらを選ぶかによって費用が変わるため、オフィス移転前に十分に検討しておきましょう。

オフィス家具購入費

オフィスの移転に合わせてデスクやイス、棚などのオフィス家具を新たに購入する場合には、従業員1人あたり5〜30万円程度の支出が考えられます。

会議室の数やリフレッシュスペースの有無などで、必要なコストは大きく変わります。近年では、従業員の満足度向上や健康維持を目的に、デザイン性や機能性の高い什器を選択する企業も少なくありません。そうした什器を選ぶと、コストはさらに上昇します。

その他諸費用

オフィスの移転には、住所変更の手続きや印刷物の刷り直しなど、その他にもさまざまな費用が発生します。

移転の際には、法務局や税務署、年金事務所や労働基準監督署などの公的機関への所在地の変更通知が求められます。この作業を司法書士に依頼すると、10〜20万円の費用がかかるでしょう。

また、名刺や封筒、パンフレットやノベルティなど、住所を印刷している印刷物も刷り直さなければなりません。従業員が使用するIDカードやセキュリティカードも新たに作成する必要があります。さらに、取引先への移転の案内状の作成・郵送費も考慮すると、これらの諸費用として従業員1人あたり1〜2万円程度を見込んでおきましょう。

オフィス移転時の総務がやるべきタスク一覧|スムーズに進めるポイントや注意点

オフィス移転のコストを削減する秘訣

オフィスの移転には、多くの費用がかかります。コストを削減するポイントを以下に紹介しますので、移転の計画を立てる前にご一読ください。

旧オフィスの家具・備品を継続して利用する

移転前のオフィスで使用していた家具や備品を引き続き利用すると、コスト削減に効果的です。まだ使用できる家具や備品については、できる限り移転先でも活用するようにしましょう。

ただし、家具や備品のサイズが大きく移設に費用がかかるケースや、新旧オフィス間の距離が離れているケースなどでは、新たに購入した方が費用を抑えられる場合もあります。引っ越し費用と購入費用を比較したうえで、柔軟に決定してください。

オフィスの縮小化を図る

新オフィス構築にかかる工事費用や家賃を削減するには、オフィスの縮小化が極めて有効です。

新型コロナウイルス感染症の流行を機にテレワークを導入した企業は、多くがオフィスの縮小化によるコスト削減を実行しています。同じ要領で、現在よりも小規模なオフィスに移転すれば、家賃の削減など以外にも、複合的なコスト削減が見込めるでしょう。

また、オフィス業務のペーパーレス化を推進すれば、紙の資料を保管するスペースの必要がなくなり、さらにオフィスの縮小化を後押しできます。

居抜き物件・レンタルオフィスを利用する

移転先を選ぶ際に、居抜き物件やレンタルオフィスを選択すれば、移転費用を大きく減らすことができます。

居抜き物件とは、自社の前に入居していた企業の内装や設備が、そのまま残されている物件を指します。内装工事や設備の購入が不要となるため、移転コストを大幅に減らせるメリットがあります。ただし、自社とまったく異なる業態の企業が使用していた物件の場合、レイアウトを変更するための工事が必要となり、かえって費用が高くつく恐れがあります。

また、レンタルオフィスやシェアオフィスを契約するという方法でも、すでに設備が整っているため、工事の手配や備品の購入をせずに済みます。契約後すぐに入居できるレンタルオフィスやシェアオフィスも多くあるため、従業員数の急激な増加による移転の際などに役立つでしょう。

ただし、賃貸物件に比べると月々の費用が高額になる可能性があるので、注意してください。

シェアオフィスとは?特徴や利用するメリット・コワーキングスペースとの違い

貸主にフリーレント交渉をする

フリーレントとは、一定期間家賃が無料となる契約です。仮にオーナーとの交渉によってフリーレントが実現すれば、一定期間家賃を支払わずに済みます。

一見すると、フリーレントは入居者側のみにメリットがある契約のようですが、実はオーナー側にも実利があります。なぜなら、空室率が高い物件の場合、入居者の確保はオーナーにとって急務であるためです。一定期間家賃を無料にしても、その後も入居し続けてくれるのであれば、長期的には費用対効果が見込めるのです。

フリーレントの実現は交渉次第ですが、もし賢くコスト削減を果たしたい場合には、オフィス賃貸の閑散期を狙ってオーナーと交渉することをオススメします。

複数の施工業者から見積もりをとって費用を比較する

業者に依頼をする前に、必ず複数の会社から相見積もりをとり、費用を比較しておきましょう。

複数の見積もりをとれば、おおよその相場を把握できるはずです。そして、見積もりを比較する際は、金額だけではなくサービス内容もしっかり確認してください。ただし、内装工事や設備工事を一社に任せることで、料金を大幅に値引きしてくれる可能性もあるので、作業を一括依頼した場合の見積もりも忘れずにとりましょう。

入居するビルによっては、指定された業者に依頼しなければならないケースもあります。指定業者の有無については、物件の契約段階で必ずチェックしておいてください。

助成金・優遇措置を活用する

国や自治体による助成金や優遇措置の中には、オフィス移転に活用できるものもあります。代表的な制度を紹介します。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業などが革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの省力化に必要な設備投資を支援するための補助金です。

ものづくり補助金の対象となる経費は、機械装置・システム構築費と定義されています。このカテゴリーには、機械・装置、工具・器具の購入はもちろん、改良・修繕や据付けに必要な経費が含まれています。ただし、工場建屋の取得費用や事務所の家賃、保証金や敷金、仲介手数料などは補助の対象にはならない点に注意しましょう。

[出典:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」]

地方拠点強化税制

地方拠点強化税制とは、企業が事務所や研究所、研修所などを対象地域に移転する場合に、税制優遇を受けられる制度です。

例えば、地方に本社機能を持つ施設を新設・増設した場合には、建物の取得価額に応じて、特別償却や税制控除を受けられます。また、地方で新たに従業員を雇用すれば、増加人数ごとにさらなる税額控除が発生します。

災害対策のために本社機能の分散を考えている企業などには、とても役立つ制度と言えるでしょう。制度の詳細については、以下リンク先の「内閣官房・内閣府総合サイト地方創生」にて確認してください。

[出典:内閣官房・内閣府総合サイト地方創生「地方拠点強化税制」]

敷金減額サービスを利用する

敷金減額サービスとは、オフィスを移転する際の敷金を減額するサービスであり、初期費用を抑えるメリットが見込めます。代表的なサービスが「敷金半額くん」です。

具体的には、保証会社がオーナーに対して敷金の回収を保証することで、契約時に発生する敷金負担が減額される仕組みです。大きなリスクなしに敷金による負担を抑えられるため、特にスタートアップ企業の悩みの種であるキャッシュフローの改善に貢献します。

\資料請求は完全無料!/

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オフィス移転は費用が膨らみ過ぎないよう計画的に進めよう

オフィスの移転には、敷金・礼金や引っ越し費用だけではなく、各種工事費用や不用品廃棄費など、多くの費用がかかります。

しかし、事前に複数の業者から相見積もりをとる、余裕のあるスケジュールを組むなどの工夫によって、コストを抑えたオフィス移転を進めることも可能です。各種の補助金や敷金減額サービスなども併用して、他社よりも賢いオフィス移転を実現してください。

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ビズクロ編集部
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