年末調整を税理士に依頼するメリット・デメリット|費用や依頼方法を解説
所得税額の過不足を調整するために行う「年末調整」。手続きや書類の準備など手間がかかるため、税理士に依頼するのが一般的ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では、年末調整を税理士に依頼するメリット・デメリットについて、費用や依頼方法とあわせて解説します。
目次
年末調整とは?
年末調整とは、毎年12月に企業が従業員の所得税額を再計算し、1年間に支払った税額が適正かどうかを確認する手続きです。会社員の場合、給与支払いの際に所得税が源泉徴収されていますが、この税額は概算であり、1年間に収めるべき税額と一致するわけではありません。
そのため、年末調整を行って本来の税額との過不足を調整する必要があるのです。従業員が税金を払い過ぎている場合は還付され、不足している場合は追加で徴収されます。
[参考:国税庁「No.2662 年末調整のしかた」]
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年末調整を税理士に依頼するメリット
年末調整を税理士に依頼することで、手続きの正確さや効率が大幅に向上します。ここでは、具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
年末調整をスムーズに行える
年末調整を税理士に依頼することで、煩雑な手続きをスムーズに進められるのがメリットです。年末調整や所得税法は頻繁に改正されるため、完全に把握することは難しいでしょう。
その点、税理士は専門知識を活かし、必要な書類の整備から計算までを効率的に行うため、ミスが起こる心配もなく、会社の税務コンプライアンスを強化することが可能です。これにより、法令に基づいた正確な対応ができ、後からの修正や追加対応のリスクを軽減することにもつながります。
所得控除などの適用漏れを防げる
年末調整を税理士に依頼することで、所得控除などの適用漏れを防ぐことができます。年末調整では、12の所得控除を受けることが可能です。これらは家族構成や保険加入の有無など、控除の種類によって要件が異なり、税の知識がない人が行うと適用されるべき控除を見落としてしまうことがあるかもしれません。
一方、税理士は最新の税制に精通しており、従業員が受けられる控除を正確に反映するため、税負担が適正に調整されます。
年末調整にかかる手間や人件費を削減できる
年末調整を税理士に依頼することで、企業は煩雑な手続きを外部に任せられるため、内部の手間や人件費を大幅に削減できます。従業員が自ら行う場合、時間と労力がかかり、他の業務に支障をきたすことも少なくありません。
税理士が代行することで、専門的な知識を活かして迅速かつ正確に処理され、企業はその分のリソースを他の重要な業務に集中できるのです。結果として、全体的な業務効率の向上が期待できます。
節税できる可能性がある
税理士に年末調整を依頼することで、節税のアドバイスを得られる可能性があります。プロフェッショナルな視点から、税制の最新情報を踏まえた最適な控除や申告方法を提案してもらえるため、無駄な税負担を減らすことができます。
個別の事情に合わせた節税対策を行うことが可能となり、企業や従業員にとって有利な結果が得られるでしょう。このようなサポートにより、税務コストの最適化が実現し、経営にプラスの影響を与えることも期待できます。
年末調整を税理士に依頼するデメリット
年末調整を税理士に依頼する際のデメリットとして、コストが発生する点が挙げられます。顧問税理士として契約する場合は、月額数万円からの顧問料が別途かかることもあります。
特に中小企業にとっては、大きな負担と感じる場合もあるでしょう。依頼前に費用対効果を十分に検討し、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
年末調整の税理士への依頼方法
年末調整を税理士に依頼する方法を2つ紹介します。
日本税理士連合会のホームページを活用する
年末調整を依頼する際には、日本税理士連合会のホームページを活用するのがおすすめです。日本税理士連合会に登録しているすべての税理士・税理士法人の情報を検索でき、条件に合った税理士を探すことができます。サイト内の検索機能を使えば、所在地や専門分野で絞り込むことが可能です。
また、サービス内容や料金体系を比較検討したい場合は、各税理士事務所のホームページも併せて確認しましょう。
[参考:日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト」]
税理士紹介サイトを活用する
税理士紹介サイトを活用することで、自社のニーズに合った税理士を効率的に探すことができます。電話やメールで申込めば、専任のコーディネーターが地域や依頼内容、予算など要望に合った税理士を紹介してくれるため、自社に最適な税理士を見つけることが可能です。
また、紹介サイトでは利用者のレビューや評価も確認できるため、安心して選ぶことができるでしょう。
年末調整を税理士に依頼した場合の流れ
ここからは、年末調整を税理士に依頼した場合の具体的な流れを見ていきましょう。
11月上旬に必要書類を税理士に提出する
年末調整をスムーズに進めるためには、11月上旬までに必要書類を税理士に提出することが重要です。具体的には、給与所得者の扶養控除等申告書、生命保険料控除証明書、住宅ローン控除に関する書類などが該当します。
多くの場合、必要な書類については事前に税理士から案内があるため、その通りに準備すれば問題ないでしょう。
11月下旬~12月に税理士による年末調整が行われる
11月下旬から12月にかけて、税理士による年末調整が行われます。提出された書類をもとに、税理士が従業員一人ひとりの所得税額を再計算し、過不足を調整します。
この時期は、不足している資料の提出を求められたり、確認事項を尋ねられたりする場合もあるため、適切に対応しましょう。
12月~1月に税金の追加納付または還付金を受け取る
12月から1月にかけては、年末調整の結果に基づいて税金の追加納付や還付金の受け取りが行われます。税理士が計算した結果、税額が不足している場合は追加で納付が必要となり、逆に払いすぎた場合には還付金が支給されます。
税金の納付または還付は給与に反映され、12月か1月の給与で徴収・還付をするのが一般的です。
年末調整を税理士に依頼した場合の費用
年末調整を税理士に依頼する場合の費用は、基本料金と従業員1人あたりの手数料で決まります。基本料金は1~3万円、1人当たりの手数料は1,000~3,000円前後が相場です。
このように、税理士の依頼にかかる費用は企業の規模によって異なりますが、従業員が少ない企業の場合は基本料金だけで対応してくれる税理士も存在します。
年末調整における税理士の選び方
最後に、年末調整を依頼する税理士の選定ポイントを紹介します。
費用・業務内容が明確である
税理士を選ぶ際には、費用や業務内容が明確に示されているかを確認しましょう。例えば、見積金額が明瞭でない場合、予期しない追加料金が発生するリスクがあり、予算オーバーにつながる可能性があります。
また、業務内容が曖昧だと、必要なサポートが受けられないこともあるでしょう。後々のトラブルを防ぐためにも、複数の税理士から相見積もりを取り、費用や業務内容を比較検討することをおすすめします。
連絡が取りやすい
連絡が取りやすい税理士を選ぶことは、スムーズな業務遂行のために重要なポイントです。年末調整の時期は、税理士と頻繁に連絡を取ることになるため、質問や確認事項が生じた際にすぐに連絡が取れる税理士を選ぶことをおすすめします。
事前にコミュニケーションの取りやすさを確認し、信頼できる税理士を選ぶことが大切です。
年末調整は信頼できる税理士に依頼しよう
年末調整は、企業にとって重要な業務の一つです。信頼できる税理士に依頼することで、手続きがスムーズに進み、正確な処理が行えます。本記事で紹介した選び方のポイントなどを参考に、自社にぴったりな税理士を見つけましょう。
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