年末調整で間違えたらどうなる?訂正方法や期限・訂正が必要なケース
年末調整は毎年行われる手続きですが、記入ミスや抜け漏れなど発生することも少なくありません。そのため、間違えた場合の対処法を把握しておくことが重要です。この記事では、年末調整の間違いの訂正方法や、期限などについて詳しく解説します。
目次
年末調整での記入を間違えたら?起こりうるリスク
年末調整に関する記入ミスは、税金の過不足の発生や追加の手続きが必要になるなどのリスクがあります。それぞれのリスクを見ていきましょう。
支払う税金が増える
年末調整に関する書類の記入を間違えると、本来よりも多くの税金を支払うことになりかねません。特に税額が不足していた場合、あとから不足分を追納するだけでなく、場合によっては延滞税や加算税が科される可能性もあります。
延滞税や加算税は期限内に正確に申告しなかった場合のペナルティであり、科された場合には予期せぬ負担となるでしょう。記入ミスを防ぐためには、早めの確認が重要です。
担当者の負担が増える
年末調整での記入ミスが発覚すると、担当者は訂正のための作業や再計算を行わなければなりません。これにより、通常業務の進行が遅れ、担当者の負担が大幅に増えることになります。
特に年末の忙しい時期には、訂正作業が重なると大きなストレスや、更なるミスを誘発する可能性もあります。こうした事態を避けるためにも、最初の段階での正確な記入を行うことが重要です。
社内で処理できなければ確定申告が必要
社内の提出期限を過ぎてから年末調整の記入ミスに気付いた場合、自身で確定申告を行う必要があります。
確定申告では必要書類の準備や税務署への申請を行うなど、年末調整の訂正よりも多くの手間と時間を要します。税金に関する知識が不足している場合は特に負担感が大きいと考えられるため、年末調整の段階で正確な手続きができるようにすることが重要です。
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年末調整の間違いを訂正する方法と期限
年末調整でのミスに気づいた場合、早急に訂正することが重要です。ここでは、具体的な訂正方法と期限について詳しく紹介します。
間違えた箇所は二重線で訂正する
年末調整の書類への記入ミスを訂正する場合は、間違えた箇所に二重線を引き、近くに正しい内容を記入します。
修正液や修正テープの使用は認められておらず、手書きでの訂正が原則です。二重線での訂正は、訂正箇所が明瞭であり、あとから確認しやすいためです。間違いに気付いた場合はすぐにこの方法で訂正しましょう。
訂正箇所が多ければ新規で作成する
訂正箇所が多い場合、二重線で取り消して修正するよりも、新しい用紙に正しい内容を記入して「修正申告」として再提出するほうが早い場合もあります。
ミスが多い場合、取り消し線や書き直しによって読みにくくなってしまうため、スムーズに手続きを進めるためにも、丸ごとの再記入が推奨されます。きれいに記入されているほうが担当者にもわかりやすいでしょう。
社内期限は源泉徴収票発行までが一般的
年末調整の最終的な提出期限は1月末ですが、社内での確認作業や処理が必要なため、訂正がある場合はなるべく早く対応する必要があります。具体的には、源泉徴収票が発行される前までに訂正を行わなければならないことが一般的です。
一度発行された源泉徴収票を訂正する手続きは複雑であり、時間もかかるため、できるだけ早めに間違いを修正する必要があるのです。
年末調整において間違いの訂正が必要なケース
年末調整のための書類に記入ミスや情報の誤りがある場合、訂正が必要です。具体的にどのような場合に訂正が必要となるのかを見ていきましょう。
情報の誤記入
年末調整のための書類への情報の誤記入は、訂正が必要なよくあるケースだといえるでしょう。氏名や住所、マイナンバーなどの基本情報が間違っていると、正確な処理が行われません。また、控除に関する情報なども、誤記入があると税額計算に影響が出るため、訂正が必要です。
これらの誤りに気付いた場合は、可能な限り早く訂正することで、余計な手続きや時間のロスを防ぐことができます。
扶養人数の変更
昨年から扶養人数の変更があった場合も、年末調整の記載を訂正しなくてはなりません。例えば、その年の途中で子どもが生まれたり、扶養していた家族が就職した場合など、扶養控除の対象が変わると、税額にも影響が出ます。
扶養人数が正しく反映されていないと、余計な税金を支払うことになりかねないため、早めに訂正することが大切です。変更があった場合は、訂正を忘れず、正確な情報で年末調整を行うよう注意しましょう。
配偶者の収入の変更
配偶者の収入に変更があった場合も、年末調整での訂正が必要です。配偶者の収入が増減したことで配偶者控除や配偶者特別控除の適用の有無が変わる場合、税額に大きな影響が出ることがあります。
収入の変動によって控除の条件を満たさなくなった場合や、反対に控除の適用を受けられるようになった場合、正しい申告に基づいて税額の変更が行われる必要があります。配偶者の収入状況が変わった場合は、しっかりと訂正を行いましょう。
新しい保険への加入
新しい保険に加入した場合も、年末調整での訂正を行いましょう。特に生命保険や医療保険などに加入した場合は保険料控除が適用されますが、申告が正確でないと適用を受けられない事態も発生します。
新しく保険に加入した場合や、保険契約内容が変更になった場合は、保険会社から送られてくる控除証明書を基に、訂正申告を行うことが大切です。正しい情報を申告して、無駄な税負担を避けましょう。
各種控除の記入漏れ
各種控除の記入漏れがあった場合も、訂正が必要です。例えば、生命保険料控除や医療費控除、住宅ローン控除などの申告を忘れると、本来受けられるはずの控除が適用されず、税金を多く支払うことになってしまいます。
控除は税額を抑えるための非常に有用な制度であるため、記入漏れが発覚した際には早急に訂正し、正確に申告することが重要です。漏れがないよう、必要書類を事前に確認してから提出しましょう。
【ケース別】年末調整の修正手順
年末調整でのミスが発覚した場合、迅速に対応することが何よりも大切です。ここでは、具体的なケース別の修正手順を紹介します。
扶養家族・親族を変更するケース
年末調整で扶養家族や親族に変更があった場合、必ずその変更点を申告しなければなりません。具体的には、扶養控除申告書の該当項目や扶養親族の情報欄を正確に記入し直す必要があります。
保険料・住宅ローン控除を訂正するケース
保険料控除や住宅ローン控除を訂正あるいは追加申告する場合、保険会社や金融機関から発行された控除証明書を添付する必要があります。証明書に基づいて正しく控除が適用され、税額が再計算されるのです。
修正が必要な箇所としては、年末調整の書類内の「保険料控除申告書」や「住宅ローン控除申告書」が該当します。正確な情報の記入と併せて証明書を提出することで控除が適用され、過剰に支払った税金が戻ってくる可能性があるでしょう。
従業員・配偶者の年収が変更するケース
従業員や配偶者の年収が変更になった場合、基礎控除や配偶者(特別)控除の金額も変わるため、修正が必要です。年収が確定した段階で、見積額と実際の額を比較し、控除の適用範囲が正しいか確認するようにしましょう。
実際と異なる部分があれば、年末調整書類を返却・訂正し、再提出する必要があります。
年末調整の間違いを事前に防ぐには?
年末調整に間違いがあった場合にはなるべく早い訂正が必要ですが、まずは間違いを事前に防ぐことが第一です。ここでは間違いを事前に防ぐための具体的な方法について紹介します。
提出期限を早めに設定する
年末調整を行ったあとの訂正を防ぐためには、必要書類の提出期限を早めに設定し、その後の事務作業を余裕のあるスケジュールで行うことが効果的です。
従業員に早めに書類を提出してもらうよう促すことで、確認や修正の時間を確保でき、ミスの発生を防げます。特に年末は繁忙期である企業が多いため、スケジュールの余裕は重要です。
多重チェックを実施する
ミスを防ぐためには、多重チェックの実施も効果的です。1回の確認では見落としが発生する可能性があるため、複数人でチェックを行い、誤りを未然に防ぎましょう。
特に、重要な書類や複雑な項目に関しては、複数人で確認を担当することでミスに気付きやすくなります。多重チェックを取り入れてスムーズな年末調整の完了を目指しましょう。
添付書類にも目を通す
年末調整をミスなく終えるためには、記入書類だけでなく添付書類も十分に確認する必要があります。保険料控除証明書や扶養控除申告書などの添付書類の情報に誤りがある場合、正しい控除が適用されない可能性があるためです。
添付書類も念入りにチェックすることで、後々の訂正や手間を防ぐことができます。各項目にしっかりと目を通すことがミスを防ぐための大切なステップです。
専用のシステムを導入する
年末調整の作業を効率化し、ミスを防ぐためには、専用の年末調整システムを導入することも選択肢に入るでしょう。システムの導入によって手入力のミスを減らせることに加え、自動計算やチェック機能を活用すれば作業負担を大幅に軽減できます。
さらに、従業員がシステム上で各自入力することで、確認の手間も省けます。年末の忙しい時期に作業効率を向上させ、正確な処理を実現するために、システムの導入を検討しましょう。
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年末調整の効率化におすすめのシステム
年末調整を効率化するためには、専用のシステムを導入するのがおすすめです。ここでは、特におすすめのシステムについて詳しく紹介します。
マネーフォワード クラウド年末調整
「マネーフォワード クラウド年末調整」は、Web申告対応のクラウド型年末調整ソフトです。個人から中小企業、中堅から上場企業まで、あらゆる規模の企業が利用できます。
書類配布から入力、回収、提出までをクラウド上で行えるため、担当者の手間を大幅に削減可能です。書類の回収や処理状況のステータス管理もわかりやすいため、締め切りまでに余裕をもって作業を進められるでしょう。IDとパスを発行することで、メールアドレスを持たない従業員でもシステム上で書類を提出でき、年末調整全体の効率化アップを図ることができます。
提供元 | 株式会社マネーフォワード |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | ■50名以下の企業 ・月額契約
・年間契約
■51名以上の企業:要問い合わせ |
機能・特徴 | 配布・回収・確認がオンライン完結、オンライン上で従業員に修正依頼、書類提出の進捗をステータス管理、年末調整の全体スケジュール管理など |
URL | 公式サイト |
オフィスステーション 年末調整
「オフィスステーション 年末調整」は、99.3%の導入企業が継続して利用している年末調整ソフトです。担当者はボタン一つで従業員に依頼を送ることができ、回答内容をパソコンだけでなくスマホでも確認することができます。
従業員は14の質問に答えるだけでよく、計算補助もあるため詳しくわからなくても安心です。2回目以降は変更部分のみ対応すれば済むという手間のなさも魅力でしょう。多くの他社システムと連携可能な点も強みであり、管理業務の効率化を実現できます。
提供元 | 株式会社エフアンドエム |
初期費用 | 登録料:11万円(税込) |
料金プラン | ■製品利用料
|
導入実績 | 40,000社以上(※2024年4月末時点) |
機能・特徴 | 年末調整手続き、給与システムとの連携、AI-OCR(画像認識)、利用者管理、マイページ、他社システム連携、API公開、使い方ガイド、履歴管理など |
URL | 公式サイト |
簡単年調
「簡単年調」は、証明書類をスマホで撮影・送信・確認することで申告入力を完了できるシステムです。入力された値によって入力フォームが切り替わるため、従業員は迷わずに入力することができるでしょう。
未申告の従業員をリストアップする機能もあり、自動で催促メールの送信までできるため、担当者は一人ひとりにメールを送る手間が省けます。英語・中国語・ベトナム語にも切り替えができるため、従業員の中に外国人がいる企業にも便利です。
提供元 | 株式会社エコミック |
初期費用 |
|
料金プラン | ■基本料
■処理料金
※上記は一例。従業員数によって変動あり |
導入実績 | 1,300社 |
機能・特徴 | 進捗確認機能、中途入社者追加機能、自動督促機能、団体保険登録機能など |
URL | 公式サイト |
年末調整を提出する際の間違いには注意が必要
年末調整の提出時には、記入ミスや書類の不備がないように細心の注意が必要です。特に扶養人数や保険料控除など、誤りや記入漏れが起きやすい項目は事前にしっかり確認しましょう。また、作業の効率化とミスの防止のためにシステムの導入も検討してみてください。
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