オフィスビルにおけるBCP対策とは?オフィスの適した選び方も解説

記事更新日:2022/10/18

BCP対策

オフィスビルの防災・BCP

BCPは、災害や事件・事故などの非常事態における損害を最小限にとどめ、事業を継続するための計画を意味します。そのためBCP対策としては、どこに拠点(オフィス)を構えるのかの判断も重要です。本記事では、オフィスビルにおけるBCP対策について詳しく解説します。

オフィスビルにおけるBCP(事業継続計画)とは?

オフィスビルにおけるBCP(事業継続計画)対策の具体例を即座に回答できるという人は少ないのではないでしょうか。

そもそもBCPは、企業が災害・テロ攻撃・ストライキの発生など、非常事態による危機的状況に陥ったとき、それによる経営資源への損害を最小限に抑えて早期に復旧し、中核となる事業を継続させるための行動や対策をまとめたものです。

オフィスビルのBCP対策としては、従業員の安全確保、情報インフラを含む安全かつ信頼できるインフラ環境の確保の2点を目的とした対策が主なキーポイントとなります。

BCP対策に適したオフィスの選び方

では、具体的に「BCP対策に適したオフィスビル」を選ぶ際の判断基準について、5つの重要なポイントを解説します。

耐震性能

オフィスビルだけでなくすべての建物は、建築基準法で定められた耐震設計が義務付けられています。

しかし、建築基準法はこれまでに何度か法改正が実施されており、遡っての義務は発生しないため、建設年によって耐震性能が異なることになります。オフィスビルを選ぶ際には、必ず1981年6月に施行された「新耐性基準」を満たした物件を選びましょう。

・旧耐性基準(1981年6月前)
中規模地震(震度5程度)に耐えられる

・新耐性基準(1981年6月以降)
中規模地震ではほとんど損傷がなく大規模地震(震度6〜7程度)で倒壊しない

非常用電源および複数回線による電力供給

緊急事態により電力供給が停止した際、ビル独自の発電方法や設備により非常用電源が確保できるかを確認しましょう。また、非常用電源の稼働可能時間は、災害時の人命救助において意識される「72時間」を一つの基準にすることができます。

常時、複数回線による電力供給を行なっているなどリスクへの備えができているかも重要です。

周辺環境

オフィスビル周辺の環境は、自然災害発生時にどのような影響が予想されるのか、ハザードマップなどを活用してチェックしておきましょう。

また、被災により帰宅困難者が出た場合、入居を検討するオフィスビルが近隣の避難所と帰宅困難者の受け入れ協定を結んでいるのかも確認しなければなりません。そのような協定がない場合、近隣に避難可能な施設はあるか、地域にはどのような支援体制があるかについて確認しましょう。

防災対策

以下のような防災対策が万全であるかどうかも大切です。

  • 避難経路の確保
  • オフィス家具の固定
  • 定期的な防災教育・防災訓練の実施
  • 周辺企業・地域との協力体制の構築

そのほか、十分な数の消化器の設置、断水時の非常用貯水タンクの有無などもあるでしょう。有事を想定しつつ、十分な防災対策が講じられているかを確認します。

レイアウト

避難経路が十分に確保できる広さ、また、感染対策として、ソーシャルディスタンスが十分に取れる配置ができるレイアウトにも配慮しなければなりません。

デスクの位置だけでなく、業務に必要な機器や設備を配置しても、十分な通行幅が確保できるレイアウトが実現できるオフィスを選びましょう。

BCP対策に適したオフィス環境の整備方法

BCP対策は、自社の取り組みも欠かせません。

ここからは、企業が取り組むべきオフィスや働き方におけるBCP対策をいくつかご紹介します。

テレワークの導入

新型コロナウイルス感染症対策として、多くの企業がテレワークの導入により事業の継続を図ったことからも、テレワークは有効なBCP対策であることは明らかです。

また、自然災害により交通機関が停止することが予想される場合は、「自宅待機」、「早期帰宅」などの措置を取る企業も多いでしょう。しかし、当然この間の業務は停止してしまうことになります。

テレワークであれば、このような「一斉に業務が停止する」リスクを低減することができます。

拠点の分散

活動拠点を分散させることにより、トラブル発生時のリスクも分散できるため安定的な事業継続が可能です。

全ての拠点が、地理的に近いエリアに集中していると、地震など広範囲かつ深刻な被害が予想される災害発生時には、全ての機能が停止してしまうことになりかねません。

拠点だけでなく基幹システムなども複数の地域に分散化しておきましょう。

データのバックアップ

顧客情報・帳簿・契約書といった企業活動において重要なデータは、必ずバックアップを取得し有事に備えておきましょう。バックアップの保存場所は、元となるデータと物理的に離れた支社やクラウド上をおすすめします。

転倒防止対策

地震災害による死亡理由は、建物の倒壊や転倒した家具が原因であることも少なくありません。

そのため、オフィス家具や機器の転倒防止策を講じておくことも重要です。また、家具の点灯による事故を防ぐだけでなく、家具により避難経路が塞がれてしまうことのないように、といった目線でも転倒防止策を見直しておきましょう。

避難ルートの確保

避難ルートは、オフィス内および建物の外に出たあとの避難場所への移動など、2つのルートを確保してください。避難ルートに備品などの物が置かれていないか、停電した際も避難経路に十分な明るさがあるかなども、普段から確認しておく必要があります。

社員の安否確認方法

社員の安否確認は、BCPにおける重要な初動対応です。「誰が指揮を取り、どのような方法で行うのか」について、あらかじめ決めておきましょう。

また、災害時は電話やメールなどの通信手段が正常に機能しないことも十分にあり得ます。災害時の安否確認に特化した安否確認システムを導入しておくなど、複数の手段と体制を整えておかなければなりません。

感染症の対策

社員の健康を守るため、消毒・換気・ソーシャルディスタンスをメインとした十分な感染症対策を実施しましょう。近年は新型コロナウィルスの影響もあり、給気と排気が同時にできる吸排気機能を導入したオフィスビルが注目されています。

オフィスにBCP対策を導入する方法

次に、実際にオフィスにBCP対策を導入する方法や流れを8つの手順に分けて詳しく解説していきます。

1.基本方針を定める

まずは、BCP策定に向けたプロジェクトチームを編成し、経営理念とすり合わせながら、BCPの基本方針を定めます。

基本方針とは、「何を目的にBCPを策定するのか」です。そのため具体的な内容としては、まず社員のその家族の安全を最優先に考えること、その上で顧客の信用や地域支援に努めるための活動といった方針が多くの企業で取り入れられています。

2.想定されるリスクを洗い出す

基本方針に沿って、自社事業において想定されるリスクを洗い出し、

リスクの洗い出しには、多角的な視点が欠かせないため、プロジェクトメンバーは部署の垣根を超えて選ぶようにしてください。また、リスクは中核となる事業に関わる業務を重要業務と位置づけた上で洗い出していくと良いでしょう。

3.想定される被害を予測する

被害とそのインパクトを予測しておくことも大切です。

事業継続への深刻な被害が予想される要素は、主に、ライフライン・交通・人の3つに分けられますので、それぞれの被害と復旧までにかかる時間などを細かく書き出していきましょう。書き出し終わったら、その被害が事業に与える影響を比較しつつ、優先度を決めていきます。

4.具体策を構築する

優先度が決まったら次は、さらに課題を細分化し作業単位の優先度を決め、BCPの具体策を構築してください。

感染症対策であれば、テレワーク環境の推進、業務のデジタル化、あるいは、サプライチェーンのBCPであれば、原材料の調達先や生産拠点の分散化などが具体策の例として挙げられます。

そのため、「具体策」は、リスク管理として平時から実践できるものと、緊急事態発生時に講じる対策の2つの視点で検討します。

5.実践する計画を練る

具体的な対策が明確化されたら、BCP発動基準やBCP発動時の指揮命令系統といった体制づくり、つまり実践するための計画に着手します。

BCP発動から復旧までスムーズにさせるため、誰が、どのタイミングで、どのBCP対策の指揮を執るのかの行動を策定します。実践計画の不備は、BCP対策の実効性に大きく関わるので慎重に決めましょう。

6.計画に沿って体制を整える

具体的な実践計画が決まったら、計画に沿って社内全体の体制を整えます。これまでに定めた基本方針・被害予測・具体策・実践計画を文書でまとめ社内全体に共有しましょう。

この際、緊急時に社員がすべき対応もマニュアル化して周知しておくことで、いざという時もスムーズに行動できます。

7.BCP対策を社内に定着させる

自社におけるBCP対策が確定したら、共有するだけでなく理解度を高めるための定期的な取り組みを行なっていきましょう。

緊急事態が発生して初めてマニュアルを開いて行動を確認するようでは、有効なBCP対策とは言えない上、実際にそのような余裕があるとは限りません。特に災害発生時には、いかに初動対応をスムーズに行うかが、社員の命を守る上でも重要となります。

8.見直しと改善を行う

BCP対策は、一度作ったら終わりではなく、適時、見直しと改善によるブラッシュアップをしていかなければなりません。

業務フローやシステムの変更、組織体制の変化、法改正などは、BCPを見直すきっかけとなるでしょう。BCPは、「実効性」がなければ無意味となってしまう点をしっかりと認識しておく必要があります。

オフィスビルにおけるBCP対策事例

企業のBCP対策として重要な役割を持つ、オフィスビル全体のBCPですが、とりわけ近年竣工した大型のオフィスビルでは、それぞれに独自のBCP対策を備えています。

その例をいくつかご紹介しましょう。

KANDA SQUARE

2020年2月に竣工したKANDA SQUAREは、耐震性能および災害時のライフラインの供給に力を入れています。耐震性能は、防災拠点や拠点病院にも取り入れられている、もっともグレードの高い耐震グレードSを採用。

さらに災害時のライフライン供給は、最大で15日間稼働できる非常用電源・約半日分の飲料水の確保・3日分の生活用水が確保されています。また、電力は通常時でも3回線の受電方式を採用しているため、万が一、電力会社にトラブルが発生した際の対策も万全です。

ミュージアムタワー京橋

2019年7月に竣工したミュージアムタワー京橋は、国内最高レベルの免震構造であり、大規模地震発生後でも建物を継続して使用できる高い耐震性能を誇ります。ライフライン面では、停電対策として特別高圧2回線受電方式を採用し、最大72時間以上の非常用電源が確保されています。

また、これらの設備が水害などの影響を受けないよう、地下ではなく、ビルの中間階に設置されているのも特徴と言えるでしょう。加えて、帰宅困難者向けに3日分の食料と飲料水を防災設備倉庫に備蓄しています。

メブクス豊洲

2021年8月に竣工した大型オフィスビル複合施設メブスク豊洲は、災害時の避難所としても機能できる対策がとられています。例えば、館内にエネルギーを作る施設があり停電時はオフィス専有部・共用部・帰宅困難者用エリアに3日間電力供給できる仕組みが整っています。

東京駅八重洲口のミクストユース

東京駅八重洲口のミクストユースには、帰宅困難者用の受け入れスペースと約3,300人分の食料が備蓄された倉庫が設置されています。

ほかにも、医療施設との連携・災害情報の発信・物資輸送、帰宅困難者の代替輸送といった大型施設ならではのBCP対策が特徴です。また、開発区域外にエネルギーセンターの設置を計画しており、エリア全体の災害対策の中心拠点として機能することを見据えた計画が立てられています。

BCP対策を成功させるにはオフィス選びも重要

オフィス選びの際は、アクセスの良さ、企業イメージとの合致、予算など、ビジネスの面での選定基準も必要ですが、その一方でBCPもまた、事業の安定と継続に関わる重要なポイントです。

ここでご紹介した選び方の基準を参考にしていただき、自社に必要なBCPを見極めた上で、有効なBCP対策が実現できるオフィスビルを選びましょう。

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