QCDとは?改善に導く優先順位の立て方や事例・関係性をわかりやすく解説

最終更新日時:2023/07/20

業務効率化・業務改善

QCDとは

製造業にとって欠かすことのできない重要な3要素、QCD。しかし、QCDとは具体的にどのような要素を指すのかわからないという方も、多いでしょう。そこで本記事では、QCDという言葉の意味や構成する要素、QCDの実行方法について、徹底解説していきます。

QCDとは?

QCDとは、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の頭文字をとった造語です。製造業における重要な3要素を示しています。

基本的にQ、C、Dの文字は、優先度の高い順に並んでいますが、Qだけ、あるいはCだけに力を注げばよいというわけではありません。そのため、現場では3要素すべての向上を目指した取り組みがされています。

なお、製造業に端を発するQCDは、IT業界のほか、通常のビジネスシーンでも使われるようになってきました。所属する業界に関係なく、ぜひ覚えておきましょう。

QCDSとの違い

QCDからは、さまざまな言葉が派生しています。そのひとつが、QCDSです。

QCDSとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)に、Servise(サービス)、あるいはSafty(安全)の頭文字「S」を足して作られました。

製品作りにおいては、納品後にどのようなサービスを提供できるかも重要だという考え方に基づき、製品を評価する指標としてQCDSが使われています。

もうひとつの「安全」を意味するSを付加したQCDSが使われているのは、主に建築業界です。品質を優先する点はほかの業界と同じですが、製造業やIT業界と異なり、建築現場においては、作業員が安全に働ける環境整備が欠かせないという考えから、この言葉が生まれました。

QCDとQCDSに大きな違いはなく、基本的には同じといってよいでしょう。

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QCDの優先順位の立て方

Q、C、Dは、基本的に優先順位で並べられています。

ただし、必ずこの順位で実行しなければならないというわけではありません。企業規模や製造状況によっては、順位が変わることもあります。その点をふまえ、QCDの優先順位をどのように立てればよいか、解説しましょう。

最も優先すべきは品質(Quality)

一般的に、QCDで最優先すべきは、品質(Quality)です。

製造業では、製品を顧客が購入して初めて利益が出ます。どれだけコストを抑えること、納期を早めることに尽力しても、製品の品質が低くては、売上は望めません。

求められた水準、あるいはそれ以上を満たすことは、ビジネスの成功において欠かせない条件なのです。

コスト(Cost)・納期(Delivery)は柔軟に対応すべき

コスト(Cost)と納期(Delivery)の優先順位は、状況に応じて柔軟に対応するのがよいでしょう。

例えば、依頼された製品を運用する日が、すでに決まっているとします。この場合、ビジネスにおいては、たとえコスト増になろうとも、納期を優先するというスタンスを取ります。とはいえ、組まれた予算を増やせないこともあるでしょう。その場合は、顧客にとって最適のQCDとなるよう、納期を調整することになります。どちらか一方ではなく、総合的に判断して対応することが大切です。

QCDを管理する方法

ここからはQCDの管理方法について紹介していきます。

品質(Quality)の管理方法

品質の管理では、明確なゴールや製品水準を定めておきましょう。

それぞれを設定することにより、ゴールや水準をクリアするための設備、人材が見えてきます。製品の検品強化など、体制変更が必要になるかもしれません。

ゴールや水準を見定めることは、品質管理の重要なポイントです。

コスト(Cost)の管理方法

コストの管理では、人件費や材料費をどうコントロールしていくかが重要です。事前にコストの見積もりを出し、その金額を基準にすると管理しやすくなります。

ただし、コストダウンを目指すあまり、品質が落ちたのではQCDの意味がありません。あくまでも、品質と納期のバランスを取りながらコントロールすることがポイントです。

納期(Delivery)の管理方法

納期管理で重要なことは、納期を守るための体制作りです。製造チームで進捗状況や作業工数を共有し、常にコミュニケーションを図るようにしましょう。

しっかりとコミュニケーションが取れていれば、予期せぬトラブルにもスムーズに対応できます。そうすれば、納期の遅れは回避できるはずです。

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QCDを改善する手順

QCDが最適化されたとしても、そこがゴールではありません。よりよい製品作りのためには、常に改善が必要です。その手順を解説します。

1.現場の把握・課題の洗い出し

まずは、現場の社員にヒアリングを実施し、「Q」「C」「D」のどこに課題があるのかを洗い出しましょう。品質、コスト、納期に分けたヒアリングシートを用意すると、効率的です。

同時に、顧客へのヒアリングも行うと、課題がとらえやすくなるでしょう。

2.改善案の提案

課題が洗い出せたら、具体的な改善案を考えます。複数の課題がある場合は、優先順位をつける、それぞれの課題の関係性に着目するなどの適切な方法で検討してみてください。

改善案がまとまったら、部署やチームに提案します。納得できる意見があれば反映させ、最終的な改善計画を策定しましょう。

なお計画には、「納期を2日短縮」など、具体的な目標数値を盛り込むと、効果検証に役立ちます。

3.改善計画の実施

提案した改善計画を現場で共有して実行に移します。実効する際に注意しておくべきなのは、計画完了までの期日を明確に定めておくことです。

期日が定められていないと、計画を進めていく上で終わりが見えないことによってモチベーションの低下や思わぬ問題を生じてしまうリスクがあるので注意しておきましょう。

4.効果検証

一定期間の終了後、改善計画の効果検証をします。効果が出ている場合は、QCDの取り組みをさらに推進するか、新たな課題に取り組むかを検討しましょう。

効果が出ていない場合は、改善計画の練り直し、あるいは課題の見直しをかけます。

例えば、「納期の2日短縮」を目指して人材を増やしたにもかかわらず、短縮できなかったのであれば、改善計画は方向性が違ったということです。確実な成果につながる案を、考え直す必要があります。

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QCDの優先順位と関係性を理解して製品改善に取り組もう

QCDの意味、その関係性、QCDを最適化する方法について解説しました。製造業においては、欠かせない考え方であり、取り組みです。

さらに製造業から生まれた「QCD」は、IT業界をはじめ、ビジネスシーンにも広がりつつあります。この考え方が、自社の業務改善に生かせることもあるでしょう。

製造業はもちろん、ほかの業種でも、まずは基本となる「QCD」について理解を深め、具体的な動きをスタートさせていきいましょう。

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