CMMI(能力成熟度モデル統合)とは?基本概要や5段階の指標について解説
CMMI(能力成熟度モデル統合)とは、組織熟成度を表す指標です。本記事では、CMMI(能力成熟度モデル統合)の概要や5つのレベル、表現方式と実践する目的、注意点まで解説します。より統合されたプロセスを実現したい企業の方は一読ください。
目次
CMMI(能力成熟度モデル統合)とは?
CCMI(能力成熟度モデル統合)の指標の意味と5段階のレベルに分かれてモデル化されている点についてそれぞれ詳しく解説します。
組織成熟度を表す指標
CMMI(Capability Maturity Model Integration)とは、組織のプロジェクトなど組織の成熟度を評価するための指標です。
もともとはソフトウェア開発向けの指標(CMM)でしたが、様々な分野へ派生していき、統合したものがCMMIとして使われるようになりました。
「あの会社はプロジェクトマネジメントがしっかりしている」と言われる会社とそうでない会社を定性的ではなく、定量判断できるように仕組化したのがCMMIということになります。
CMMIはCMMI認定の専門教育を受けた「SCAMPIアプレイザー」に依頼して評価をしてもらう必要があります。
5つのレベルに分けて組織の発展段階をモデル化
CMMIではレベル1〜レベル5まで組織の発展段階をラベリングしています。「成熟度レベル」と呼び、それぞれの段階がどういう位置づけで、何をしていけば良いのかについて定めています。
それぞれのレベルで定められたゴールをクリアすることが、組織のプロセスレベルをあげ、価値をもたらします。
初期レベル・反復できるレベル・定義されたレベル・管理されたレベル・最適化するレベルという5つのレベル構成で成り立っています。それぞれのレベルの詳細についてはさらに下段で説明していきます。
CMMI(能力成熟度モデル)の表現方式
CMMIの表現方法には2つあります。組織がなにを目的にしているかに応じて選択します。それぞれの違いについて解説します。
段階表現
1つ目は段階表現です。段階表現ではプロセスは機械的に決まっていきます。
- レベル1 初期
- レベル2 管理された
- レベル3 定義された
- レベル4 定量的に管理された
- レベル5 最適化している
上記5つの段階を踏んでいくことで最終的なゴールを目指せます。1つずつクリアしてけば良いので考えやすく、何からはじめたら良いかわからないケースなどは段階表現が向いています。
連続表現
2つ目は連続表現です。段階表現よりも自由度が高く、プロセスの1部だけを改善したい時などに適しています。
- レベル0 不完全な
- レベル1 実施された
- レベル2 管理された
- レベル3 定義された
- レベル4 定量的に管理された
- レべル5 最適化している
改善点を見つけ出し、どこのレベルなのか把握することで、よりピンポイントな対策を考え出すことが可能です。プロセスの改善箇所がわかっている場合に向いている表現方式です。
CMMI(能力成熟度モデル)の5段階の指標
先ほど紹介したとおり、CMMIには5段階の指標があります。それぞれのレベルについて解説していきます。
レベル1:初期
初期と呼ばれるレベル1では、ソフトウェアのプロセスは場当たり的で、規則化されていない状態を示します。組織の状態も個人の努力や能力に依存しており、メンバーが変われば状況も変わってしまうような不安定な状態を指します。
レベル2:反復できる
レベル2の段階ではレベル1よりもプロセスが確立されています。1つのプロジェクトを進めていくためにどの程度コストがかかるのかについてや、スケジュールなども過去の成功体験をもとに予測することができます。
ただし、あくまでも過去の経験を参考に真似していくことだけに留まっている状態です。
レベル3:定義された
レベル3は、管理やソフトウェアプロセス等が、「組織の標準ソフトウェアプロセス」として言語化できていたり、文書にまとめられたマニュアルのようになっていたりする状態です。
ソフトウェアを開発・保守していくために「組織の標準ソフトウェアプロセス」についてすべてのメンバーが使用していくことを示します。
レベル4:管理された
レベル4では、ソフトウェアのプロセスや成果物品質に関する詳細な計測結果が収集されている状態を示しています。開発や保守にかかわるデータやプロセスは定義化された状態で、管理されています。
これらが管理されていることで、新しい取り組みを行うときにもより高い確率で品質の予測を立てることが可能になります。
レベル5:最適化する
レベル5はプロセスが最適化されている状態です。もっとも理想的な状況であり、目指すべき指標です。
ある意味完成とされるレベル5ですが、引き続きプロセスの見直しと改善が必要です。さらに、改善にはプロセスだけでなく、新しいツールや手法の導入なども含めて実施します。
CMMI(能力成熟度モデル統合)を実践する目的
CMMIを実践する目的は大きく分けて2つあります。1つはプロジェクトマネジメント力の強化、もう1つはノウハウの共有や品質の向上が挙げられます。
2つの側面から目的を解説していきます。
プロジェクトマネジメント力の強化
1つはプロジェクトに対するマネジメント力を高める意図があります。社内にてプロジェクトをいくつも推進させる際に、マネジメント力が強化されていればそれぞれのプロジェクトの成功確率がアップします。
プロジェクトは個々の能力が高ければよいというわけではありません。たとえ高い能力の人材がそろっていなくても組織力が強く、きちんとチームワークがとれている組織であるほうが難しいプロジェクトの成功率も高まります。
CMMIの考え方は、プロジェクトのマネジメント力の強化に有効活用できます。
ノウハウ共有や品質の向上
プロジェクトが成功しても、場当たり的な取り組みをしていては、結果をほかのプロジェクトに活かすことができません。CMMIを実践すれば、どのようなプロセスを踏んだら、どういった結果につながったのかなどを段階的に共有しやすくなります。
また、共有しやすくなるだけではなく、品質そのものの向上も見込めます。組織力が上がれば成果物の品質も良くなる上に、プロセス改善方法の質もあがります。
プロセスの効率化により、作業時間の短縮にもつながる効果的な考え方だと言えるでしょう。
CMMI(能力成熟度モデル統合)を実践する際の注意点
CMMIを実践するときに注意すべきポイントを2点紹介します。メリットが多いCMMIだからこそ、実践時には気を付けましょう。
講習費用が高く認定までにコストがかかる
CMMIは講習費用が高く、認定にはかなりのコストがかかります。日本では、レベル3程度の認定を受けるだけでも1,500万円以上かかると言われています。
さらに、認定期間が3年間のため、3年経過したら再認定が必要です。質が高く価値のある内容ではあるものの、これだけの費用をかけて認定を受けるべきかどうかについて、社内で事前に話し合いをしておきましょう。
対外向けアピールとして使用する企業が多い
CMMIはあくまでも社内の業務改善が目的であり、企業アピールの一環として高レベルの認定を受けても意味はありません。ブランディングの1つとして取り組むのは十分な効果は見込めない上、社内不満にもつながる可能性があるので注意しましょう。
CMMI(能力成熟度モデル)を取り入れてプロセスの最適化へ
CMMIを取り入れることで企業が得られるメリットは非常に多くあります。プロジェクトの成功率をあげて、より良い組織作りを長く継続していくために、今回の内容を踏まえてぜひ取り組んでみてください。
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