業務効率化とは?生産性向上との違いやメリット・有効な取り組みを解説

最終更新日時:2022/08/05

業務効率化・業務改善

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仕事をする上で、「業務効率化」「生産性向上」という言葉をよく耳にするかと思いますが、それぞれどのような意味があるのでしょうか。本記事では、業務効率化と生産性向上の違いや業務効率化を図るメリット、有効な取り組みについて紹介していきます。注意すべきポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

業務効率化とは?

業務効率化とは、既存の業務を見直すことでコスト(人的・時間的コスト、設備費など)の削減を目指す施策のことです。不要になった工程を排除したり、作業を効率化させることで、時間あたりの成果の向上を図ります。

近年はクラウドサービスの発達などによって、さまざまなツールを手軽に導入できるようになりました。そのようなツールを利用することで、業務を自動化したり、プロセスを簡易化することで、時間あたりの成果を増やすことが可能です。

デジタルツールやシステムを活用することで、企業規模や業種・職種を問わず、さまざまな形で業務効率化ができるようになっています。

生産性向上とは?

生産性向上とは、「成果を増やす」「コストを削減する」などの方法で、生産量の増加や成果物の価値を高める施策のことです。

生産性には、以下のようにさまざまな種類のものがあります。

  • 労働生産性:投入した労働力が、どれだけ成果を生み出したか
  • 資本生産性:土地や設備などの資産を利用した結果、どれだけ成果を生み出したか
  • 全要素生産性:上記以外の要素(技術進歩など)で、どれだけの成果が得られるか

一般的に、生産性は「成果(アウトプット)÷労働力などの投入量(インプット)」で計算できます。

業務効率化と生産性向上の違い

業務効率化と生産性向上は共通しているところもありますが、意味は異なります。業務効率化とは、既存の業務のコストを削減することで、時間あたりの成果を上げることです。そのため、最終的な成果の量は変わりません。

対して、生産性向上は成果の増加とコストの削減によって、1投資あたりの生産量を向上させることを目的にしています。先の計算式で言えば、アウトプットを増やし、同時にインプットを下げることで生産性は大きく向上します。

業務効率化は、生産性向上の手段の一つであるコストの削減にあたります。この違いを理解しておかないと、業務効率化と称して、労働時間を増やして成果量を上げる、といった誤った施策を取りかねません。業務効率化は、成果は同じで、変えるのはその過程であるということに留意しましょう。

業務効率化を図ることの4つのメリット

業務効率化には、さまざまなメリットがあります。ここでは大きなメリットを4つご紹介します。

1.利益が上がる

業務効率化によって、利益を上げることができます。業務を効率的に行えば、短い時間で作業を終わらせることができます。

そのため、人件費や設備のランニングコストを削減できるのです。また、時間あたりの成果が増えるため、同じ労働時間を投入した場合には生産量が増加します。

2.社員の満足度が上がる

業務効率化を行った企業では、社員の満足度が大きく向上します。その理由は次の2つです。

一つは、給与などの待遇の向上です。業務効率化によって大きな利益を得た企業は、その利益を社員に還元できるようになります。給与やボーナスを増やしたり、インセンティブ制度を設けることで、従業員のモチベーションが上がります。

もう一つが、労働環境の改善です。短い時間で十分な利益を出せるようになれば、労働時間の短縮に繋がります。必要な労働時間が少なくなることで、「残業時間の減少」「有給取得率の増加」「会社が独自の休暇を設ける余裕ができる」などの効果が期待できます。

このような待遇改善により、社員の職場満足度が向上します。

3.離職の防止・人材の獲得に繋がる

業務を効率化すると、社内に優秀な人材を確保できます。業務効率化による利益の増大と労働時間の減少によって、職場環境が大きく改善されます。これにより、社員の満足度が向上し、職場定着率の向上が期待できるのです。

また、高額の給与と働きやすい職場環境が提供できるようになると、優秀な人材の確保にも繋がるでしょう。このような理由で、社内に優秀な人材を留めることが可能になります。優秀な人材が高い業績をあげることで、生産性がさらに向上することが期待できるでしょう。

4.新事業の展開に繋がる

業務効率化を進めることで、新事業の展開に繋げることができます。その理由は2つあります。

1つ目の理由は、新事業に割ける時間の増加です。業務効率が上がることで、労働時間に余裕ができます。空いた時間を使って、新事業のための調査や準備などに時間を充てることができます。

2つ目の理由は、予算の増加です。業務効率化で得た利益を人件費にまわすことで、優秀な人材を確保できるようになります。新規雇用だけでなく、専門のアドバイザーへの依頼や、外注などで、内部リソースだけではむずかしかった新規事業の展開が可能になるでしょう。

業務効率化に有効な4つの取り組み

業務効率化のために有効な方法を4つご紹介します。

1.システム・ツールを活用する

業務をサポートするシステム・ツールは大きな助けになります。システム・ツールはコンピュータによる短時間で正確な処理が可能なので、定型業務に大きな効果を発揮します。

たとえば、給与計算や勤怠管理です。これらは人間がやると労力がかかる上に、高い正確性を要します。これらの業務をシステム・ツールに任せることで、劇的な業務改善が見込めます。システム・ツールを有効に活用することで、今までの業務を大幅に改善できるでしょう。

2.社員のポジションを適正化させる

従業員の配置の見直しも、業務改善には有効です。従業員には得意不得意があるので、配置する場所によって成果が大きく変わります。淡々と同じ作業をこなすことが得意な人、創造的なアイデアを考えるのが得意な人、マネジメントが得意な人など、特性はさまざまです。

社内の貴重な人材を有効に活用するために、タレントマネジメントなどを活用して、個々の特性に応じた採用、配置、育成をおこなえる体制を整えましょう。適切な人材配置を実施することで、同じ人件費で高い生産性を得ることができます。

3.外注化する

特定の仕事を外注化することも、業務の効率化に繋がります。その理由は次の3つです。

理由の1つ目は、専門家にすぐに業務を任せられるからです。業務に習熟している人材を自社でまかなおうとすると、教育や業務フローなどの準備で時間と人的コストがかかります。外注化することで、これらの初期コストを抑えることができます。

理由の2つ目は、必要な時だけ利用できるからです。業務に必要な人材をすべて自社で用意すると、閑散期でも雇用を続けなければなりません。手が空いた時は他の業務を任せるといった人材利用もできますが、適切な業務がない場合も多く、どうしても人材活用が非効率になります。外注であれば、必要な時にしか費用が発生しないので、雇用を適切にコントロールできます。

理由の3つ目は、設備費などを節約できるからです。人を雇用する場合、デスクやパソコンなどを揃える必要があります。外注の場合は、社外で業務をおこなうため、自社で用意するものはほとんどありません。

このように、外注は自社で人材を用意するよりも、効率的に生産性をあげることができます。

4.業務をオンライン化させる

業務のオンライン化も、業務効率の向上に繋がります。業務のオンライン化による大きなメリットは、テレワークが実現できるという点です。

テレワークを導入することで、従業員は在宅での業務が可能になります。通勤が不要になることで、交通費が削減され、通勤ストレスも軽減されます。快適な労働環境で、社員のモチベーションが大きく向上するでしょう。

また、業務のオンライン化は、外出の多い職場や、拠点が分散しているところで大きな効果を発揮します。たとえば、外回りの多い営業職が自社に戻らずに業務データを利用したり、支店同士がリアルタイムに同じデータを使って業務ができるようになります。

業務のオンライン化によって、物理的距離の問題がなくなるため、業務の効率は大きく向上するでしょう。

業務効率化する上で注意すべきポイント

業務の効率化にはさまざまなメリットがありますが、やみくもにおこなうと逆に非効率になったり、予想外のトラブルを生むことがあります。ここでは、業務効率化をおこなう上で、注意すべきポイントを紹介します。

1.ビジョンを明確にする

目指すビジョンをしっかりと考えましょう。ここでいうビジョンとは、業務効率化をおこなう目的と、達成したい目標のことです。

ビジョンが明確化されていない場合、とりあえずよさそうなものを手当たり次第に導入しがちです。そのような施策は局所的には効果があるかもしれませんが、他の改善業務と整合性の取れないものになってしまいます。

たとえば、「資料のペーパーレス化」と「資料の保管庫整理」は、それぞれを独自におこなうと、チグハグなものになりかねません。また、ビジョンが共有されていないと、改善プロジェクトの意図がわからず、従業員の協力を得られない、見当違いな理解をされてしまう、という問題も発生します。

ビジョンを明確にすることで、業務の効率化によって何を得るのか、どのような行動をおこなうべきかが明確になります。優れたビジョンは個々の業務改善の方向性を決めるため、足並みの揃った進行ができるようになるでしょう。

2.現場の声を業務設計に生かす

業務設計において、実際に業務をおこなっている現場からの意見は必要不可欠です。業務の効率化作業では、業務フローの再設計をおこないます。対象の業務にかかわっていない人間が再設計をおこなうと、非現実的なものになったり、非効率なものになるおそれがあります。

そのような問題のある設計を実行に移すと、現場が混乱し、損害が発生するケースも考えられるでしょう。業務知識を十分に持った人材が参加する、現場の声を取り入れるなどして、実態に合った実現可能な業務設計をしましょう。

3.システム・ツールを業務に定着させる

業務をサポートするシステム・ツールは、実際に定着させないと効果を発揮できません。

せっかくシステム・ツールを導入したのに、適切に利用できていない職場は少なくありません。従業員が利用方法を理解していない、従来の方法に慣れていて切り替えられない、運用のかじ取りをするものがいない、など理由はさまざまです。

そのため、システム・ツールを導入する際には、導入の意図や利用方法、業務フローはどうなっているかなどを周知する必要があります。これには、講習会や資料配布などが有効です。

また、チームリーダーなどに事前に試用してもらい、得られたフィードバックをもとにシステム・ツールを調整しておきましょう。現場の実態に合ったシステム・ツールになれば、利便性が大きく向上します。

システム・ツールのゴールは導入ではなく、実際に活用され効果を発揮するところまで、ということを忘れないようにしましょう。

4.マルチタスクを避ける

マルチタスクは業務効率を悪化させてしまいます。マルチタスクは、一見すると複数の業務を同時にこなしていて、とても効率的に思えます。

しかし、実際は同時におこなっているわけではなく、頻繁に業務を切り替えているだけです。そのような状態では、頭がうまく切り替わらず、能率は落ちてしまいます。

必要な業務を絞って、一つのタスクに集中するようにしましょう。そのためには、不要な業務や作業を見つけ、排除していくことも必要になってきます。

5.長時間労働を避ける

長時間労働は、業務の効率を著しく落とします。過重労働は、従業員のワークライフバランスを壊してしまいます。プライベートの時間が減り、心身を十分に休めることができません。そのため、作業能率が落ちたり、健康面での不調を招くおそれがあります。

長時間労働を避けるために、適切なマネジメントをおこないましょう。特に、特定の従業員に業務が集中したり、実現のむずかしい目標を掲げることは、長時間化を招くため避けるべきです。

生産性向上に向けて業務効率化に取り組むこと

業務効率化は、業務の無駄をなくす、新しい方法を導入するなどして、時間あたりの成果を向上させます。業務効率化の優れた点は、従業員の負担を軽減し、よりよい待遇と職場環境を実現できるという点です。

近年は、慢性的な人材不足が原因で、新しく雇用することがむずかしくなっています。そのため、社内に優秀な人材を集め、定着させることが重要になります。

企業は、適切な待遇と働きやすい職場を用意することで、優秀な人材を集めることができます。そして、優れた人材が業務効率化を図り生産性を向上させることで、会社の成長に繋がるといった好循環が期待できます。

まずは、どのような業務を効率化させたいのか、業務の棚卸しを行って目的や実現性を考えるところから始めてみましょう。

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