PDCAはもう古い?新たに注目される「OODAループ」との違いとは

変化の激しい現代において、もはや古いと言われているPDCA。ニューノーマルな時代に適応するには、新たに注目されるOODAループの活用が必要です。本記事では、OODAループについて、PDCAが古いと言われている理由や使い分けなどを詳しく解説していきます。
目次
そもそもPDCAとは?
「PDCA」のアルファベットには、それぞれ以下の意味があります。
- 「Plan」:計画
- 「Do」:実行・行動
- 「Check」:評価・確認
- 「Action」:改善
まずは、目標設定や目標を達成するための計画(Plan)を練り、立てた計画を実際に行ってみます(Do)。
実際の行動が目標達成に向かっているかどうか、向かっていない場合は原因は何かなどを評価・確認(Check)し、改善(Action)したうえでもう一度計画を練り直したり、行動するのが「PDCA」です。
そして、上記を繰り返して徐々に目標達成に向かうことを「PDCAサイクル」と呼びます。実際はPDCAを1回ずつ行うのではなく、複数回サイクルを回すことが重要になります。
PDCAがもう古いと言われている理由
PDCAは1950年代にアメリカの統計学者によって提唱された考え方です。70年以上前に提唱された考え方ですが、現在でもPDCAを活用している人や組織は多いでしょう。しかし、最近ではPDCAの考え方はもう古いとも言われています。
次にPDCAがもう古いと言われている理由について解説します。
改善までに時間がかかり過ぎる
PDCAが古いと言われている理由は、時間がかかるからです。近年はIT技術の進化によって世の中が猛スピードで変化・発展しています。そのため、企業競争に勝ち残るにはスピードが非常に重要です。
しかし、PDCAを活用する人の中には、「P」の計画(Plan)に多くの時間を割く人がいます。変化が激しい現代で消費者の本当のニーズを捉えるには、実行して生の声を聞きながら改善していくことが必要になります。PDCAで計画に時間をかけている場合、改善のスピードも遅くなってしまいます。
このように、スピードが重要視される現代で、PDCAは時間がかかることから古い(時代に合っていない)フレームワークと言われるようになりました。
サイクルを回すこと自体が目的になってしまう
PDCAサイクルを回すことの本来の目的は、設定した目標を達成することです。しかし、PDCAサイクルを回しているうちに、PDCAサイクルを回すこと自体が目的化してしまうことがあります。
本来評価するべきことは目標達成に近づいているかどうかです。しかし、PDCAサイクルを回せているかどうかで評価してしまっているといったケースもあります。
PDCAサイクルは目標達成をするための手段にすぎません。「いつまでに何を達成させたいのか」といったことを明確にしたのちに取り組むことが重要です。
PDCAに代わる新たな手法「OODAループ」
PDCAに代わると言われている「OODAループ」という新たな手法について解説します。
OODAループとは?
「OODA(ウーダ)」とは以下の意味を持っています。
- 「Observe」:観察
- 「Orient」:状況判断
- 「Decide」:意思決定
- 「Action」:行動・改善
ポイントは綿密に計画を立てるのではなく、観察して瞬時に状況判断して実行するかしないかを意思決定することです。OODAループを活用することで、スピード感を持って取り組むことが可能になります。
OODAループとPDCAサイクルの違い
OODAループとPDCAサイクルには以下のような違いがあります。
- OODAループ:状況を見てとりあえず行動に移す
- PDCAサイクル:綿密に計画を立ててから行動に移す
OODAループとPDCAサイクルでは、行動に移すまでのスピードが異なります。OODAループの方がスピードが速く、かつ柔軟性を持って取り組むことができます。
OODAループを実践するメリット
OODAループを実践することには以下の3つのメリットがあります。
- 変化にも柔軟に対応できる
- スピード感を持って実行できる
- 顧客ニーズの変化に対応できる
それぞれのメリットについて解説します。
変化にも柔軟に対応できる
OODAループは、実際の現場や状況を観察して意思決定するため、世の中の変化に柔軟に対応することが可能です。大きな変化が起きた場合でも、現場で働く社員が状況を観察し、短時間で意思決定して行動・改善できるようになります。
スピード感を持って実行できる
PDCAサイクルはしっかり計画を立てた後に行動に移します。一方で、OODAループは現状を観察した後に、とりあえず行動に移すという考え方であるため、スピード感を持って実行に移すことができます。
IT技術が発展している現代では、入念に計画を立てている段階で、すでに変化が起きているといったことはよくあることです。
現代の企業競争で勝ち進むためにはスピードが非常に重要になりますが、OODAループを活用することでスピード感を持って実行できるようになります。
顧客ニーズの変化に対応できる
OODAループは、「今」を観察してすぐに実行します。そのため、顧客ニーズの変化に対応した素早いアクションが可能になります。
世の中の変化に伴って顧客ニーズは刻々と変化します。そして、企業は顧客のニーズに対応し続けなければ競争に勝ち残ることができません。
OODAループを活用することで、顧客ニーズの変化に対応した商品・サービスを提供し続け、企業競争に勝ち残る可能性を高めることができます。
OODAループを実践するデメリット
OODAループには以下の3つのデメリットがあります。
- 孤立してしまう可能性がある
- 組織の統制が取りにくくなる
- 情報収集に費やす時間が減ってしまう
それぞれについて解説します。
孤立してしまう可能性がある
OODAループを活用すると、裁量権が個人に委ねられるといったこともあります。そうすると、個人が業務や責任を抱え込み、孤立してしまう可能性があるのです。
OODAループを取り入れる際は、チーム内でのサポートが重要になります。個人が業務や責任を抱え込む可能性がある場合はチーム内で業務を割り振ったり、引き取ったりするなどのサポートをすることが大切です。
組織の統制が取りにくくなる
OODAループは個人に裁量権が委ねられることがあるため、チームとして動くのではなく、個人プレーになってしまう傾向があります。そのため、組織内でも目標や行動が個人によって異なり、組織の統制が取りにくくなることがあります。
組織の統制を取るためにも、それぞれの目標や目標を達成するための行動などを共有する機会を設けることが大切です。組織である以上同じ目標を目指す必要があります。
そのため、目標や行動を共有し、間違っている場合は指摘し改善を図りながら、組織の統制を取ることが大切です。
情報収集に費やす時間が減ってしまう
OODAループは観察してすぐに状況判断・意思決定し、実行に移します。スピード感を持って実行に移すことができるのは大きなメリットですが、情報収集する時間が減るといったデメリットもあります。
何に取り組むにしても情報収集は必要です。情報収集しないままOODAループを回し続けると、意思決定にミスが生じて間違った方向に進んだり、意思決定ができなくなったりします。
一人で十分な情報を収集することが難しい場合は、組織内で情報を共有し合う機会を設けることで、効率的に情報収集することが可能になります。
PDCAとOODAを使い分ける方法とは?
PDCAとOODAは場面によって使い分けることが重要です。具体的には、変化の少ない市場で競争する場合はPDCAを活用し、一方で変化の激しい市場で競争する場合はOODAを活用します。
例えば、IT技術では代替されにくい業界や生活必需品を扱う業界などは短期間で大きな変化を遂げる可能性が極めて低い市場です。そのような業界に属し、既存商品やサービスの提供数を拡大させたい場合は、よく計画を練り、実行、評価、改善を繰り返すPDCAが有効です。
一方で、ITやインターネットを扱う業界は、短期間で大きな変化を遂げます。そのため、現状を観察し、短時間で意思決定・実行に移すOODAが有効になります。
重要なことは手段にこだわるのではなく、場面に応じてPDCAとOODAを使い分けることです。「P(=Plan:計画)」または「O(=Observe:観察)」を実行する前に、どちらの手段を活用するのが適切なのかよく考える必要があります。
PDCAの代わりに注目されるその他の手法
PDCAの代替手段として注目されている手法は、OODA以外に以下の2つがあります。
- DCAP
- PDR
それぞれの手法について解説します。
DCAP
DCAPには以下の意味があります。
- 「Do」:実行・行動
- 「Check」:評価・確認
- 「Action」:改善
- 「Plan」:計画
4つの要素はPDCAと同様ですが、DCAPは「Do」の実行から始めます。PDCAの場合は最初に計画を立てるため、一次情報が少ない状態で計画を立てて実行するという流れでした。また、実際はサイクルが成立せず、単発でPDCAを回すといったケースもよく見受けられます。
一方で、DCAPは最初に実行することで、実行したことで得られた一次情報をもとに計画を立てられるようになります。DCAPを活用することで、計画の精度を高めたり、後戻りを防いだりすることができます。
PDR
PDRは新規事業を開発するときや、斬新かつ有効なビジネスアイデアを考えるときなどに活用します。PDRには以下の意味があります。
- 「Prep」:準備
- 「Do」:実行・行動
- 「Review」:評価
PDCAのPは「Plan(計画)」でしたが、PDRの場合は「Prep(準備)」になります。準備段階では「どんな事業をするのか」「どんな理由でその事業をするのか」などを考えます。考えるべきことは数値目標ではなく、事業内容やその事業をする理由などです。
準備をした後に実際に行動をして「Review(評価)」します。評価の段階では「できた」「できていない」だけでなく、第三者からの意見やアドバイスをもらうことが重要になります。
上記のPDRサイクルは、1回のスパンが短いため素早く改善できるようになったり、第三者の意見を取り入れて正しい方向に改善できるようになるといったメリットがあります。
PDCAとOODAを適切に使い分けて活用すること
本記事ではPDCAサイクルに代わるOODAループやDCAP、PDRについて解説しました。重要なのは、場面に応じてそれぞれのフレームワークを使い分けることです。
あくまでも手段であるため、手法に固執したり、フレームワークの実行自体を目的化しないように注意する必要があります。本記事を参考にして、自社のビジネスを成功に導く手法を使い分けながら、活用しましょう。
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