PDCAを重視しているのは日本企業だけ?生じる弊害や最新手法について

2022/7/15 2022/07/15

業務効率化・業務改善

PDCAはもう古い?最新手法も紹介

多くの日本企業で採用されているPDCA。しかし、海外ではPDCAは通じないどころか、古い手法として認識されています。そこで本記事では、PDCAの弊害や致命的欠点などを解説していきます。あわせて、PDCAに代わる4つの最新手法の特徴も紹介します。

PDCAを重視している日本は遅れている?

日本では、業務改善の手法としてPDCAを取り入れている企業が多いことでしょう。

しかし、PDCAは現代のビジネスシーンに適しておらず、PDCAを重視している日本企業は海外に後れをとっているともいわれています

そもそもPDCAとは?

そもそもPDCAとは、業務効率化を目的としたフレームワークで、以下4つの頭文字をとったものです。

  • Plan:計画
  • Do:実行
  • Check:評価
  • Action:改善

上記を1つのサイクルとして継続することで、業務の改善を図ります。

海外で通じないPDCA

PDCAは1950年代に初めて提唱されたといわれており、それから約70年もの月日が経過していることになります。

ビジネス環境や社会が変化する中で、海外でPDCAが重視されていたのは1980年代までとされており、それ以降は、新たな業務改善の手法が使われるようになっています。

そのため、近年の海外企業ではPDCAを知らない人がほとんどのようです。PDCAは、国内外を問わず主に製造業を中心に活用され、広まった手法です。

例えば、米国では1980年ごろまではPDCAで業務を改善し成功を収めてきましたが、その後は製造業の衰退と新たな産業の発展により、別の手法による業務改善・生産性向上が主流となりました。

一方、日本では1990年代ごろまで、長きにわたり製造業が経済成長をけん引してきた背景があります。

その影響もあり、2000年代に入ってからも引き続き製造業で主に採用されていたPDCAの手法が、さまざまな日本企業で活用され続けているという側面があるのです。

PDCAによって生じる弊害|古いと言われている理由

PDCAは正しく運用することで、業務改善の効果が得られる可能性もありますが、なぜ「古い」といわれているのでしょうか。考えられる3つの理由について解説します。

イノベーションが生まれにくい

PDCAは、一度実行した業務に対して評価や改善をおこなうため、イノベーションが生まれにくいといえます。

過去の成功にならって業務改善を目指すケースが多いため、新しい考え方や取り組みを取り入れる隙がないのです。

そのため、新たな商品・サービスや価値の提供が求められている現代には、最適な手法といえないでしょう。

改善までに時間がかかる

PDCAを成功させるためには、綿密な計画に加え、評価にも十分な時間をかけて取り組まなければなりません。そのため、どうしても改善までに時間がかかってしまうのです。

近年では価値観やニーズが日々変化し続けており、各企業にはその変化に応じたビジネスモデルへとアップグレードすることが求められています。

したがって、現代でPDCAに時間をかけても、改善に至る頃には価値観やニーズが合わないといったことも考えられるのです。

サイクルを回すこと自体が目的になっている

PDCAには十分な時間をかける必要があり、PDCAサイクルを回すこと自体が目的となっているケースがあります。

PDCAが負担となれば、目的が「業務改善」ではなく「PDCAの実行」になってしまい、本来の効果は得られないでしょう。

PDCAの致命的欠点|日本を壊すPDCAの実態とは?

PDCAの致命的な4つの欠点について、1つずつ解説します。

ニューノーマル時代に適応できない

PDCAは前例を踏まえた業務改善がほとんどであるため、ニューノーマル時代には適応できないといわれているのです。

近年、IT化や働き方改革などの取り組みによって、新しい働き方やビジネスモデルが定着しつつあります。

そして、日々変化し続ける価値観やニーズに対応するには、新たな考え方やアイデアが必要です。複雑な変化に対応するには、あらゆる状況を継続的に想定しなければなりません。

しかし、PDCAはサイクルを回すことに時間がかかってしまいスピード感に欠けるほか、前例を踏襲した改善を前提としているため、現代のビジネス環境や社会環境には適応できないといえます。

見直しに限界がある

目まぐるしく変化している現代では、PDCAを回しても、その「前例ありきの改善」「想定外の事態への汎用性の低さ」といった性質から、見直しには限界があります。

新たなアイデアが求められているなか、前例にならった改善をおこなっても海外や他企業に後れをとるばかりでしょう。

日本企業はPDCAからなかなか脱却できず、PDCAに振り回されているのが現状です。海外企業との競争に勝つためには、デジタル化や変化する顧客ニーズに対応したサービス展開、新規ビジネスの創出などに取り組む必要があるのです。

戦略の柔軟性が乏しい

PDCAはサイクルを繰り返すことで、少しずつ変化を加え目的達成へと向かいます。そのため、PDCAを回している状態では、目的達成に向けた大きな変化を取り入れられません。

しかし、状況の変化が激しい現代では、目的達成に向けた戦略に柔軟性を持たせることが大切です。PDCAにとらわれ、その場の状況に応じた対応をとれなければ、目的達成までに時間がかかってしまうでしょう。

俊敏性が足りない

PDCAは、「Plan:計画」、「Do:実行」、「Check:評価」、「Action:改善」の4つのプロセスを経て業務改善を行うことになるため、改善までには一定の時間を要することがデメリットとしてしばしば挙げられます。

これらのサイクルを高速化させることで、ある程度のスピード感を確保することもできますが、それでも高い俊敏性を望むことは難しいといえます。

PDCAの代わりとなる4つの最新手法

PDCAが古いといわれている今、業務改善の新たな手法が登場しつつあります。ここではPDCAに代わる以下4つの手法について、それぞれ解説します。

  1. OODA
  2. STPD
  3. DCAP
  4. PDR

1.OODA

OODA(ウーダ)は、以下4つの頭文字から構成されています。

  • Observe:観察
  • Orient:方向づけ
  • Decide:意思決定
  • Act:実行

上記を1つのサイクルとし、ビジネスの場面では「意思決定」のためのフレームワークとして注目されています。また、PDCAに比べ俊敏性が高く、変化し続ける現代に適しているといえるでしょう。

OODAのメリット

OODAのメリットには以下が挙げられます。

  • 課題に対して即時対応できる
  • 意思決定までに時間がかからない
  • 個々のパフォーマンスが高まる

OODAは最終的な目標設定や実行に対する評価をおこなわないため、回転が速く変化に対応しやすい手法といえます。

また、PDCAがチームやプロジェクト単位でおこなわれるのに対し、OODAは個人の行動や取り組みに向いているフレームワークです。

そのため、OODAによって個人レベルでの改善に向けた行動・取り組みが増えれば、変化に対応できる人材への成長も期待できるでしょう。

OODAのデメリット

OODAのデメリットは以下の通りです。

  • 思い付きの行動が増える
  • 中長期的な計画には向かない
  • 失敗を繰り返す可能性がある

OODAは実行スピードが速い反面、思い付きの個人行動が増え、チームの統制を難しくする可能性があります。

また、実行に対する評価や次の実行に向けた計画を練る機会がないため、同じ失敗を繰り返してしまうことも考えられるのです。

そして、OODAは俊敏性に優れた意思決定のためのフレームワークであることから、中長期的な計画の改善には向いていません。

中長期的な計画には、結果を受けて評価や改善をおこない、次の計画に時間をかけることが必要です。

2.STPD

STPDは、以下4つの頭文字から構成されています。

  • See:見る
  • Think:考える
  • Plan:計画する
  • Do:実行する

上記を1つのサイクルとし、現状把握を基準に考えられたフレームワークです。具体的には、「See」「Think」の段階で現状把握、そして目標とのギャップや課題を明確にし、「Plan」「Do」での改善策や計画の立案、実行へとつなげていきます。

STPDのメリット

STPDのメリットは以下が挙げられます。

  • 失敗するリスクが低い
  • 改善までに時間がかからない
  • サイクルが比較的速い

STPDでは現状を分析するところから始まります。「See」では先入観を取り払い、事実を受けとめ、現状に対しどのような取り組みが必要なのかを考えます。このように、現状把握に時間をかけることから、実行した際の思わぬトラブルや失敗を回避しやすいでしょう。

またSTPDでは、「Do」の段階で同時に「See」を進行できるため、サイクルの回転が速いといった利点もあります。

PDCAはサイクルの実行に時間がかかるために、PDCAの実行自体が目的となり、ただ時間を消耗するだけになってしまう場合があります。

しかし、STPDのように速いサイクルで実行できれば、負担になりにくいため、業務改善に効果のあるフレームワークとなるでしょう。

STPDのデメリット

STPDのデメリットは以下の通りです。

  • 実行に対する評価をしない
  • スピードが求められるプロジェクトには向かない

STPDは実行後の現状分析はおこないますが、実行がどのように影響したのかを把握しにくいといえます。また、「See」「Think」「Plan」と実行までに綿密な計画を立てるため、計画を忠実に実行すること自体が目的となってしまうことも考えられるのです。

そして、STPDは速いサイクルで実行できる反面、実行に至るまでの3つのプロセスは比較的時間がかかるといえます。そのため、スピードが求められる計画やプロジェクトには向いていません。

3.DCAP

DCAPのそれぞれの頭文字は以下の通りで、PDCAと同じ意味を持っています。

  • Do:実行
  • Check:評価
  • Action:改善
  • Plan:計画

ただ、PDCAとはプロセスの順序が異なります。「学ぶ・考えるより先に実行してみる」という考え方で、経験に基づいた計画や改善をおこないます。

DCAPのメリット

DCAPのメリットは以下が挙げられます。

  • 実行までのスピード感がある
  • 価値観やニーズの変化に対応しやすい
  • 柔軟性が高い

DCAPは、計画や評価以前に「まず行動」という考え方です。そのため、業務改善のあらゆるフレームワークのなかでも、最も実行までの時間が短いといえます。

また、経験を重視しているため、価値観やニーズの変化を敏感に感じ取りやすく、変化の激しい現代に適したフレームワークでしょう。

そして、実行に対する計画に時間をかけないという特徴から、状況の変化があっても計画に変更を加えやすく、柔軟性も高いといえます。

DCAPのデメリット

DCAPのデメリットは以下の通りです。

  • 失敗のリスクも高い
  • 大規模なプロジェクトには向かない
    目的や目標を明確化できない

DCAPでは、計画や評価の前に実行することから、失敗するリスクも高いといえます。また、大規模なプロジェクトであれば、さまざまなコストや準備が必要なため、「とりあえず実行してみる」ことはかなりリスキーかもしれません。

さらに計画しないまま実行する点においては、最終的な目標を見失う可能性も出てくるでしょう。目標を見失えば、DCAPが誤った方向に進んでしまうことも考えられます。

4.PDR

PDRは、以下3つの頭文字から構成されています。

  • Prep:準備
  • Do:実行
  • Review:評価

これまでのフレームワークにおける「P」が「Plan:計画」だったのに対し、PDRでは「P」を「Prep:準備」としています。「Prep:準備」では、これから実行することを決める段階で、目的や理由について考えます。

そして、準備が済めば、綿密な計画立案をせずに、迅速に実行に移すという点もPDRの特徴です。

PDRのメリット

PDRのメリットは以下が挙げられます。

  • サイクルが速い
  • 改善まで時間がかからない
  • 目標達成を目的としていない

PDRは他のフレームワークに比べ1段階少ないことから、サイクルが速く改善までに時間がかかりません。また、「P」が準備であることから、計画に時間をかける必要もないのです。

また、PDRは綿密な計画を立てないことに加え、目標達成を目的としていないため、「目標が達成できなかったら」「計画通りに進まなかったら」などのリスクを考える必要がありません。

計画にとらわれることなく、柔軟に改善を進めることができます。

PDRのデメリット

PDRのデメリットは以下の通りです。

  • 評価の対象は実行ではなく「準備」
  • 計画性には欠ける

PDRは準備→実行→評価というサイクルですが、評価の対象は「準備」であることに注意しましょう。そのため、実行に対する評価は行いません。

ただ、実行に結果が伴わない場合、準備の段階で実行に対する本質を見抜けていないことがほとんどです。したがって、効果が見られない場合は、評価段階での準備の見直しが大切です。

また、PDRでは綿密な計画を立てないため、実行の途中で現状のタスクや優先度がわからなくなるケースも起こり得ます。

そういった場合は、準備の目的や理由を再認識することで、次に実行すべきことを考える必要があるでしょう。そのため、「目的」の周知がより重要な意味を持つことになります。

PDCAに代わる最新手法も取り入れて変化に対応する

PDCAは、海外ではすでに「過去の手法」となっており、日本においても徐々に古いフレームワークとして認識されつつあります。

働き方やビジネスモデルが変化している今、業務改善の手法もまた、時代に合った方法やフレームワークの導入が求められるのは、ある意味で当然の流れといえるでしょう。

ここでご紹介したPDCAに変わる最新手法を、早速、自社の業務改善に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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