IP電話(050電話)とは?固定電話との違いやメリット・デメリットを解説

最終更新日時:2023/02/17

IP電話・ビジネスフォン

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テレワークやDX推進に伴い「IP電話」を導入する企業が増加しています。従来の電話回線に比べ格安なことから注目を集めており、さまざまなビジネスシーンで活用されています。本記事では、固定電話との違いやIP電話の選び方を徹底解説します。

IP電話とは?

IP電話とは、インターネット回線を通じて接続する電話です。IPはInternet Protocolの略で、音声をデジタルデータに変換し相手の元で再構成することで音声通話を可能にしています。

IP電話は電話回線がなくてもインターネット回線さえあれば通話が可能なため、導入する企業が増加しています。また従来の固定電話よりも低コストで導入でき、スマホでも使えるなどさまざまなメリットがあります。

IP電話とひかり電話の違い

IP電話と同じようにインターネット回線を利用した電話システムに、「ひかり電話」があります。それでは、IP電話とひかり電話にはどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、IP電話とひかり電話の違いについて解説します。

回線事業者が提供しているサービスかどうか

IP電話とひかり電話の大きな違いは、回線事業者が提供しているかどうかです。

ひかり電話は光回線を使用した電話で、自社で光回線の設備を保有している回線事業者が提供しています。

一方でIP電話は、インターネット接続サービスを扱っているプロバイダが提供している電話サービスです。ADSLインターネット回線と呼ばれる、電話回線を使用しています。

IP電話と従来型の固定電話の違い

IP電話は、従来型の固定電話とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、IP電話と従来型の固定電話の違いについて解説します。

導入費用や通話料金

IP電話は、従来型の固定電話と比べて通話料金が格安です。さらに、同一会社のIP電話同士なら無料で通話可能な場合もあります。また電話加入権の購入が不要なので低コストで導入が可能です。

ただしインターネット回線を引いていない状態で導入する場合は、インターネット回線の契約費用が必要となります。

回線の安定度

IP電話はインターネット回線を使用するため、従来型の固定電話と比べて回線が不安定な傾向にあります。また大容量のデータ送信で回線を圧迫すると、通話にも影響が出てしまう可能性があります。

より安定した回線のIP電話を使いたい場合は、総務省が音声品質の良いIP電話であると認めたAランクの回線を選ぶことがおすすめです。B・Cとランクが下がるにつれて音声品質は低下します。

通話可能な番号

IP電話は「0120」で始まるフリーダイヤルや、110番や119番といった緊急通報などとは通話できません。フリーダイヤルに発信したい場合は、携帯電話と同様に専用の番号に発信する必要があり、通話料は有料になります。

IP電話の仕組みをわかりやすく解説

IP電話はVoIP(Voice over Internet Protocol)という技術を用いることで通話を可能にする電話サービスです。

まずVoIPゲートウェイと呼ばれる機器が音声信号をデジタル化し、インターネット回線に流しやすい「IPパケット」に変換します。そしてインターネット回線を通じて受信側にIPパケットを届けるのです。

次に相手側のVoIPゲートウェイに届けられたIPパケットをつなぎ合わせ電気信号に復元します。最後にその電気信号が電話機に送信され、音声として相手に聞こえるようになるのです。

IP電話の導入が進んでいる背景

IP電話の導入が進んでいる背景として、「ディジタル通信モード」の廃止があげられます。ディジタル通信モードとは、NTTが提供しているISDNサービス・INSネットのことです。2024年1月から段階的に廃止されるため、固定電話からIP電話への移行を進める企業が増えました。

またスマホでの使用が可能であることも、IP電話の導入が進んでいる背景としてあげられます。IP電話を導入することで、1台のスマホで2種類の電話番号を使い分けが可能です。よって、社員用の電話として用意する企業も増えています。

IP電話の種類について

IP電話には大きく分けて、0AB-J型・050型・電話番号不要型があります。ここでは、それぞれのIP電話について解説します。

①0AB-J型(ひかり電話)

0AB-J型は、「03」などの市外局番から始まる10桁の電話番号が割り当てられるIP電話です。従来型の電話番号と同様の形式で、ひかり電話などに用いられています。また電話加入権で番号を既に取得している場合、0AB-J型であれば引き続き同じ番号が使用可能です。

0AB-J型のIP電話は、すべて総務省の定める通話品質の基準を満たしているのも特徴です。接続品質・総合品質・安定品質・ネットワーク品質の4つの項目において基準が設けられており、高い水準のサービスだけが扱われています。そのため従来型のアナログ電話と同様に通話品質が良く、遅延などのトラブルの心配をせずに使用可能です。

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②050型

050型は、「050」で始まる11桁の電話番号が割り当てられるIP電話です。市外局番の割り当てがないため、携帯電話やスマホなどの通信端末からも使用できます。ただし、電話加入権で取得した電話番号を引き継ぐことはできません。プロバイダを変更する際にも、新たに電話番号を取得することが必要です。

通話料金が安く、同じプロバイダ同士であれば無料で通話できる場合もあります。一方で、フリーダイヤルなどに通話できないという点がデメリットです。また音声品質は通信環境に依存するため、0AB-J型と比べると不安定といえるでしょう。

③電話番号不要型

電話番号不要型は、特定の電話番号を持たない電話サービスです。具体的には、LINEやFacebookのメッセンジャー、Skypeなどがあげられます。

電話番号不要型はスマホと併用でき、基本は無料で通話可能です。ただし、通話相手も同じアプリを使用する必要があります。また、一般電話やフリーダイヤルとは通話できません。

IP電話のメリット

IP電話を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、IP電話のメリットについて解説します。

スマホで使える

IP電話はインターネットに接続すれば使用できるためスマホでも使用可能です。したがって出先や移動中でも通話でき、対応漏れや折り返し電話を減らせます。

IP電話を導入すれば1台のスマホで2種類の電話番号を使用可能です。よって社員の所持しているスマホをビジネス用として活用することもでき、デバイスの購入や管理にかかるコストを削減できます。

通話料が格安

IP電話は固定電話と比べて格安の通話料で使用可能です。また、同じプロバイダ同士であれば、無料で通話できる場合もあります。

基本料金が安く抑えられる点もメリットです。さらにインターネット環境がすでに整っている場合、導入コストを大幅に抑えられます。

簡単に電話番号が入手可能

従来型の固定電話では、電話番号を入手するために電話加入権を購入する必要がありました。一方で、IP電話は電話加入権なしで簡単に電話番号を取得できます。また、回線を増やしたい場合にもすぐに対応可能です。

汎用性が高い

メールやチャットツール、電話帳などさまざまなシステムと連携できる汎用性の高さもメリットです。例え、メールやチャットツールによる受電通知や通話内容の録音など、さまざまな活用ができます。

既存の固定電話との併用可能

IP電話対応の電話機器があれば、既存の固定電話との併用が可能です。よって既存の電話回線を解約せずに使い続けられ、2種類の電話番号を使い分けられます。またFAXの場合も、一般的に普及しているG3タイプであれば問題なく使用可能です。

IP電話のデメリット

IP電話の導入には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、IP電話のデメリットを解説します。

既存の電話番号が使えない

050型のIP電話を導入する場合、これまで使用していた市外局番から始まる電話番号は使用できません。電話番号を変更する必要があるため、取引先への連絡やホームページなどの更新をする手間がかかってしまいます。

またプロバイダを変更する場合も、番号の変更が必要です。したがって、何度もプロバイダを変更することのないように契約するIP通話は慎重に選びましょう。

緊急通報の利用ができない

IP通話では、110番や119番といった緊急通報はできません。そのためスマホなど別回線が使えるデバイスを用意したり、最寄りの警察署や消防署に直接通報できるように電話番号を控えておいたりする対策をしましょう。

通話の品質担保が難しい

IP電話はインターネット回線を使用して通話するため、通信環境の影響を受けやすいのがデメリットです。通話品質の高いIP電話を選ぶことはもちろん、安定したインターネット回線を契約することも必要になります。

IP電話の音質は良い?悪い?仕組みと音質の関係や通話品質を改善する対策法

停電時には利用できない

IP電話は、インターネット回線を使用して通話します。しかし、停電時にはインターネット回線につなぐ専用装置に電力が供給されなくなり、インターネットにアクセスできなくなってしまいます。

電話回線につなぐだけで使用できる固定電話を導入するなど、緊急時に備えた対策も合わせて行いましょう。

IP電話の選び方について

IP電話を選ぶ際は、どのようなポイントを確認すれば良いのでしょうか。ここでは、IP電話の選び方について解説します。

価格帯がリーズナブルなサービスかどうか

IP電話を選ぶ上で重要なのが価格です。IP電話は従来の固定電話と比べて格安ではありますが、サービスによって価格帯は異なります。導入費用や料金体系などを比較し、よりコストパフォーマンスに優れたサービスを選びましょう。

IP通話は、電話をかける相手や地域によって通話料金が異なります。また、月額制か時間課金制なのかによっても差が出るでしょう。よって通話頻度の高い相手や通話時間などを加味して比較し、どのサービスが適しているか判断することが大切です。

対応機能が十分備わっているか

導入したいIP電話に必要な機能が十分に備わっているか確認しましょう。インターネット回線を利用した通話ができるという基本機能は共通していますが、他にもさまざまな機能があります。具体的には、留守番電話機能やプッシュ通知、スマホの内線化機能などがあげられます。

また多くの機能が備わっていても、使用しなければ意味がありません。高機能なものほど価格が高くなったりオプション料金が必要になったりするため、自社にとって必要な機能を見極めることも大切です。

通話回数は自社が求めているものであるか

通話回数にも気をつけましょう。IP電話は、一定の通話回数を超えると音質の悪化や通話の切断といった不具合が発生しやすくなります。

よって、自社の従業員数や規模に応じて1ヶ月にどのくらいの通話数が必要か算出した上で検討することが大切です。

柔軟に対応してくれるサポート体制があるか

IP電話を選ぶ際は、サポート体制にも着目しましょう。通信障害などのトラブルに素早く柔軟に対応してくれるかどうか確認することが大切です。

サポートの対応時間や窓口、サポート内容などを確認するようにしましょう。手厚いサポートが付いていれば、もしもの際にも安心です。

IP電話はこんな人におすすめ

IP電話はスマホでも使えるため、どこにいても使用可能です。また担当者が外出中にオフィスの固定電話にかかってきた電話を、本人のスマホに転送するといった使い方もできます。

したがってIP電話は外回りの営業をはじめオフィスを不在にしがちな業種など、出先でも会社の電話番号を使いたい方におすすめです。またテレワーク中でも会社の電話を使用できます。

さらに、私用の電話番号とビジネス用の電話番号を使い分けたいと考えている個人事業主にもおすすめです。

IP電話を導入して自社の電話契約を見直そう!

IP電話は固定電話と比べて安価に利用できるほか、さまざまなメリットがあります。スマホからも使用可能なため、法人だけではなく個人事業主にもおすすめです。

IP電話を導入する際は、事業規模や従業員数、必要な機能などを考慮し、自社に合ったサービスを選ぶようにしましょう。

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