チャットボットにキャラクターを設定するべき?メリットや事例を解説
チャットボットの質向上につながる、キャラクターの設定。すでにチャットボットを導入していて、今後キャラクターを設定すべきか検討している企業も多いのではないでしょうか。本記事では、チャットボットにキャラクターを設定すべきなのか、設定するメリットや設定事例をあわせて解説します。
目次
キャラクターチャットボットとは?
キャラクターチャットボットとは、チャットボットにキャラクターを設定して疑似人格を与えたもののことです。より人との対話に近い環境をつくることで、顧客サービスやマーケティングにおける顧客エンゲージメントを高める役割を果たします。
2020年8月に公表された、アルティウスリンク アップス株式会社「チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査」の調査結果によると、52%もの企業がチャットボットにオリジナルのキャラクターを採用していることがわかりました。
また、キャラクターやペルソナを綿密に設定しているチャットボットは、キャラクターなしのチャットボットに比べると利用率向上などの効果が見受けられたようです。
このように、利用率の向上や社内認知が期待できるため、非常に注目が集まっているといえるでしょう。
[出典:アルティウスリンク アップス株式会社「チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査を実施」]
チャットボットにキャラクターを設定するメリット
チャットボットに親しみのあるキャラクターを設定することで、さまざまなメリットが得られます。ここからは、具体的なメリットを3つ紹介します。
親近感を持ってもらえる
チャットボットにキャラクターを設定すると、ユーザーに親近感を持ってもらえます。
たとえば、キャラクターの親しみやすさや癒しには、ポジティブな印象を与え、顧客との距離を縮めたり、関係性を強化したりする効果が期待できます。
また、キャラクターの設定によって、チャットボットの機械的な印象も和らげることが可能です。これまでチャットボットの利用を敬遠していた顧客も、親しみやすさからタッチポイントが生まれて利用するようになり、利用率を向上できる可能性もあります。
企業ブランディングの一環になる
キャラクターチャットボットは、企業ブランディングの強力なツールになり得ます。オリジナルのキャラクターを採用することで、企業イメージや価値観を具現化し、一貫性のあるブランドメッセージを伝えることが可能です。
通常、競合他社との差別化の厳しさや時間・リソースの制約などで、企業ブランディングは難しいといわれています。しかし、キャラクターを設定したチャットボットによって企業の個性を際立たせ、市場での認知度を高めます。
また、顧客がブランドキャラクターであるチャットボットに親しみを感じることで、企業への信頼感や親近感が生まれ、ブランドロイヤリティの強化にもつながるのです。
ユーザー体験の向上につながる
キャラクターチャットボットの導入は、ユーザー体験を大きく向上させます。ユーザー体験とは、製品やサービスの利用でユーザーが得られる体験のことです。
ユニークさやかわいらしさなど、個性的なキャラクターが設定されたチャットボットとのやりとりは、ユーザーに楽しさと新鮮さを提供します。これにより、本来は顧客にとって負担である問い合わせという行為が単なる手続きではなく、記憶に残る良い体験へと変わります。
顧客は単調なテキスト応答ではなく、キャラクターの個性を通じて情報を受け取るため、よりポジティブな感情を抱きやすくなるでしょう。このようなユーザー体験は、顧客満足度の向上に寄与し、チャットボットの利用を促進します。
▷チャットボットの会話デザインとは?UXを設計するコツやデザインのポイントについて
チャットボットにキャラクターを設定するデメリット
キャラクターチャットボットにはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットとなる要素もあります。ここからは、チャットボットにキャラクターを設定するデメリットを3つ紹介します。
キャラクターの設定に時間・手間がかかってしまう
キャラクターチャットボットの開発と導入は、時間と労力が必要な作業です。特に、企業やブランドに合ったユニークなキャラクターの作成は、企業イメージに直結するため、キャラクターデザインや性格の設定に時間を要するでしょう。
また、チャットボットの会話能力を磨くためには、継続的なトレーニングと改善が求められ、専門知識とリソースが必要になります。特に小規模な企業や予算に制限がある場合、コストなどが大きな負担となることがあります。
キャラクターチャットボットの効果的な運用を実現するためには、時間とコストの両方の投資が不可欠です。
顧客離れのリスクがある
チャットボットに設定したキャラクターが、顧客の好みやイメージと異なる場合、顧客離れが起きるリスクがあります。
すべての顧客がキャラクターのスタイルや対話方法に親近感や愛着を抱くわけではなく、一部の顧客はキャラクター設定を煩わしく感じる可能性があります。また、キャラクターが企業のブランドイメージや価値観と合致しない場合、顧客の信頼を損ねる原因となることもあるのです。
そのため、チャットボットにキャラクターを設定する際は、ターゲット顧客層のニーズと期待に緻密に対応する必要があります。適切な設計と管理がなされない場合、顧客体験の低下につながりかねません。
▷チャットボットの利用率が低い原因|向上させる方法やメリットを解説
チャットボットのキャラクター導入が向いているケースとは?
チャットボットのキャラクター導入が向いているのは、主に以下のケースです。
- チャットボットの利用率を上げたい
- 企業やブランドの認知度を高めたい
- 若い世代にアプローチしたい
- 企業ブランディングに活かしたい
チャットボットにキャラクターを設定すると、親近感が生まれてユーザー体験が高まる効果が期待できます。そのため、利用率の向上や企業ブランディング、若い世代の取り込みなどを狙いたい企業に向いています。
たとえば、小売業やサービス業では、親しみやすいチャットボットのキャラクターを通じて、顧客とのコミュニケーションを強化することが可能です。また、若年層や特定の趣味・興味を持つ顧客に向けたマーケティングでは、好みに合わせたキャラクター設定が強い魅力を持ちます。
このようにターゲット層に合わせたキャラクターデザインを採用することで、企業やブランドへの親近感とロイヤリティを高め顧客エンゲージメントを促進できます。
チャットボットにキャラクターを設定する手順
チャットボットにキャラクターを設定するまでには、大まかな流れがあります。それぞれのフローをチェックし、設定を進めてみてください。
キャラクターのコンセプトを考える
チャットボットにキャラクターを設定する最初のステップは、キャラクターのコンセプトを練ることです。具体的には、まずはターゲット顧客の興味やニーズに合わせたキャラクターの性格、外見、話し方を考えます。
たとえば、若い世代をターゲットにする場合は、トレンディで親しみやすいキャラクターが適しています。また、ブランドイメージや企業の価値観を反映させることも非常に重要です。
チャットボットのキャラクターが顧客との接点となるため、設計にはブランドの特性やメッセージを効果的に伝える要素が必要となります。
質問・回答を考える
次に、顧客からのさまざまな質問に対して、どのように回答するかを決定します。一般的な問い合わせから特定の業務に関する問い合わせまで、広範囲にわたる質問を想定しましょう。
キャラクターの個性や話し方を反映させた回答を用意することで、ユーザーとの対話がより自然で魅力的になります。堅苦しい雰囲気は避けて、話し言葉でキャラクターに合った回答を用意してみてください。
また、顧客の期待やニーズに応じて、迅速かつ正確な情報を提供することが特に重要です。質問と回答の準備は、ユーザー体験を向上させるための大切なステップです。
定期的な改善を繰り返す
キャラクターチャットボットの運用では、定期的な改善が必要不可欠です。フィードバックや行動パターンを分析し、対話の質を高めるための調整を行いましょう。
たとえば、よくある質問への回答を更新したり、ユーザーの関心に合わせて話題を追加したりすることがあげられます。また、技術的な面では、AIの学習アルゴリズムを最適化して、より人間らしい応答ができるようにすることも重要です。
継続的な改善プロセスにより、さらにユーザー体験を向上させ、効果的な顧客エンゲージメントを実現できます。
▷チャットボットの作り方とは?自作の流れやポイント・おすすめのツールを解説
チャットボットにキャラクターを設定した事例
最近では、チャットボットにキャラクターを設定する企業が増加しています。ここでは、チャットボットにキャラクターを設定した各社の事例を紹介します。
株式会社ローソン
株式会社ローソンは、「あきこちゃん」という親しみやすいキャラクターを用いて、主にLINEのチャットボットで顧客に対する情報提供や質問応答を行っています。あきこちゃんは、店舗情報、商品紹介、キャンペーン情報など、幅広い内容に対応し、顧客とのコミュニケーションを強化しています。
さらに、LINEスタンプを販売して使用を促し、さらに親近感を得てファン獲得につなげていることも特徴です。
顧客は、あきこちゃんを通じて気軽に情報を得られるため、顧客満足度の向上に寄与しています。ローソンのこの取り組みは、キャラクターチャットボットの効果的なビジネスへの応用例として注目されています。
[出典:株式会社ローソン「ローソンクルー♪あきこちゃん」]
株式会社ベルパーク
全国にキャリアショップを展開する株式会社ベルパークでは、人事・総務の分野においてチャットボット「ベル助」を導入しています。
親しみやユーモア要素を追加し、従業員が親近感を抱けるように工夫されています。たとえば、語尾に「〜ナリ」を付ける、主語を「ワガハイ」にするなど、オリジナリティある要素が盛り込まれている点が魅力です。
ベル助の導入によってコミュニケーションが活発になり、聞きたいことを気軽に聞けるようになったことから、会社全体の生産性向上にもつながっています。
[出典:株式会社ベルパーク「人事・総務ボット「ベル助」が実現した業務効率化と
新しい社内コミュニケーション」]
タウンワーク
「タウンワーク」は、アルバイト・パート求人情報を提供するサービスで、ジョブーブというキャラクターを効果的に活用しています。
公式サイトでユーザーが求人を探す際に、チャットボットであるジョブーブがフレンドリーに対応し、ユーザーに合った求人情報を提供します。ユーザーの求人探しのプロセスを簡略化し、効率的な体験を提供している点が特徴です。
他人には話しづらいアルバイトに関する相談を気軽にできるため、ユーザー体験を向上させて利用者の獲得につながっているといえます。
[出典:株式会社リクルートホールディングス「ジョブーブのこと」]
チャットボットにキャラクターを取り入れてみよう
チャットボットにキャラクターを取り入れることは、多くの企業に大きなメリットをもたらします。設定したキャラクターの魅力により、ユーザーとの親近感を高め、ブランディング効果を創出し、ユーザー体験を向上させることが可能です。
チャットボットのキャラクター設定には時間とコストがかかるものの、計画的なアプローチと定期的な改善により、その効果を最大限に引き出せます。本記事で紹介したキャラクター設定の成功事例から学び、自社に適したキャラクターを設計しましょう。
キャラクターチャットボットは、顧客エンゲージメントを高め、ブランド価値を向上させる強力なツールとなるでしょう。
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