【簡単解説】エニアグラムとは?タイプ別の性格診断や適職について

最終更新日時:2023/01/23

ダイバーシティ

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9つの性格タイプを診断することができるエニアグラムは、心理学の領域を超え、ビジネスシーンにおいても自分の適正を知る手段として活用されています。本記事では、そんなエニアグラムについて、活用するメリットや診断の方法などを詳しく解説していきます。

エニアグラムとは?

エニアグラムとは、ビジネス・教育・カウンセリングなどで、幅広く利用されている性格診断です。

人の特性は、心の動きや衝動、行動や感情の習慣性、あるいは外部の刺激に対する反応など、あらゆる要素で構成されています。エニアグラムは、これらの要素に対して自覚的な気づきを積み重ねることで、自分の性格や特性を構造的に深く理解しようとするものです。

ちなみに、エニアは「9」、グラムは「図」という意味です。エニアグラムは円周上に等間隔で9つの点が置かれた幾何学図形で、それぞれの点が人の性格タイプを表し、さらに関連性の高い性格タイプを線でつなぐことで、それぞれの関係を示しています。

つまり、エニアグラムは、1970年代からアメリカで発展してきた心理学・人間学であり、「人間の性格は、9つの類型に分類できる」とする考え方なのです。

エニアグラム診断を行うメリット

エニアグラム診断にはどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な4つのメリットをご紹介します。

自分の性格や価値観を客観視できる

エニアグラム診断の1番のメリットは、自分を客観的に深く理解できる点にあります。人間には誰しも「思考の偏り」があり、実は、そのような思考の偏りを排除し、自分を客観的に見ることは困難であるとされています。

そのため、自己評価や自己認識は、実際、多くの思い込みに影響され、正しく認識できていないことがほとんどであると言われています。ただし、エニアグラム診断は、自分の性格や価値観についての自覚的な気づきに基づいて行われるため、自分の特性を客観的に見つめることができるようになるのです。

自分の行動のきっかけが把握できる

エニアグラム診断では、自分が行動を起こす動機を見つけることもできます。ここでいう動機とは、自分が満足して生きるために行動をおこすきっかけになる内的な欲求のことです。

たとえば、好奇心や楽しみたいとする気持ち、第三者への貢献のほか、自分の有能性を確かめたいといった意欲が行動のきっかけとなることもあります。

エニアグラム診断を通じて、自分が行動を決定する際の「動機の傾向」と知り、その後の満足度などとの関係性を知ることは、よりよい人生を送る指針となるでしょう。

自分の価値を再認識できる

エニアグラム診断では、自分の性格を把握することで、自分の価値を客観的に確認し、自己肯定感を高めることもできます。

人は嫌なことや失敗、ストレスのかかる出来事が続くと、次第に自分の価値を感じられなくなり、ネガティブな思考から抜け出せなくなってしまいがちです。エニアグラム診断で自分の価値を知ることは、そのような状況での心の支えになるでしょう。

また、自分の特性が失敗やストレスの原因となっていることも少なくありません。そのような「原因」と「結果」を正しく自己認識することで、前向きな改善策を見出すこともできます。

他者と円滑な関係を構築できる

エニアグラム診断は、自分を深く理解するのに役立つだけでなく、他人への理解を深める際にも応用できます。

相手の特性を理解し、適切な手段や表現でのコミュニケーションをおこなうことで、良好な人間関係を築くことが可能です。

エニアグラムを使った診断テストの方法

エニアグラム診断の実施や企業研修、書籍出版などを行う「エニアグラム研究所」では、エニアグラムの中でも、もっとも本格的なリソ=ハドソン式性格タイプ診断テスト(RHETI)を提供しています。

このRHETIは、1つの設問に対して2個の選択肢をあげ、2つのうちどちらが自分の行動に当てはまっているかを選択するもので、全144問の回答の傾向により、性格タイプを診断するものです。

ホームページでは、RHETIの簡易的な診断が無料でお試しできるサンプル版が公開されているため、気になる方は、一度試してみると良いでしょう。

▷エニアグラム性格タイプ診断テスト(無料サンプル版)

エニアグラムで診断できる9つの性格タイプ

エニアグラムでは人間の性格を9つに類型化しています。それぞれの性格について解説します。

1.改革する人

タイプ1は理想に向かって改革をおこなう完璧主義者です。自分や周りをよりよくしていくために、常に進歩し続けようとするのが特徴です。

いつも物事をよくしたいという使命感があり、そのための努力は惜しみません。物を教えたり、指導することが得意なので、教師としての側面も持っています。また、周囲の人間を公平に扱おうとするので、公明正大だと思われることが多いようです。

一方で、無秩序な状態を嫌い、理不尽なことやおかしいと感じることに強い怒りを感じてしまいます。そのため、世の中はいつも完璧ではないことを理解し、寛容になることで、地に足をつけた行動ができるようになります。

2.人を助ける人

タイプ2は親切で思いやりの深い人間です。人のために行動するのが大好きで、相手の悩みや不満を率先して解決したいと考えています。ボランティア精神にあふれ、人に必要とされることに喜びを感じるのも大きな特徴です。そのため、タイプ2は母親タイプと形容されることもあります。

タイプ2は献身的である一方で、自分をないがしろにしたり、過度なコミュニケーションを求める傾向もあります。そのため、自分を大切にすること、相手の求めることを適切に理解することが必要になります。

3.達成する人

タイプ3は成功志向で、目標を達成して成長することを望みます。自信と野心に満ちあふれ、高い能力を身につけていることが大きな特徴です。

自分が定めた目標を成し遂げることに喜びを感じ、目標のためなら手段を選びません。計画達成のためのマネジメント能力が身についているので、組織を動かすリーダーとしての素質も兼ね備えていると言えるでしょう。

しかし、タイプ3は目標のために、そのほかのことをないがしろにしたり、周囲の気持ちを考えずに行動してしまったりなど、さまざまなことを犠牲にしてしまう傾向があります。自分のための時間を確保し、休息や他者とのコミュニケーションに充てることで、人間的な成長ができるでしょう。

4.個性的な人

タイプ4は個性的な芸術家気質です。自己表現を大事にしており、他者と違うことに価値を感じます。自分の作ったものが称賛されることに充足感を感じるのが、タイプ4の特徴です。創造力に富み、強いアイデンティティー意識を持っています。

しかしその一方で自身の感情に振り回されやすく、過去の嫌な思い出を引きずる、といった傾向があるようです。ネガティブになりがちなので、自分を客観的に観察し、自分のポジティブな面に注目することを習慣づける必要があります。

5.調べる人

タイプ5は冷静な論理家タイプです。知識を集め世界を深く理解したい、知性を高めたいという強い願望を持っています。

洞察力に富み、発言は十分に考えた上でおこなわれます。社会的評価にあまり価値を感じず、精神的な安定を好むことも、タイプ5の特徴です。人との交流がおそろかになりがちで、他者とかかわるときも明確な一線を引くため人間関係の構築は得意な方ではありません。

そのため、周囲から孤立する傾向があるようです。自分の感情をありのままに表現できる友人を見つけたり、他者との友好的な接し方を学んだりすることが求められます。

6.忠実な人

タイプ6は責任感が強く、献身的な人です。信頼できる人や組織とのつながりを重視して、他者との信頼関係の構築に努めています。そのため、周りからの信頼が厚く、チームプレイが得意という特徴があります。

しかし、組織の一員であることに執着するあまり、問題を避ける、権威に弱いといった傾向もあるようです。問題に向き合い自主的に動くことが、タイプ6の課題となります。

7.熱中する人

タイプ7は外交的で行動力のある人です。楽しい人生のために自身の幸福を追求しており、エネルギーに満ちあふれています。周囲からは明るく楽観的な人間と思われる傾向があるようです。

しかし、さまざまなことに興味を持つあまり、収拾がつかなくなり、何をすべきかわからなくなることもあるようです。また、衝動的で、忍耐力に欠ける面もあります。自分と向き合う時間を作ること、長期的な計画に落ち着いて臨むことで、そのような問題に対処できるでしょう。

8.挑戦する人

タイプ8は意思が強く、対立に臆しない人です。自信に満ち、周囲の環境を支配したいと考える傾向があります。バイタリティと決断力があり、リーダーや指導者的な立場を望みます。機知に富み、議論を好むのもタイプ8の特徴です。

しばしば攻撃的になりがちで、友好的な人間関係を構築しにくいという側面もあります。ものごとを支配・被支配の関係で捉えがちなので、心を開ける友人や家族との交流など対等な交流によりリセットする時間が必要です。

9.平和をもたらす人

タイプ9は穏やかで平穏を大切にする人です。自分と他者との平和を求め、調和を重視します。周りからは寛容で落ち着きのある人だと思われます。

一緒にいて安心する、争いごとの仲裁に長けているので頼れる、などの理由で、皆に好かれることが多いようです。しかし、他人を優先してしまうあまり、自分の気持を押し殺してしまうことがあります。

また、ものごとの変化を嫌う傾向があり、新しいことへの挑戦に億くうなのもタイプ9の特徴です。自身の内面にも目を向け、隠れていた欲求を見つけるよう心がけましょう。

エニアグラム診断の結果の見方・分析方法

次にエニアグラム診断の診断結果の見方と分析の方法を解説します。

センターの確認

エニアグラムには3つのエネルギーセンターがあり、これらは3つの知性と呼ばれることもあります。

そして、9つの性格タイプは、「本能(ガッツ)センター」、「感情(ハート)センター」、「思考(ヘッド)センター」のいずれかのエネルギーセンターに分類されます。

エニアグラムにおける3つのエネルギーセンター

まずは、自分の性格タイプが、どのセンターにあてはまるか確認しましょう。

タイプ1・8・9は本能(ガッツ)センターで、自分の感覚を大切にしています。自分の主義主張を全面に押し出し、現実に抗おうとします。心には「怒り」の感情を抱えていることが特徴です。

タイプ2・3・4は感情(ハート)センターで、周囲からどう思われているかを重視しています。根底には「恥」の感情を抱えており、自己イメージに強いこだわりを持ちます。

タイプ5・6・7は思考(ヘッド)センターで、正しい理解や論理性を重視します。物事を分析することで、安心感を得られることが特徴です。見えないものに対する「不安」をかかえており、恐れや疑いに悩まされることも少なくありません。

統合と分裂の方向の確認

エニアグラムの円周に等間隔で配置された9つの性格タイプを原点として、2本の直線が出ています。それぞれの線は他のタイプに向かっており、これは統合と分裂と呼ばれる成長に関する進行方向を示しています。

心が安定し、人間的成長を遂げた際は、統合の方向に進み、統合先のタイプの特徴が健全な形で現れます。変化の方向は以下のとおりです。

<統合の方向>

1→7→5→8→2→4→1

9→3→6→9

エニアグラムにおける統合の方向

逆に、ネガティブでストレスフルな状態だと分裂の方向に進み、分裂先のタイプの特性が現れます。変化の方向は以下のとおりです。

<分裂の方向>

1→4→2→8→5→7→1

9→6→3→9

エニアグラムにおける分裂の方向

この統合と分裂は、現在の自身の状態が健全なのかストレスフルな状態なのかを知る手がかりになります。

エニアグラム診断の結果を活用する方法

エニアグラム診断による結果の見方がわかったところで、次はどのような目的や状況で活用できるのかについて、代表的な用途である、「自己分析」と「適職診断」にわけて詳しく解説します。

自己分析

人は、なかなか自分を客観的に見ることができません。思い込みやその時の気分・感情、周りとの関係など、さまざまなバイアスがかかってしまうからです。エニアグラムを利用することで、自分がどのような性格なのかを客観的に見ることができます。

自分を知ることで、本当の欲求を見つけたり、ストレスを感じやすい状況に対処できるようになったり、また、周囲の人間との適切な関わり方を見つけられるきっかけになります。

適職診断

客観的に自分の性格を知ることのできるエニアグラムの特性は、ビジネスにおける適職診断としても有効です。

自分の得意なこと不得意なこと、行動を決定する要因となることを、感情や願望を排除して、客観的に観察できるため、自分の特性を鑑みた適職を見つけることができるのです。

自分の能力や特性を活かせる職業を把握することは、就職・就職活動での大きな助けになるでしょう。

エニアグラム診断ができるおすすめの診断サイト

エニアグラム診断ができるおすすめのサイトをご紹介します。

エニアグラム研究所[日本]

エニアグラム研究所では、36の質問に答えることで、自分の性格を知ることができる無料版の簡易的なリソ=ハドソン式性格タイプ診断テスト(RHETI)テストをホームページで公開しています。

エニアグラムの概要や目的、9タイプの性格についても詳しく掲載されているため、「エニアグラムの基礎」を学ぶのにおすすめです。

エニアグラム性格タイプ診断テスト|エニアグラム研究所

日本エニアグラム学会

自己成長とコミュニケーションのためのワークショップなどを開催する日本エニアグラム学会では、「90問回答式」と、「文章3択式」の2つの簡易的な無料診断ツールが用意されています。

90問回答式では、自分の性格とマッチ度の高いタイプが確認でき、また、自分の性格に近い複数のタイプについても確認できるため、比較的精度の高い診断が可能です。

文章3択式は、3択形式の質問に2回答えて、自分の性格にもっとも近いと思われるタイプを1つ見つけることができるツールです。ここでご紹介した3つの診断ツールのなかでも、最も簡単なため、すぐに結果を確認できます。

簡易タイプ診断 | 日本エニアグラム学会

エニアグラム診断を活用して自分の価値を再認識しよう

価値観や考え方が全く同じ人はいないように、人がどのようなことに心を動かされるのか、また、どのような欲求により行動を決定するのかは、個々で異なります。

また、人の思考から「思考の偏り」や「思い込み」を完全に排除することは困難であり、それゆえに、自分自身の特性を客観的かつ正確に把握するのは難しいものです。

そのため、自分の優れた面やストレスを感じやすい傾向に気づかず、知らず知らずのうちにストレスフルな生活を自分自身が選んでしまっていることもあるでしょう。それでは、自分の特性を活かした、よりよい人生を送ることはできません。

まずは無料テストを活用し、自分がどのような特性を持っているのかを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

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