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くるみん認定企業とは?認定基準や取得のメリット・企業の取り組み例を解説

2022/09/03 2023/06/21

ダイバーシティ

くるみん認定とは

子育てサポート企業として、厚生労働大臣から認定された企業のことを指すくるみん認定企業。少子高齢化などを背景に注目が集まっていますが、果たしてくるみん認定企業のメリットとは一体何なのでしょうか。本記事では、そんなくるみん認定企業について詳しく解説していきます。

くるみん認定企業とは?

くるみん認定企業は、育児と仕事の両立を積極的に支援する企業として、厚生労働大臣から認定された企業です。くるみん認定企業になるためには、残業時間削減や多様な働き方の実現など、10種類の認定項目を全て達成する必要があります。

くるみん認定となった企業は、認定マークをホームページ・商品・求人へ掲載でき、自社の取り組みを積極的にPRできます。

えるぼしとの違い

育児と仕事の支援体制が整っているサポート企業を認定するくるみん認定に対し、えるぼし認定は女性が活躍できる環境を整えている企業を認定する制度です。

同じような意味合いで認識されがちですが、それぞれで目的や認定基準に違いがあるということを理解しておきましょう。

なお、基準を満たしている企業が国に申請をし厚生労働大臣の認定を受けるという点は同じです。

えるぼし認定とは?認定基準や申請方法・取得するメリット、認定企業を紹介

くるみんマークの種類

くるみんマークには4つの種類があり、それぞれのマークで認定基準や区分が異なります。ここでは、それぞれの認定基準などについて紹介していきます。

くるみんマーク

くるみんマークは、育児と仕事を両立できる環境整備へ積極的に取り組んでいる企業を認定したマークです。くるみんの由来は、赤ちゃんが包まれる「おくるみ」に加え、「会社ぐるみ」で働きやすい環境整備に取り組もう、との意味合いが込められています。

また、くるみんマークには星がちりばめられており、星の数=くるみん認定企業を受けた回数です。星の数が多い企業は、育児支援やワークライフバランス改善に積極的に取り組んでいる企業だと言えます。

プラチナくるみんマーク

プラチナくるみんマークは、くるみんマークを取得している企業を対象により高い水準の目標達成に取り組んでいる企業を認定する制度です。2023年5月時点でくるみん認定企業が4,158社に対し、プラチナくるみんマーク認定は556社です。

プラチナくるみんマークを取得するには、12個の認定基準をクリアする必要があります。12個のうち8個はくるみんマークと同じ認定基準ですが、残り4個が独自の認定基準であるため、多少ハードルが高くなっているようです。

以下にプラチナくるみんマーク独自の認定基準をまとめました。

種類認定内容備考
男性育児休業取得率①男性従業員のうち、育児休業を取得した方の割合が30%以上

②育児休業+企業独自の育児休業制度利用者が、50%以上

①と②、どちらかを達成
働き方①残業時間削減、有給取得率向上、多様な働き方実現の3つのうち、数値目標を掲げて実施

②残業時間削減か有給取得率向上、どちらかの目標を達成

女性従業員①出産をした女性従業員のうち、子どもが1歳になるまで在籍した従業員が90%以上

②出産によって退職した従業員も含め在籍率が70%以上

①と②、どちらかを達成
キャリアアップ育児中の女性従業員に対し、キャリアアップを望める環境を整備
継続報告「次世代育成支援対策の実施状況」について、厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で、結果を毎年1回以上は報告

トライくるみんマーク

トライくるみんとは、2022年4月の認定基準の引き上げにともなって新設されたマークです。定基準は下記のとおりです。

  • 男性の育児休業取得率:7%以上
  • 女性の育児休業取得率:75%以上
  • 労働時間数:計画期間の属する事業年度において、フルタイム労働者の月平均時間外・休日労働-45時間未満 全労働者の月平均時間外労働-60時間未満を満たしていること

なお、トライくるみんマークの認定を受けることによって、くるみん認定・プラチナくるみん認定と同様に子育てサポート企業であることを証明できます。

くるみんプラス

くるみんプラスは仕事と不妊治療のそれぞれを両立できる環境整備に励んでいる企業を認定するために作られた制度です。

くるみんプラスに認定されることによって、3つのくるみんマークに「プラス」が追加されるようになります。

なお、くるみんプラスの基準は下記のとおりです。

  • 不妊治療のための休暇制度を設けていること(多様な目的で利用することができる休暇制度や利用目的を限定しない休暇制度を含み、年次有給休暇は含まない。)
  • 不妊医療と仕事との両立に関する方針を示し、講じている措置の内容とともに社内に周知していること。
  • 不妊治療と仕事との両立に関する研修その他の不妊治療と仕事との両立に関する 労働者の理解を促進するための取り組みを実施していること。
  • 不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者を選任し社内に周知していること。

参照元:東京労働局「【くるみん認定・プラチナくるみんの認定基準が改正されました 】

パタニティ・ハラスメント(パタハラ)とは?具体事例や原因と対策について

くるみん認定企業が注目されている背景

くるみん認定企業が注目されている理由は、大きく3つあります。

次世代育成支援対策推進法が施行されたため

次世代育成支援対策推進法は、次世代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するために施行された法律で、多くの子どもが健やかに成長するよう、国・地方自治体・企業に行動計画の策定が求められています。

義務規定として定められていますが、取り組まなかった場合の罰則は定められていません。そのため、一定の基準を設けてクリアした企業をくるみん認定し、法案を進めていくために設立されたのです。

女性が働きやすい環境を整えるため

仕事と育児の両立が望める企業が少ない点もくるみん制度が生まれた理由の一つです。

日本は海外の先進国と比べると女性従業員が長期的に働きやすい環境とは言えず、女性管理職の割合もかなり低いのが大きな問題としてあります。

そのため、くるみん認定を通して出産や育児を機に仕事・キャリアを閉ざされることがないよう、女性従業員が働きやすい環境の構築を目指しています。

ダイバーシティと女性活躍推進の関係性|課題や女性活躍推進法について

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くるみん認定企業の現状について

くるみん認定企業は毎年、200〜300社ずつ増えています。2008年3月時点では428社でしたが、翌年には652社、2010年3月時点には845社まで増加しています。2015年3月には2,138社まで数字を伸ばし、2023年5月にはには4,158社にも及んでいます。

一方、プラチナくるみん認定企業は、2016年3月時点では79社でしたが、2020年3月には367社まで増えました。2023年5月には556社となり、今後も職場環境改善に努める企業の増加が期待されます。

くるみん認定企業の認定条件

くるみん認定を受けるためには、以下の表にまとめた10個の基準を全てクリアする必要があります。男性社員の育児休業取得率向上や自由な働き方の実現など、一つひとつの評価基準をクリアできると、ワークライフバランスを高められます。

認定基準判定基準備考
認定基準1
  • 雇用環境の整備に関して、適切な行動計画の策定有無
  • 行動計画策定指針と方向性の合致
認定基準2
  • 行動計画の期間は、2年以上~5年以下
認定基準3
  • 策定した行動計画を実施し、内容の達成度合い
  • くるみん認定申請時には、目標達成を証明する資料が必要

例:ノー残業―デー導入が目標(必要書類:制度導入を通知した文書のコピー、啓蒙資料などが該当)

認定基準4
  • 策定・変更した行動計画について、労働者へ周知を行っているかどうか
認定基準5①計画期間内で、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上を記録
  • 厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で、結果の公表が必要

②計画期間内で、男性労働者の育児休業等取得率+企業独自の育児休業制度の利用率が20%以上を記録。

  • 「両立支援のひろば」で、結果の公表が必要
①と②、いずれかの達成が認定基準
認定基準6
  • 計画期間内で、女性社員の育児休業取得率が75%以上
  • 「両立支援のひろば」で、取得割合の結果を公表
認定基準7
  • 3歳未満の子どもを育てる従業員に対し、短時間勤務や始業時刻変更に関する処置の有無
  • 有期雇用契約者にも上記の処置を適用
  • フレックスタイム制の導入、保育施設の設置などが、始業時刻変更に該当
  • 計画期間前から実施している内容も対象
認定基準8①フルタイム労働者の残業時間+休日労働の平均時間が、毎月45時間未満

②1ヶ月で60時間を超える時間外労働をこなす労働者が、一人もいない状態

①と②、どちらの達成も必要
認定基準9
  • ①~③に関する内容を具体的な数値目標を掲げて、実践

①時間外労働削減

②有給休暇取得率向上

③多様な働き方の実現

  • ①の具体例:ノー残業デーやフレックスタイム制の導入
  • ②の具体例:計画年休の導入
  • ③の具体例:在宅勤務や短時間正社員制度の導入
認定基準10男女均等雇用法や労働基準法など、各種法律の遵守

くるみん認定企業の認定・申請方法

くるみん認定を申請する方法は、以下の手順に沿って進めてください。

  1. 自社の現状や社員の希望を把握
  2. 行動計画策定
  3. 行動計画を社員へ通知
  4. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ行動計画を提出
  5. 行動計画実施
  6. 計画期間の終了後、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へくるみんを認定申請
  7. 子育てサポート企業として認定

1では、従業員からの要望や仕事と子育ての両立が困難になっている要因を把握します。改善要望が多かった内容を参考に、行動計画を策定します。また、行動計画策定・周知から3ヶ月以内に、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ行動計画を提出してください。

くるみん認定企業としてマークを取得するメリット

くるみん認定マークを取得すると3点のメリットが得られます。

企業のイメージアップ

くるみん認定マークの取得は、企業のイメージアップにつながります。「子育てと仕事の両立が望めるホワイト企業」とのイメージを印象付けられ、多方面から関心を得られます。

近年は、ワークライフバランスを重視する傾向が強まり、働きやすい職場環境が整備されているかどうかは、就職先を選ぶ上で重要な要素です。くるみん認定マークの取得によって、入社希望者を多数集められ、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

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従業員の満足度向上

子育てサポート企業として認められるためには、残業時間削減・育児休業取得率向上・多様な働き方の実現など、様々な取り組みが必要です。

評価項目をクリアする過程で、従業員にとって働きやすい職場環境を構築でき、エンゲージメントが高まります。従業員と企業の信頼関係が強固になり、離職率低下や生産性向上が期待できます。

公共調達での優遇措置

公共調達での優遇措置を受けられる点も、くるみん認定マークを取得するメリットの一つです。くるみん認定企業は。国や地方自治体から高く評価され、競合他社との差別化を図れます。

建設工事・システム開発・広告など、入札で仕事を獲得する機会が多い企業にとって、大きなメリットとなります。

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くるみん認定企業の取り組み事例

ここでは、くるみんマークやプラチナくるみんを取得した企業事例を3例紹介します。

今後、くるみん認定取得を目指す上での、参考情報としてご活用ください。

株式会社 FiveBoxes

株式会社FiveBoxesは、岐阜県で保育園・学習塾・通信制サポート校を運営する企業です。同社は子育て世代の社員が育児の時間を確保できるように残業時間削減に努め、毎週水曜日をノー残業デーと設定し、残業ができない環境を強制的に作りました。

また、育児中の子どもが小学校就学始期に達するまでは、残業を制限し、子どもの成長を見守れる時間を確保しています。さらに、育児休業から安心して職場復帰できるように個別相談窓口を設けた結果、取り組みの結果、育児休業取得率は男女とも100%を達成したのです。

株式会社山田製作所

株式会社山田製作所は、群馬県高崎市で自動車部品や流量測定装置などを製造する企業です。同社は2015年4月〜2020年3月にかけて、様々な取り組みを実施。男性社員の育児休業取得率を高めるためにフレックスタイム制を導入しています。

また、子どもと一緒に過ごす時間を確保するため、小学4年生以下の子どもを持つ社員の短時間勤務や残業の免除を認めており、男性社員の育児休業取得率は91%を記録しました。

さらに、残業時間削減に向け、毎週水曜日の定時退社推奨や職場巡回を行った結果、2018年には残業時間が月平均13.8時間となりました。2015年の18.7時間と比べると、月平均で約5時間の残業時間削減に成功しています。

ワークライフバランス改善に努めた結果、2022年3月に3度目となるくるみん認定マークを取得しました。

トマト銀行

トマト銀行は、岡山県岡山市に本店を置く地方銀行です。同行は2015年4月〜2017年3月の取り組みが認められ、中国地方の金融機関で初めてプラチナくるみんの認定を受けました。

取り組み内容としては、男女問わず社員が子育てと仕事を両立できるように育児休業取得率向上と残業時間の削減です。目標数値として男性社員の育児休業取得率を30%以上、女性社員は90%と定めました。

まず、育児休業後のキャリアプランを具体的に描けるよう、育児休業取得者へカウンセリングを実施しました。社員の体調や保育園の確保状況、職場復帰後の働き方などをヒアリングし、不安の軽減を図ります。

また、女性社員のキャリアアップをサポートするため、通常の育児休業よりも早期に復帰した社員に対し、保育園の費用を一部負担しています。そして、1日の勤務時間を6〜7時間に短縮する短時間勤務制度を導入し、ライフスタイルに合わせた働き方を実現しました。

様々な取り組みを行った結果、男性社員の育児休業取得率は48%・女性社員は100%を記録し、目標の数値を大幅に上回ることに成功しています。

企業のダイバーシティ推進取り組み事例8選!見本から学ぶ成功の秘訣

くるみん認定企業への理解を深めておこう

くるみん認定は、子育てと仕事の両立が望める職場環境整備に積極的に取り組んでいる企業を認定する制度です。

認定されることにより、ワークライフバランスが整ったホワイト企業とのイメージを発信でき、入社希望者増加や従業員のエンゲージメント向上につなげられます。

企業のブランディングの向上による採用活動の強化や離脱防止が期待できるので、ぜひ前向きに取り組んでみてください。

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