くるみん認定企業とは?認定条件・申請方法やマーク取得のメリットを解説

2022/9/3 2022/09/03

ダイバーシティ

子育てと仕事を両立するビジネスマンのイメージ

子育てサポート企業として、厚生労働大臣から認定された企業のことを指すくるみん認定企業。少子高齢化などを背景に注目が集まっていますが、果たしてくるみん認定企業のメリットとは一体何なのでしょうか。本記事では、そんなくるみん認定企業について詳しく解説していきます。

くるみん認定企業とは?

くるみん認定企業は、育児と仕事の両立を積極的に支援する企業として、厚生労働大臣から認定された企業です。くるみん認定企業になるためには、残業時間削減や多様な働き方の実現など、10種類の認定項目を全て達成する必要があります。

くるみん認定となった企業は、認定マークをホームページ・商品・求人へ掲載でき、自社の取り組みを積極的にPRできます。

くるみんマークとは?

くるみんマークは、育児と仕事を両立できる環境整備へ積極的に取り組んでいる企業を認定したマークです。くるみんの由来は、赤ちゃんが包まれる「おくるみ」に加え、「会社ぐるみ」で働きやすい環境整備に取り組もう、との意味合いが込められています。

また、くるみんマークには星がちりばめられており、星の数=くるみん認定企業を受けた回数です。星の数が多い企業は、育児支援やワークライフバランス改善に積極的に取り組んでいる企業だと言えます。

プラチナくるみんマークとは?

プラチナくるみんマークは、くるみんマークを取得している企業を対象に、より高い水準の目標達成に取り組んでいる企業を認定する制度です。2022年3月時点でくるみん認定企業が3,801社に対し、プラチナくるみんマーク認定は484社です。

くるみん認定企業のうち、約12.7%しかプラチナくるみんマークを取得できていません。プラチナくるみんマークを取得するには、12個の認定基準をクリアする必要があります。12個のうち8個はくるみんマークと同じ認定基準で、残り4個が独自の認定基準です。

以下にプラチナくるみんマーク独自の認定基準をまとめました。

表:プラチナくるみんマーク独自の認定基準

種類 認定内容 備考
男性育児休業取得率 ①男性従業員のうち、育児休業を取得した方の割合が30%以上
②育児休業+企業独自の育児休業制度利用者が、50%以上
①と②、どちらかを達成
働き方 ①残業時間削減、有給取得率向上、多様な働き方実現の3つのうち、数値目標を掲げて実施
②残業時間削減か有給取得率向上、どちらかの目標を達成
女性従業員 ①出産をした女性従業員のうち、子どもが1歳になるまで在籍した従業員が90%以上
②出産によって退職した従業員も含め在籍率が70%以上
①と②、どちらかを達成
キャリアアップ 育児中の女性従業員に対し、キャリアアップを望める環境を整備
継続報告 「次世代育成支援対策の実施状況」について、厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で、結果を毎年1回以上は報告

くるみん認定企業が注目されている背景

くるみん認定企業が注目されている理由は、以下の3点です。

  • 次世代育成支援対策推進法の施行
  • 日本で遅れている女性の社会進出
  • 少子高齢化による労働人口の減少

一つひとつ理由をみていきましょう。

次世代育成支援対策推進法の施行

次世代育成支援対策推進法は、次世代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、施行された法律です。一人でも多くの子どもが健やかに成長するよう、国・地方自治体・企業には、行動計画の策定が求められています。

次世代育成支援対策推進法は2005年に施行され、2015年までの10年で成果を挙げることが目標の時限立法でした。ですが、子どもの育成環境を充実させるためには、まだ多くの時間が必要だと判断され、2025年まで期間が延長されました。

法制度の延長に伴い、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定しなければなりません。100人以下の企業は、努力義務とされています。

行動計画には、男性の育児休業取得率向上や残業時間削減などに向け、どのような取り組みを実施するかを盛り込みます。

行動計画作成後は、都道府県労働局へ提出してください。行動計画で掲げた目標の達成度合いや認定条件を多く達成している企業に対し、くるみんマークが付与されます。

日本で遅れている女性の社会進出

仕事と育児の両立が望める企業が少ない点も、理由の一つです。国土交通白書2021によると、国内の民間企業における女性管理職比率は、2020年時点で13.3%でした。

アメリカ・フランス・イギリスなど、他の先進国が35%を超えている現状を考えると、相当低い水準です。一方、女性就業者数は51.8%で、国土交通白書2021の調査対象国12カ国のうち、トップの数値です。

働いている女性が多い一方、管理職の数値が少ない要因には、様々な要因が考えられます。一つは、ロールモデルの不在です。自社で管理職として働いている女性がいない場合、出産後の働き方やキャリアプランをイメージできません。

不安要素が多く、子育てとの両立は難しいとの判断に至ります。また、働き方の多様化が遅れている点も理由の一つです。野村総合研究所が全8カ国を対象に実施した調査では、2020年時点でテレワークを利用した日本企業は、全体の31%でした。

トップの中国と比べると倍以上離れており、日本企業の画一的な働き方が目立ちます。在宅勤務は、コスト削減・ワークライフバランス改善・優秀な人材の流出防止など、企業にとってもメリットの多い働き方です。

一方、従業員も通勤時間を保育園の送迎に充てられるなど、仕事と育児の両立が望めます。ですが、オンラインツールの導入が必要な点やコミュニケーション不足などを考慮し、依然としてオフィスワークを重視する企業が多いのが現状です。

育児との両立やキャリアアップが望める環境を整備できない限り、女性が長く働ける社会の実現は難しいでしょう。

[出典:国土交通省「令和3年版国土交通白書 第3節 多様化を支える社会への変革の遅れ」]
[出典:株式会社野村総合研究所「Withコロナ期における生活実態国際比較調査」]

少子高齢化による労働人口の減少

少子高齢化によって、多くの業界が人手不足に悩まされています。厚生労働省の調査によると、特に製造業・建設業・IT業での人手不足が深刻です。

多くの中小企業が積極的に労働力不足解消に取り組んでいるものの、労働条件の良い大手企業に人材が集中しているのが現状です。求人を掲載しても、求職者からの応募がないとの声が多く聞かれました。

少子高齢化の傾向は今後、さらに加速することが予測されます。2021年の出生数は約81万人で、前年より約2万9千人以上少なく、過去最小の数字となりました。若くて優秀なスキルを持つ人材の確保は、ますます難しい状況になっています。

[出典:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析ー人手不足の下での「働き方」をめぐる課題についてー」]

くるみん認定企業の現状について

くるみん認定企業は毎年、200〜300社ずつ増えています。2008年3月時点では428社でしたが、翌年には652社、2010年3月時点には845社まで増加しています。2015年3月には2,138社まで数字を伸ばし、2022年には3,800社を突破しました。

一方、よりハードルが高いプラチナくるみん認定企業は、年間60〜70社前後増加しています。2016年3月時点では79社でしたが、2020年3月には367社まで増えました。2022年には484社となり、今後も職場環境改善に努める企業の増加が期待されます。

くるみん認定企業の認定条件

くるみん認定を受けるためには、以下の表にまとめた10個の基準を全てクリアする必要があります。男性社員の育児休業取得率向上や自由な働き方の実現など、一つひとつの評価基準をクリアできると、ワークライフバランスを高められます。

表:くるみん認定の10個の評価基準

認定基準 判定基準 備考
認定基準1
  • 雇用環境の整備に関して、適切な行動計画の策定有無
  • 行動計画策定指針と方向性の合致
認定基準2
  • 行動計画の期間は、2年以上~5年以下
認定基準3
  • 策定した行動計画を実施し、内容の達成度合い
  • くるみん認定申請時には、目標達成を証明する資料が必要

例:ノー残業―デー導入が目標(必要書類:制度導入を通知した文書のコピー、啓蒙資料などが該当)

認定基準4
  • 策定・変更した行動計画について、労働者へ周知を行っているかどうか
認定基準5 ①計画期間内で、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上を記録

  • 厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で、結果の公表が必要

②計画期間内で、男性労働者の育児休業等取得率+企業独自の育児休業制度の利用率が20%以上を記録。

  • 「両立支援のひろば」で、結果の公表が必要
①と②、いずれかの達成が認定基準
認定基準6
  • 計画期間内で、女性社員の育児休業取得率が75%以上
  • 「両立支援のひろば」で、取得割合の結果を公表
認定基準7
  • 3歳未満の子どもを育てる従業員に対し、短時間勤務や始業時刻変更に関する処置の有無
  • 有期雇用契約者にも上記の処置を適用
  • フレックスタイム制の導入、保育施設の設置などが、始業時刻変更に該当
  • 計画期間前から実施している内容も対象
認定基準8 ①フルタイム労働者の残業時間+休日労働の平均時間が、毎月45時間未満
②1ヶ月で60時間を超える時間外労働をこなす労働者が、一人もいない状態
①と②、どちらの達成も必要
認定基準9
  • ①~③に関する内容を具体的な数値目標を掲げて、実践

①時間外労働削減
②有給休暇取得率向上
③多様な働き方の実現

  • ①の具体例:ノー残業デーやフレックスタイム制の導入
  • ②の具体例:計画年休の導入
  • ③の具体例:在宅勤務や短時間正社員制度の導入
認定基準10 男女均等雇用法や労働基準法など、各種法律の遵守

くるみん認定企業の認定・申請方法

くるみん認定を申請する方法は、以下の手順に沿って進めてください

  1. 自社の現状や社員の希望を把握
  2. 行動計画策定
  3. 行動計画を社員へ通知
  4. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ行動計画を提出
  5. 行動計画実施
  6. 計画期間の終了後、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へくるみんを認定申請
  7. 子育てサポート企業として認定

1では、従業員からの要望や仕事と子育ての両立が困難になっている要因を把握します。改善要望が多かった内容を参考に、行動計画を策定します。また、行動計画策定・周知から3ヶ月以内に、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ行動計画を提出してください。

くるみん認定企業としてマークを取得するメリット

くるみん認定マークを取得すると、以下3点のメリットが得られます。

  • 企業のイメージアップ
  • 従業員の満足度向上
  • 公共調達での優遇措置

一つひとつ内容をみていきましょう。

企業のイメージアップ

くるみん認定マークの取得は、企業のイメージアップにつながります。「子育てと仕事の両立が望めるホワイト企業」とのイメージを印象付けられ、多方面から関心を得られます。

近年は、ワークライフバランスを重視する傾向が強まり、働きやすい職場環境が整備されているかどうかは、就職先を選ぶ上で重要な要素です。くるみん認定マークの取得によって、入社希望者を多数集められ、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

従業員の満足度向上

子育てサポート企業として認められるためには、残業時間削減・育児休業取得率向上・多様な働き方の実現など、様々な取り組みが必要です。

一つひとつの評価項目をクリアする過程で、従業員にとって働きやすい職場環境を構築でき、エンゲージメントが高まります。従業員と企業の信頼関係が強固になり、離職率低下や生産性向上が期待できます。

公共調達での優遇措置

公共調達での優遇措置を受けられる点も、くるみん認定マークを取得するメリットの一つです。くるみん認定企業は。国や地方自治体から高く評価され、競合他社との差別化を図れます。

建設工事・システム開発・広告など、入札で仕事を獲得する機会が多い企業にとって、大きなメリットとなります。

くるみん認定企業の具体的な取り組み事例

ここでは、くるみんマークやプラチナくるみんを取得した企業事例を3例紹介します。

  • 株式会社 FiveBoxes
  • 株式会社山田製作所
  • トマト銀行

今後、くるみん認定取得を目指す上での、参考情報としてご活用ください。

株式会社 FiveBoxes

株式会社FiveBoxesは、岐阜県で保育園・学習塾・通信制サポート校を運営する企業です。同社は子育て世代の社員が育児の時間を確保できるよう、残業時間削減に努めました。具体的には、毎週水曜日をノー残業デーと設定し、残業ができない環境を強制的に作りました。

また、育児中の子どもが小学校就学始期に達するまでは、残業を制限し、子どもの成長を見守れる時間を確保しています。さらに、育児休業から安心して職場復帰できるよう、個別相談窓口を設けました。

取り組みの結果、育児休業取得率は男女とも100%を達成しました。

株式会社山田製作所

株式会社山田製作所は、群馬県高崎市で自動車部品や流量測定装置などを製造する企業です。同社は2015年4月〜2020年3月にかけて、様々な取り組みを実施。男性社員の育児休業取得率を高めるため、フレックスタイム制を導入しました。

また、子どもと一緒に過ごす時間を確保するため、小学4年生以下の子どもを持つ社員の短時間勤務や残業の免除を認めています。結果、男性社員の育児休業取得率は91%を記録しました。

さらに、残業時間削減に向け、毎週水曜日の定時退社推奨や職場巡回を行った結果、2018年には残業時間が月平均13.8時間となりました。2015年の18.7時間と比べると、月平均で約5時間の残業時間削減に成功しています。

ワークライフバランス改善に努めた結果、2022年3月に3度目となるくるみん認定マークを取得しました。

トマト銀行

トマト銀行は、岡山県岡山市に本店を置く地方銀行です。同行は2015年4月〜2017年3月の取り組みが認められ、中国地方の金融機関で初めてプラチナくるみんの認定を受けました。

同社は男女問わず社員が子育てと仕事を両立できるよう、育児休業取得率向上と残業時間削減に努めました。目標数値として男性社員の育児休業取得率を30%以上、女性社員は90%と定めました。

まず、育児休業後のキャリアプランを具体的に描けるよう、育児休業取得者へカウンセリングを実施しました。社員の体調や保育園の確保状況、職場復帰後の働き方などをヒアリングし、不安の軽減を図ります。

また、女性社員のキャリアアップをサポートするため、通常の育児休業よりも早期に復帰した社員に対し、保育園の費用を一部負担しています。そして、1日の勤務時間を6〜7時間に短縮する短時間勤務制度を導入し、ライフスタイルに合わせた働き方を実現しました。

様々な取り組みを行った結果、男性社員の育児休業取得率は48%、女性社員は100%を記録し、目標の数値を大きく上回りました。

くるみん認定企業への理解を深めておこう

今回の記事では以下の4点について述べてきました。

  • くるみん認定企業の概要
  • くるみん認定企業が注目される理由
  • 認定を受けるメリット
  • 企業事例

くるみん認定企業は、子育てと仕事の両立が望める職場環境整備へ、積極的に取り組んでいる企業を認定する制度です。女性のキャリアアップ促進や労働力不足解消のため、くるみん認定企業への注目度が高まりました。

くるみん認定企業になると、企業のイメージアップにつながります。ワークライフバランスが整ったホワイト企業とのイメージを発信でき、入社希望者増加や従業員のエンゲージメント向上につなげられます。

ですが、これから本格的にくるみん認定取得を目指す場合、どこから手を付けていいかわからない方も多いでしょう。今回の記事で紹介した認定基準・申請フロー・企業事例を参考に、職場環境整備に努めてください。

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