レガシーシステムとは?課題や放置するリスク・脱却する方法をわかりやすく解説
DX推進の阻害要因となっている「レガシーシステム」。具体的にはどのような意味で、レガシーシステムを放置すると何が問題になるのでしょうか?本記事では、レガシーシステムの概要とさまざまな問題点、解決策としてのレガシーマイグレーションなどについて解説します。
監修者 福本大一 株式会社kubellパートナー アシスタント事業本部|ユニット長 大学卒業後、toC領域のWEBメディア事業で起業。事業グロースに向けたSEO戦略から営業・運用広告に従事し、約2年間の経営を経て事業譲渡。2021年3月からChatwork株式会社(現:株式会社kubell)に入社し、カスタマーマーケティングやアライアンスを経験した後、メディア事業・運用広告事業の責任者としてミッションを遂行する。現在は、DXソリューション推進部のマネージャーとして新規事業領域のセールス・マーケティング・アライアンス・メディア事業を統括。
目次
レガシーシステムとは?
レガシーシステムとは、一般用語で古い時代の仕組みのことです。IT領域においてレガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築され複雑化、ブラックボックス化されたシステムを指す用語です。
レガシーシステムは企業の根幹にかかわるものが多く、簡単に変更できないため、新しい技術に対応できずメンテナンス費用や管理の時間・手間がかかるなどの課題を抱えています。
レガシーシステムは「技術的負債(Technical Debt)」の問題とも関連しています。技術的負債とは、システムの短期的な開発や改修によって、結果的に将来の維持管理コストが高騰してしまうことです。
システムを刷新せずレガシーシステムを維持することで、本来払うことのなかったコストが発生することを、「負債」ととらえる見方です。
レガシーシステムが招く「2025年の崖」問題
レガシーシステムと深く関わりがあるのは「2025年の崖」です。「2025年の崖」は2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」に出てくるキーワードです。
そのレポートの中では、DX推進を進めない場合、企業だけでなく国にとって大きな経済損失を起こす可能性があると指摘されています。2025年以降の経済損失の規模は、現状の3倍にあたる、年間最大12兆円と言われています。この急速な停滞や競争力の低下が「崖」と表現されているのです。
[出典:経済産業省「DXレポート」]
DXを進めないことで、経営面と人材面において大きな損失を招くと懸念されています。国際競争からも遅れてしまうため、レガシーシステムを抱えている企業にとってDXは早急な対応が求められているのです。
DXを推進することで、日常生活のあらゆる部分でデジタル技術の活用により生活がより豊かになります。また、企業においてはIT人材の人手不足解消や働き方改革、新しいビジネスへの展開など企業成長につながるため、レガシーシステムのクリアとDXの実現は早急に対応する必要があるのです。
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レガシーシステムがもたらす問題や放置するリスク
レガシーシステムを放置することでどんな問題が起きてしまうのか、以下の6つを見ていきましょう。
- 最新技術を適用しにくく新しいビジネスに対応しにくい
- DX実現の妨げになる
- 技術者の退職などでシステムの継承ができない
- システムのメンテや運用に大きな費用がかかる
- システム障害のリスクがある
- データが散在して生産性がダウンする
1.最新技術を適用しにくく新しいビジネスに対応しにくい
レガシーシステムを抱えた状態では、新しいビジネスへの対応が困難になります。ビジネス環境は、デジタル技術の進展や顧客行動の多様化などによって、年々めまぐるしく変化しています。企業は、最新技術を取り入れながら新しいビジネスに対応していくことで競争に勝ち続ける必要があります。
企業はクライアントやユーザーからの多様化する要望に迅速に対応するためにも、最適なシステムへの対応や改修・移行が必須となっています。
そのため、最新技術を適用しづらいレガシーシステムを抱えている企業は、クライアントの要求を満たせず、企業間競争に敗れて業績が低迷する可能性があります。
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2.DX実現の妨げになる
ブラックボックス化したシステムの影響で、新しい戦略的なIT投資の実行や、DX(デジタルトランスフォーメーション)実現の妨げになります。
DX実現が遅れてしまうと、市場の変化に柔軟な対応ができずデジタル競争の敗者になる可能性がでてきます。
日本企業においては、現状、既存システムでも問題なく業務がおこなえているため、IT投資に対して二の足を踏んでいる経営者が多いと言われています。実際、2020年10月時点で、9割以上の企業がDXに未着手という調査もあります。
変化の過程においては負担が増してしまうのも事実ですが、DXを実現できた企業と実現できなかった企業の差が拡大しているという指摘もされています。ビジネスの敗者にならないためにも、自社でどの点からDX実現を達成できるのか入念に検討し、戦略的なIT投資を進めていくことが肝要です。
[出典:経済産業省「DXレポート2(サマリー)」]
3.技術者の退職などでシステムの継承ができない
レガシーシステムは、技術者の退職によってノウハウが継承されず、対応できる人材がいなくなることでブラックボックス化してしまうケースも多々あります。
古いテクノロジーに対応できる技術者は高齢化により退職し、IT人材の確保が年々難しくなっていることもあり、どの企業も人手不足の状態です。経済産業省の調査によると、IT人材の需給ギャップは2030年には最大で約79万人に達すると言われています。
また複雑化・ブラックボックス化したシステムは、特定の人材だけが業務を担当する「属人化」の加速につながります。業務の属人化を防ぎ、システムの入れ替えや刷新を円滑にするためにも、企業は新しいデジタル技術に対応したIT人材の確保や育成に力を入れなければなりません。
[出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」]
4.システムのメンテや運用に大きな費用がかかる
レガシーシステムは、維持管理費に大きなコストがかかります。メーカーサポートが終了しているシステムの場合、トラブルの発生原因を調査する時間や手間がかかり、部品の調達などにも余計なコストがかかります。また維持管理にあたる人材のコストも無視できません。さらに、ビジネスの遅延による機会損失もコストととらえることができます。
DXレポートによると、既存システムの維持管理費がIT予算の9割以上に達しているという状況もあります。この多大なコストが、システムの移行やDX化の阻害要因になっているのです。
[出典:経済産業省「DXレポート(サマリー)」]
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5.システム障害のリスクがある
レガシーシステムを放置したまま使用を続けているとシステム障害のリスクが高まります。
古いシステムに最新のプログラムをのせたり、情報解析などで負荷をかけすぎるとシステム障害につながる恐れがあります。
ブラックボックス化したレガシーシステムは特に重症化しやすい傾向にあります。情報処理推進機構(IPA)によると、システム障害における、経済的損失は1つの企業あたり2億1,900万円と発表されています。
[出典:情報処理推進機構(IPA)「「情報処理システム高信頼化教訓作成ガイドブック(ITサービス編)」及び 「情報処理システム高信頼化教訓活用ガイドブック(ITサービス編)」を公開」]
6.データが散在して生産性がダウンする
古いレガシーシステムは従業員のパフォーマンスを低下させてしまい、生産性の低下につながります。ブラックボックス化されたデータは、システム改善が難しく問題も放置されがちです。
例えば、バッチ処理の問題が挙げられます。夜間に実施しても処理が遅く、業務開始時刻まで処理やバックアップが終了しないという事態が発生します。
業務開始時刻に間に合わないと当然、従業員への影響がでるため従業員の業務パフォーマンスが低下し、生産性ダウンにつながります。
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問題解決の方法「レガシーマイグレーション」
レガシーマイグレーション(Legacy Migration)とは、直訳するとレガシーの移行で、IT用語では「古いシステムを新しいシステムに移行(Migration)すること」です。
移行の際には、レガシーシステムの弱さを解決するため、「レガシーフリー」という方法も有効です。
レガシーフリーとは、「新しい技術の登場により時代から遅れ取り残されたシステムや機器を排除したもの」といった内容です。逆に言うと、「新しい技術」だけで構成されているシステムや機器が、レガシーフリーということになります。
例えば、USBやハードディスクの登場により、フロッピーディスクにデータを記録する機会がなくなり、PCからもフロッピーディスクドライブもなくなりました。古いものを否定するのではなく、先人たちが築いた技術を昇華させることが、レガシーフリーを実現するうえでは大切です。
また、レガシーマイグレーションにおいては、レガシーフリー以外にも、「オープン化」の考え方も必要です。
旧来のシステムが自社での開発によってブラックボックス化してしまった背景を考えると、オープン化することで、他企業で普及しているOSやハードウェア、アプリやクラウドプラットフォームの活用を促し、より時代にあったシステム環境に刷新できるようになります。
レガシーマイグレーションの手法は3つ
どんな方法でレガシーマイグレーションを進めればいいのか、具体的な手法を3つ紹介していきます。
レガシーマイグレーションの手法①:リホスト
リホストとは、現行システムにおけるアプリケーションを変更せず、プラットフォームやハードウェアなどを順次現在の主流なものに変えていくという考え方です。
大幅なシステム移行などがおこなわれないため、費用や導入期間の短縮が可能です。リホストは、具体的には以下の手順でおこなわれます。
- プラットフォームの変更
- 使用中の言語をツールで変換
- 別言語へのリライト(書き直し)
対応完了後に比較テストをおこない、問題なければ終了です。比較テストも自動ツールに任せれば短期間で導入可能です。
リホストはアプリケーションやロジックを変更しないため、レガシーシステム自体は変わりません。そのため現行システムに問題を抱えている場合、リホストによって課題が解消されるのか検討してから作業をおこなう必要があります。
レガシーマイグレーションの手法②:リビルド
リビルドとは、レガシーシステムを新しく再構築することです。
抜本的に変更できるメリットがある一方で、作業には数年かかり導入するまでのコストも発生します。もちろん、日々の業務をこなしながら移行するので、失敗した際のデメリットが大きい手法と言えます。
リビルドはリホストと違い、システム自体がすべて変更されるため、どのようなシステムで再構築するのか綿密に計画します。変更後のシステムがレガシーシステムと何が違うのかピックアップしたうえで、システムやプログミング言語を構築していきます。
大がかりなシステムの刷新であると同時に、システムが新しくなった後は、確実に成果をあげなくてはならないため、3つの手法の中でリビルドはもっとも難しいと言われています。
レガシーマイグレーションの手法③:リライト
レガシーマイグレーションにおけるリライトは、ロジックを変更せず、使用しているプログラミング言語を新しい開発言語に書き直すことやプラットフォームを変更する手法です。
リライトをおこなうことで、システムの効率向上やセキュリティ面の強化などが期待されます。変更する方法は大きく分けて以下の3つです。
- 現在の構造のままリライト
- オブジェクト指向へのリライト
- 作成されたビジネスロジック層を共有・拡張コーポネットに分割
リライトはリホストと比べると複雑な構築になります。また、システムのロジック自体は変わらない点について留意しておく必要があります。
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レガシーシステムから脱却するにはクラウドの活用が鍵
レガシーシステムから脱却する鍵としてクラウドは必要不可欠です。
自社で運用している社内サーバーや通信回線のレガシーシステムは、ハードウェアの故障や不備を見据えた運用が必要なため、定期的にハードウェアの交換や置き換えなどリプレースコストが発生します。
企業コストを圧迫するため、多くのIT担当者が頭を抱える原因です。レガシーシステムにおいては、システム構造がブラックボックス化されている点もデメリットです。
担当者がノウハウを継承せずに退職してしまった場合、誰も修正や機能拡張ができなくなる恐れがあり、システム変更もできなくなって負のループを招きます。こうしたデメリットを解決するうえでクラウドが救世主となります。
クラウドは定期的に発生するハードウェアのコストが、利用しているサービスへ支払う利用料金だけとなり、保守や点検といった工数を削減できます。
さらに、システムの保守や運用はサービス事業者が行うので、自社の人材を別の業務に活用できるようになります。コア業務やより重要度の高い業務に充てることで、生産性の向上につながるのです。
このようにクラウドを活用することで、レガシーシステムの縛りから解放されます。
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レガシーマイグレーションを実施する5つのメリット
レガシーマイグレーションを実施したいものの、移行期間やコストが必要になるため踏み切れない企業が多いのも事実です。コストを割いて移行しても必ず成功するとは限りません。
まずは、移行するメリットを知り、導入効果を事前に把握することが大切です。ここでは、レガシーマイグレーションを実施するメリットを5つ解説します。
1.現行システムが活かせる
古いシステムをすべて破棄するのではなく、必要性がある機能を無駄にせず新しいシステムと共に移行できることがマイグレーションのメリットです。
家でたとえるならリフォームと似ています。不要な部分だけを切り捨てることで、現行システムの一部を引き続き活用できる点は企業や従業員にとって魅力的にうつるでしょう。
2.新しいビジネスに対応できる
レガシーマイグレーションによって新しいシステムに移行することで、時代に即した新ビジネスにも対応できるようになります。
レガシーシステムでは適用できなかったシステムやデジタル技術を取り入れることで、ビジネスに変革を起こせる可能性があります。顧客からの要望に迅速に応えることで満足度を高めたり、新たなビジネスモデルの創出などによって企業価値を向上させることも期待できます。
3.システムにかかるコストを減らせる
レガシーマイグレーションを実施すると、システム運用にかかるコストを削減できます。古いシステムのままだと、メーカーのサポートが終了しているため自社でメンテナンスや運用しなくてはなりません。
特定の担当者に依存してしまうことが多く、作業効率が落ちたり、作業時間がかかり機会損失を生むことになります。また、担当者の離職によるブラックボックス化・複雑化は、運用保守のコスト増につながります。
一方、レガシーマイグレーションをおこなうと、クラウドや共通プラットフォームで運用できるため業務の属人化を防げます。システムのオープン化にもつながり、保守や運用コストの大幅な削減効果も期待できます。
4.新技術を導入しやすい
レガシーマイグレーションをおこなって、システムをオープン化することで新しい技術を導入しやすくなります。新しい技術とは、例えば以下のようなものがあります。
- クラウド
- AI(人工知能)
- モバイル
- IoT
レガシーマイグレーションを実施すると、これまで適用できなかった最先端のデジタル技術の活用が可能になるでしょう。デジタル技術の効果的な活用によってビジネスを変革させることで、市場ニーズに合わせた柔軟な対応が可能になります。
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5.セキュリティ面で安心できる
レガシーマイグレーションを実施すると、セキュリティ面も改善されシステムトラブルの対策にもなります。
システムがブラックボックス化している状態で放置すると、セキュリティ対策が不十分になることがあり、データ流出のリスクも高まります。顧客の個人情報が流出すると、炎上につながり企業にとって大きな損失となるでしょう。
一方、レガシーマイグレーションの実施でクラウドサービスを活用することで、常にシステムの最新化が図れます。アップデートも基本的にサービス事業者側が行うので、利用者の作業負担も軽減されます。
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レガシーマイグレーションを成功させる4つのコツ
レガシーマイグレーションをスムーズに成功させるには以下の4つが大切です。
- 自社システムをしっかり確認する
- どの方法を使うか検討する
- マイグレーションするタイミングを見極める
- IT人材の確保・育成をする
1.自社システムをしっかり確認する
現在のシステムで改善が必要な箇所を探しレガシーマイグレーションを実施しましょう。時間や費用、手間をかけてマイグレーションをおこなった結果「前のシステムの方がよかったな」となっては意味がありません。
導入したあとのメリット、どんな恩恵をもたらしてくれるか、どんな新ビジネスを展開できるのかなどもしっかり確認することが大切です。
2.どの手法を使うか検討する
マイグレーションをおこなう際、どの方法が自社に適しているか検討します。
例えば、IT人材が不足している状態でリビルドを実行してしまうと、担当できる人材が少ないために、各人の業務数が過剰になるケースが考えられます。全体のリソース不足によってスムーズに進行できないと、業務に支障が出てしまう可能性もあります。
マイグレーションが頓挫しないように、企業によっては複数の方法をあわせておこなう場合もあります。リライトとリホストを組み合わせて、リスクを減らしながらマイグレーションを実施するなど、自社の環境にあった方法を検討しましょう。
3.マイグレーションするタイミングを見極める
マイグレーションは自社で使用しているハードウェアのリース更新時期に合わせて行うのが良いでしょう。切り替えのタイミングとしてわかりやすく「いつまでに準備を終わらせよう」と目安を設定して事前準備もできます。
マイグレーションの事前準備に時間をかけることも大切です。現行システムの課題を洗い出し、移行から運用までの全体的なスケジュールをしっかり計画しましょう。
4.IT人材の確保・育成をする
マイグレーションをスムーズに成功させるために、IT人材の確保と育成は必要不可欠です。
マイグレーションにおけるIT人材とは、単純にコーディングができる人材ではなく、対象の技術に関する深い知識と、リーダーシップを兼ね備えた人材です。
マイグレーションは企業変革に近く、周りの部署や従業員と円滑にコミュニケーションができる能力や、企業全体を見通したビジネス面における戦略的思考が必要です。あらかじめ早い段階から人材育成や採用を進めると良いでしょう。
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マイグレーションの進化版がモダナイゼーション
モダナイゼーション(Modernization)とは、直訳すると近代化や現代化のことです。IT領域においては、古いシステムを現在のニーズに合うように、システムを刷新や置き換えることです。
モダナイゼーションとマイグレーションの違いは次の通りです。
- モダナイゼーション:既存システムのIT資産を流用しながら新システムを作る
- マイグレーション:既存システムの構造を新しいシステムで再現する
モダナイゼーションにおける主な手法は以下の3つです。
- リライト
- リホスト
- リプレース
モダナイゼーションの手法①:リライト
リライトとは、新しいプログラミング言語などを活用して、既存のソフトウェアと同じように開発言語を書き換える方法です。例えば、COBOLなどの言語をJavaに書き直す方法などがあります。
リライトはコストを抑えつつ、新しいOSに対応できるようにプログラムを刷新するため、現在のビジネス環境にあったシステムの構築が可能になります。さらに、セキュリティ強化やシステムの稼働率向上により、従業員の生産性向上にもつながるでしょう。
ただし、リライトは言語の書き換えなどに手間がかかるほか、円滑に業務ができるように内部構造を知るエンジニアの協力が必要になるため、実行のハードルが高くなっています。
モダナイゼーションの手法②:リホスト
リホストとは、既存システムをそのまま別のIT基盤に移行する方法です。
主に基幹業務用に活用される大型のコンピューターやオフィスコンピューターなどで稼働する業務システムをほぼ変更せず、クラウドなどの新しいシステム基盤に移行します。
システムがクラウドという新しい家に引越しするイメージで、リライトやリプレースと比べて、リホストは短期間でコストを抑えながら移行できます。モダナイゼーションの中では、刷新範囲の狭さが弱点です。
モダナイゼーションの手法③:リプレース
リプレースとは、破損したり古くなった基幹システムを新しいシステムに同じような機能を追加したうえで、別のシステムに置き換えることです。
ITの進歩は早く、購入してから日数が経過していないシステムやソフトウェアであっても、すぐに古くなりサポートが終了してしまうものもあります。また、時代が進むにつれてリリース時にはなかった新しい問題が見つかることもよくあります。
問題が一部分であれば、該当する部分だけ修正すればいいのですが、システム全体で問題がある場合、全面的な修正が必要です。そうしたケースでは、システムを大きく変更するリプレースが有効になります。
リプレースは、大がかりな作業のため費用、作業負担、期間などが増える傾向にあります。
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レガシーシステムを放置しないよう早めの対策を実施すべき
レガシーシステムを放置した状態にしておくと、企業にとって大きな損失が発生します。ビジネス環境はめまぐるしく変化しているので、柔軟に対応しないと企業競争で敗北する可能性が高まるでしょう。
現状で問題がないシステムでも、いずれ企業の成長にとって大きな足かせとなります。早急に対応ができるように、戦略的なIT投資を行うと同時に、人材の確保や育成、ノウハウの共有などに着手することが大切です。
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