健康経営アドバイザーとは?役割や難易度・取得するメリットを解説
人材不足の問題や職場の高齢化から、健康経営という経営手法が注目を集めています。健康経営を促進するために重要な役割を担うのが、健康経営アドバイザーです。当記事では、健康経営アドバイザーとはどのような資格なのか、役割から資格取得の難易度、メリットまでを解説します。
目次
健康経営アドバイザーとは?
健康経営アドバイザーとは、健康経営のメリットや目的、重要性を伝える資格および資格保有者のことです。健康経営に関心を持つ企業に対し、他社の事例紹介や健康経営の計画立案、企業課題の可視化などを行います。
現状の課題や重要なポイントを提示し、健康経営の推進をサポートするのが健康経営アドバイザーの役割であり、健康経営を行い従業員の健康管理に取り組むことで、生産性向上や組織力強化につなげる効果が期待できます。
経済産業省が健康経営に関する取り組みを評価しており、健康経営優良法人に認定されると、企業認知度の向上やイメージアップが望めます。健康経営に興味を持つ企業は年々増加しており、健康経営アドバイザーのニーズも高まっているのです。
健康経営アドバイザーの受講方法と費用
健康経営アドバイザーの資格を取得するには、東京商工会議所のホームページから申請し、研修を受講する必要があります。資格試験にかかる費用は8,800円(税込)で、テキスト代や研修受講料を含んだ金額です。クレジットカード払いやコンビニ決済に対応するほか、受験資格に関する規定はありません。
e-ラーニングで研修を受講できるため、インターネット環境さえ整っていれば、時間や場所を問わず試験勉強に励めます。経営者や人事担当者など、延べ4万人以上が研修プログラムを受講しているのです。
健康経営アドバイザーの試験難易度
健康経営アドバイザーは研修後の効果測定にて、10問の4択問題を7問以上正答するのが合格基準です。テキストや研修動画から問題が出題されるため、受講内容を軸に勉強しておきましょう。不合格になっても、料金支払い日から120日以内であれば、無料で何度でも受験できます。
合格した場合は認定証が与えられ、当該ページよりダウンロードをして利用できます。健康経営アドバイザーの認定期間は2年となっており、期限内の更新申請が必要です。更新の際にも、受講料の支払いや効果測定の再テストを行います。
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健康経営アドバイザー取得者の主な役割
健康経営アドバイザー取得者には、以下3つの役割を果たすことが求められています。
- 従業員の健康に関する課題を抽出する
- 健康課題に対する施策を練る
- 施策による効果の検証と改善を行う
一つひとつ内容を確認していきましょう。
従業員の健康に関する課題を抽出する
健康経営アドバイザーは、従業員の健康管理に関する課題を可視化するのが役割の一つです。
たとえば、コールセンターに勤務する従業員の場合、顧客からのクレーム対処が発生した場合、理不尽な内容や多くの対応が続くと、メンタルヘルス不調やモチベーション低下が予想されます。
精神的な健康課題が多い業種の例でしたが、職場が違えば肉体的な課題が重視されることもあるのです。喫煙や食習慣などが原因の場合もあるでしょう。従業員がどのような体調リスクを抱えているか、アンケートやストレスチェックなどで適切に抽出する必要があります。
健康課題に対する施策を練る
課題を可視化したあと、必要な対策を検討するのも健康アドバイザーの役目です。肉体よりも精神的不安の多いコールセンターの場合、ストレスを予防する対策の一つとして、顧客との直接的なやりとりを減らすチャットボットの導入などがあげられます。
なお、肉体面への施策であれば、運動習慣の導入や食堂にヘルシーメニューを追加するといった策もあります。どのような課題にも的確に対応策を練り、健康経営アドバイザーとしての知見を活かして立案しましょう。
施策による効果の検証と改善を行う
改善策を実施したとしてもすぐに効果が出る保証はありません。そのため、長期的な視点に立って効果が表れているかを注視する必要があります。
数値指標による効果の分析と、必要に応じて施策の改善も行いましょう。定期的な進捗確認やフィードバックも欠かせません。施策の分析結果から新たな取り組みを考えたり、提示したりする役割が求められています。
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健康経営アドバイザーを取得するメリット
自社の従業員が健康経営アドバイザーを取得すると、以下3つのメリットが得られます。
- 組織全体で健康経営への意識が高まる
- 従業員からの信頼が得やすくなる
- 企業イメージの向上が見込める
組織全体に健康経営の意識が浸透すると、社員が十分にパフォーマンスを発揮できる効果が期待できるでしょう。具体的なメリットを知り、労働環境の改善に役立ててください。
組織全体で健康経営への意識が高まる
健康経営アドバイザーを取得した従業員を社内に確保できると、組織全体で健康経営の意識が高まります。「健康に気をつけよう」と声をかけるだけでは、全社的な意識改革は困難です。資格保有者という説得力を担保した存在が動くことで、より効果的な健康経営が望めるでしょう。
また、健康経営アドバイザーの働きかけで、社員の健康意識に影響を与えることができます。意識が改善されることで健康管理を気にする社員が増え、運動習慣や禁煙といった行動にも広がっていくでしょう。
従業員からの信頼を得やすくなる
健康経営アドバイザーの資格保持者を中心に健康経営を推進することで、他の従業員からの信頼を得やすくなります。
健康経営アドバイザーから伝えることで不安を取り除き、企業にとって社員の健康が大切であることを訴えかけることができます。説得力のある説明は社員の信頼を得やすく、理解のもとで健康経営に取り組むことが可能です。
企業イメージの向上が見込める
ホームページ上やSNSなどで健康経営アドバイザーの有資格者の存在を明記したり、名刺に資格名を載せたりすることにより、取引先や顧客、求職者に対して健康経営を推進している企業であることをアピールできます。
また、健康経営の取り組みを経済産業省から認定されると、自社のブランドイメージを確立できます。「健康経営優良法人」に認定されると、金融機関からの融資や減免措置などを受けられる点もメリットです。
健康経営エキスパートアドバイザーとは?
健康経営エキスパートアドバイザーとは、健康経営に関する豊富な専門知識や優れた分析能力を持つ資格・資格保持者です。健康経営アドバイザーの上位資格であり、より優れた課題抽出能力や改善策の提案、実践へのサポートが求められています。
企業の経営課題や経営資源を正確に踏まえた提案が求められるため、経営や労務管理、法務といった幅広い分野の専門知識が問われます。
健康経営エキスパートアドバイザーの受験資格と費用
受験には、健康経営アドバイザーに認定されていることが前提です。加えて経営や労務、医療などに関する特定の資格取得もしくは1年以上の実務経験が必要です。受験資格の要件を以下の表にまとめました。
表:受験資格
経営と労務 | 医療と保健 | |
資格 |
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実務経験(該当業務にておおむね1年以上の経験) |
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健康経営アドバイザーの認定と、上記の資格または実務経験の要件のうちいずれかを満たすことが受講条件です。2つの受講資格を満たしたら、知識確認テストへの合格とワークショップへの参加および効果測定が必要となります。
支払う費用は、知識確認テストとワークショップの受講料です。テスト用に健康経営アドバイザーと共通のテキストが配布され、テキストの有無によって料金が異なります。テキスト込みの場合は7,700円(税込)、テキスト不要でテストのみの場合は5,500円(税込)の支払いが必要です。ワークショップの参加費用は22,000円(税込)で、知識確認テストの合格者のみが参加可能となります。
健康経営エキスパートアドバイザーの試験難易度
健康経営アドバイザーと比較すると、エキスパートアドバイザーの知識確認テストは難易度が高めです。予習問題集やテキストに掲載された内容から出題され、問題数は50問、正答率80%以上が合格基準です。
出題形式は選択式であるものの、設問に対して答えが複数存在する多肢選択が採用されているため、幅広い分野の知識を正確に認識しておく必要があります。
知識確認テストに合格した場合、ワークショップにてロールプレイングやヒアリング技術の学習などを行います。一連の研修後には効果測定として、健康経営診断報告書の作成と期日内の提出が必須です。
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健康経営アドバイザーは企業の健康課題への取り組みを手助けできる
健康経営アドバイザーは、社員の健康維持に貢献でき、従業員を守ることにもつながるほか、取引先や顧客からの信用を獲得できる点も魅力です。健康経営を推進し、社員の健康を保護する取り組みを強化するためにも、健康経営アドバイザーへの理解を深めてください。
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