ストレスチェックの集団分析結果の活用方法|見方や改善事例を紹介

最終更新日時:2023/10/03

健康管理システム

ストレスチェックの集団分析

ストレスチェックの実施後に行うことが推奨されている集団分析。しかし、集団分析の結果をどのように活用することで効果的な施策となるのかについては、お悩みの方も多いでしょう。そんなストレスチェックの集団分析について、結果の見方や活用方法を徹底解説していきます。

ストレスチェックとは?

ストレスチェックとは、職場における労働者のストレスの度合いをチェックすることです。

ストレスチェックは、定期的に行うことで、労働者に自身のストレスレベルやストレスの原因の気づきを促すとともに、労働環境の改善や早期セルフケアの実施などによりメンタルヘルス不調を未然に防ぐ目的において行われています。

厚生労働省の令和4年度「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職場環境に強いストレスを感じることがあると答えた人の割合は、82.2%となっており、前年度の53.3%から大きく増えていることがわかります。

職場や仕事のストレスを主な原因としたメンタルヘルス不調は、現代社会の問題の一つであり、企業がストレスチェックを通じて、職場環境の改善を行うことは、企業の社会的な責任でもあるのです。

[出典:厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)/個人調査」]

ストレスチェックとは?義務化された背景や目的・実施方法を簡単に解説

ストレスチェックの義務化

ストレスチェックは、「常時50人以上」の従業員が在籍する全事業所において、その実施が義務付けられています。一方、50人未満の職場においては、ストレスチェックは努力義務となっていますが、職場環境を良好に保つためにも、実施したほうが良いでしょう。

ただし、ストレスチェックの受検、つまり従業員本人がストレスチェックを受けるかどうかについては義務とされていません。企業側は、従業員にストレスチェックの受検を強要できないこと、また、すでにメンタルヘルス不調を抱える従業員にとっては、ストレスチェックの受検自体が大きな負担となる場合があることを認識しておきましょう。

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ストレスチェックの集団分析結果を活用する重要性

ストレスチェック後に集団分析を行い、その結果を活用することには、大きく分けて2つのメリットがあります。

部署単位でのストレス要因の把握

ストレスチェックの結果を集団ごとに集計分析することで、部署やチーム単位で「大きなストレス要因」となっている課題が特定できるようになります。

職場ストレスとひと口にいっても、人間関係のほか、仕事内容や仕事量、物理的な作業環境など、ストレスの原因はさまざまです。ただし、すべての課題を一気に改善するのは、現実として困難でしょう。

集団分析により、「部署単位」や「チーム単位」、あるいは「組織全体」のストレス要因を可視化させることで組織の最も大きな課題、優先して改善に取り組むべき問題やストレス要因が見えるようになるのです。

「組織」視点での的確な業務改善が実行できる

ストレスチェックの結果を、「個人」ではなく「集団」単位で把握することにより、業務量や仕事内容が、大きなストレスとなっている場合の人員配置や業務内容の見直しが、的確にできるようになります。

例えば、業務量がストレス要因となっている場合、個人の問題であれば、部署内の調整で対応可能ですが、部署全体の問題であれば、新たな人員の補充やデジタルシフトによる根本的な業務改善など、組織全体で対応すべき問題となるはずです。

集団分析を行い、その結果を活用することで、最適な改善策が講じられるようになるのです。

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ストレスチェックの実施から集団分析までの流れ

ここからはストレスチェックの実施から集団分析を行うまでの流れについてご説明します。

ステップごとに解説しますので、ぜひお役立てください。

ストレスチェックの実施

まずはストレスチェックの実施です。厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易調査票」を活用するのが一般的ですが、「職場のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3つの領域に関する設問が含まれていれば、自社独自のストレスチェックリストを作成しても構いません。

調査手段は、オフライン(用紙)・オンラインどちらでもOKのため、自社の状況に合わせた形で実施しましょう。また、職業性ストレス簡易調査票を使用する場合は、23項目、57項目、80項目の3種類があるため、自社の目的に合ったリストを選ぶことができます。

集団分析

実施したストレスチェックの結果は、「組織全体」、「事業所(支店や営業所など)」、「部署」などの単位で集計し分析します。

ただし、単位の区切り方に決まりはありません。管理職など役職、雇用形態などで区切って分析を行うのもおすすめです。多角的な分析を行うことで、メンタル不調リスクの高いグループや傾向が、さまざまな角度から明らかになります。

集団分析結果の開示における注意点

ストレスチェックは、主に組織の状況を把握している産業医や保健師などが実施者となって行うものです。

実施にあたっては、企業(事業者)から、実施事務従事者が選定されることになりますが、実施者と実施事務従事者には守秘義務があるため、ストレスチェックの結果を受検者の同意なく事業者に開示することは禁じられています。

ただし、集団分析の結果については、分析単位が10名以上であれば、個人の特定は困難であるとの理由から、受検者の同意を得ずとも事業者への開示が認められています。

一方、10名未満単位での分析結果の開示については、「仕事のストレス判定図」に活用する場合を除いて、受検者全員の同意が必要である点に注意しましょう。

ストレスチェックで高ストレスだった社員の放置はNG!アプローチ方法を解説

ストレスチェックの集団分析結果の見方と活用方法

ストレスチェックの集団分析結果は、主に「仕事のストレス判断図」を見ます。

仕事のストレス判定図とは?

仕事のストレス判定図とは、集団(組織全体、部署ごと)を対象に、仕事のストレス程度とそのストレスが従業員の健康にどの程度の影響を与えているかを判断するためのツールです。

[引用:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」]

具体的には、「仕事の量的な負担」「仕事のコントロール」「上司の支援」「同僚の支援」の4つのストレス要因を軸にストレスの程度と、そのストレスの健康への影響度を測定します。

判断図の斜めの線の数値は、ストレス要因から予測される疾病や休業などのリスクを表しており、100が平均値です。

総合健康リスクは、この2つの図の数値を掛け合わせて算出しますが、120であれば標準的な職場の健康リスクよりも、メンタルヘルス不調などが発生する可能性が20%高い状態にあると見ることができるのです。

総合健康リスクの計算方法

総合健康リスクは、以下の数式にて算出します。

総合健康リスク=A(量-コントロール判定図のスコア)×B(職場の支援判定図のスコア)÷100

ストレスを数値化して見ることで、高いストレス状態に晒されている従業員がいるかどうかをより分かりやすい形で判断することができます。

高ストレス者の評価基準

2015年4月に厚生労働省より公表された「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(ストレスチェック指針)」において、高ストレス者として分類されるのは、次の評価基準に該当する労働者とされています。

  • 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者
  • 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者

ただし、上記あくまで判断基準の一つであり、実際の高ストレス者の選定は、産業医などの面談を踏まえて専門的な意見をもとに行うなど、総合的な判断が求められます。

[出典:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」]

集団分析結果の活用方法

集団分析の結果により、対策が必要だと判断されるストレス要因が見つかった場合は、必ず改善策を講じるようにしてください。

過剰な仕事量が問題となっている部署は、人員配置や人員数の見直し、業務のデジタル化、組織全体の業務手順やフローの見直しによる効率化などが有効な対策として挙げられます。また、コミュニケーション不足がストレスになっているのであれば、1on1の導入などのほか、カジュアルな社員交流イベントを行うのもおすすめです。

ストレスチェックは、結果をもとに職場改善を行い、ストレス要因を削減してこそ意味のある取り組みとなることを認識しておきましょう。

【2023年最新】1on1ツールおすすめ16選|導入のポイントや目的別の選び方を徹底比較!

ストレスチェックの集団分析結果を活用した改善事例

最後に実際にストレスチェックの集団分析結果を活用し、職場環境の改善を実現した事例を2つ紹介します。

自社の状況と照らし合わせつつ、参考にしてみてはいかがでしょうか。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所では、2016年以降117項目のストレスチェックを定期的に実施し、セルフマネジメントの後押しを含む従業員支援の体制を整えてきました。また、集団分析結果を部署ごとにフィードバックすることで、職場環境の改善勧告を行っているといいます。

具体的な改善施策として、ストレスチェックの重要性の基本講座を実施したのちに、定時後の打ち合わせ廃止などの対策を実行。定時退社日の残業削減をはじめとした環境改善につなげています。

オムロン株式会社

オムロン株式会社では、各部門の管理者が職場ごとのストレスチェックの組織分析結果を基にして課題を整理するアクションプランシートを作成しました。

その後、シートを活用した職場環境改善に手を挙げた3つの職場を対象に「職場環境改善ミーティング」を実施。「チームの雰囲気の暗さ」の課題に対して、アクションプランをもとにチーム同士の交流や相互理解のための懇親会を行うなど、ストレスチェックの集団分析結果を具体的なアクションへとつなげた事例として知られています。

ストレスチェックのメリット・デメリット!失敗しないためのコツも紹介

ストレスチェックの集団分析結果を活用して職場の環境改善を目指そう

ストレスチェック、そして、集団分析の概要と、分析結果の活用方法について紹介しました。

ただストレスチェックを実施するだけでは、職場環境改善とストレス軽減という本来の目的を達成するには至りません。

集団分析の結果を活かし、的確な改善策を立案・実行することで従業員のストレスが低減されることを改めて認識し、ストレスチェックの意識を高めるとともに、気持ちよく働ける職場環境の構築を目指しましょう。

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