ストレスチェックは意味ない?意味を持たせる効果的な方法を解説!

2023/08/04 2023/08/07

健康管理システム

ストレスチェックは意味ない

心身の状態・勤務状況などを定期的な調査によって把握し、ストレス状態を判定するストレスチェックは、メンタルヘルス対策の中でも、一次予防の役割を担う重要な取り組みとされています。その一方で「ストレスチェックは意味がない」と感じている人も多いようです。本記事では、ストレスチェックは意味ない?と感じてしまう理由や有効性を高めるための効果的な方法を解説します。

ストレスチェックとは?

ストレスチェックは、従業員が、人間関係を含む仕事の上での環境や業務量や内容などにストレスを感じているのかを、企業が把握するだけでなく従業員本人が「自覚」するために行われる検査です。

長時間労働や人間関係の悩みをはじめとした、職場におけるストレスは、従業員の健康を損なう要因にもなってしまいます。そのため、ストレスチェックは、従業員の心身の不調を未然に防ぎ、必要に応じて職場環境を改善する目的において用いられます。

具体的には、予め用意された質問項目への回答結果からストレスレベルを測定し、問題があると判断された場合は、当該従業員への個別対応はもちろん、分析内容によっては、組織全体の改善策を講じることもあるでしょう。

ストレスチェックとは?義務化された背景や目的・実施方法を簡単に解説

ストレスチェックの目的とは?

ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、50人以上の常時雇用労働者を有する事業場で実施することが義務づけられており、50人未満の事業場においても努力義務とされています。

ここからは「義務化」をしてまで行うストレスチェックの目的について、詳しく解説します。

労働者に自身のストレス状態を客観視してもらうため

ストレスチェックの主な目的の1つは、労働者(従業員)に自身のストレス状態を客観視する機会を提供することです。

日常業務やプライベートな事情によって、誰しも気づかないうちにストレスを抱えていることがあります。ストレスチェックによる客観的な診断や結果を通じて、自身のストレスレベルを把握し、問題点や自身のストレス状態に、早期に気づくことが期待されています。

職場環境を改善するため

もう1つの目的は、職場環境の改善につなげることです。従業員のストレス状態を企業側が把握することで、職場の問題点やストレス要因を特定し、改善のための具体的な施策を講じることが可能になります。

過度の労働負荷やコミュニケーション不足、人間関係のトラブルなど、ストレスの原因を解消することで、従業員がより働きやすい環境の構築が実現できるようになるのです。

メンタルヘルス対策のため

従業員自身が自分のストレス度合いに気づくこと、また、職場環境が必要に応じて改善されるといった取り組みは、心身の不調を未然に防ぐための施策としても有効です。

特に近年は、メンタルヘルスの重要性が高まっており、メンタル不調による労働力の低下や離職リスクの増加などが企業にとって課題となっています。そのため、ストレスチェックを通じたメンタルヘルス問題の早期発見・早期対応は、従業員の健康維持と生産性の向上を図る上で、必要不可欠な取り組みとなるでしょう。

ストレスチェックは50人未満であれば対象外?実施するメリットを紹介

従業員がストレスチェックを「意味ない」と感じる理由

ストレスチェックの目的は、持続的な企業活動や事業成長に欠かせないものばかりですが、目的が共有されていなかったり、結果が伴っていなかったりした場合、従業員はストレスチェックを意味のない取り組みと感じてしまうようになってしまうでしょう。

そのような意識を招いてしまう理由をいくつか解説します。

ストレスチェックを受けることが目的になっている

ストレスチェックの実施自体が「目的化」されてしまうケースです。

本来の目的は、従業員自身が自分のストレス状態を知ることで、メンタルヘルスへの意識を高めてもらうこと、また、結果をもとに職場環境を改善することです。しかし、一部の企業では法的な義務を果たすためだけにストレスチェックが行われ、実際の職場の状況改善に結びついていない場合があります。

ストレスチェックが形式的なものとなり、チェックの結果をもとにした具体的な行動や対策が伴わないと、ストレスチェックの存在意義は低減します。結果、従業員のストレスチェックに対する意識も低下する可能性があるのです。

職場環境・健康状態の改善に活かされない

ストレスチェックの結果は、従業員一人ひとりのストレスの程度や、その原因となる職場環境の問題点を把握するための貴重な情報源です。それにもかかわらず、これらの結果が職場環境の改善や従業員の健康状態の向上に具体的に活用されない場合、従業員がストレスチェックは意味がないと感じてしまうのは、ある意味、当然ともいえるでしょう。

これは、従業員がストレスチェックを受ける意義を見出せないだけでなく、ストレスによる健康問題の解決につながらないため、結果的に従業員のストレスを増大させる可能性もあります。

おすすめのストレスチェックサービス15選比較!選び方や料金・導入するメリット

企業がストレスチェックに意味ないと感じる理由

ストレスチェックは、企業側がその目的に意義を感じられず、積極的な実施の障壁となってしまうこともあります。その理由についても詳しく見ていきましょう。

ストレスチェックの結果を活かす方法がわからない

ストレスチェックを実施する企業の中には、ストレスチェック結果をどのようにして取り組みや施策につなげたら良いのかわからないといった場合があります。

本来の目的の一つである、労働環境の改善につなげることができなければ、単なる慣習になってしまい、次第に形骸化してしまうでしょう。実施や結果の集計のみに留まってしまえば、「意味がない」と感じてしまうのも無理はありません。

ストレスチェックを受検しない人が多い

ストレスチェックを受検しない従業員の多さが、背景になっているケースも見られます。

これにはいくつかの理由が考えられます。まず、ストレスチェックの重要性や目的に対しての理解不足です。そしてもう一つが、個人情報の取り扱いに対する不安から、受検を拒否するケースです。いずれも改善するには、適切な情報の共有が求められます。

産業医面談を希望する従業員が少ない

産業医面談は、ストレスチェックの結果を受けて、従業員からの希望を受けて実施されるものであり、企業側に強制力はありません。そのため、ストレスチェックにおいて面談が必要との結果が出ても、実際には、面談を希望する従業員が少ないという課題を抱える企業もあるようです。

産業医面談は、従業員がストレスの原因や対処法について相談できる機会であり、早期のメンタルヘルスサポートにつながる取り組みでもあります。しかし、産業医との面談内容が企業側に共有されることを恐れたり、面談の実施自体が、評価などに影響することを不安に感じたりするなどの理由から、面談を躊躇してしまうことも少なくありません。

その結果、産業医面談などの仕組みが十分に活用されず、ストレスチェック自体も無用だと感じてしまう結果につながるのです。

ストレスチェックの実施者と実施従事者とは?役割や要件を解説

ストレスチェックを意味のあるものにする方法

ストレスチェックを有効な施策とするためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

ここからは、ストレスチェックの有用性を高めるポイントを解説します。

従業員にストレスチェックの目的・重要性を周知する

従業員がストレスチェックの目的と重要性を理解することは、意味のある結果を得るために不可欠です。企業は、定期的な社内研修や情報発信を通じて、ストレスチェックの意義やメリットを従業員に明確に、かつ、繰り返し伝えましょう。

具体的な事例やデータを交えて、メンタルヘルスへの理解を深め、ストレスチェックが従業員の健康と職場環境の改善にどのように寄与するかを示すことが重要です。

職場環境の改善を積極的に進める

ストレスチェックの結果から、ストレスの原因となる要因をさらに特定し、労働条件や業務プロセスの見直し、コミュニケーションの改善など、具体的な対策を実施します。

可能であれば、従業員の声を反映させるためのフィードバックの仕組みや改善プロジェクトを進行する部署を設置しましょう。部署やチームの発足により、職場環境の改善施策を形骸化させることなく迅速かつ効果的に進めることができます。

産業医面談を受けやすい環境を整える

従業員が安心して産業医面談を受けられるよう環境を整えるとともに、面談の実施や内容が、本人の許可なく企業側に共有されることはないこと、また、評価に影響することがないことなどを、しっかりと周知します。

また、産業医の面談に関しては、ストレスチェックの内容によらず、従業員の希望により実施可能であることも併せて周知するほか、内容によっては、匿名性での実施も可能となる「ホットライン」の設置が安心して相談できる環境整備につながることもあります。

ストレスチェックで高ストレスだった社員の放置はNG!アプローチ方法を解説

ストレス対策を企業の重要課題として捉える

従業員のストレス対策や、より働きやすい環境づくりを、経営層やマネジメント層が企業の重要課題として捉えることは、最も大切なポイントとも言えるでしょう。

メンタルヘルス対策を含む環境づくりや改善の実施は、経営層の強いリーダーシップが必要です。企業文化の中でメンタルヘルスが重要視されることで、従業員のストレスチェックへの参加意欲も高まり、より意味のある結果が得られるでしょう。

意味のあるストレスチェックを実施しよう

ストレスチェックを意味のある取り組みとするためには、従業員が実施目的と重要性を理解すること、また、経営層がストレスチェックの結果を受けた職場環境の改善を、企業活動の重要課題として、迅速に施策へと移すマインドを持つことが求められます。

積極的なメンタルヘルスケアは、従業員の健康と生産性の向上を実現するでしょう。さらに、中長期的な戦略として健康経営を実践することで、企業イメージの向上、離職率の低下、優秀な人材の確保といった、さまざまなメリットもうまれます。適切なストレスチェックの活用により、ぜひ、組織の課題解決を図ってみてはいかがでしょうか。

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