メール配信で考えるべきセキュリティ対策とは?様々なリスクの要因も解説

最終更新日時:2022/11/16

メール配信システム

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メール配信は他の施策よりも高い費用対効果を期待できる反面、多くのデータを扱うためセキュリティリスクが高まる懸念があります。そのため企業は顧客情報などの扱いに細心の注意を払わなければなりません。そこで本記事では、メール配信におけるセキュリティ対策を解説し、適切なメルマガの配信方法についても紹介します。

メール配信システムとは?

メール配信システムとは、メールを一斉かつ大量に自動配信するシステムのことです。多数のユーザーに対して一度にまとめてメルマガなどを配信できるため、作業効率の面でメリットが大きいのが特徴といえます。

メール配信システムを提供する会社は非常に多く、サービスの特徴や搭載されている機能の種類も様々です。導入を検討する際は、機能の比較はもちろん、万全なセキュリティ対策が備わっているサービスを選ぶことが重要となります。

メール配信におけるセキュリティリスク

メール配信を活用したビジネスを行う上ではセキュリティ対策が重要になります。メール配信におけるリスクは、「外的要因によるリスク」と「内的要因によるリスク」に分類可能です。適切なセキュリティ対策を打つためにも、まずはこの2つのリスクについて理解を深めましょう。

外的要因によるリスク

メール配信の外的要因によるリスクには、マルウェアやサイバー攻撃、セキュリティ機能による規制などが挙げられます。

1.不正アクセスによる情報漏洩

現在のメール配信サービスの多くはクラウド型であり、顧客情報・個人情報は基本的にWeb上で管理されます。データがWeb上に保管されている場合、不正アクセスによって情報漏洩が起こる可能性はゼロではありません。

2.スパムメールと認識される

近年はキャリアメールにおける迷惑メール機能が充実しているため、大量送信(一斉送信)したメールがスパム判定を受け、フィルタリングされる場合があります。

また多くのビジネスパーソンが使用しているGmailなどのフリーメールにおいても、迷惑メールの自動分類機能があるため、メルマガや製品紹介などのメールがスパム扱いされる可能性もあるので、注意が必要です。

3.ブラックリストに登録される

ユーザーが契約しているキャリアやプロバイダ環境によっては、スパムメール判定だけでなくブラックリストに登録されることで、メールが全く届かないということも起こり得ます。

ブラックリストへの登録を解除するためには、管理団体への申請が必要になります。スパム認定やブラックリストへの登録を回避するためにも、メール配信の段階で正しい運用が求められるのです。

内的要因によるリスク

メール配信の内的要因によるリスクでは、社員によるヒューマンエラーや故意による不正などが挙げられます。

1.メールの誤送信

メールの誤送信は、社員の人的ミスによって起こることがほとんどです。bccとccの設定を間違えて送ってしまい、メールアドレスが全員に知れ渡ってしまったなど、様々なケースがあります。

2.従業員のデータ持ち出し

メール配信の業務を担当している従業員が、個人情報などのデータを持ち出すということも考えられます。

悪意のあるデータの持ち出しがある一方で、データ管理のルールが徹底されていないことで、不注意からデータを外部に持ち出し、流出してしまうケースもあるでしょう。

3.ログイン情報の流出

従業員が誤ってログイン情報などの重要情報を外部に流出させてしまうこともあります。また推測されやすいパスワードを設定したり、使い回したりすることで、社内のシステムに不正アクセスされるリスクへの対処も必要です。

メール配信のセキュリティ対策【外部要因】

メール配信におけるリスクを回避するには、セキュリティ対策を万全にしておかなければなりません。ここでは、メール配信の外的要因リスクに対して、効果的なセキュリティ対策を解説します。

送信元アドレスの認証

送信元のアドレス認証は、自社(自身)のメールが迷惑メールやなりすましメールではないことを証明する機能です。この機能を利用すると、配信したメールがスパム判定されることを防ぎます。

現在、主流となっているアドレスの認証技術は以下の3つです。

1.SPF

SPF(Sender Policy Framework)は、正しい配信元からメールが配信されたことを証明する仕組みのことで、これを設定することでなりすましメールの誤判定を防止します。

2.DKIM

DKIM (DomainKeys Identified Mail)は、送信ドメイン認証のひとつで、電子署名を活用したものです。送信元が秘密鍵を設定し、それに対応した公開鍵を受信元に取得してもらい、メールが正しいものであることを証明します。

3.DMARC

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)も送信ドメイン認証のひとつです。DMARCはSPFやDKIMを補強する技術として活用されています。

認証に失敗したメールの取り扱いを送信元がコントロールするためのもので、受信元のプロバイダから詳細なレポートを受け取れる、第三者署名は許可していないなどの特徴があります。

強固なパスワードに変更する

不正アクセスを防ぐためには、パスワードをより複雑にして強固なものにしておかなければなりません。パスワード設定のポイントは以下の通りです。

  • 文字数は最低でも8文字以上にする
  • 大文字、小文字、数字を組み合わせる
  • 句読点、記号も組み合わせる
  • 名前や誕生日に関するものは使わない
  • 有名な地名や固有名詞は使わない

また、不正アクセスへのリスクに備えるためにも、定期的にパスワードを変更しましょう。

データ通信を暗号化する

STARTTLSによる暗号化も有効です。この機能により、配信メールのスパム判定が緩和されたり、ハッキングなどによる不正アクセスを防いだりできます。暗号化には、「SSL・TLS方式」「PGP・S/MINE方式」「POP3s/IMAP4s/SMTPs方式」といった種類があります。

メール配信のセキュリティ対策【内部要因】

ここでは、メール配信の内的要因リスクに対して、どのようなセキュリティ対策が効果的なのかを解説していきます。

アクセス権を制限する

クラウド型のメール配信サービスは、ログインIDとパスワードが分かれば誰でも簡単にアクセスできます。例えば、外出先でログイン画面を覗き見されてIDとパスワードが知られてしまい、不正にアクセスされるということも起こりえるのです。

社内においては、メール配信サービスにログインできる人数が多いと、それだけ人的ミスや情報漏洩が起こる可能性が高まります。

このようなリスクを回避するためには、社外からはシステムにアクセスできないようにしたり、メール配信担当者以外の社員はログインできないようにしたりするなどの対策が必要です。

操作履歴を残す

メール配信におけるヒューマンエラーを防止するためには、操作履歴を残しておくという方法も効果的です。操作履歴を残しておけば、「どのような操作でミスが起こったか」を明確にでき、再発防止につながります。

そうしたエラーやミスを蓄積しておくことは、メール配信業務に関するマニュアル作りや他の従業員への注意喚起にも役立つでしょう。

ダブルチェックを実施する

メール配信でミスが起こらないようにするためには、ダブルチェックの徹底が重要です。メール配信担当者だけのチェックではケアレスミスの可能性があるため、それ以外の社員がチェックする環境を整えましょう。こうすることで、人的ミスによるリスク軽減が期待できるのです。

ダブルチェックを行う際は、配信設定(bccやtoの設定)や配信先の確認はもちろん、企業名・氏名の入力に間違いがないかもしっかりとチェックしましょう。

メール配信のセキュリティ対策を万全にする方法

メール配信のセキュリティ対策には様々な方法がありますが、会社側としては「効果的かつよりスムーズにセキュリティ対策を行いたい」と考えるのが一般的です。有効な施策の一つとして、ITシステムの導入が考えられます。

メール配信システムを導入する

メール配信のセキュリティ対策を万全にする方法として推奨されるのが、「メール配信システム」の導入です。メール配信システムを導入すれば、上述したメール配信における外的要因リスクと内的要因リスクを同時に解消でき、より効率的にセキュリティ対策を講じることができます。

メール配信システムはメールを一斉かつ大量に配信するだけでなく、セキュリティ対策も万全にできるツールです。例えば、承認フローの設定によって誤配信を防止でき、操作ログ機能によって不正アクセスや情報の持ち出しなども抑止できます。

メール配信システムは大企業や中小企業など、企業規模を問わず導入が進んでおり、セキュリティレベルの高いシステムは、金融機関や官公庁、自治体などでも利用されています。

メール配信システム導入のポイント

メール配信システムには様々な種類があり、搭載されている機能やセキュリティ対策のレベルも異なります。ここでは、メール配信システムを導入する際、どのような点に注意すべきかを解説します。具体的には、次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 送信元アドレス認証の機能があるか
  2. 送信メールを暗号化ができるか
  3. プライバシーマークを取得しているか
  4. 導入実績や評判はよいか

1.送信元アドレス認証の機能があるか

メール配信システムを選ぶ際の重要なポイントとして、送信元のアドレス認証機能の有無が挙げられます。種類としては、前述したとおり、SPF、DKIM、DMARCなどです。

SPFは送信元のIPアドレスを利用した認証方法、DKIMは電子署名を利用した認証方法で、DMARCはSPFとDKIMの両方を補強する認証方法です。

なりすましメールやメール内容の改ざんなどを防止するためにも、送信元のアドレス認証機能が搭載されているかどうかのチェックは必須です。

2.送信メールを暗号化ができるか

近年はメール本文を暗号化できる機能が備わったメール配信システムが増えています。本文を暗号化することにより、メール盗聴やメールの誤送信を防ぐことが可能です。

メール配信システムに搭載されている暗号化機能のレベルは様々で、メール本文や添付ファイルを自動で暗号化するだけでなく、暗号化方式を自由に選択できるものもあります。

メール配信システムを選ぶ際は、搭載されている暗号化機能の種類やレベルをしっかりと吟味しましょう。

3.プライバシーマークを取得しているか

プライバシーマークは、その企業の個人情報保護の体制が適切であることを示すマークです。このマークを取得している企業では、個人情報の管理・保護が徹底されているので情報漏洩などの危険は極めて低いことを証明しています。

つまり、プライバシーマークを取得しているサービス提供者は、個人情報保護の観点から優良な企業であると判断できるのです。

4.導入実績や評判はよいか

メール配信システムを選ぶ目安として、インターネット上での評判やレビューを参考にするのもよいでしょう。

ユーザー数(導入顧客数)、使い勝手や料金設定、機能の充実度、実際に使っている担当者の口コミや星評価はどうかなど、様々な点で比較検討してみることをおすすめします。

おすすめのメール配信システム5選

ここでは、数あるメール配信システムの中から、特におすすめのものを厳選して5つ紹介します。主な機能、費用(初期費用)、プラン、トライアルの有無、導入実績数などを記載するので、システムを選ぶ際の参考にしてみてください。

1.ブラストメール

「ブラストメール(blastmail)」は「11年連続顧客導入数シェアNo.1」(同社ホームページより)を記録しており、大手から中小企業まで幅広い企業で採用されています。

初心者でも使いやすいシンプルな設計と、リーズナブルな価格設定が魅力です。

提供元株式会社ラクスライトクラウド
初期費用

  • Lightプラン:11,000円(税込)
  • Standardプラン:11,000円(税込)
  • Proプラン:55,000円(税込)
料金プラン

  • Lightプラン:3,300円(税込)/月~
  • Standardプラン:6,600円/月~
  • Proプラン:33,000円/月~
無料プランと有料プランの特徴

  • 無料トライアル中:登録アドレス100件まで
  • ※機能制限なし

  • 有料プラン:プラン毎に使える機能が異なる
トライアルの有無無料トライアルあり(7日間)
導入実績約18,000社
機能・特徴

  • HTMLメール、デコメール作成
  • ターゲット配信
  • 空メール登録
  • 効果測定ツール
  • 迷惑メール対策(DKIM署名)
  • 5万アドレス以上の大規模配信
  • リストクリーニング
  • API連携

など

2.配配メール

「配配メール」は、集客や販売などのメールマーケティングで強さを発揮するメール配信システムです。マーケティング機能や分析・効果測定機能が充実しており、メールマーケティングの実践に適したサービスといえます。

操作性がシンプルで誰でも簡単に使用できる点、アフターフォローがしっかりしている点もおすすめです。

提供元株式会社ラクス
初期費用要問い合わせ
料金プラン配信先のメールアドレスの登録件数に応じて変動
無料プランと有料プランの特徴

  • 無料トライアル中:登録アドレス100件まで、個別相談・設定支援可
  • ※機能制限なし

  • 有料プラン:プラン毎にフォロー体制、使える機能、発行可能なアカウント数が異なる
トライアルの有無無料トライアルあり
導入実績9,000社以上
機能・特徴

  • 基本配信機能
  • メール作成機能
  • 管理機能
  • 分析/効果測定機能
  • メールマーケティング機能

など

URL公式サイト

3.MailPublisher

「MailPublisher」は、配信スピードに強みのあるメール配信システムです。「4,100万通/時」という業界屈指の配信スピードと配信数を実現しており、到達度などに課題を抱える企業にもおすすめできます。

CDP(Customer Data Platform)、MA(Marketing Automation)、BI(Business Inteligence)、EC(Electronic Commerce)システムなどの外部ツールとも容易に連携可能です。

提供元エンバーポイント株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
無料プランと有料プランの特徴要問い合わせ
トライアルの有無要問い合わせ
導入実績5,000社以上
機能・特徴

  • 4,100万通/時のメール配信性能
  • 高い到達性
  • SFTP/API連携

など

URL公式サイト

4.WiLL Mail

「WiLL Mail」は、初期費用無料・月額料金4,400円(税込)からというコストパフォーマンスが非常に良いメール配信システムです。ITトレンド年間ランキングのメール配信システム部門で、2019年から3年連続1位を獲得するなどの実績があります。

開封率やコンバージョン率などの分析機能に優れている点、マウス操作のみで完結できる簡単操作システムが導入されている点などが特徴です。

提供元株式会社サパナ
初期費用無料
料金プラン

  • シンプルプラン:4,400円(税込)/月~
  • プレミアムプラン:11,000円(税込)/月~
無料プランと有料プランの特徴

  • シンプルプラン:一斉配信
  • プレミアムプラン:一斉配信、ターゲットメール・ステップメール、外部DBとのAPI連携、WiLL Form連携
トライアルの有無無料トライアルあり(14日間)
導入実績1,800社以上
機能・特徴

  • スマートフォン対応のHTMLメール作成
  • ステップメール配信
  • マウスのみの簡単操作システム
  • 開封率・クリック率

など

URL公式サイト

5.Customers Mail Cloud

「Customers Mail Cloud」は、独自開発した配信エンジンによってフィーチャーフォンキャリアやISP(Internet Service Provider)に確実にメールを送信できるサービスです。

高精度なエラー解析、詳細な配信レポート、Webhookなど様々な機能が搭載されています。また、外部連携に強いのも特徴で、SMTP連携、API連携などが可能です。

提供元HENNGE株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
トライアルの有無無料トライアルあり
機能・特徴

  • SMTP/APIで連携
  • 独自開発の配信エンジン
  • DKIM/TLS暗号化
  • 配信レポート(送信ログ、送信状況のグラフ表示など)
  • 高精度なエラー解析
  • Webhook

など

URL公式サイト

メール配信のセキュリティ対策を万全にしておこう

メール配信では個人情報を取り扱うことが多いため、セキュリティ対策を万全にしておくことが重要です。メール配信システムを導入すれば、メールを効率的に配信できるだけでなく、外的または内的な要因から発生する様々なリスクを解消できます。

メール配信システムは多くの企業が提供しており、機能の充実度、セキュリティ対策のレベル、コストパフォーマンス、メール送信数、外部連携の有無など様々な点で違いがあります。

できるだけ多くのサービスを比較し、自社にとって最適なメール配信システムを導入してみてはいかがでしょうか。

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ビズクロ編集部
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