みなし残業代(固定残業代)の給与計算方法とは?パターン別に解説

記事更新日:2022/05/22

給与計算システム

みなし残業するビジネスマン

みなし残業代(固定残業代)や給与規定について、さらに計算方法やメリット・デメリットを本記事でお伝えします。適切に決められた給与規定は従業員の不安を解消するだけではなく、人件費の掌握や経費の有効活用ができますので、経営者はもちろん給与担当者には必須と言えるお役立ち情報です。

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給与計算におけるみなし残業(固定残業)とは?

そもそもみなし残業(固定残業)とは一体どのようなことを指すのでしょうか。企業によっては残業の形態もさまざまにあります。

固定残業代とは、企業が一定時間の残業をあらかじめ想定し、月給に残業代を含んで支給する制度で、残業時間を計算しなくても固定分の残業代を支払うため、一般的には「みなし残業」とも言われています。

昨今の労働問題の対策として、「固定残業代」や「みなし残業」を悪用し、想定以上の残業をしても残業代を払わない企業が後を立たないことから、さまざまなトラブルも多く報告されています。

固定残業代の知識を身につけておくことは、企業のあり方として必要なことです。また、それぞれに計算すべきことも多いため、以下で項目別に残業について詳しく解説していきます。

前もって固定給に含まれている残業代

前述でもお伝えした通り、固定残業代(みなし残業)とは、残業代があらかじめ固定給に含まれている労働契約のことを指します。

企業側からしてみれば、固定残業代で残業代は支払っているという認識になっていますが、従業員からしてみれば「いくら残業しても給料は変わらず納得できない」といったイメージが固定残業代にはあるのではないでしょうか。

しかし、実際には固定残業代が認められるには条件があるため、項目別に詳しく見ていきましょう。

みなし残業時間と実労働時間の関係

では、みなし残業時間に関して、どのような場合に注意が必要なのでしょうか。

みなし残業時間(固定残業時間)が実際の労働時間よりも少なかった場合や多かった場合には、以下のように換算するため、担当者は理解をしておく必要があります。

みなし残業時間が実労働時間より少ない場合

企業であらかじめ想定された「みなし残業時間」として定められた時間に満たなかった場合であっても、固定残業代として定められた金額は全額を支払う必要があります。

そのため、例えば残業時間が少ない月であっても自由に固定残業代を減らすことはできないので注意が必要です。

みなし残業時間が実労働時間より多い場合

上記では、みなし残業時間に満たなかった場合を解説しましたが、その一方で、想定されたみなし残業時間を実際の残業時間が超えた場合には、追加で残業代を支払う必要があります。

つまり、いくら取り決めた固定残業代を払っているからと言っていくら残業してもいい訳ではなく、みなし残業時間を超えたのならば、別途残業代を支払う義務が生じるため、担当者はこの点を理解しておく必要があります。

給与計算におけるみなし残業(固定残業)が認められる条件

ではここからは、みなし残業制とは一体どのような制度かについてお伝えします。留意しておくべき点としては、みなし残業が法的に認められる条件を満たしていないと、みなし残業が無効になる可能性があるということです。

解釈を間違うと、これから説明する計算方法があてはまらなくなるので、ここで解説することをよく理解しておきましょう。

①就業規則等での従業員への周知

まず雇用契約を結ぶ際に、みなし残業制(固定残業制)を口頭で伝えるだけでは効力がありません。法的に認められるには、社員と雇用契約で個別に合意するもしくは社員に就業規則や賃金規定などで周知を徹底していることが条件です。

具体的には、みなし残業の規定をきちんと定め、就業規則や賃金規定、雇用契約書に記載すればいいでしょう。さらにその場合は、社員が確認したいときにいつでも確認できる状態にしておかなければなりません。いつでも社員が自由に確認できるようにしていなければ、みなし残業は認められない可能性が高くなるため注意が必要です。

②みなし残業代(固定残業代)と残業時間が明確である

では就業規則などの書面にてみなし残業に関する規定があっても、「月給25万円(固定残業代を含む)」といった文言だけでは、法的に有効なみなし残業として認められません。

前述の場合、25万円のうちいくらが通常の労働時間分の給料に該当するのか、固定残業代がいくらなのかを明確にする必要があります。

例えば、「月給25万円(うち月40時間分の固定残業代として5万円)」という規定ならはっきり区別でき、このように表記するのが一般的です。

重要なことは、基本給と固定残業代の金額が明確に分かれていない場合みなし残業代は無効となり、実際に残業をした時間分の残業代を会社に請求できるようになるため、明確な記載が必要なことをよく理解しておきましょう。

③時給換算したみなし残業代が最低賃金を下回らないこと

現在の日本では、法外残業代(時間外労働)の割増率は1.25倍となっています。例えば東京都の2019年度の最低賃金は1,013円で、残業代の最低賃金は1,266円と決まっています。

仮に「月給25万円(うち月45時間分の固定残業代として5万円)」という規定とし、会社の所在地が東京都の場合を例に考えてみましょう。この場合、1時間あたりの残業代は約1,111円となり、都市別の最低賃金を下回ります。

そのため、最低賃金を下回るような設定は違法となり、会社は不足分を従業員に支払う必要があるので注意しましょう。

④みなし残業時間(固定残業時間)が45時間までに設定されている

さらに注意が必要な点は、仮に「月給30万円(うち月80時間分の固定残業代として10万円)」といった規定の場合、残業が違法となる可能性がとても高いといえます。

「法定労働時間の1日8時間、週40時間を超えて残業させる場合」には、労使間で定めた36協定と労働基準監督署への届出が必要ですが、現在では36協定を結んだ場合でも時間外労働は原則として月45時間までとする法改正がなされました。

そのため、45時間を大幅に超える月80時間ものみなし残業は、常識的な範囲を超えた超長時間労働を想定するものとして違法と判断されてしまい、みなし残業自体が無効となり残業時間に応じた残業代を支払う義務が発生します。この点をよく理解して、固定残業時間を決めましょう。

給与計算におけるみなし残業(固定残業)のメリット

細かい取り決めに注意すべき点はあるものの、厳しい制度に見えるみなし残業(固定残業)も、企業と従業員にとって双方にメリットもあります。

下記にて項目別に詳しく見ていきましょう。

労働者は残業が少なければ得をする

一般的に定められている固定残業代が導入されている場合、想定していた工数よりも実際の残業が少なかった月なら、従業員は働いた分以上の残業代を受け取れるといったメリットがあります。

つまり、想定よりも残業が少なかった場合には、企業側が固定残業代を実労働時間に対応する金額まで自由に削ることはできないため、あらかじめ設定された金額をそのまま支払うこととなります。従業員は実労働時間を超過する分の金額を、その都度返還する必要はありません。

会社は無駄な残業代を削減でき給与計算が楽になる

上記にて従業員にとってのメリットをお伝えしました。では企業にとってのメリットを考えてみましょう。企業にとって人件費は、最も大きな割合を占める費用です。

残業代を含む人件費が増加し売上が思うように上がらない場合は、資金不足に陥り、最悪の事態ではリストラや倒産という危機に直面する可能性も出てきます。そのため、どの残業代が有益な人件費となっているのか見極める必要があります。

給与を支払う企業側からすれば、みなし残業を取り入れることによって毎月の人件費にかかる変動を抑えることができるため、業績の見込みや経営判断を行う際には有効な手段となります。ただし注意点としては、みなし残業制度を導入する企業は、先ほど解説した通り以下の要件を満たす必要があります。

  • みなし残業代を超える残業を行った際の差額を支給すること
  • みなし残業代が月のうち何時間分の残業を補完しているかを明示すること
  • みなし残業代が給与規程等において、残業手当であることを従業員に明示していること

この要件さえ理解できていれば、過剰な人件費を抑えつつ業績に貢献でき、毎月の給与計算が楽になるため、担当者は理解を深めておくといいでしょう。

給与計算におけるみなし残業(固定残業)のデメリット

ではここで、みなし残業におけるデメリットについて考えてみましょう。みなし残業は、適切に運用すれば従業員にも企業にもメリットの大きい仕組みです。

しかし、誤った理解によって、従業員にとってデメリットが生じる場合があります。下記にて項目別におけるデメリットを解説していきます。

残業を強要されることがある

給与規定であらかじめ決まっているみなし残業では、残業代の支給が確定しているため、企業が従業員に対して残業を強要をする可能性があります。

例えば暗黙の了解で、雰囲気に抗えず、やむを得ず残業をしてしまう人もいることもあります。従業員に「みなされた時間分は残業するものだ」という間違った認識があると、社内の雰囲気が悪くなり必要以上の残業がまん延してしまいます。

しかし本来、みなし残業制においても、無理な残業やサービス残業をせずに定時で退社することは問題がないことです。こういった雰囲気を作らず企業側が社員の意識改革を行い、残業を押し付けない社風をつくることも、今後の企業が行う課題とも言えるでしょう。

超過分の残業代がもらえないことがある

現在の一般的な企業では、みなされた時間を超過し残業をしても、超過分を補填して支給されないことが多々あるのが現状と言えます。

これは違法行為でありきちんと証拠を集めて請求すれば、従業員が残業代を取り戻すことも可能です。しかし、スムーズに賃金が受け取れないというのは従業員にとって多大なストレスとなります。

残業代の未払いが発生する原因には、以下の3つが要因としてあげられることが多いので理解しておきましょう。

1.従業員の労働時間の管理を怠る

みなし残業という制度に頼りきり、企業が従業員の実労働時間を管理していない場合があります。そのため、どれくらいの超過残業が行われているのか把握できず、結果として残業代の未払いが発生します。

企業は従業員の実労働時間をいかなる状況でもきちんと管理し、みなされた時間以上の残業に対しては超過分を支給する必要があります。

2.みなし残業代が残業代の全てだと認識している

企業側は、「みなし残業代さえ払ってしまえば全ての残業代を賄える」と誤った認識をしている場合があります。そのため、給与規定にある枠を超えて何時間残業しても問題ないと誤解している可能性があるということです。

これを防ぐには、企業側がみなし残業について正しく理解し、残業を減らす取り組みや超過分の残業代をきちんと明確に支給する必要があります。

3.労働者に故意にサービス残業をさせている

企業の中には超過分の支払い義務を知りつつも、あえて気づかぬふりで未払いを容認している会社もあります。このような行為は違法なため、労働基準監督署などに通告し、運営の改善を図ることが重要です。

従業員や企業側は、このような事例をきちんと理解しておくことが経営側においても労働する側においても大いに役に立つでしょう。

給与計算で残業代の手当に含まれる手当と含まれない手当

上記でお伝えしたとおり、残業代の計算には1時間あたりの賃金を算出する必要があります。ここで注意する点が、月の基礎賃金に含まれる手当と除外する必要がある手当に分類されることです(労働基準法第37条5項・労働基準法施行規則第21条)。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支給された賃金
  • また1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

上記の手当は除外の対象となりますので注意が必要です。

みなし残業代(固定残業代)の給与計算方法

ではここからは、給与に含まれる「みなし残業代の金額」が明確であることを前提とした場合の残業代の計算方法を解説します。

給与のうち、いくらがみなし残業代にあたるのか不明な場合は、みなし残業とは認められません。給与担当者は残業代の基本的な計算方法を理解しておく必要があります。

以下の項目別に見ていきましょう。

残業代=残業時間×基礎時給×割増率

一般的に企業が就業規則などで決めている「1日〇時間労働する」「週〇時間労働する」といった、所定労働時間を超える労働時間のことを残業といいます。

基本的には、1日8時間、週40時間の法定労働時間が上限となります(一部例外を除く)。また、法定の割増率は、特別な場合(深夜・休日など)を除き1.25倍となっています。

基礎時給は、1時間あたりの基礎賃金のことを指します。そのため、給与総額から残業代や通勤手当、住宅手当、その他の該当する手当などを差し引き、1か月の平均所定労働時間で割ってそこから算出します。

時間外・休日・深夜労働をした時間

実際の勤務状況から「時間外・休日・深夜労働をした時間」を抽出し、割増賃金率分を乗じて計算します。主な割増賃金率は以下のとおりであるため、参考にしてください。

  • 時間外労働(法定労働時間を超えた場合):25%割増
  • 法定休日労働:35%割増
  • 深夜労働(22時~5時):25%割増
  • 時間外労働+深夜労働:50%割増

給与計算担当者は、この計算式をしっかり理解しておきましょう。

みなし残業代(固定残業代)以外の残業代の給与計算

では、みなし残業代以外の算出は、どのように計算するのか見ていきましょう。給与に含まれるみなし残業代などを差し引いて基礎賃金を割り出したあと、実際に受け取れる残業代と固定のみなし残業代のどちらが多いかで判断します。

本来受け取れる残業代のほうが多い場合は、みなし残業代を差し引いた超過分を会社に請求できます。

まとめ

ここまで、みなし残業代(固定残業代)について詳しく解説してきました。いろいろな働き方がある最近の雇用情勢では、人件費は企業にとって、給与は従業員にとって、とても重要な問題です。

そのため給与計算担当者は、従業員の不安を解消し、人材の育成や働き方のサポートを考えることが課題となります。ケースごとに適した残業代を深く理解する必要性があると言えるでしょう。

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