給与計算の差引支給額とは?~総支給額との違いや計算方法を解説~

最終更新日時:2022/11/18

給与計算システム

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従業員の手取りとして渡される差引支給額は、総支給額から控除を差し引いた分の金額です。なぜ総支給額がそのまま給料にはならないのか、控除として差し引かれている内訳には何が含まれているのか、計算式も一緒にわかりやすく解説しますのでぜひ基礎知識として参考にしてください。

差引支給額とは

給与明細に記載されている内容には、総支給額と差引支給額があります。

差引支給額とは、控除などが総支給額から引かれた金額のことで、労働者の手取りとなる金額のことをいい、給料として支払われている金額を示します。差引支給額と一言にまとめられていますが、何が差し引かれてその金額になったのかは給与明細を見ても分かりません。

差し引かれている控除には複数の内訳があり、種類も細かく決められているため、給与計算をしたことのない方にはなぜその金額になるのか分かりません。

どういった理由で給料から引かれているのか分からないままでは、給与明細を受け取った時にも内容を明確にできず、疑問を抱えるままになってしまいます。

差引支給額に何が含まれているのか紹介するので、総支給額から引かれているものが何か理解しておきましょう。

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総支給額と差引支給額との違い

そもそも総支給額とは、会社側が従業員に対して支払った金額の合計のことです。総支給額は、額面給与とも呼ばれています。

従業員の雇用形態によって支払われる基本給の他にも、残業手当や住宅関連手当といった各種手当をすべて加えているものが総支給額です。また、総支給額は年末調整にも使用する金額です。

差引支給額は、従業員が実際に受け取ることになる金額のことです。手取り給与とも言われており、この金額が従業員の手元に入る給料分となります。

基本的に、会社の紹介時やハローワークなどで紹介されている企業の年収は、差引支給額ではなく総支給額が紹介されています。仕事を探す時は、紹介されている年収から控除が引かれるというのを前提に考えておきましょう。

給与明細によって総支給額と差引支給額を把握することは、従業員が「自分がどれだけの給与を受け取っているか」の確認にもなり、会社側もきちんと給料を支払っていることの証明書にもなります。

給与明細をもらった時に総支給額と差引支給額を確認して、手取りがいくらになるのか把握しておきましょう。

基本給とは?給与や手取りとの違いは?低い場合のデメリットも解説

差引支給額と手取り額

上記で説明した通り、差引支給額と手取り額というのは同じものを示します。

総支給額から差し引かれる控除金額は会社や地域ごとに違いがあり、非課税とされている通勤手当も、差引支給額の計算に用いる場合があります。

差引支給額の給与計算方法

差引支給額が何円になるかは、総支給額から各種控除を差し引くことによって分かります。雇用条件や地域によって差異はありますが、差引支給額は基本的に総支給額の8割程度の金額となっています。

しかし、初任給であれば社会保険料や住民税といった控除が差し引かれないので、計算方法に注意する必要があります。差引支給額を導き出すための計算式自体は簡単で、次のとおりになっています。

総支給額-控除額=差引支給額

計算式自体はシンプルとなっていますが、この差し引く控除額の内訳は細かく、給与計算をしたことがない方から見ると少しややこしく感じるかもしれません。

ただし、控除額に何が含まれているかを把握することで、自分の手取りがいくらになるか明確になります。

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給与計算における控除額の種別

ここからは、給与計算にも関わってくる控除額には何が含まれているのかを説明していきます。

給与明細に記載される項目とは?天引きされる税金や保険料を解説

社会保険料

従業員がけがや病気などを負ったことで仕事ができなくなった時のために加入している社会保険等の保険料も控除額に入っています。社会保険料の種類は複数あり、以下のものがあります。

聞き馴染みあるのは健康保険料になると思いますが、こちらは従業員が健康保険組合や健康保険制度の被保険者となっている際に発生する保険料です。

会社が加入している保険へ従業員も加入することになるので、会社が加入している保険によって保険料に差が出てくることもあります。

また、従業員の年齢が40〜64歳の場合は介護保険料も上乗せされます。厚生年金保険料は、従業員が65歳以上になってから受け取れる年金のために支払う控除です。

控除として支払うことで、65歳以上になってから年金として受給できるようになります。雇用保険は、失業した時や何らかの理由で雇用継続することができなくなった時に支払われる保険料です。

保険料と一言にまとめても、控除額の計算方法はそれぞれで違っているので計算時には注意が必要です。では、まずは社会保険料の計算式を紹介します。

  • 社会保険料:各保険料=標準報酬月額×保険料率

健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料の計算には、標準報酬月額というものを使用して計算します。実際には従業員と企業側の折半となるので、こちらの計算で算出された金額の1/2が控除額として含まれます。

この標準報酬月額というのは、従業員の月額の給与を区切りのいい部分で区分した金額の事を示します。初任給となる方の場合は、その方が被保険者の資格を取得してからの1か月間の報酬見込み額を算出して、標準報酬月額を決めます。

標準報酬月額を決定する方法として、定時決定や随時決定といった方法を選ぶ会社がほとんどです。定時決定では、毎年4〜6年の3カ月間の賃金をベースとして、同年の9月に見直しを行います。

標準報酬月額の改定は年に一度なので、9月〜翌年の8月までは同じ標準報酬月額を使用して社会保険料の計算がされます。

また、随時決定の方法では、従業員の昇給や降給といった給与体系が変更した時や通勤手当が変わった時など、賃金の変動があった際に次月以降に継続した3カ月間の報酬平均月額を標準報酬月額の区分とします。

そこから現在使用している標準報酬月額との間に2等級以上の差が発生した時、随時改定が行われます。そして、雇用保険料の計算式は次のとおりです。

  • 雇用保険料:総支給額×保険料率

雇用保険料の計算には標準報酬月額を使う必要はありませんが、従業員の総支給額を事前に算出しておく必要があります。

従業員の総支給額は、所定労働時間に則って支払われる基本給や、給与に含まれる各種手当などを合算して金額を出します。総支給額の計算方法は次のとおりです。

  • 総支給額=基本給+各種手当-欠勤控除

各種手当の中には雇用形態や勤続年数によって従業員ごとに受給できるものが変わってきます。役職手当や住宅関連手当、出張手当の他にも、時間外労働手当などが各種手当に含まれています。

欠勤控除は名前のとおり、欠勤した日の分の給料を引くことができます。しかし、有給を取って休んだ場合は欠勤控除には含まれないので、計算時に注意してください。

また、時間外労働手当は基本給を割増した金額を支払う必要があります。他に保険料の計算方法で注意する点は、従業員の年齢に関してです。40歳の方には介護保険料の徴収も開始されるので、保険料率が上がります。

その分の金額を控除に入れるのを忘れないようにしましょう。また、社会保険料は毎年ではないものの、改定されることがあります。

保険料の引き上げが行われると、給与計算も改定内容に対応しなければいけません。各保険料によって引き上げが行われるかどうかは変わってくるので、社会保険料率の改定をチェックするようにしましょう。

所得税と住民税

総支給額から差し引かれるのは、所得税と住民税も含まれます。所得税は所得に対してかかる税金で、従業員の所得額によって税率は変動します。また、従業員の扶養家族の数も所得税には影響します。

扶養家族がいる場合、所得税を抑えられる仕組みとなっているため、給与計算では従業員の扶養家族の人数についても把握しなければいけません。扶養家族は、源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族が対象です。

自分の給与収入が1,095万円以下、配偶者の給与収入が150万円以下なら源泉控除対象配偶者を一人と数えます。配偶者が障害者に該当する方で、配偶者の給与収入が103万円以下であれば、源泉控除対象配偶者を一人加算して二人と数えます。

控除対象扶養親族には、生計を同じくしている16歳以上の親族がすべて含まれます。所得税の計算の流れは以下のとおりです。

  • 給与収入:給与明細の課税対象支給額(1年間分)
  • 給与所得:給与収入-給与所得控除
  • 課税所得:給与所得-所得控除
  • 所得税額:課税所得×所得税率

また、給与の中には、所得税の課税対象にならないものもあります。転勤や出張で必要になり、会社側でも認められた手当分や仕事に必要な資格を取得するための費用、研修費用などは、所得税の課税対象にはなりません。

もう一つの控除である住民税は、従業員の居住地域に納めている税金のことです。前年度の所得額を基にして金額の計算がされ、毎月の総支給額から差し引かれます。

そのため、前年度に所得がない場合は、住民税は発生しません。住民税が給与から差し引かれることで、従業員が自分で直接住民税を納付する手間をはぶくことができます。これを特別徴収といいます。

特別徴収とは違って普通徴収という方法で住民税の納付を行うこともできます。普通徴収は個人で住民税を納付する方法です。

所得税とは?給与計算における所得税の基本から計算方法まで

財形貯蓄や積立金

財形貯蓄や積立金に関しては、法律によって定められている控除ではなく、会社の規定により差し引かれる可能性がある控除です。財形貯蓄は、財形貯蓄制度を設けている会社で、福利厚生の一環として従業員が利用できます。

会社と提携している金融機関で従業員が給与の一部を積み立てて、確実に貯蓄することが可能です。会社との規定や契約期間によって、貯蓄していたお金の払いだしや積み立ての中断時期について個別の条件が設けられている場合もあるので、事前に会社の規定を確認しておきましょう。

給与計算の確認を効率化する方法

給与計算は、従業員一人一人の賃金や税金に関わってくる大切な業務です。

そのため、計算ミスが発生すると信頼関係に亀裂を入れるだけでなく、大きなトラブルにつながる可能性もあります。

給与計算は期日もあるため、正確性を保ちながら、スピーディに業務を進める必要があります。

作業が複雑で経理担当者への負担もかかります。効率化するために、給与計算システムの使用も検討しましょう

給与計算を自動化・効率化するには?メリット・デメリットを徹底解説

差引支給額の仕組みを理解しよう

総支給額から控除額を引いて算出できる差引支給額が、従業員の手取りです。総支給額から保険料や住民税、所得税などの控除を差し引くことで、差引支給額を算出することができます。

どんな控除が総支給額から引かれているのか把握することで、自分に関わる控除について理解できます。自分の手元に入る給料がどうしてこの金額になるのか確認したい方は、今回紹介した計算式を活用して控除や差引支給額の算出を行ってみてください。

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ビズクロ編集部
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