給与計算を内製化した場合のメリット・デメリットとは?よくある課題も解説

2022/5/7 2022/05/07

給与計算システム

給与計算と内製化によるメリット

給与計算は事業を運営するうえで欠かせない業務であると同時に、個人情報も含まれるためデータの取り扱いも重要です。それだけに内製化するか、それともアウトソーシングするかは大事な選択になります。双方のメリット・デメリットを理解して、どの方法を選ぶのがベストなのかを検討してください。

給与計算を内製化するのは必須?外注(アウトソーシング)もあり

給与計算を会計事務所(税理士)や社労士などに外注(アウトソーシング)している企業も少なくありません。それに対して内製化は「外部に委託していた業務を自社でおこなうこと」を指し、外注とは正反対の動きになります。

専門的な業務を外部企業や専門家に委託することで手間を省き、従業員をほかの仕事に振り分けることができるのは大きなメリットでしょう。ただ自社で完結させる内製化は、コストカットや社内で専門家を育成できるなどいくつかのメリットがあります。

給与の内製化が企業にどのような影響を与えるのか、そのメリットとデメリットの両方をチェックしていきましょう。

給与計算を内製化するメリット

給与計算は会社を運営するうえでの必須業務です。誰かが責任をもって対応しなければなりません。では、企業全体のうちで給与計算をアウトソーシングしている割合はどれくらいなのでしょうか?

矢野経済研究所の調査結果では、給与計算を外注している会社は約2割と少なめです。その理由は社内の個人情報や給与額などの重要なデータが、外部に流出する懸念があることです。

一度流出したデータを取り返すことは不可能です。また内製化することで担当者との意思疎通がスムーズになり、データの確認や訂正にかかる時間がぐっと短縮され、より効率的になります。

給与計算に関するノウハウがたまる

給与計算をアウトソーシングすればデータを渡すだけできちんと給与計算結果が仕上がってくるため、企業側とすれば面倒な手間を省くことができます。

ところが一度データを外部に渡してしまうと、具体的にどのような給与計算ソフトを使い、どのようにデータが処理されているのか、その過程を逐一チェックすることができません。内製化すれば社内の担当者の育成につながり、給与計算のノウハウが確実に蓄積します。一度社内に知識やノウハウが蓄積すれば、企業にとってひとつの財産となるでしょう。

また、万が一外注での給与計算業務が滞った場合でも、社内に給与計算のスキルが蓄積されていれば、急なトラブルにも十分に対応できます。リスクヘッジの観点からみても優れています。

給与計算時の帳票出力がしやすい

外部に給与計算を発注する際、帳簿を紙ベースで納品してもらうと「給与計算の予備データがない」というトラブルが起きる可能性があります。もちろんデータ形式で納品してもらうこともできますが「データ数が足りない」ことも考えられるでしょう。

もし自社で給与計算ができれば、自社のPCやサーバー、またはクラウド給与計算システムから何枚でも帳簿を印刷することができ、データのダウンロードも自由自在です。

給与計算の変更・修正に即時対応可

給与計算では業務作業時に変更や修正の作業が必要になります。アウトソーシングに依存していると、変更や修正をその都度社外担当者に指示して変更してもらわなければなりません。

「給与計算の担当者と電話連絡がとれない、メールの返信が遅い、お願いした変更が適切に反映されていない」などのトラブルが起きるリスクもあり、トラブルが続くと非常に大きなストレスになります。

もし社内で給与計算を実施していれば担当者と自社で直接打ち合わせができるため、データの訂正や変更が容易に行えます。また、社外担当者と連絡を取り合うための連絡にかかるコストカットも可能です。

給与計算業務に関する情報漏洩防止

外部に給与計算をお願いすると、どうしても社外とデータのやり取りが生じます。給与計算には社員の個人情報など重要情報が含まれているため、その扱いは慎重におこなわなければなりません。

アウトソーシングの場合「外部へのデータの送信」さらに「外部でのデータ処理」で情報漏えいのリスクにさらされます。そのため個人情報の取り扱いに対してしっかり対策ができている企業を厳選する必要があるでしょう。「費用が安いから」という安易な理由で委託すると、データ流出というリスクを負うことになるかもしれません。

給与計算を内製化するデメリット

給与計算を内製化することで得られるメリットをあげましたが、メリットだけではなくデメリットももちろん存在します。

次の項目から、自社で給与計算業務をおこなうデメリットをチェックしていきましょう。

給与計算業務担当の育成に時間がかかる

給与計算の内製化には、自社で責任をもって業務をおこなう専門スタッフの確保が必要です。給与計算には専用のソフトを使用しデータを的確に処理し、内容に間違いがないかチェックする等のスキルが求められます。

またソフトの使用方法を習得し、源泉徴収税額や社会保険料額等、各種手当などの知識を身につけた専門的な人材を育成するためには、時間と手間がかかるのもデメリットです。人的投資に加え、PCや専門ソフトなどの設備投資、備品や消耗品の費用、維持費用などそれなりのコストがかかります。

また労働者名簿や賃金台帳、出勤簿は3年の保管義務があり、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書や源泉徴収票は7年の保管義務があるなど、データの保存にも責任をもって対応しなければなりません。

給与計算業務・経理業務の人件費増加

給与計算業務や経理業務を内製化することで、社員に支払う給与や賞与、社会保険の費用など人件費が発生し、その支払いは継続的に続きます。専門知識をもつスタッフを新たに雇用すれば、それに見合った給与を提示しなければならないため、企業側の負担も重くなります。

専門知識のない社員を給与計算担当者に任命しても、研修費用などのコストがのしかかるでしょう。

これらコストとアウトソーシングにかかる費用を比較し、どちらにメリットがあるのかを見極めなければなりません。

給与計算業務担当・経理担当の業務負荷

給与計算の内製化により、給与計算業務担当者や経理担当者に業務遂行のための負荷がかかります。専用ソフトやパソコンの使い方はもちろん、手当の種類や有無、時間外勤務などによる割増賃金の設定、通勤手当の設定などを理解し適切にデータを処理しなければなりません。

業務を進めるうえで専門的な知識が必要になるポイントも多く、そのたびに専門家に問い合わせて処理すると、慣れないうちはとくに負荷がかかります。とくに年に一度の年末調整は普段おこなう業務ではないため慣れにくく、集中的に忙しくなってしまうため重い業務負担として感じられやすいのです。

給与計算業務が属人化しやすい

給与計算の業務担当者を決めることにより、効率よくスキルを身につけ業務に専念することができます。ところが担当者が固定化されることで、以下のようなトラブルが起きる可能性が高くなります。

  • 担当者が一人で対応していると急病や退職時に対処が必要になる
  • 担当者の裁量で作業すると同じミスが続く、品質が不安定になる
  • 専任の担当者以外業務がわからなくなる

給与計算は専門知識や秘匿性のある業務だけに、誰にでも気軽に対応できる仕事ではありません。そのため、給与計算業務が属人化しやすくなり、担当者の急病や退職リスクで事務作業が混乱する可能性があります。担当者を一人だけにしないこと、チェック体制を構築することが重要です。

給与計算の内製化を考える上でのポイント

給与計算をアウトソーシングすることで社員の負担が減り、給与計算にかかる人件費や設備投資費用をカットできるのは魅力ですし、逆に内製化することで個人情報の漏洩を防ぎ、人材育成につながるなど、どちらの方法にもメリット、デメリットがあります。

どの方法を選択するのかは各企業の判断になりますが、今後内製化を考えているのであれば以下のような点を頭に入れて、自社の状況に当てはめて判断するのをおすすめします。

給与計算内製化ポイント①費用対効果

給与計算をアウトソーシングすることでコストがかかりますが、内製化することでアウトソーシングにかかるコストをカットすることができます。浮いた費用をほかの部門に振り分けることで、新たな事業展開や社員への還元などに貢献できるでしょう。

ところが内製化することで、担当者に対する給与や賞与などの人件費(固定費)が継続的にかかり、パソコンや専用ソフトなどの設備投資も必要です。内装化することでどれだけの費用対効果があるのかをじっくり検討する必要があります。

内製化する場合は、「どれだけの初期費用や固定費がかかるのか」「いつ収支がプラスになるのか」などしっかり検討しましょう。

給与計算内製化ポイント②こだわりすぎない

内製化することでアウトソーシングにかかるコストをカットでき、個人情報などの大事なデータを守ることもできます。ただ自社で給与計算業務をおこなえばそれなりのコストがかかるため、「今すぐに内製化しなければ」と焦らないことです。

内製化するためには専門の担当者を選定、または採用しなければなりませんし、ある程度の準備が必要になります。もし準備不足で内製化を進めてしまうと、税金や社会保険など専門的な知識をもたない社員があやふやな知識で給与計算をすることになり、ミスを連発したり業務が遅れるリスクがあります。

内製化を考えているとしても、いきなり社内ですべての業務を実施するのではなく「年末調整は外注にお願いしよう」など、部分的にアウトソーシングを利用することで、費用対効果をもたらしてくれることもあります。

アウトソーシングを上手に利用することで社内効率を高めることもあるため、完全な内製化にこだわらず柔軟に対応しましょう。

給与計算内製化ポイント③一度に全部やろうとしない

給与計算を内製化するためには、社員の採用や研修、設備や専用ソフトの購入、専用ソフトの操作訓練など多くのステップがあります。

業務に慣れるまでしばらく時間がかかる可能性もあり、最初からすべての仕事を抱えこまないことも大切です。最初は社員すべての給与計算をするのではなく、最小限の範囲で始めます。

アウトソーシング先の担当者と相談して徐々に業務を引き継ぐ、業務量を増やすなどして無理なく内製化できれば、担当者の精神的な負担を軽減することが可能です。

給与計算内製化ポイント④契約社員や派遣社員を採用する

社内の給与計算業務を、契約社員や派遣社員で対応してもらう方法もあります。もともと税金や社会保険などの専門知識をそなえ、専用ソフトの扱いに慣れた契約社員や派遣社員であれば、人件費はかかりますが研修費用をカットすることができます。

契約社員なら契約満了時に継続、または新しく契約社員を採用することもでき、担当者の急な病気や退職リスクに備えることができるのも大きなメリットです。

まとめ

給与計算を内製化するのか、それともアウトソーシングするかは、会社のスケールや給与計算にかかる業務量、経費をカットできるかどうかの見通しなど、複数の条件を比較しながら検討する必要があります。

会社の事業規模や社員数などが違うため、どうすればいいのかを一概にいうことはできませんが、会社にとってベストな方法を柔軟な発想で選ぶことが重要です。

一度に全て内製化せず少しずつ業務を増やすなど、担当者のストレスにならない対応も考えましょう。

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