給与計算実務能力検定とは?取得するメリットや勉強ポイントを解説
給与計算実務能力検定とはどんな資格なのか、資格取得方法や資格取得のメリットなどを紹介します。これから経理、人事、労務関連に就職、転職を希望される方にもおすすめの資格といえます。給与計算実務能力検定を持っていることで、経理や人事といった部署などでその能力を活かせるでしょう。検定に向けての学び方や検定試験の問題数、合格基準も解説します。
目次
給与計算の資格「給与計算実務能力検定」とは?
給与計算に関する幅広い知識を持っていることを証明できる資格が「給与計算実務能力検定」です。内閣府や一般社団法人職業技能振興会が認定しているこの資格は、就職や転職を望む方にとっても有利な資格といえます。
給与計算以外に、労務コンプライアンスなど深い知識を持っているため、リスク管理の上で企業にとっても重要な資格を持っている人材となるでしょう。
給与計算実務能力検定「2級」
給与計算実務能力検定は人事労務のプロといえる資格です。この資格には「1級」と「2級」があります。
給与計算実務能力検定の2級は、給与計算の明細作成といった一般的な給与についての知識が求められる資格です。給与計算を行う上で基礎となる労務コンプライアンスに対する知識を正しく理解する必要があります。
例年2級の検定は8割位の正解率で合格といわれており、しっかり勉強していれば合格できない検定ではないでしょう。2級に合格することで年末調整に関する業務以外の給与計算・賞与計算など給与計算に携わる一般的な業務に携わることができます。
一般的に給与計算の実務経験のない方や初心者の方は、この給与計算実務能力検定2級に合格し、その後、実務経験を積むなどして1級検定試験に望むことが多いようです。2級試験の想定合格率は全受験者のうち6割から7割程度といわれています。
給与計算実務能力検定「1級」
1級は毎月の給与計算や賞与計算に加え、社会保険関係や税務上の手続きなど、2級よりも幅広い業務に精通した資格です。例年検定試験の6割程度の正解率で合格といわれているため、2級よりもより高度な検定です。
1級を保有しているということは給与計算業務のプロといえ、給与計算や労務管理の責任者として活躍することも可能です。また給与計算実務を行う方にとっては、キャリアアップするために取得しておきたい資格といえるでしょう。
給与計算実務能力検定の2級を保有している方や、給与計算の実務経験がある方が1級の受験対象といわれています。試験の順序などはなく、2級試験を受けずに1級にチャレンジすることもでき、2級と1級の試験を併願することも可能です。
1級試験の想定合格率は全受験者のうちの4割から5割と想定されています。2級も1級もそれほど難易度は高くないといわれていますが、実際に実務を経験しつつ受験されている人もいるでしょう。
実務の経験がない方は、給与計算についてしっかり学ぶことが重要です。
給与計算実務能力検定の内容
給与計算実務能力検定2級は例年2回、1級は例年1回検定が行われます。2級検定は給与計算の基礎について出題されます。
<2級検定出題範囲>
- 勤怠項目
- 支給項目
- 控除項目
- 社会保険事務手続き
- 賞与計算
- 給与計算実務に関する労働者保護法令
- 社会保険制度
1級検定は給与計算や社会保険などの総合的知識のほか、年末調整に関する知識まで給与計算について幅広い内容が出題される検定試験です。
<1級検定出題範囲>
- 賃金・労働時間等に関する総合知識
- 社会保険制度と主な事務手続き
- 賞与計算
- 退職金
- 年末調整
出題問題数
給与計算実務能力検定の出題問題数は1級・2級とも「全40問」となっています。
<2級>
試験区分
- 実務の基礎となる労務コンプライアンスに対する正しい知識の理解
- 基本的な給与計算 給与明細の作成ができる
- 一般職員として年末調整以外の給与計算 賞与計算ができる
試験形態
- 知識問題35問(四肢択一・マークシート)1問2点合計70点
- 計算問題5問(四肢択一・マークシート)1問6点合計30点
<1級>
試験区分
- 労働法令・税務の正しい知識
- 複雑な制度 イレギュラーな給与体系に対応できる
- 給与計算全ての業務(年末調整を含む)に精通している
- 社会保険・税務等 給与計算に付随する手続きができる
- リーダーとして給与計算業務管理が可能
試験形態
- 知識問題30問(四肢択一・マークシート)1問2点合計60点
- 計算問題10問(記述式)1問4点合計40点
給与検定実務能力検定試験の際には、受験票のほか筆記用具、電卓が必要です。
合格基準
- 2級合格基準点:7割以上の得点
- 1級合格基準点:7割以上 かつ計算問題を6割以上正解
2級も1級も年々受験者数が増加しています。事務職に就職・転職する際、ExcelやwordなどPC系技術のほか、給与計算に関する資格を保有しているというのは強みになるでしょう。
事務系で就職を希望する方にとって、取得しておいて損はない資格といえます。
2年ごとに更新が必要
給与計算実務能力検定は2年ごとに更新が必要です。給与計算をする際には社会保険制度や労務関連の法令などが関係してきます。
こうした法令や制度は法や制度の改正となることもあるため、資格取得後の法改正や制度改正も知識を得ることが必要です。法や制度の改正の知識を最新のものとするためにも、2年ごとの更新が必要となっています。
登録の有効期限の3ヵ月から6ヵ月前になると、更新案内の文書と資格更新申込書が届きます。更新を希望される方は更新料を支払い、申込書に記入し新しい認定証に利用する写真を添えて更新講習の申し込みを行いましょう。
給与計算実務能力検定を取得するメリット
給与計算に関しては給与計算ソフトなどもあるので、入力の仕方を覚えればそれほど難しいことはありません。しかしなにかトラブルが起きたとき、何が間違っているのかミスのもとを探すことができない方もいます。
社会保険や税金の知識があればミスの原因がわかるかもしれません。しかしこうした給与計算に関する知識は、実務の中で得ようと思っても得られるものではなく勉強する必要があります。
給与計算実務能力検定の勉強をすることで、労務や税務、給与計算に関わる法律などにも触れます。給与計算の正しい知識を学ぶことで、実務の中にも活かすことができる資格です。
また、給与計算実務能力検定の資格取得は転職する際にも強い味方になるでしょう。
給与計算の実務に活かせる
給与計算実務能力検定は実務に活かせる資格です。給与計算の担当部署では、検定試験の勉強や情報収集によって得た法改正の知識などを活かし、正しい法律や制度を反映した給与計算ができます。
従業員数が少ない会社では、事務方が給与計算を行うこともありますが、一般事務で会社に入ったとしても給与計算ができることで実務に活かすこともできますし、昇給につながっていく可能性もあるでしょう。
対策・受験がスキルアップにつながる
給与計算実務能力検定を受ける前には給与計算に関する知識について学ぶことが必要です。検定の対策講座や研修なども行われているので、従業員に受講させるのもビジネススキルのレベルアップにつながると思います。
従業員にセミナーや講習を受けにいかせても真面目に聞いてくれないかもしれませんが、セミナーや講習の後に「検定試験」があればしっかり受講してくれるでしょう。従業員のモチベーションアップのためにも検定試験を活用できます。
給与計算に資格は必要ない?
給与計算実務能力検定を持っていなければ給与計算ができないということはありません。給与計算や労務管理の業務に携わることができ、この資格を持っていなくても、問題なく業務を行えます。
しかし給与計算は従業員それぞれ所得税や社会保険料が異なり、それぞれ計算しなければなりません。税金の差し引きなど複雑で給与計算の知識を持っていないとミスが起こることもあるでしょう。
従業員への賃金支払いにミスが起きてしまったら不信感の元です。資格がなくても業務はできますが、給与計算実務能力検定を持っていることでその深い知識を活かした仕事ができます。
給与計算実務能力検定の学習ポイント
給与計算実務能力検定を受けるための勉強をするには学習ポイントを押さえることが欠かせません。
過去のサンプル問題から読み解くと押さえておきたいのは以下の6つのポイント
- 賃金支払いの5原則
- 労働時間と割増賃金・割増率
- 労働時間に対する休憩時間数
- 年次有給休暇など休暇や休業
- 労働協約と就業規則と労働契約
- 社会保険の給付
資金払いに関しては、「通貨払いの原則」、「直接払いの原則」、「全額払いの原則」、「毎月払いの原則」、「一定期日払いの原則」の5つの原則に分かれるので、それぞれがどのような意味なのかを把握しましょう。
労働時間に関しては一日の労働サイクルに関する給与の計算のため、企業で働いている場合は実務を元に勉強するとより頭に入りやすいです。
休暇や休業に関しては労働協約と就業規則と労働契約に関わってくるため、まとめて勉強するとより頭に入りやすいでしょう。
社会保険に関しては、「健康保険」、「厚生年金保険」、「雇用保険」、「労災保険」、「介護保険」の5つに分けられるため、それぞれがどのような内容なのかを勉強することが欠かせません。
そして、給付される条件は社会保険加入対象の条件が決まっているため、重要なポイントとして押さえておきましょう。
健康保険と厚生年金保険と介護保険の計算方法は標準報酬月額に各保険に設けられた保険料率を掛けて算出されるため、計算式の方法をさまざまなシミュレーションを元に練習してみると実務に基づいた勉強になることもあり、理解がしやすくなります。
まとめ
給与計算は従業員の賃金に関わる業務です。しかし企業の規模によっては専門部署ではなく、一般業務で働く従業員が給与計算時期だけ業務を行っていることも少なくありません。
ただ給与計算は従業員の賃金支払いに関連する重要な業務となるため、給与計算の深い知識を持たないまま、社会保険や労働基準法、税務などに関わる給与計算を行うのは大変です。
ミスが出る前に、給与計算のスペシャリストといえる給与計算実務能力検定を取得してみてはいかがでしょう。
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