交通費とは?支給に関する基本的な考え方や計算方法について解説

最終更新日時:2022/06/19

給与計算システム

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本記事では、交通費の考え方や給与計算方法など、所得税を算出するために必要なものについて紹介しています。旅費交通費や通勤費といった交通にかかる費用の違いや、課税となる金額などについて触れています。また、交通費で注意するべきポイントに関する情報も説明しています。

給与計算における交通費とは?

給与計算で言う交通費は、職場や仕事先から命令された場所に向かうなど業務の移動にかかる費用です。出張にかかる旅費や、業務上で移動する電車やバス、自動車を利用したときなどが交通費に該当します。

かかった費用は、会社のルールに則って行われますが、主に従業員が立て替え、会社に請求をし、後日精算されます。また、立て替えた交通費を手当として対応するケースもあります。

請求した金額が精算される方法は、振り込みなど会社によって違ってきます。また、交通費の給与計算を行うときには、注意しなければいけない「通勤手当」があります。

交通費と同様、交通で発生する費用です。交通費を通勤手当として扱うこともあるため、それぞれの意味を把握している必要があります。どのような違いがあるのか確認をしていきましょう。

通勤手当と交通費の違いとは

交通費は、業務中の移動にかかる「旅費交通費」に該当します。費用は従業員が立て替え、決められた日に精算します。一方通勤手当は、自宅から会社に出勤するために支払う「通勤費」に該当します。

福利厚生として会社が負担し、給与と合算して支給されます。支給の形式には主に現金支給または定期券などの現物支給の2種類あります。1ヶ月の間に通勤手当が15万円を超えた場合は課税対象となりますが、超えなかった場合は非課税です。

それ以前に、通勤手当は従業員に対して必ず支払うことが決められていません。なぜなら、労働法などに支給する義務の規定がないためです。一部支給するか従業員が全額負担するのか、会社が決められます。

支給されるか判断するには、契約書や会社の就業規則などに通勤手当の支給に関する文言があるか目を通すことです。

交通費の支払い義務について

交通費も通勤手当と同様、支払いの義務はありません。しかし、交通費の支給に関わる規則を記入した「就業規則」を労働基準監督署に届けることで、定めた条件に従って支払うことを義務付けています。

支給する規定をしっかりと決めなければ、従業員と会社の間でトラブルを招き、交通費の経費を処理する際にも影響を及ぼしため、事前に支給規定を明確に定めてから就業規則を提出することが求められます。

交通費の非課税限度額

通勤で支給される通勤手当があったとき、非課税限度額の確認を行います。非課税限度額が超えて支給された場合、給与として判断されて課税されます。

反対に非課税限度額を超えなければ課税されません。通勤手当を支給する方の中には、新幹線など長時間移動して出勤するケースがあります。

通勤手当の負担が大きいほど非課税限度額も超えて所得税が増えてしまいます。課税を防ぐため、支給限度額が非課税限度額を超えない金額に設定する会社が多くあります。

交通費と税

交通費である「旅費交通費」は、会社の就業規則などで決められていなければ法律上、支給しなくても良い費用です。交通費が支給されるときは、個人が立て替えた金額が払われます。

その金額は、個人の所得となりますが、以下の非課税額を超えなければ、所得税に含まれません。

  • 1ヶ月あたりの公共交通機関や有料道路などの利用→非課税:15万円

金額以外にも、課税対象となる交通費がいくつかあります。所得税の負担を抑えるには、非課税になる対象について確認することです。

交通費と社会保険料

交通費が非課税であっても、支給されると報酬になります。報酬は、社会保険料を計算する際の「標準報酬月額」にあたり、必要となる金額です。

社会保険料の計算式の基本は、以下を使って算出していきます。

  • 社会保険料=標準報酬月額×保険率÷2

社会保険料には、厚生年金保険料や健康保険料などがありますが、対象となるものは人によって変わってきます。対象となる保険の計算には、まず、交通費などの報酬を調べておくことが重要です。

交通費に関する規定の作成方法

交通費の精算などに関して規定の作成方法を定め、規定を従業員含め通達、把握していることが重要です。規定を緩く作ってしまうと、従業員とのトラブルへと発展する恐れが高まります。

そのため、規定の項目をしっかりと定めることが重要です。どのような項目を入れ込むべきか、交通費の規定作成のポイントについて説明していきます。

支給要件を定める

交通費の規定作成を行う項目に、支給要件をまず定めることが重要です。自宅から職場に出勤するまでの距離、費用によって課税対象となります。

会社は、非課税にならないように、「全額支給」、「一部支給」、「一律支給」の3つのパターンを使って交通費を支給することが多いです。

支給内容を定める

支給内容は、交通で使うルートを定めます。交通ルートを申請する際、最短で最安のルートになります。

従業員の中には、遠回りで交通費が高くなる交通手段を選び、余分な額を請求するケースもあります。会社側が不要な支出を防ぐために支給内容を定めることは重要です。

申請方法を定める

交通費を支給するためには、申請をする必要があります。しかし、申請する方法を定めていなければ、交通費を使用していたことを証明できずトラブルを招く恐れがあります。

例えば、従業員が転居するなど、通勤経路が変更になったとき、新たな通勤経路を作成して交通費の申請書に添付するといったケースがあります。

どのように申請するのか定めることで、交通費の支給がスムーズになります。

例外事項を定める

交通費を支給するのかは会社次第ですが、従業員が働きやすくするため、例外事項を定めることもあります。

交通費の支払いを定期にしている場合、有休休暇などの休みの日にも支給することが例外事項にあたります。就業規約で例外事項を定める際は、トラブルを回避できるように考慮が必要です。

交通費の給与計算方法

非課税限度額に応じて、交通費を決定する手段を取っている会社が多いです。交通費を計算する場合は主に、「公共機関を利用しての通勤」「車での通勤」「公共交通機関に加えて車も利用しての通勤」の3つのケース次第で変わってきます。

従業員が不公平に感じない方法として非課税限度額を元に決めていきますが、どの通勤方法を利用しているかによって非課税限度額が違います。

どのように異なるのか3つのケースをそれぞれ確認していきましょう。

公共交通機関で通勤している場合

公共交通機関で通勤した場合、非課税限度額は「1ヶ月で15万円」です。交通費を支給してもらうためには、電車やバス、タクシーなどで通勤しているとき、路線やルートに間違いがないかの確認が重要です。

問題がなければ、一般的に多い、定期代や現金など、会社が指定した方法で支給されます。しかし、月額15万円という高額の交通費を限度額にしている会社は少なく、勤務地からの距離など通勤範囲内で決め、見合った交通費を支給限度額として設定しています。

自家用車で通勤している場合

自家用車などの車で通勤した場合、「1ヶ月で走った片道分の距離」で判断されます。2km以上10km未満では1ヶ月4,200円と決められています。

最大で片道55km以上かかる際は、1ヶ月31,600円となります。このように、片道の距離に応じてかかる非課税限度額を確認できる表があります。

自家用車で通勤したときの非課税限度額の表は、その年には変わっていることがあるので、注意が必要です。また、車を使った際に消費するガソリンなどの燃料は、自己負担となるのが一般的であるため、燃費が悪いと交通費の負担が増してしまいます。

公共交通機関と自家用車を併用する場合

2つの通勤方法を併用した場合、それぞれの非課税限度額が適用されます。公共交通機関ならば、月額15万円が限度額で、通勤に利用するルートなどを提出し、金額を割り出していきます。

自家用車では、片道の距離を非課税限度額の表と見合わせて、1kmの単価を計算します。例えば、片道30kmで月に20日出勤した場合は以下のようになります。

  • 交通費の単価(1km)=18,700÷1,200km=約15円

18,700円は、25km以上35km未満の限度額です。距離の計算は、往復60kmで月に20日出勤したとき、1,200kmとなります。

しかし、上記の方法以外に従業員に不平等にならないように交通費を支給できれば、計算方法など特に決まりはありません。交通費を支給する場合は、算出する方法をしっかりと定めておくことが大切です。

出張の場合

出張は、旅費交通費に含まれ、経費としてみなされるので基本的には非課税となります。しかし、業務のための移動だからといって、飛行機でファーストクラスを利用するなど、必要のない出費をした場合、課税の対象となる恐れがあります。

また、国税庁の基準に則り決めた社内規定で、非課税の金額を定めることも可能です。会社によって、旅費交通費が非課税であるか異なるので、事前に確認が必要でしょう。

交通費を支給する際に注意すること

交通費の支給方法について誤ると、不正問題やトラブルを招く恐れがあります。では、交通費の支給で注意するポイントはどのようなことなのか詳しく説明していきます。

就業規則と賃金規定

就業規則や賃金規定に交通費の支給に関する規定を定めていた際、支払いが発生します。この規定を決めるときに、考慮するポイントは会社の事業内容や経営状況などに合わせて作成することです。

できる限り詳細に交通費の設定をしておくと、後々のトラブルを回避しやすくなります。

例えば、通勤手当がどのようなケースまで許容されるのか、有給でも交通費の支給があるのかなどがあります。交通費で定める規定は多くあるので、規定の内容によって会社のデメリットを極力減らせます。

意図しない不正受給に注意

通勤ルートの確認ミスまたは、申請を忘れたことによって不正受給になる場合があります。引越しでルート変更したことを申請しないときや、申請内容と違ったルートを使うなどが不正受給に該当します。

軽いものならば注意されるだけで済みます。大きな問題ですと、犯罪とみなされ懲戒処分などの罰を受けることもあります。意図せずとも不正受給にならないように、ダブルチェックなど確認作業にも力を入れるべきでしょう。

テレワーク中の交通費精算に注意

テレワークでは仕事の環境が変わりやすいため、交通費の支給額など変更をしていく必要も出てきます。例えば、社内での仕事からテレワークになったとき、交通費の支払いは少なくなります。

もし交通費をテレワーク前と同様に支給していたならば、不必要な負担となってしまいます。このようにテレワークに切り替える会社が増加したことで、交通費精算も見直しが求められています。

会社の負担を減らすために考慮するポイントなので、交通費精算をする際は注意して対処することが必要です。

まとめ

本記事では、交通費の給与計算方法や気を付けるポイントなど、詳しく解説していきました。交通費は支払う義務がないものですが、就業規定などに交通費に関する記述があった際、支払う義務が発生します。

交通費を給与計算するときには、経費に含まれる「旅費交通費」と、給与所得に含まれる「通勤手当」のどちらに該当するのか把握し、課税対象なのか調べている必要があります。

テレワークなど仕事の環境が変わる方が増え、通勤ルートの変更や交通費がかからなくなる方もいます。そのとき、変更の申請を忘れ不正受給になるケースもあります。

意図せずとも問題になれば、懲戒処分といった重い罰になる可能性があります。交通費を支給する際は、規定を詳細に定め間違いがないか確認することが非常に大切です。

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