所得税とは?給与計算における所得税の基本から計算方法まで

最終更新日時:2022/05/22

給与計算システム

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本記事では、そもそも所得税とは何か、また所得税を納めるために必要な計算方法や計算する際に重要な項目について紹介しています。所得税を納めるのは、自分自身か会社に代行するのかによって所得税の名前や期日などが変わるといった所得税における重要な知識を解説しますのでぜひチェックしてください。

そもそも所得税とは?

所得税とは、給与や事業などの所得があった際に納めることを要求される税金です。1年間で発生した所得に対して所得控除によって差し引かれます。そして差し引いた金額を基に決められた税率を確認して算出されたものが、所得税となります。

所得税は、毎年1月1日を始めとして12月31日までが範囲として定められています。所得が多ければ少ない方よりも納める税も増えていくシステムです。

しかし、所得税と聞いて他にも源泉所得税や住民税も同様のものかと、疑問を抱くケースがあります。所得税の給与計算をスムーズに進めるために、どのような違いがあるのか疑問を解消していきましょう。

源泉所得税との違い

源泉所得税は、所得税ということに間違いありません。会社側が従業員の給料から事前に所得税を天引きする行為を源泉徴収と言い、会社が納税者に代わって納税を行った所得税を源泉所得税と呼びます。

所得税の場合は、納税者本人が申告する「申告納税制度」を用いています。源泉所得税を支払う「源泉徴収制度」の方法で対応した際、所得を支給した月の翌月10日までに納付されます。3月に所得があった場合は、4月10日となります。そして、12月にある年末調整で問題がないか確認されます。

サラリーマンなどの会社に属している従業員が納付している所得税は、「源泉徴収制度」を利用している方が多いです。所得税を納めるのは自分自身なのかまたは会社に代行してもらえるのかチェックが必要です。

住民税との違い

住民税と所得税は、仕組みそのものがまったく違う税金です。まず住民税は、地方自治体に納める「地方税」と呼びます。地方税の支払い額は、自治体からお知らせする「賦課課税方式」で通知されます。

所得税の場合は、国に対して納める「国税」になります。税額が決まるのは、自分で税務署に対して申告を行う「申告納税方式」という手段を用います。

この2つの税は違うものですが、所得に対して課税される税金です。どの範囲に対して課税されるのかが異なっており、住民税は去年の1月から12月、所得税はその年の1月から12月に対して支払う税金です。

給与計算における所得税の源泉徴収とは

源泉徴収は給与から天引きして会社が代行し、源泉所得税として納めます。また、従業員だけに限らず、弁護士などの「報酬」にも適用されます。源泉徴収し納める源泉所得税は、基本的にその年の給与の支払いが最後になる12月の年末調整で整理して見直していきます。

なぜなら、正確ではないことが多いためです。毎月源泉徴収し翌月10日までに納めますが、給与額に対して大体の金額を控除しています。そのため、年末調整時に計算した際、源泉所得税が誤っている可能性が高いです。

所得税の給与計算

所得税の額を導き出すには、以下の計算式を用います。

  • 所得税=課税所得×税率-税額控除額

所得税の計算内容は、その年度や税率などによって見直しされて数値が変わることがあります。間違いなく計算するためには、最新の情報が掲載されている国税庁などで確認を怠らないことです。

最近の給与計算ソフトには、正しい情報を反映する便利なものがあります。しかし、ソフトだけに頼らず自らも調べておくことで、計算トラブルにも対処できるでしょう。

所得の種類と所得金額の計算方法

所得税を求めるために必要な「課税所得」を知るには、所得金額がいくらになるか把握することが前提になります。所得金額を求めるには、その年に得た総額である収入に対して通勤手当や出張にかかる旅費などの非課税手当を差し引きます。

非課税手当の金額がいくらかかったのか整理していないと計算するまでが大変になります。次に所得は計10種類に分けられており、当てはまる所得がどれかを確認する必要があります。

  • 給与所得
  • 退職所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

自ら得た所得金額を理解してから課税所得の金額を計算していきましょう。

課税所得金額の計算方法

所得金額を知り得た上で、課税が求められる課税所得金額を計算していきます。課税所得金額に導くためには所得金額から所得控除を差し引きます。

所得控除の一つ「基礎控除」は、2019年まで38万円で変わりませんでしたが、2020年以降から「個人が得る所得金額」によって変化するようになりました。

2,400万円以下の場合、控除額は48万円です。また、所得控除には基礎控除以外の種類があり増減することもあるので、その年に適用される控除が何かをチェックし、課税所得を求めていきましょう。

所得税の税率の計算方法

課税所得金額の計算が終了後、一定の税率を掛けていきます。税率は、課税所得金額を7段階に区分し、金額が大きければその分高くなる「超過累進税率」を用いています。

控除額も税率と同様区分を見ることで知り得ることができます。具体的に課税所得金額が195万円超えで330万円以下だった場合「税率10%」「控除額97,500円」となります。課税所得金額によって5%〜45%まで税率が変化するので注意して計算をしましょう。

源泉所得税の給与計算

源泉所得税を求めるには、以下の式を用います。

  • 源泉所得税(給与所得の源泉徴収税額表)=給与-社会保険料

給与とは給料だけでなく、残業代や出張のための交通費など手当も含まれます。次に社会保険料には厚生年金保険や健康保険など数種類あり、年齢などで適用される保険が変わってきます。

そのため、自分の社会保険が何かを把握することが必要です。給与から社会保険料を差し引いた後に、源泉所得税がいくらか分かる源泉徴収税額表を確認します。

表には「月額表」と「日額表」の2種類あります。さらに、「給与所得者の扶養控除等申告書」の書類を提出することで、税金が軽減されます。

しかし、契約をして最初の給与計算をする前までに提出しないといけません。扶養控除を申告できるか確認しておきましょう。

賞与(ボーナス)の源泉所得税の給与計算

始めに、賞与(ボーナス)は給与とは別に計算するものです。こちらを踏まえて賞与の源泉所得税の計算は以下の式を用います。

  • 賞与の源泉所得税=(賞与-社会保険料などの金額)×源泉徴収額の税率

源泉徴収額の税率を調べるためには、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を見なければいけません。表から税率を確認するのに必要なことは2つあります。

1つは、前月の社会保険料を控除した後の給与。2つ目が扶養親族の数です。あとは、社会保険料などを控除した賞与の金額を掛けることで賞与の源泉所得税を求められます。

源泉所得税の計算における気をつけること

源泉所得税を支払う本人が以下に該当する場合

  • 寡婦や寡夫
  • 勤労学生
  • 障害者

扶養親族が障害者である場合、「源泉徴収税額表」や「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」にある扶養親族などの数によって、算出する方法が違ってきます。源泉徴収の計算をする際、注意しておきましょう。

給与計算における所得税の各種控除

所得税には、税額を大きく差し引いてくれる控除があり、大きく2種類に分けられます。

1つは、収入に対して必要経費を引いた金額である所得から差し引く「所得控除」です。所得控除を細かく分類すると14種類あります。

2つ目は、所得税額から差し引く「税額控除」です。約20種類と所得控除よりも数が多くあります。2種類の控除で適用されるものを把握することで、税金の減る量が変わってきます。

どのようなものがあるのか確認していきましょう。

所得控除

所得控除で分かりやすい控除をいくつか以下に紹介していきます。

  • 医療費控除:医療費が一定額以上の支払いがあったとき
  • 社会保険料控除:社会保険料を支払ったとき
  • 勤労学生控除:所得金額が一定水準より下の学生に適用される
  • 生命保険料控除:生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を払ったとき適用

所得控除の中には、保険料や医療など見覚えのある控除の他にもさまざまな控除があります。主に住所があるときに適用されるものが多いです。

しかし、非居住者に対しても適用する控除があるので、当てはまる所得控除があるのか確認しましょう。

税額控除

税額控除は、以下の式を用いることで分かります。

  • 税額控除=課税所得金額×税率

次に、約20種類ある税額控除の中で、よく当てはまるものをいくつか紹介します。

  • 政党等寄附金特別控除制度:政治活動に対して寄付したとき
  • 住宅特定改修特別税額控除:バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事をしたとき
  • 住宅耐震改修特別控除:住宅の耐震改修をしたとき

政治活動や住宅に対して工事を行った場合などで税額控除が適用されます。税額控除になり得るものをしている、またはする予定であるかを事前に知っておくことで、給与計算にかかる時間の軽減にもなります。

さらに、税金の負担を和らげることにもなるので、その年ごとに種類を見ておきましょう。

給与計算における所得税の豆知識

給与計算の一つである所得税の豆知識を紹介します。所得税の負担の軽減や手取りが増える可能性があるといった情報です。

税を和らげ、振り込まれる収入額を増やすとは一体どういうことなのか確認していきましょう。

2037年まで復興特別所得税が徴収される

復興所得税とは、源泉所得税と一緒に徴収されているものです。大きな災害であった東日本大震災の復興をするための資金として課税されています。2013年1月1日から払い続けている復興特別所得税を支払うのは2037年までです。

税額は、所得税額の2.1%となっているため、所得税が大きくなれば負担もかかっていました。まだ先のことですが、2037年からは徴収されないので、支払う税も少なくなります。

年末調整で控除を申告すれば手取りが増える

手取りを増やすには、所得税の支払い額を少なくする控除に限ります。年末調整で各種申告書を会社に提出した場合としなかった場合を比べると、違ってきます。

申告書に間違いがないように記入するのは手間かもしれませんが、手取りを増やせる可能性が高いものなら、提出するべきでしょう。ちなみに申告書には以下のようなものがあります。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書

まとめ

本記事では、給与や賞与に対して支払う所得税の計算方法や所得税の種類について解説していきました。

所得税を会社が源泉徴収し納税者の代わりに税を納めると、源泉所得税という呼び方になります。自分が納める場合、源泉徴収とどのように違うのか税を支払う期日など把握しておきます。

所得税を計算する時は計算式を知ることも大事ですが、当てはまる所得や社会保険などを整理することも必要です。記入を一つ忘れただけで、所得税の額が大幅に変わってしまう恐れがあるからです。

また、手取り額を減らしてしまう場合もあるので、所得税を納める際に何が適用されるのか事前準備を怠らないようにしましょう。

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