ビジネスで「付加価値」を高める重要性と6つの方法について
様々なモノやサービスにあふれている現代、企業にとって付加価値の創出は必須だとも言えます。他社との差別化に必要な付加価値の高め方とは、一体どのような方法なのでしょうか。本記事では、付加価値を高める方法について、重要性や業界別事例など詳しく解説していきます。
目次
付加価値とは?
付加価値とは、商品・サービスが本来持つ機能や価値に付与する独自の価値を指します。自社ならではのこだわりと言い換えてもよいでしょう。
これは、消費者からすると、付加価値こそがその商品を選ぶ理由ともなり得ます。独自の「機能」「デザイン」「コンセプト」など、付加価値をつける方法は様々です。
また、付加価値は粗利益という意味としても使われており、商品の売上高から外部購入費や諸経費を差し引いたものです。付加価値が高ければ、企業の売上アップにもつながるでしょう。
付加価値を高めることの重要性
モノやサービスが溢れている現代で、付加価値がなければ価格競争に陥ることが予測できます。そのため、自社商品を選ぶ理由を消費者に与えることが必要です。逆に付加価値が高まれば、他社より価格が高くても選んでもらえる可能性が高まります。
つまり、付加価値を高めれば価格を上げるチャンスもあるということです。価格の上昇は、売上アップに直結するといっても過言ではありません。
また、日本では労働生産性の低さが問題視されています。労働生産性は付加価値と労働量の2つの要素から測定され、労働生産性を向上させるためには、付加価値を高めることも必要です。言い換えると、付加価値を高める対策をすることが、労働生産性の向上にもつながります。
付加価値を高める6つの方法
付加価値には、2つの意味があると解説しました。そこで、それぞれの付加価値を高める方法を6つ紹介します。
生産過程における付加価値を高める
粗利益の意味を持つ付加価値を高めるには、売上から差し引かれる部分を抑える必要があります。これは、仕入れ値だけでなく、以下のように様々な側面からアプローチが可能です。
1.人件費を削減する
付加価値を高めるためには、人材の活用が欠かせません。しかし、そのなかでも削減できる部分、ムダな部分を割いていく必要があります。
そのため、機械やITツールを活用できる業務にはコストをかけてでも導入することを検討してみてください。また、一部の業務担当を正規雇用から非正規雇用に移行するといった人件費の削減方法も考えられます。
2.業務を効率化する
業務効率化は生産性を向上させ、付加価値を高めるためにより多くの時間を割けるようになるでしょう。そのためには、業務プロセスを見直し、ムダを省いていく必要があります。
機械やITツールの導入も効果的です。これまで人の手が必要だった業務に、人の手がいらなくなるため、人材を他の業務に充てる時間が増加します。結果として、人材の有効活用にもつながります。
3.ホワイトカラーの業務を効率化する
ホワイトカラーとは、事務職や販売スタッフなどを指す言葉です。事務作業では、単純作業や経理など自動化しやすい業務が多いため、ホワイトカラーの業務効率化により抑えられるコストは少なくないでしょう。
そのため、機械やITツールの導入によって人の手を必要とする業務を減らすことが大切です。ただし、機械やITツールを導入する際は、従業員が機械・ITツールを使いこなせるようにするため、研修やマニュアルなどの教育体制を整える必要があります。
4.外注費用を削減する
商品・サービスやその原料の仕入れ価格を見直しましょう。現在の仕入れ価格が高いのであれば、仕入れ先を検討するなどして、仕入れ価格の最適化を目指すことが大切です。
また、業務の一部を外注しているのであれば、内製化できないかを検討します。内製化する際にコストはかかるものの、今後の外注費用を抑えられるだけでなく、内製化したシステムは自社の財産ともなり得ます。
ビジネス市場における付加価値を高める
ビジネス市場において、自社ならではの付加価値を高めるには、以下のような方法が挙げられます。
5.新商品を開発する
自社にしかない商品を開発すれば、自社でしか得ることのできない付加価値を消費者に与えられます。そして、既存の商品に、他社にない機能を付け加えることも新たな付加価値となるでしょう。
しかし、新商品を開発しても、思ったように売上が伸びないケースも考えられます。商品開発には多くの時間とコストがかかるため、開発時間がムダになる可能性もあります。このようなリスクを視野に入れたうえで、計画することが大切です。
6.新市場を開拓する
新たな市場の開拓も付加価値を高める要素となります。開拓した新市場の見込み客にいち早くアプローチできるアドバンテージを得られるのがメリットです。ただし、時間の経過とともに他社の参入も考えられるため、競合に負けない工夫をし続ける必要があります。
また、モノ・サービスがあふれているこの時代で、新市場を開拓するのは極めて困難といえます。とはいえ、多様化が進み、新たな顧客ニーズの登場も予想できるため、新市場の開拓もチャンスが少ないとは言い切れません。どんな状況にも対応できるように、時代に敏感になっておくことが大切です。
付加価値を向上させた業界別の事例
付加価値を高めるための取り組みについて、業界別に事例をご紹介します。
不動産業界
不動産業界において、物件は古ければ古いほど価値が下がってしまいます。しかし、付加価値をつけることで、物件そのものの価値より高く売り出せる可能性があります。
以下は、不動産業界で付加価値をつける方法の一例です。
- インターネットを無料でつけた
- ペット可にした
- あらかじめエアコンを設置した
- DIY可にした
- リノベーションを行った
付加価値を高める際は、ターゲットを細かく絞って検討することが大切です。ターゲットの母数は少ないかもしれませんが、付加価値と顧客ニーズが合致したとき、物件の価値が高まるでしょう。
ホテル業界
ホテル業界は、商品ではなくサービスを提供することが中心です。そのため、接客に対する満足度が業績向上につながる傾向があります。つまり、質のよい接客を提供することが、付加価値を高めるひとつの要素だといえるでしょう。
たとえば、客室を宿泊以外の使用目的で提供するといった方法が考えられます。
- 在宅ワークが増えたため、ワーキングスペースとして使ってもらう
- 遠方の顧客だけでなく近辺の顧客も集めるため、滞在自体を楽しめるプランを用意する
また、接客や客室の使用目的以外にも、工夫できる部分は様々です。敷地内に大型プールを設置する、屋外でBBQをできるようにするなど、そのホテルでしか味わえない体験やサービスを与えることが付加価値を高めます。
飲食業界
飲食業界の場合、競合他社が多いだけでなく、広く見ればすべての飲食店が競合ともいえます。そのため、その店でしか体験できない味やサービスを付加価値として提供する必要があるでしょう。
飲食業界における付加価値は、以下のような内容が挙げられます。
- 地元の食材を使っている
- なかなか手に入らない食材を使っている
- インスタ映えするような料理や空間を提供している
- 満足度の高い接客をしている
上記のように、付加価値を高める方法は様々です。自社でできる取り組みは何か、自社の強みを照らし合わせながら検討してみてください。
農業
農業においては、生産地や味などが付加価値となっている場合も多くみられます。しかし、その付加価値がすべての消費者に届いているわけではありません。そのため、「栽培」「管理」「販促」などの部分で付加価値をつける必要があります。
たとえば、以下のような方法が考えられます。
- 無農薬で栽培する
- 作物の特徴をとらえた配送方法で、消費者に届くまでの品質を保つ
- ジュースやドレッシングなど、加工品として販売する
また、スマート農業を活用することは、狭い土地と少ない人材でこれまで以上の生産につながるかもしれません。施設の温度や湿度を管理しやすくなるため、作物の品質向上も期待できます。
付加価値を意識して自社の強みを伸ばしていこう
モノやサービスが溢れる現代で、まだまだ新しいものが登場し続けています。この激動の企業間競争を勝ち抜くためにも、他社との差別化を図り、付加価値を高めることが大切です。付加価値を高めるために必要な取り組みは何かを検討しながら、企業拡大につなげていきましょう。
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