リベートとは?意味や種類・メリットとデメリットを解説

最終更新日時:2024/01/10

販売管理システム

リベートとは

リベートは取引先への感謝の証として支払う手数料や謝礼金を指し、日本では古くから習慣化しています。しかし、場合によっては違法になるため、渡す前には理解を深めておかなくてはなりません。リベートとは何か、効果や処理方法など押さえておきましょう。

この記事の要約

・リベートとは、手数料・謝礼・賄賂を意味する言葉であり、メーカーが小売店との条件に基づいて代金の一部を払い戻すこと
・キックバックやバックマージンと、リベートでは実質的に同じ意味合い
・リベートには、支払リベート・受取リベートの2種類がある

リベートの意味とは?

リベート(rebate)は、手数料・謝礼金・賄賂という意味がある言葉です。メーカーが小売店と取り交わした条件に基づき、代金の一部を払い戻す商慣行を指します。競争が激化する市場のなかで自社の商品を拡販することが、リベートの目的です。

リベートの設定条件には金額や数量など、取引先に応じて項目が異なり、双方の合意のもとで決められます。

キックバック・バックマージンとの違い

キックバックやバックマージンは不正行為の報道などで目にする機会が多く、マイナスな印象を抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし、事業者間で発生する一定金額の払い戻しという点では、リベートと実質的な意味合いの違いはほとんどありません。

世間一般的なイメージの観点から、悪印象を避けるためにリベートという呼称を使う傾向にあります。

販売奨励金との違い

販売奨励金は、販売促進を目的として取引先に交付する金銭や事業用資産の総称です。リベートは販売奨励金の一種となります。

販売奨励金にはリベートを含めていくつかの種類があり、金銭などの受け渡し方法によって分けられています。主に課税関係の違いから区別されることが多く、販売奨励金の種類によって経理における税金の処理が異なります。

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違法なリベートとなるケース

ビジネス戦略として用いられるリベートですが、以下のように内容次第では違法となるケースがあります。

  • 契約書類にリベートの内容が通知・明確化されていない場合
  • 会計処理上で取引内容が不透明である場合
  • 市場を独占しうるほどの条件を提示した場合
  • 秘密裏なリベート行為によって金銭を横領した場合
  • 公的な立場にある者がリベート行為に及んだ場合

契約内容や会計処理などが適切でなければ、違法なリベートになる可能性が高くなります。また、公務員など公的な職についている者のリベートも認められていません。違法なリベート行為は、ガバナンスが適切に機能していれば防げる問題です。コンプライアンスの懸念を払しょくするためにも、徹底した管理を行いましょう。

リベートは2種類に分けられる

リベートは払い戻しの基準によって、2種類に大別されます。「支払リベート」と「受取リベート」について、それぞれ詳しく解説します。

支払リベート

支払リベートは、商品の売上高に応じて割り戻すリベートです。この性質から売上割戻しと呼ばれることもあります。

受取リベート

受取リベートは、商品の仕入れに応じて割り戻すリベートで、仕入割戻しと呼ばれます。

受取リベートは主に以下の5つに分類されます。

  • 仕入リベート:仕入れ商品ごとの実績から算出されるリベート
  • 導入リベート:特定の新製品の販路拡大を目的に設定されるリベート
  • 達成リベート:条件達成に応じて発生するリベート
  • 個別商談リベート:周年など個別のイベントで発生するリベート
  • 累進リベート:仕入れ額に比例して増加するリベート

仕入れ時に発生する受取リベートでは、商品の数や仕入れた額、仕入れ期間などが考慮されます。小売店側は過剰仕入れや在庫圧迫など、リベートごとに発生するリスクが異なるため、許容できる内容を精査することが大切です。

リベートのメリット

リベートは、メーカー側と小売店側の双方にメリットがあります。

小売店内での効果的な商品配置や販促キャンペーンの活性化を通じて、競合他社よりも有利なポジションを確保できるのがメーカー側のメリットです。売上の増加や商品の知名度アップなどが望めます。

一方、小売店側はリベートの割戻しによる収益を得られ、利益率を高めることができます。達成型のリベートによってモチベーションの維持も期待できるでしょう。

メーカーと小売店にもたらされるさまざまな恩恵により、両者の協力関係を強固に築けることも重要なメリットといえます。

リベートのデメリット

メーカーと小売店におけるリベートの主なデメリットは、会計処理の複雑化や法律違反のリスクです。

取り決め内容の反映やコンプライアンスの遵守など、多くの事情を考慮しながら適切に会計処理をする必要があるため、経理担当者の負担がどうしても増加してしまいます。

また、リベートは現場の裁量に任されているケースも珍しくありません。明確な決まりがない状態で行われるため、法律違反やイメージダウンを招きやすくなるのです。

リベートが定着し過ぎると、小売店側はメーカーとの取引に特別性を感じにくくなり、売り出し意欲の低下や過剰なリベートの要求につながる可能性があります。メーカーにとっては不利な状態でしかなく、リベートの強みを活かせません。

会計への対応や慣習の見直しなど、メーカー・小売店の双方でデメリットへの対策が不可欠です。

リベートにおける会計処理の注意点

日本ではリベートに関する明確な会計基準がなく、条件などに応じて個別の判断が必要です。

ここではリベートの会計処理において注意すべき点を3つ解説します。

基本的には「売上割戻し」で処理する

支払ったリベートは損金扱いとなり、「売上割戻し」という勘定科目で処理するのが一般的です。

リベートに関する契約事項がある場合は売上の計上時、契約事項がない場合は割戻しの通知あるいは実行タイミングで計上します。売上割戻し以外を使うこともありますが、同じ契約内容のリベートについては、一貫性のある会計処理を行いましょう。

損金に該当しないケースを把握する

リベートは原則損金扱いとなりますが、以下のような条件に合致する場合は例外となります。

  • リベートの金額や割合が高すぎる
  • リベートの割合が累進的に設定されている
  • 取引先に応じてリベートの金額が異なる

リベートが不自然に高い場合や、累進的な設定のために高くなりすぎる場合は、損金不算入となります。取引先基準でリベートの金額に差があるときも同様です。リベート要件は適切に把握し、会計処理に反映しましょう。

交際費とは混同しない

交際費とは、取引先などの接待に伴う費用のことです。一定の算定基準によらないリベートは交際費として扱われ、損金算入ができないため、混合しないよう注意しましょう。

たとえば、特定の取引先のみに渡す土産の代金など、相手によって金額が変わるものは交際費になります。情報提供料として一律に支払う金品については、リベートとして損金扱いできる可能性が高くなるでしょう。

交際費とリベートを混合してしまうと、本来損金として差し引ける金額が減ってしまい、節税面で損をしてしまいます。リベートとして処理できるものを交際費と混合せず、正しく計上してください。

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リベートとはメーカーの販売促進を目的とした取引

リベートは古くからある商慣行であり、メーカーの販売促進の一環として行われる施策です。

戦略的なリベートは商品を効果的に拡販できる反面、会計処理の複雑化やブランドイメージの低下などのリスクを伴います。リベートを慢性的に取り入れるのではなく、収益の最大化という本質的な目的に沿って実行していくことが大切です。

本記事を参考に、リベートの効果的な実施を検討してください。

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