サテライトオフィスと支店・支社・営業所の違いとは?比較しながら解説

最終更新日時:2022/08/05

テレワーク

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多様化した働き方に対応するためサテライトオフィスの導入を検討中の企業も多いでしょう。サテライトオフィス導入前に支店・支社・営業所との違いを把握しておくことが大事です。本記事では、サテライトオフィスの概要と共に支店・支社・営業所それぞれの違いを解説します。

サテライトオフィスとは?

「サテライト」とは「衛星」という意味であり、サテライトオフィスは企業の本店・支店とは別の場所に設けられるオフィスの事を指します。本店・支店・営業所が「事業の拠点」であるのに対し、サテライトオフィスは「地理的に都合がよいように設けられたワークスペース」だと言えます。

サテライトオフィスと支社・支店の違い

サテライトオフィスは、社員が効率的にテレワークを行えるスペースです。一方、支社と支店は営業拠点として契約、人事、会計も含む会社活動を行います。

支社と支店は法律上の差異はなく、「支社」と「支店」は同じものと考えられます。支店・支社を設置する際は、本店に関する登記内容の変更手続きのほか、出店する地方自治体への登記が必要です。

一方、サテライトオフィスはあくまでもワークスペースのため、登記は行われません。サテライトオフィスの利用方法は、会社の判断にゆだねられます。

サテライトオフィスと営業所の違い

営業所は営業活動の拠点であり、支店・支社と異なり登記の必要はありません。基本的に支店と同じく業務活動の充実が目的です。

サテライトオフィスの目的は、社員の働きやすさや利便性の向上です。本社や支社に出勤することなく効率的に業務をこなせる環境を提供することに重点を置いています。

【設置場所】サテライトオフィス3種類

サテライトオフィスは、一般的に設置場所から「都市型」「郊外型」「地方型」の3種類に分類されます。

1.都市型|営業社員が本社に戻らず業務できる

都市型は都市部に設置されたサテライトオフィスです。地方に本社があって取引先が都市部にある場合に設置されるケースが多く見られます。

また、本社が都市部にあっても、新規事業の開拓や営業拠点の拡大のために設置するケースもあります。いずれの場合も、社員が本社に戻らずに業務を行えるのがメリットです。

2.郊外型|通勤時間のロスタイムを減らす

都市近くの郊外にサテライトオフィスを構える場合もあります。本社は都心にあるものの、社員のテレワーク環境確保や分散通勤のため、社員の住居近くにサテライトオフィスを構えるパターンです。

社員にとっては住居付近にワークスペースが確保されることにより、通勤時間のタイムロスを減らし、ワークライフバランスを実現しやすくなるというメリットがあります。

3.地方型|地方での営業活動が行える

地方型とは、都市部から離れた地方に設置するサテライトオフィスのことです。

テレワークで完結する業種の会社が、地方の人材を獲得や、やむを得ず郷里に移住する社員の雇用を継続する際などに利用します。また、進出したい地域への拠点として設置し、社員はその近所に居住させるという方法で活用する場合もあります。

近年、地方創生の一環として、地方へのサテライトオフィスの誘致が国からも支援されています。自然に囲まれた環境でオフィスは古民家風など、特徴のある物件を利用し、試験的なテレワーク実施を後押しする政策が行われています。

【契約形態】サテライトオフィス2種類

契約形態でみると、サテライトオフィスは「専用型」と「共有型」の2種類に大別されます。

1.専用型|労務やセキュリティの管理がしやすい

専用型は、自社とグループ社員のみでオフィスを利用する契約形態です。出入りする人の管理や情報の管理のハードルが比較的低いため、セキュリティ面の安全性が高いことがメリットです。ただし、単独で施設を独占するため、コストがかかります。

2.共有型|個人や企業が共同で利用できる

共有型は、複数の企業でひとつのオフィス施設を共有する契約形態です。メリット・デメリットは専用型と表裏の関係にあります。ひとつの施設を複数社でシェアすればその分コストを削減できる一方、情報漏えいのリスクなどセキュリティ面の安全性は高くありません。

サテライトオフィス導入で得られるメリット

サテライトオフィスの利用で得られるメリットは、次の5点が挙げられます。

関連コストの削減

関連コストとは、交通費やオフィスの賃借料などを指します。都心に広いオフィスを構えていると高額の賃借料が発生しますが、共用型や郊外、地方の家賃が安いサテライトオフィスなら家賃コストを削減できます。さらに、通勤時間の減少に伴い、交通費も大きく削減可能です。

人材の確保

本社から遠く離れた場所に住む人材を確保する際に、地方型のサテライトオフィスがあると便利です。また、郊外型など社員の自宅の近くにワークスペースを設けることで、育児や介護のある社員が働きやすくなり、社員の定着率のアップにつながります。

災害対策

複数の拠点に分散させておくことにより、災害で本社や支社がダメージを受けた場合でも、事業を継続できる可能性が高まります。地震や水害、新型コロナウイルス感染症のような伝染病などの、リスク分散策としても活用可能です。

仕事の効率化

利便性が高い場所にワークスペースを設けることは、移動時間の削減による仕事の効率化につながります。また、通信に関しても、性能がばらばらである個人宅の回線よりもオフィスの方がつながりやすく、Web会議などの通信断絶のストレスを回避できます。

他社とのネットワーク形成の促進

共有型のサテライトオフィスでは、他社とのコミュニケーションにより、自社だけでは気付きえなかった新たな発想を得る可能性もあります。また、営業活動においても他社とのつながりが有利に働くケースも期待できるでしょう。

サテライトオフィス導入で起こるデメリット

サテライトオフィスもメリットだけではありません。ここでは、サテライトオフィスで生じるデメリットも解説します。

セキュリティ面の課題

遠隔地のオフィスや共用型オフィスなどでは、セキュリティ管理が行き届かない可能性があります。シェアスペースにいる以上、情報漏えいなどのセキュリティリスクを十分考慮しておく必要があります。

サテライトオフィスを使用する際は、情報の取り扱いに関するルールは設定しておくべきでしょう。

コミュニケーション不足

サテライトオフィスでは、オフィスメンバー以外の本社社員と交流する機会が落ちることが想定されます。そのため、情報共有やマネジメントに必要なコミュニケーションが不十分になる可能性があります。ツールの導入など、円滑なコミュニケーションを行うための仕組みが必要です。

管理や導入が困難

サテライトオフィスは管理者を置かずに社員自身に管理を任せる場合もあります。労働時間の管理など、社員をマネージメントするためのルールや仕組み作りが必要です。また、サテライトオフィスの導入費用や設置場所など、費用対効果を考えていくとなかなか結論が出ず、導入が困難となる場合もあります。

公平感の維持

全ての社員にとって公平な施策であるか、という観点でも問題があります。例えば、特定の地域にだけ郊外型のサテライトオフィスを設置した場合、社員の中にはその恩恵を享受できない人も出てきます。

全員本社に出勤するというルールであれば公平感がありますが、サテライトオフィスが一部の人だけの福利厚生になってしまうと不公平感が芽生えます。

サテライトオフィスを導入する注意点

サテライトオフィスを導入する際の注意点として、意識しておくべきポイントを紹介します。まずは目的意識をしっかりと持つことが大切です。業務の効率化、人材確保、進出拠点の開拓など、目的を達成する手段としてサテライトオフィスが適切かどうか、よく検討したうえで設置しましょう。

次に、人材・設備・情報の管理を可能にする仕組み作りも重要です。コミュニケーションの方法、頻度、チェックポイント、セキュリティの確保方法、ルール等を設定し、関係者間で共有しておきましょう。

サテライトオフィスの活用で生産性向上を実現

テレワークが注目され、オフィスの持ち方にも多様性、柔軟性、戦略性が求められるようになりました。サテライトオフィスの導入は生産性の向上が期待でき、企業や社員にもメリットをもたらします。

サテライトオフィスは種類や契約形態もさまざまです。本記事を参考に、ぜひ自社の戦略に合ったサテライトオフィスの導入を検討してみてください。

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