テレワークにおける中抜けとは?取り扱いや適切な労務管理のポイント

最終更新日時:2022/06/10

テレワーク

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テレワークにおいて、中抜けをどのように取り扱うのかは大きな問題です。まだ対応していない企業も、今後方針を定めることは必要となってくるでしょう。本記事では、そんなテレワークにおける中抜けについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

テレワークにおける中抜けとは?

中抜けとは、休憩時間以外の就業時間中において私用のために一時的に業務から離れることです。通常、中抜けするには会社や上司に許可を得る必要があります。中抜けには以下のような例が挙げられます。

  • 家事
  • 介護
  • 子どもの送迎
  • 行事への参加
  • 銀行や役所など、公的機関の利用
  • 通院

オフィスに出社していれば中抜けしている社員を正確に把握できますが、テレワークにおける中抜けは姿が見えないため、管理が難しいという課題があります。

テレワークにおける中抜けに法的な問題はある?

中抜けに問題はありません。中抜けを認める場合、中抜けの時間に合わせて始業・終業時間を調整したり、時間単位の有給休暇として扱ったりするなどの対応が必要です。

ただ、テレワークは仕事とプライベートの切り替えが難しいため、無断の中抜けが発生しやすいといえます。無断の中抜けが発生すれば、業務の遅れや生産性の低下につながるだけでなく、労働時間の把握も困難となるでしょう。

このような無断の中抜けに関して、就業規則によって異なりますが、無断で中抜けした社員を規則違反として処分することも可能です。

テレワークにおける中抜けの取り扱い方

テレワークを活用して、よりよい職場環境づくりにつなげられるよう、テレワークにおける中抜けの取り扱い方を予め決めておくことがおすすめです。企業によって最適な取り扱い方を選択するとよいでしょう。

休憩時間として

中抜けの時間を休憩時間として扱う場合、始業・終業時間を調整しましょう。また、通常の休憩時間と同様に、会社や上司は中抜けしている従業員に業務を命令してはなりません。

たとえば、就業時間を10時から19時とし、休憩は12時から13時の1時間とします。そして、13時から14時までの1時間で中抜けする場合、始業時間を9時もしくは終業時間を20時と調整します。

このように、中抜けした時間分を他の時間で補うため、本来の労働時間を確保でき、業務の遅れや生産性の低下につながることは少ないでしょう。

ただ、社員の中抜けを休憩時間として取り扱うためには、社員の同意が必要となります。会社側の判断のみで休憩時間として取り扱うことがないように注意しましょう。

時間単位の有給休暇として

時間単位の有給休暇として取り扱う場合、就業時間の調整は必要ありません。そのため、社員の労働時間を把握しやすく、時間単位だけでなく半休として取り扱うことも可能です。

また、有給休暇の消化率向上も期待できます。ただ、有給休暇の申請や手続きが増加することを想定しておくことが重要です。

中抜けを休憩時間として取り扱う場合と同様に、社員からの同意が必要となります。そして、有給休暇の「対象者」「日数」「1日の時間」「1時間以下の単位」など、有給休暇に関する規定を改めて見直しましょう。

1日2回の就業として

1日を2回の就業として考える場合、就業時間と就業時間の間は休憩時間として扱われず、それぞれの就業時間に、法に則った休憩時間を与える必要があります。

労働基準法では、労働時間が「6時間以上8時間以下」であれば45分以上、「8時間以上」であれば60分以上の休憩を与えなければならないと定めています。

たとえば、9時から12時まで、14時から20時までと1日2回の就業とした場合、12時から14時の2時間は休憩時間でもなく有給休暇でもありません。

しかし、14時から20時は就業時間が6時間となるため、14時から20時の間に45分以上の休憩が必要です。

外出などによる中抜けの場合

顧客訪問といった業務に関する外出であれば、中抜けといっても休憩時間や有給休暇には値しません。ただ、従業員の動きを把握するためにも、外出する開始時間と終了時間の報告を義務付けておくことがおすすめです。

そして、私用の外出であれば、「休憩時間として」「時間単位の有給休暇として」「1日2回の就業として」などの対応が必要となります。

テレワークで中抜けを導入する際の適切な労務管理のポイント

テレワークにおける中抜けは、社員の姿が直接見えていないため、適切な労務管理が必要です。以下で、中抜けに対する労務管理のポイントを紹介します。

就業規則の規定に明記する

中抜けをどのように取り扱う場合でも、就業時間や有給休暇などの調整が必要です。また、中抜けの取り扱い方は会社が一方的に決定し強制できるものではありません。したがって、就業規則に明記したうえで、社員に同意を求めることが大切です。

また、無断の中抜けが発生しないためにも、テレワークを活用する際のルールを就業規則に明記することは重要といえます。そして、テレワークを活用しながら必要と感じるルールは追加・変更を行いましょう。

移動時間に注意

私用で中抜けしていても、その移動の時間にスマートフォンやタブレットなどでの業務を命じた場合、業務を進めている移動時間は休憩時間や有給休暇として取り扱えません。たとえチャットやメールでの報告であっても、就業時間に含まれます。

基本的に、中抜けしている時間に業務を命令してはなりません。そのため、「中抜け中は業務に関する連絡をしない・させない」というように会社全体で徹底することが大切です。

ただし、上司や会社からの指示がないにもかかわらず、社員自ら業務を行った場合、その時間は就業時間とみなしません。

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを導入することで、複雑な管理を可能とします。テレワークの中抜けを休憩時間として取り扱う場合、就業時間に個人差が生まれ、開始時間や終了時間も異なります。そのため、勤怠管理は「始業」「休憩」「終業」以外にも複雑な管理が必要です。

また、時間単位の有給休暇として取り扱う場合、取得日数が上限を超えないよう管理する必要もあります。このように、勤怠管理の複雑化で管理ミスが起きれば、社員の給与額や労働時間にも影響する可能性も考えられます。

勤怠管理システムでは個人のスマートフォンやパソコンなどでも打刻できるため、テレワークにも柔軟に対応できるでしょう。

勤怠管理システムの種類によっては、会社に合わせたカスタマイズを可能とするシステムも存在します。そのため、自社に最適なシステムを選択できれば、業務効率化も期待できます。

テレワークにおける中抜けの扱い方は明確にしておこう

テレワークにおける中抜けは把握しにくく、無断で発生してしまうケースも考えられます。そのため、中抜けの取り扱い方を明確にし、就業規則にも明記しておくことが重要です。

そして、テレワークの中抜けを利用することによる生産性の向上や、勤怠管理システム導入による業務効率化を目指しましょう。

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