テレワークにおいて雑談は重要!必要性や役割・活性化させる方法を解説
テレワーク中心の働き方を実践されている方の中には、作業の合間のささいな雑談や、カジュアルな相談の場がなくなったことにストレスを感じているケースも多いのではないでしょうか。本記事では、テレワークにおける雑談の役割や必要性、テレワーク時のコミュニケーションを活性化する方法などをわかりやすく解説していきます。
目次
テレワークにおける雑談の役割や必要な理由
従来は、仕事の生産性とは無関係、むしろ効率を妨げるものと捉えられることの多かった雑談ですが、帰属意識や連帯感が薄れがちなテレワークにおいては、その「役割」が改めて注目されています。
まずは、なぜ雑談が必要とされているのか、その役割を確認していきましょう。
雑談できないとストレスが意外と溜まる
雑談の捉え方は、人によりさまざまですが、作業の合間の何気ない会話による共感や労いの言葉に「救われていた」という方も少なくありません。多くの場合、日常業務の流れの中で行われているため、その役割を意識することはないでしょう。
しかしながら、テレワークによって顔を合わせたり、話す機会が減った状態になってみると、それらの雑談がいいリフレッシュであり、モチベーションを保つためのひとつの要素になっていたことに改めて気づくこともあります。
そのため「雑談ができない環境」は、人によっては、ストレスを蓄積しやすい環境であるともいえるのです。
雑談の役割は生産性に関わる
もちろん「雑談の時間を仕事に充てる」と考えることもできますが、その一方で「雑談による意見交換が生産性やアイデアにつながる」と考えるビジネスパーソンも少なくありません。実際、雑談の中でのちょっとした情報共有が、仕事に役立った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
雑談が生産性に直結するわけではありませんが、カジュアルな会話だからこそ生まれるアイデアやアドバイスが、業務の改善につながることは大いにあり得ると言えるでしょう。
仕事へのモチベーション維持につながる
雑談には、仕事のモチベーションを維持する役割もあります。仕事は、さまざまな人と関わり合いながら行うことも多いものです。そういった意味では、同僚や上司との人間関係がモチベーションを左右することもあるでしょう。
さらには困った時や不安な時には、相談できる相手がいるといった安心感が、積極性や自主性につながることもあります。そのため、良好な人間関係の維持に役立つ雑談は、モチベーションを自然と高める効果ももたらしてくれるのです。
早期かつ良好な人間関係の構築に必要
入社して間もない社員が、早期に職場環境に慣れ、そして、相談しやすい関係性を築くためにも、適宜雑談の機会を作ることは有効といえます。
カジュアルな会話をしやすい組織風土は、社員が一人で悩みを抱えこむことが少なくなり、不安や迷いによる業務の遅延が起きにくくなるほか、離職防止にもつながるといったメリットもあります。
何気ない雑談からアイデアが生まれる
仕事以外の時間の何気ない瞬間に「ふとアイデアがひらめいた」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
リラックスタイムや趣味に打ち込んでいる時間など、そのタイミングは異なりますが、社員同士の雑談によってアイデアが生まれることも珍しくはありません。
事実、会議などのかしこまった場よりも、カジュアルな雑談のほうが柔軟なアイデアが出やすいことから、一つの手段として、雑談ベースのミーティングを定期的に行っている企業もあります。
ヒヤリハットを防止する
ヒヤリハットを防止できることも、雑談が担う役割の1つです。
雑談は自然に発生する日々のコミュニケーションです。テレワークにおいては、物理的な距離と心理的な距離の2つの問題から、些細な質問や共有がしにくく、このような小さなコミュニケーションロスの積み重ねが、トラブルやミスにつながってしまうこともあります。
テレワークにおいても、気軽に話しかけられる環境を整えておくことは、情報の共有を促進させ、ミスが起こりにくい、あるいは、ミスにも気づくことのできる体制の構築に役立つでしょう。
テレワークで雑談ができる環境を整える方法
ここからはテレワークの状況下でも、雑談ができる状況を整える方法を紹介していきます。
雑談専用タイムを定期的に設定する
テレワークで雑談を活性化させる、最も基本的な方法が雑談タイムを設定することです。
雑談タイムを設定する際には、「定期で設定する」「議題がなくても実施する」「業務報告の場にならないよう配慮する」といった点に注意し、あくまで雑談ができる雰囲気を心がけるようにしましょう。
オンライン雑談部屋を作る
雑談を促すための2つ目の方法が、オンライン雑談部屋を作るというものです。
具体的な方法は、ランチタイムに自由に出入りできるオンラインのミーティングルームを設けておくのも良いですし、チャットツールなどで雑談だけを行うグループを作るのもおすすめです。
もちろん、運用を通じて必要なルールを追加するケースもありますが、基本的には「気兼ねなく話せる場」として、気軽に出入りできることを訴求しましょう。
オンライン朝礼やランチを実施する
オンライン朝礼やオンラインランチを実施するという方法でも、雑談を活性化させることができます。朝礼と聞くとかしこまったイメージが伴いますが、オンライン朝礼を「仕事前のコミュニケーションの場」と設定することで、従業員が抱くイメージも変化します。
ランチも、社員同士のオンラインランチには「ランチ代」を支給する制度を設けるなど、組織をあげて社員同士の交流をサポートすることで、社内のコミュニケーションもより活発になるでしょう。
オンライン会議の初めにアイスブレイクを取り入れる
オンライン会議の初めにアイスブレイクを取り入れることも、雑談を行いやすい雰囲気を作るための手段の一つです。業務上の都合でチャットルームを作れない、ランチを実施できないという場合は、会議前の10分ほどでアイスブレイクを取り入れてみましょう。
会議の議題とは別にアイスブレイクのテーマを設け、事前に共有しておくとより会話も盛り上がるでしょう。
上司と1on1を実施する
テレワークでの雑談やコミュニケーション不足を補うために、定期的に上司と1on1を実施している企業も少なくありません。
1on1のミーティングは、評価のためのものと捉えられがちですが、対話型のコミュニケーションという意味では、雑談も発生しやすく、上司と部下の人間関係や信頼関係の構築にも効果が期待できるといえます。
テレワークで雑談をする際の注意点や課題
ここからは、テレワークで雑談をする際の注意点や課題を解説します。コミュニケーションを活性化させる施策を打つ前に、注意点や課題があることも把握しておきましょう。
相手の状況やスケジュールに配慮する
テレワークで雑談をする際の1つ目の注意点が、相手の状況やスケジュールを考慮するというものです。雑談には多くのメリットがあるとはいえ、それらは、話題や頻度ともに「常識の範囲内」であることが前提となります。
当然ながら、仕事中は「好きな時に好きなことを話して良い」というわけではありません。そのため、雑談をする際には、相手の状況にも配慮する必要があることをマナーとして覚えておくと良いでしょう。
雑談が長くなりすぎると本末転倒
雑談は、適度であれば「息抜き」となりますが、長くなりすぎるようであれば「サボり」と捉えられても仕方がありません。
その境界線が曖昧ではあるものの、あくまで仕事中であることを意識し、あまりにも仕事から逸脱したような話題を業務の合間に話すようなことは避けるようにしてください。
雑談を不要とする価値観も尊重する
すべてのビジネスパーソンが、雑談を好意的に受け止めているわけではありません。特に業務の合間の雑談に関しては、「集中の妨げになる」ことなどから嫌悪感を抱く人もいるでしょう。
1on1など、雑談を含んだ会話を目的とした定期的なミーティングを除いては、雑談に必要性を感じていない人の価値観や仕事観も尊重し、理解を示す必要があります。
過度に業務のことを話題にしない
リモートワーク環境下で雑談をする際には、過度に業務のことを話題にしないという気遣いも重要です。
雑談の機会を設けることは、組織内のコニュニケーションの活性化や社員の悩みや不安を、上司がいち早くキャッチアップするためといった目的がフューチャーされがちですが、これらは、上司が部下との接し方を見直す機会でもあります。
帰属意識や連帯感が薄れがちなテレワーク下において、どのようにして社員のエンゲージメントを保つべきなのか、上司が雑談の中からそのヒントを得られることもあるのです。
ハラスメント問題を正しく理解しておく
雑談においては、「つい余計なひと言」を発してしまいがちなデメリットがあります。どのような発言や行為がハラスメントにあたるのかは、当人同士の関係性にもよりますし、「言い方」が大きく影響する場合もあるでしょう。
しかしながら、思いも寄らぬ発言が相手の尊厳を傷つけ、ハラスメントとして捉えられることもあります。大切なのは、常に相手を思いやる気持ちを持ち、相手の立場に立った会話を行うことであることを理解しておきましょう。
否定しない・共感することを意識する
雑談を活性化させる最後の注意点が、否定しない、共感することを意識するというものです。
「否定」は、相手の発言する意欲や積極性を低下させる可能性があります。特に、雑談を目的とした場では、否定的な言葉は使わないよう意識することが求められます。
テレワークで雑談を活性化させる取り組み事例
最後にテレワークで雑談を活性化させる、具体的な取り組み事例を紹介していきます。具体的な事例だけでなく、見込める効果や取り入れる際の注意点についても確認していきましょう。
事例1:オンラインランチや飲み会に手当を支給
テレワークでの雑談を活性化させる1つ目の取り組み事例が、社員同士のオンラインランチや飲み会への手当の支給です。
手当の額は、1000円〜1500円程度が一般的ですが、手当以外にも「他部署のメンバーを交えたランチは休憩時間の30分延長を認める」といった独自のルールを設けて組織全体のコミュニケーションの促進を行っている企業もあります。目的に応じたルールを設けることで、部署を横断したコミュニケーションの実現にもつながるでしょう。
事例2:部活動などのコミュニティチャットを作成
業務とは関係のない部活動などのコミュニティの形成によって、コミュニケーションを活性化させている事例もあります。
部活動は、「映画・ドラマ」、「スポーツ観戦」、「オンラインゲーム」など、趣味をテーマした部活があると、部署の垣根を超えた交流ができるだけでなく、役職や立場の壁を意識させない会話も可能になります。また部活チャットを作ることで、趣味が合う人同士の雑談もはずむはずです。
事例3:新入社員同士で交流する機会を用意する
新入社員同士で交流する機会を用意することも、テレワーク環境下で雑談を活性化させる取り組みの一つです。
新入社員は、同時期に同じような悩みを抱えたり、似たような壁にぶつかることもあるはずです。そのような時期に、同期同士で悩みや不安を打ち明けあえる関係があれば、お互いの存在が支えとなるでしょう。
テレワークでも雑談を活性化させる取り組みは重要
テレワークが普及し、雑談やコミュニケーションの減少による「変化」を感じはじめている企業は少なくありません。
一見矛盾するように見える雑談と生産性ですが、気軽なコミュニケーションには、ストレス発散や息抜き、良好な人間関係の構築による仕事への意欲の向上といった効果が期待できます。
テレワークの実施により、人間関係の希薄化や社員のモチベーションの低下などが感じられるようであれば、今回紹介した注意点に留意しつつ、雑談を促進する取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
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