テレワークでモチベーションを維持するには?上がらない場合の対策も解説!
オフィス勤務からテレワークに移行する際に、懸念されるのが社員のモチベーションです。生産性を低下させないためにもモチベーションの維持は大切です。本記事では、テレワークのモチベーションを低下させる5つの原因や解決策について詳しく解説していきます。
目次
テレワークはモチベーションが低下する?
多くの企業でテレワークの導入が進められるなかで、懸念されるのが社員のモチベーション低下です。
リクルートキャリアが新型コロナウイルス禍でテレワークをするようになった就業者2,272名を対象におこなった「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査(※)」によれば、テレワーク実施後に「働くモチベーションが低い」と回答した人は、テレワーク実施前と比べて8.4%増加しています。
なかでも、テレワーク実施後に「チームの仕事が減った」回答者において、「働くモチベーションが低い」と回答した人はテレワーク実施前と比べて14.5%増加しています。
同調査によると、モチベーションに影響する3つの要素「仕事の全体感の把握」「仕事の重要性の実感」「上司や同僚からのフィードバック」が自分の仕事にあると感じられる度合いが、テレワークの実施前後で大幅に減少しています。
このことから、周囲に職場の人がいない状態で仕事をするテレワークにおいて、社員のモチベーションの低下は解決すべき課題であることがわかります。
[※出典:株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査 「働くモチベーション」はテレワーク実施前後で変化した?」]
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テレワークがモチベーションを低下させる6つの原因
テレワークは、社員によってはオフィス勤務より仕事がしにくい環境で働かなければならず、モチベーションの低下を引き起こす可能性があります。また、周囲に人がおらず一人で仕事をするため、コミュニケーション不足による孤独感を感じることもあるでしょう。
ここでは、テレワークがモチベーションを低下させる以下の6つの原因について解説します。
- 集中力が続かない
- オン・オフの切り替えが難しい
- 慣れない環境に疲労・ストレスを感じる
- コミュニケーション不足に陥る
- チームとしての一体感が得られない
- 作業環境が整っていない
1.集中力が続かない
テレワークでは自宅が勤務場所となることが多く、オフィスよりも集中しにくい環境で仕事をしているケースが多いと考えられます。
仕事専用のスペースが確保できず、リビングなどで働くテレワーカーは仕事と生活の境目が曖昧になりがちです。特に、同居する家族がいたり、子供がいる場合は、家事や子育てをしながら働くことになるため、仕事に集中しにくいのではないでしょうか。
仕事に集中できないと作業効率も下がり、モチベーションの低下にもつながります。
▷テレワークで集中できない原因とは?集中するための対策や集中力アップの秘訣
2.オン・オフの切り替えが難しい
テレワークでは、自宅の生活空間で仕事をすることになるため、仕事のオン・オフを切り替える自己管理能力が社員一人ひとりに必要となります。
しかし、オフィスと違い、自宅には趣味など仕事に関係のない誘惑があります。また、上司や同僚の目がないため「多少サボってもバレないだろう」と気が緩みがちです。
その結果、就業時間に業務と関係のないことをしてしまったり、ダラダラと働いてしまったりするなど、仕事のオン・オフの切り替えが曖昧になってしまいます。
3.慣れない環境に疲労・ストレスを感じる
テレワークでは、仕事に適さない環境で働く社員も多く、オフィス勤務のときよりもストレスを感じながら働いていることがあります。
慣れない環境で働くことで、集中力が続かなかったり、オフィス勤務のときより作業効率が低下してしまうこともあるでしょう。その結果、身体的な疲労だけではなく、精神的な疲労やストレスも溜まり、モチベーションの低下につながります。
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4.コミュニケーション不足に陥る
オフィス勤務のときと比べて、自宅でのテレワークは上司や同僚とのコミュニケーションが取りにくい環境です。
オフィス勤務であれば気軽に声をかけられていたことも、テレワークでは相手とスケジュールを調整してビデオ会議を設定したり、わざわざ文章にしてメールで伝えたりするなどの手間がかかってしまいます。そのため、テレワークはオフィス勤務と比べて上司や同僚とのコミュニケーションが減りがちです。
コミュニケーションが減ると、メンバー間での連携が取りにくくなり仕事の効率が下がるため、モチベーションの低下を引き起こします。
5.チームとして一体感が得られない
テレワークでは、周りに上司や同僚がいないため、社員どうしのコミュニケーションが減るだけではなく、社内の人間関係が希薄になりがちです。
お互いの働きぶりが見えにくいため、社員間で情報や意識を共有しにくく、チーム感が薄れていきます。その結果、孤独感を感じやすく、仕事の目的意識を見失いがちです。また、周囲の自分への評価も見えにくいため、モチベーションの低下につながります。
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6.作業環境が整っていない
自宅でのテレワーク環境は社員によってばらつきがあり、長時間の仕事に適したワークスペースを十分に確保できていない人もいます。
社員によっては仕事に適したデスクや椅子が自宅にないケースもあります。無理のある姿勢で長時間働くことになるため、身体的な疲労が溜まります。また、自宅の通信環境が悪かったり、プリンターなど仕事に必要なデバイスが揃っていない人もいるでしょう。
さらに、適切なビジネスツールが導入されていないなど、企業側のシステムに問題がある場合もあります。このように、作業環境が十分に整えられていないと、仕事の効率が下がり、モチベーションの低下を引き起こします。
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モチベーション低下により生じるデメリット
モチベーションの低下した社員がいると、本人の生産性が下がるだけではなく、チームや組織全体の問題にまで発展します。
では、モチベーションが低下すると具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。ここでは、モチベーション低下により生じるデメリットについて解説します。
1.生産性の低下
社員のモチベーションが低下することで生産性の低下が起こりやすくなります。また、仕事に対するスキルアップ意欲も低下するため、社員の能力が上がりにくくなってしまいます。
モチベーションの低い社員がいることで、チーム間での意思疎通が難しくなったり、チーム内で仕事のバランスが崩れたりするなど、周りの社員に負担がかかります。その結果、チームや組織全体のモチベーション低下にもつながり、生産性にも悪影響を及ぼします。
2.仕事に対する意欲の低下
モチベーションが低下すると、仕事に対する意欲が低下し、気の緩みやサボりが発生しやすくなります。上司や同僚の目がないため、緩んだ気持ちを引き締めることが難しく、誘惑に負けてしまうこともあるでしょう。
また、仕事に対するモチベーションが低下した状態が続くと、メンタル面での不調を引き起こします。うつ症状など気分が沈んだ状態が続くと、社員の休職や離職などの結果を招いてしまうこともあります。
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3.離職率の増加
モチベーションの低い状態が続くと仕事に対するやりがいを見出せなくなり、社員の離職を招いてしまいます。また、モチベーションの低い社員をカバーするため、周りの社員にも負担がかかり、優秀な社員が離職してしまう可能性もあるでしょう。
離職率が上がると人材不足になり、残った社員の負担がさらに増加します。その結果、人材流出が加速するなどの悪循環に陥る恐れがあります。
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テレワークのモチベーションを維持する対策方法10選
テレワークでは、社員一人ひとりの自己管理に任せる部分が多いため、モチベーションの維持は大切です。勤怠管理ツールの導入やコミュニケーションの機会を増やすことで、社員の精神状態や勤務状況を把握し、社員がモチベーションを維持できるようにしましょう。
ここでは、テレワークのモチベーションを維持するために有効な対策方法について解説します。
1.コミュニケーションが取れる体制を作る
社員同士がコミュニケーションを取りやすい体制を整えることで、メンバー間での連携が取りやすくなり、チームに一体感が生まれます。
チャットツールやビデオ会議システムなどのコミュニケーションツールを導入することで、オンラインでのコミュニケーションを促進できます。また、オンラインランチをはじめとした定期的なオンラインイベントを開催していくことで、社員間の自発的なコミュニケーションを促すこともできるでしょう。
コミュニケーションが取れる体制を整備することで、社員どうしが意思疎通しやすくなり、業務の効率化にもつながります。
2.休憩時間を明確にする
テレワークではオン・オフの切り替えが難しいため、休憩時間を意識的に設けることが有効です。ダラダラと長時間働いてしまうことを防ぐためにも、就労時間にメリハリをつけることが重要です。
休憩時間には仕事の連絡をしない、社用パソコンを開かないなどのルールを決めるとより効果的でしょう。社員の心身に疲労をためない心がけが大切です。
3.作業環境を整える
テレワークのモチベーション維持において、社員が仕事に集中できる作業環境を整えることも大切です。
社用PCの貸与だけではなく、デスクや椅子、プリンターなどの仕事に必要な環境やデバイス、ネットワーク環境の整備など、社員がストレスなくテレワークできる環境を整えるようにしましょう。また、組織全体の業務効率化につながるビジネスツールの導入も有効です。
テレワーク環境整備のための一時金を社員に給付したり、社内システムを整備するなど、社員それぞれの作業環境を充実させるようにしましょう。
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4.定期的にミーティング・フィードバックを実施する
社員のモチベーションや現状の不満を把握するために、定期的にミーティングを行うようにしましょう。また、社員の悩みに対して適切なフィードバックを行うことで、社員のストレス解消やモチベーションアップにもつながります。
ミーティングはオンラインで顔を合わせるだけでも効果的ですが、状況によっては定期的に出社日を設け、直接会ってミーティングをすることも大切です。
ミーティングでは、雑談を交えながらリラックスした状態で話せるようにし、現状のヒアリングだけではなく、情報や目的意識の共有も積極的に行うようにしましょう。
5.社員の勤怠管理を徹底する
社員のモチベーション維持において、社員それぞれの勤務状況を把握しておくことは大切です。働きすぎやサボりを早めに発見することで、モチベーションが低下している社員に対して適切な対応ができます。
勤怠管理には、クラウド上で利用できる勤怠管理システムがおすすめです。パソコンはもちろんのこと、モバイル端末からの打刻が可能な勤怠管理システムも多く、社員それぞれの勤怠管理をスムーズにおこなうことができます。
6.テレワークにかかる費用を明確化する
テレワークが浸透したことで社員の金銭的な負担が増えている場合があります。具体的には、デスクや椅子、インターネット回線の契約など仕事をするための環境整備、自宅にいる時間が増えたことによる光熱費の増加などが考えられます。これらの負担が社員の不満となり、モチベーションの低下につながる恐れがあります。
一方で、オフィスへの通勤が減ったことにより、交通費などが削減できる場合もあります。適切にコスト管理をし、社員のモチベーションを維持するためにも、テレワークにかかる費用を明確化することが大切です。場合によっては、在宅勤務手当など社員を援助するしくみを整えるようにしましょう。
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7.タスク・納期を可視化する
テレワークではタスクや納期を明確に設け、チーム内で共有し可視化するようにしましょう。さらに、進行状況を可視化することで、タスク漏れを防ぎ、社員一人ひとりの業務を効率化できます。その結果、モチベーションの維持にもつながります。
タスク管理をスムーズにおこなうために、タスク管理ツールの導入も有効です。割り振られている仕事が可視化されることで、仕事の優先順位や1日の業務スケジュールの組み立てもしやすくなります。
8.定期的な運動を心がける
運動には心と体をリラックスさせる効果や睡眠リズムを整える作用があります。そのため、定期的な運動は、心身の健康を保ち、仕事へのモチベーションを維持するために効果的です。
オフィス勤務をしていたときは自宅からオフィスへの移動が運動代わりになっていましたが、テレワークでは自宅から出ない日もあるため運動不足になりがちです。
そのため、定期的に運動を心がけることが大切です。近所を散歩するだけでも変わるので、できる範囲で運動を続けるようにしましょう。
9.他人と比べない
他人と比べて評価すると、周りより劣っている部分に目がいきやすく、モチベーションが低下しがちです。自分の努力や成果だけでは評価が定まらないため、結果的に「評価を落とさないレベルでやればいいだろう」と仕事に対する妥協が生まれやすくなります。
社員自身の目標に対する結果や成長ぶりを適切に評価することで、社員一人ひとりのモチベーションを保つことができます。
10.評価制度を見直す
テレワークでは、従来の評価制度では適切に評価しきれない部分があります。勤務態度やプロセスが見えないため、結果のみでの評価になりがちです。
テレワークに適した評価制度が設定されていないと、社員は「適切に評価されていないのではないか」と感じ、モチベーションの低下にもつながります。
そのため、テレワークに即した評価項目を設定し、評価方法を統一することが必要です。また、個人で設定した目標に対してのプロセスと成果を評価する目標管理制度の導入や、社員が自己アピールできる機会を設けることも公平な評価をするうえで効果的です。
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テレワーク中にモチベーションが低下してるサインは?
モチベーションが低下している社員に気づかず放置してしまうと、周りの社員や組織全体に悪影響を及ぼします。そのため、社員のモチベーション低下のサインを早めに発見し、適切に対処することが大切です。
1.他のことに気を取られることが多くなった
モチベーションが低下していると目の前のことに集中したくてもできなくなります。その結果、業務と関係ないことに気を取られてしまったり、周囲の誘惑に負けてしまったりするなど、集中力が続かない状態になります。
このような状態を放置すると、会議中に意識を切らしてしまい他の人の発言を聞き逃してしまうなど、業務に支障が出てきます。
2.作業量が落ちてきた
普段よりも一つの業務にかかる時間が長くなっている場合は、モチベーションが低下しているサインです。モチベーションが低下すると業務が非効率的になるだけではなく、自己管理が甘くなり、サボりやダラダラ働いているという事態も発生しやすくなります。
作業量が低下したままで仕事を続けてしまうと、長期的に見て業務進捗で大きく遅れてしまうため、なるべく早期で解決する必要があるでしょう。
▷テレワークで生産性は低下する?生産性を向上させる秘訣や成功事例
3.ミスが増えた
普段であればしないようなミスや簡単な業務でもミスが目立つ場合は、モチベーションが低下しているサインです。細かい部分に注意を払えなくなっているので、放置すると大きなトラブルを引き起こしかねません。
時間を間違えて会議の時間に遅刻したり、納期を守れなかったりする場合も注意が必要です。
4.向上心がなくなった
新しい仕事に挑戦しなくなったり、ネガティブな発言が増えるなど、向上心がなくなっている場合は注意が必要です。仕事に対しての成長意欲も低下しているため、スキルアップの機会も失ってしまいます。
特に、ネガティブな発言は一緒に働くチームメンバーの気分を下げてしまい、連鎖的なモチベーションの低下を起こしかねないので注意しておきましょう。
テレワークの継続にはモチベーションの維持が鍵になる
テレワーク中にモチベーションが低下する原因と対処法について解説しました。
テレワークでは、社員一人ひとりの働きぶりを直接見られないため、モチベーションが低下していても気づかず放置されてしまいがちです。
勤務状況や勤務態度をこまめにチェックすることで、モチベーション低下のサインを早めに発見し、社員の心身の健康を守るようにしましょう。
モチベーションの維持には、作業環境やコミュニケーションの取りやすい環境の整備、適度な運動や休憩が大切です。
今回ご紹介したモチベーション低下を見抜くサインや対処法を参考に、テレワークでも社員が高いモチベーションを維持して働ける環境を整えるようにしましょう。
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