予算管理の企業における意義や重要性とは?具体的な効果も合わせて解説

最終更新日時:2022/10/31

予算管理システム

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予算管理が経営において大切だということは、誰もが認識しているでしょう。しかし、企業にとってどのような役割や重要性、意義があるのかを正確に説明できるでしょうか。この記事では、予算管理の重要性と意義、目的や得られる具体的な効果を解説します。

予算管理とは何か?

ここではまず、企業活動における「予算」とは何かを説明し、その上で「予算管理」の概要を解説していきます。

(1)予算とは

予算とは、ある目的を達成するためにあらかじめ決める数値のことです。企業経営における予算とは、売上目標や利益目標などを指します。また、費用や投資目標を数値化したものも含まれます。

企業活動で使われる予算は、一般的には次の4つに分類できます。

  • 売上予算(売上目標)
  • 原価予算(仕入れにかかる費用)
  • 経費予算(家賃、人件費、広告宣伝費、営業費などの販売費および一般管理費)
  • 利益予算(売上から原価と経費を差し引いて残った利益)

(2)予算管理の概要

予算管理とは、企業が作成した予算が計画通り実行されているかどうかを管理するもので、経営管理業務のひとつです。予算を計画通りすすめるには、予算と実績の比較・分析を行い、改善をしていく必要があります。

予実に大きなズレがある場合には原因を特定し、当初計画した活動や戦略に修正を加えます。こうしたPDCAサイクルを繰り返す工程そのものが、予算管理ということになります。

予算目標を達成できずに、原因の特定や改善も先送りにしていると、利益が出ない状態が続き、企業経営に大きな影響が出ます。そのため継続的に事業を成長させるためにも、企業は適切な予算管理を行う必要があるのです。

予算管理の企業における意義と目的

企業が予算管理を行うのには明確な「意義」や「目的」があります。ここでは重要なポイントを4つに絞り、解説していきます。

(1)会社目標を全社に分かりやすく共有する

予算目標を立てただけで、目標の達成が可能になるというわけではありません。その目標を全社で分かりやすく共有することが重要です。その際に効果的なのが、数値での明示です。

月次や年間で目指すすべき数字が明瞭になれば、経営層から現場の従業員までが共通意識をもって目標達成に向けて注力できるようになるでしょう。

(2)各部門の業務目標を明確にする

業務計画は通常、経営方針にそって作成されます。しかし、方針が抽象的な場合は各部門は具体的に何をすれば良いのか分からず業務が非効率になります。

具体的な数字を示すことができれば、業務目標がはっきりと分かり、目標達成のために適切な行動を起こすことができるでしょう。

(3)目標と実績の乖離を可視化する

予算の進捗や達成状況など、目標と実績を常に確認していく必要があります。できるだけ短いスパンで確認することが重要であるため、月次で分析を行うのが理想的です。

予算と実績にズレが生じている場合は、その乖離具合を可視化して、原因分析を行います。進捗が遅れている場合には、早急に原因を見つけて改善アクションを講じていくことで目標達成に近づけます。

(4)経営方針の参考にする

予算目標と実績の乖離の原因が内部にある場合は、予算の管理方法などに問題があるため部門内での業務の見直しを行います。

一方で、市場全体や経済・社会情勢などの外部に原因があると判断した場合は、経営方針を変更するなど大きな方向転換が求められる場合もあります。

予算管理の企業における重要性

予算管理は企業経営において重要な役割を担っています。ここでは次の3点について、解説します。

(1)資金調達時の目安

(2)自社の問題点の洗い出し

(3)組織の生産性の向上

(1)資金調達時の目安

会社を経営する上では、通常銀行などの金融機関から資金を調達します。仮に銀行から融資を受ける場合にはできる限り、融資額を抑える必要があります。

適切な調達額を算出するには予算計画が必要不可欠です。予算管理を参考にせずおおよその金額で借り入れた場合、借入金の返済が重荷になってしまいます。それを防ぐためにも、予算管理をしっかりと実行し事業の維持・拡大が行える借入金を見極めることが重要となります。

(2)自社の問題点の洗い出し

予算管理を進めると、行動や戦略の修正が必要な場面が出てきます。ある部署において頻繁に予実のズレが発生し軌道修正している場合には、その部署で何かしらの問題点が発生していることになります。

例えば営業部門の売上が予測よりも低かった場合、営業人員などの体制、顧客へのアプローチ手法、成約率の低さや失注率の高さ、顧客単価の低さなど、自社が抱えている問題を特定する必要があります。

その問題点の解消に努めない限り業績の回復は見込めないため、予算管理を通して、自社の現状と課題を把握することが重要です。

(3)組織の生産性の向上

予算管理とは目標を達成するために、予算と実績を比較し、乖離が発生している場合には原因を特定して改善を重ねることです。この過程において、部門全体でPDCAサイクルを回し、目標達成に近づけていきます。

PDCAサイクルをうまく活用できると自社がすべきことが分かり、組織の問題解決だけでなく従業員の評価にも役立ち、モチベーションアップも期待できます。そして、これらを通して、最終的には組織の生産性向上にもつながるのです。

予算管理を行うことで生まれる具体的な効果

予算管理を行うと経営課題の解決につながります。経営資源の分配が効率化することで、特に「人材」に対する良い効果が期待できます。

(1)経営資源の分配が効率化する

企業における経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つです。企業を持続的に発展させるには、この4つの経営資源をいかに効率よく活かせるかが重要になります。

予算管理では目標値を数値で表すため、予算と実績が大きく乖離している場合にはその部署が不採算部門となっている可能性があります。例えば、人件費に対して売上が低かったり、高コスト体質が放置されているケースなどが考えられます。

経営資源は有限なので、どの事業にどれだけの資源を投下するかを綿密に計算し経営戦略を立てなければなりません。予算管理で数値を明確化し、最適な資源の分配につなげられれば経営の安定や売上向上にも寄与するでしょう。

(2)社員のモチベーションの向上

予算管理によって、目標が抽象的なものから数値を使った具体的なものに変わるため、社員も目標が立てやすくなります。また、実際に行った業務が数字に結びついた場合には達成感が感じられモチベーションも向上します。

(3)可視化しづらいマネージャー業務への評価の適正化

予算管理をきちんと実行・運用することが、マネージャーの重要な業務の1つです。マネージャーは日々多くの仕事を抱えているケースが多い一方で、そのほとんどが可視化しづらいため適切な評価ができていないことがあります。

予算管理を行うことで、目標と実績を数字で表すことができるため客観的な評価が可能になります。結果、適正かつ納得感のある評価制度が構築できるようになるでしょう。

予算管理を行う際のポイント

予算管理を行う上でのポイントは次の3点です。

(1)月次の確認を怠らない

(2)目標に乖離がある場合は速やかに修正する

(3)PDCAサイクルを回す

(1)月次の確認を怠らない

効果的な予算管理を行うためには、「月次試算表」を作成して予算と実績に乖離がないかを確認します。この作業は月次という短いスパンで行い改善点を早期に見つけることが重要です。

どの数値が予算どおり進んでどの数値が予算よりも外れているのかを比較し、その数値の誤差の原因を早期に特定する必要があります。

(2)目標に乖離がある場合は速やかに修正する

目標と実績に乖離がある場合は、損失拡大を防止するためにも速やかな修正が必要です。後回しにすると次期にも影響が出る可能性があります。

また修正後も引き続き目標と実績の乖離が大きい場合や、人員削減や工程の見直しなどの具体的な対策を施しても目標とする利益が出ない場合は、その事業からの撤退や縮小も視野に入れる必要があります。

(3)PDCAサイクルを回す

予算と実績の乖離を見つけるだけでなく修正を行い乖離を埋める、これを繰り返していくのが予算管理の本来の目的です。つまり、ビジネスで日常的に使われているPDCAサイクルを回し続けることが予算管理を行う上でのポイントになります。

予算管理を行う際の注意点

無計画に予算管理を行っていては満足のいく成果は得られないでしょう。そのため、次にあげる注意点を意識しながら進めていくことが成功へのキーポイントになります。

(1)目標設定の根拠を示す

まず、なぜその目標設定にしたのかを示す必要があります。根拠を示さない場合には現場の従業員から反発を買ってしまい、モチベーションの低下にもつながりかねません。

また目標値は実現の可能性がある範囲で設定すべきです。過去の実績や現状の経営資源、市場環境なども分析しながら目標を設定し、全社で共有することで効率化にもつなげられるでしょう。

(2)季節・外部的な要因を考慮する

予算管理には季節・外部的な要因も考慮しなければなりません。予算と乖離がある場合の原因は内部要因と外部要因に分けることができます。内部要因は自社の問題なので、修正を行えばある程度は改善の見込みが立ちます。

しかし季節的な問題や市場成長率などの外部要因は、経営努力だけでは改善できない場合の方が多いでしょう。この場合には戦略の転換なども必要になります。

また事前に立てる予算について、過去の実績と比較する場合にも季節性の要因を織り込むことはもちろん、現状の社会情勢や市場環境の影響範囲を加味して、目標数値の調整を行う必要があるでしょう。

(3)予算管理の工数が多くなりすぎないようにする

正確な予算管理を行う場合は工数を多くし、細分化を図る必要があります。しかし、工数が多くなればなるほど手間がかかり時間も要します。管理が繁雑になり、経営や事業活動に影響が出ては本末転倒です。

数値目標を達成するためにPDCAサイクルを素早く回し、健全な経営につなげるという本質を忘れないようにしましょう。

意義と重要性を理解した上で予算管理を実現すること

予算管理には、「目標の全社的な共有」や「業務目標の明確化」などの意義や目的があります。さらに、適切な予算管理によって、組織が抱えている現状の問題点の洗い出しにつながり、改善策を実行することで結果的に生産性の向上も見込めます。

予算管理は、こうした意義や目的、重要性などを理解し、ポイントを押さえながら実行することでスムーズに行うことができます。業績拡大や安定経営を目指すためにも、実効性のある予算管理を心がけましょう。

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