予算管理と財務の関係は?管理会計と財務会計との違いについても解説

最終更新日時:2022/12/16

予算管理システム

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経理や財務を担当している方は、予算管理と財務の関係性や違いを認識する必要があります。この記事では財務会計の概要や管理会計との違い、予算管理と財務の関係性を解説しています。また、効率的に予算管理や財務管理を行うのに有効なシステムをご紹介します。

財務会計の概要

財務会計とは企業外部に対して行う会計です。会計情報を基に投資家や金融機関は投資や融資を行い、取引先はこの会社と取引しても倒産リスクがないかなどの判断材料となります。

ここからは、財務会計について詳しくご紹介します。

(1)財務は会社が行う融資や投資を担当する部門

財務とは、決算書や予算管理などの会計面から会社が将来起こりうる出来事に対し、どのようにして対応するかを決める役割のことです。

会社を永続させるには運転資金が必要不可欠です。運転資金の調達方法、そして活用の仕方によって会社にもたらす効果が大きく変わってきます。成長が安定している会社では、財務を適切に管理しているところが多いです。

財務と会計の違いについて

財務と似た言葉に会計という言葉があります。会計とは、会社の入出金の記録を行い、決算書の作成から利益や様々な税金額を算出します。過去から現在のお金の流れを記録するイメージが分かりやすいです。

つまり、財務は未来に対してお金をどのように使うのかを管理し、会計は現在のお金の流れを管理するイメージです。

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経理担当が覚えておくべき企業会計原則とは

会計には企業会計原則というのがあります。これは経理担当者ならば必ず覚えておかなければなりません。

企業会計原則には7つの一般原則と、一般原則に準ずるもの(以下の8番目)で構成されています。

  1. 真実性の原則
  2. 正規の簿記の原則
  3. 資本取引・損益取引区分の原則
  4. 明瞭性の原則
  5. 継続性の原則
  6. 保守主義の原則
  7. 単一性の原則
  8. 重要性の原則

この中でも特に重要なのは真実性の原則です。

真実性の原則とは、企業会計は企業の財政状態および経営成績に関して、真実な報告を影響するものでなければならないとする企業会計原則の一般原則。他の一般原則の上位に位置づけられるもの。

[引用 関東信越税理士会 税務コンテンツ 税務会計用語集 真実性の原則より]

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管理会計と財務会計の違いについて

企業会計は大きく分けると管理会計と財務会計に分類することが出来ます。この二つは言葉は似ていますが意味は全く異なります。それぞれの違いについて説明していきます。

(1)管理会計は社内向けの会計

管理会計は経営者が企業活動の中で意思決定をするためにまとめた会計情報です。例えば新規事業を開始する場合には、予算や予想利益率をまとめる必要があります。この情報が管理会計となります。つまり社内向けの会計マネジメントのことを指します。

#1: 経営者が経営判断に使用するデータ

管理会計では、多くのデータがあり経営判断に用いられます。特に資金繰りに関してはデータが重要になります。これらを疎かにしてしまうと、損益計算書では黒字になっていても、資金がショートし倒産に陥る黒字倒産の事態が起きてしまいます。

#2: レポートの形式等は指定されていない

財務会計と異なり管理会計を導入するかどうかは企業の自由です。レポート形式に関しては指定されていないため、企業が自由なフォーマットを用いることができます。

(2)財務会計は投資や融資に関わる社外に向けての会計

これに対して財務会計は、社外に対して企業の財務状況を報告するために行う会計のことです。決算を終えた会社は、1年間どのような業績だったのか会計基準に沿った財務諸表を作成する必要があります。

#1: 株主や利害関係者に向けてのデータ

財務会計は管理会計と異なり、株主や利害関係者(投資家、銀行、取引先等)に対して公表するデータです。利害関係者にとって、今後の取引継続等の重要な判断をする材料となります。

業績低迷などの理由でこのデータが悪い場合には、経営が芳しくないイメージを持たれてしまい、融資の打ち切りや取引縮小などが行われる可能性があります。上場企業では株価低下の原因にもなりかねません。

#2: 財務諸表で作成しなければならない

財務諸表とは、一般的に金融商品取引法の対象となる企業の決算書のことを指します。決算日現在の財産状態や収益を表す書類であり、必ず作成しなければなりません。また定められた書式で作成しなければならず、オリジナルの財務諸表は認められません。

財務諸表も投資家など利害関係者に対し、経営の状況や成績を開示する目的で作成されます。

予算管理と財務の関係

予算管理と財務は密接に関係しています。どちらかに不備があればたちまち悪影響を及ぼしかねません。

これらの作業が円滑に行われることで企業のお金の管理が行えるのです。

(1)共通点は経営管理の一部であること

予算管理と財務で共通している点は、共に経営管理の一部であることです。経営管理は予算管理、人事管理、労務管理、生産管理、財務管理などに細かく分類することができます。

どちらも企業のお金に関する分野になるため、密接な関係にあると言えます。

(2)財務は財務管理・財務会計で成り立つ

経営管理で財務に関するものには、財務管理と財務会計があります。この二つが成り立つことにより財務として機能できるのです。

#1: 財務管理とは

財務管理とはその名の通り財務を管理することを言います。企業を運営する上では多くのお金が必要になります。資金を調達して運用し、企業の拡大から永続させていくことが財務管理の目的です。

例えば、新規事業を開始する際、外部からの資金調達を行う必要が出てきたとします。その資金を使い新規事業の収益を上げるだけでなく、会社を更に大きくしていくということも十分に考えられます。

この事を実現するにも財務管理を行う必要があるのです。

#2: 財務会計とは

財務会計は、企業内部で発生した取引を適切に記録し決算書を作成することが目的となります。

決算書の作成は、会社の経営状況が把握できるだけでなく、資金調達にも大きな影響をもたらします。

業績が好調で資産が豊富であれば銀行からの融資は必要がなく、自己資金でまかなうことも可能です。反対に業績が悪く、近い将来倒産してしまう場合は、出来るだけ早期に投資や融資を受ける必要があります。その判断材料にも財務会計が使われます。

(3)予算管理で出たデータを元に資金繰りを調整するのが財務

予算管理を行っていく上でさまざまなデータが出てきます。場合によっては予想だにしていなかった支出が起こり、資金繰りがひっ迫する可能性もあります。

そのような事態が起こらないためにも、日頃から資金繰りの調整をするのが財務の役割です。

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予算管理と密接な財務管理を効率的に行うには

予算管理と財務管理は密接な関係があることは先ほど説明しましたが、これらを効率的に行うことでさらに良い相乗効果が生まれることが期待できます。

具体的な方法を紹介します。

(1)予算管理の精度を上げる

予算管理の精度が低い場合は、予想と実績に乖離が発生します。あまりにも乖離が激しいと財務諸表の信憑性が損なわれ、利害関係者からの信頼が無くなるだけでなく、銀行からの融資が受けられなくなり、最悪の場合企業存続の危機に直面します。企業の経営を安定させるためにも、予算管理の精度を上げる必要があります。

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(2)会計部と財務部の連携体制を整える

経理などの会計部が作成したデータを基に、財務部が資産を活用し企業価値の最大化を目指します。それぞれが必要としているデータを常に共有するなど密接な関係が求められます。

これを目指すためには会計部と財務部の二つの部署が、日頃から連携をしっかりと行い、互いに問い合わせができる体制を整える必要があります。

(3)効率的に予算管理ができるシステムを導入する

1人1人がいくら努力しても、ミスを防いだり処理速度を上げるには限界があります。予算管理システムを導入することが予算管理と財務管理を効率的に行う一番の近道です。

効率的なシステムがなければ、そもそも予算管理の時点で遅滞が起きて、経営方針の転換が不可能になってしまいます。経営が悪化すればもちろん財務諸表の結果は思わしくなく、業績の低下を外部に見せることになります。

そのため、効率的に予算管理ができるシステムの導入は企業にとって、とても大切になってきます。

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効率的に財務管理ができるシステム3選

財務管理の作業は複雑であり、人の手で行うと多くの時間を要します。また、気を付けていても人的ミスは防げないため、精度が高いとは言えません。

しかしシステム導入をすることでこれらの悩みの解消につながります。ここからは、効率的に財務管理ができるシステムを3つ紹介します。

(1)kyriba

kyribaは世界中の企業に導入されている、100%クラウド型財務管理システムを提供しています。

資金管理からヘッジ会計まで幅広い財務モジュールの提供が可能で、未来志向の組織の財務業務高度化を実現するための様々な機能が用意されています。

提供元キリバ・ジャパン株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
導入実績100か国2,000社以上
機能・特徴

  • 資金管理
  • 銀行口座管理
  • 為替リスク管理
  • ヘッジ会計
  • リスク分析
  • 支払業務
  • 不正検知
  • サプライチェーンファイナンス財務取引の管理を簡素化
  • 取引とのレポート
システムタイプクラウド型
URL公式サイト

(2)Main財務管理

Main財務管理は無料で使える基幹業務ソフトですが、提供元は基幹ソフトウェアの開発・販売実績もあるメインソリューション株式会社です。

無料ソフトをベースにオーダーメイドソフトの作成も可能です。また、同社からは給与管理ソフト、販売管理ソフトも発売されており、併用することで更なる業務の効率化も可能です。

提供元メインソリューション株式会社
初期費用無料

※複数のパソコンで利用する場合

初期スタートパック:33,000円(税込)

クライアント設定料:7,700円(税込)/1台

料金プランサブスクERP業務ソフト:3,850円(税込)/月

MBNサービス

※複数のパソコンで利用する場合

3台まで:3,850円(税込)

4台以上:2,200円(税込)/1台

導入実績2,000社以上
機能・特徴

  • 仕訳処理
  • 会計帳票
  • 分析帳票
  • 消費税処理
  • 決算処理
  • 拡張機能
  • 台帳処理
  • 導入処理
  • データ管理
システムタイプオンプレミス型(パッケージ販売)
URL公式サイト

(3)NetSuite/財務管理ソリューション

NetSuiteは、世界初のインターネット上でビジネスアプリケーションを提供する企業として設立されました。今では200を超える国や地域の32,000社以上で導入されており、大企業だけでなくスタートアップ企業からも選ばれています。

提供元日本オラクル株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
導入実績海外中心に32,000社以上
機能・特徴

  • 直感的なインターフェース
  • 柔軟なモデリング
  • 複数通貨のサポート
  • 仮説分析
  • 柔軟な多元的報告
  • グローバルコンプライアンス
  • 監査とコンプライアンス報告等
システムタイプクラウド型
URL公式サイト

予算管理と財務の関係を知り適切な財務会計を行いましょう!

今回は、予算管理と財務の関係性や違いを紹介しました。これらの関係を知ることで、日々の業務に活かすことが出来ます。

会社で扱う予算などの数字は社内だけでなく、社外の人たちも目に触れる機会が多くあります。

間違った数字はもちろんですが、予算と大きく違っていた場合も評判を下げることになりかねません。

予算管理と財務の関係を常に把握し、適切な財務関係を心掛ける必要があります。

【初心者向け】予算計画の立て方をわかりやすく手順別に解説!

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