予算管理が中小企業でも重要な理由は?正しい考え方と運用方法について

2023/01/26 2023/02/02

予算管理システム

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中小企業でも予算管理をすべきなのか、と悩んでいる経営者の方も多いでしょう。実は中小企業こそ予算管理をしておくべき。この記事では予算管理の重要性や流れ、中小企業の考え方や管理方法、システムの選び方・おすすめシステムに言及しています。

中小企業に予算管理は不要は間違い!予算管理が重要な理由

中小企業に予算管理は不要と考える方は少なくありませんが、企業規模にかかわらず予算管理は必要不可欠です。そこで、予算管理が中小企業においても重要とされる理由を紹介します。

(1)資本が少ないからこそ安定した経営が必要

資本が少ないから中小企業だからこそ安定した経営が必要になります。大企業ほどのシステムを導入したり人員を割けなくても、資本が少ない中小企業にとって予算管理は必須です。

それは、キャッシュフローの誤り1つで破綻につながるリスクが高いからです。

また、中小企業は大企業に比べて資金を集める方法が少ないため、資産に直結する予算管理が重要となります。

予算管理の企業における意義や重要性とは?具体的な効果も合わせて解説

(2)将来事業規模を拡大するために中小のうちから予算管理すべき

将来事業規模を拡大するために中小のうちから予算管理すべきです。

将来的に事業規模拡大を目指すのであれば、中小のうちから予算管理を行うことがおすすめです。上場しているような大企業では、利益を出すために必ず予算管理を行っています。

ただ、大企業のやり方を中小企業がマネしようとしても、人員やコストが不足してしまうため、全く同じように実行する必要はありません。

大企業が行う予算管理のポイントを把握し、自社に適した予算管理方法へとカスタマイズすることが大切です。

(3)経営のPDCAを回す上でも定期的な予実管理は有効

経営のPDCAを回す上でも定期的な予実管理は有効になります。効果的な経営活動を行うには、PDCAを回し続けることが大切です。そして、PDCAにおける効果検証のプロセスにおいて、予実管理が役立ちます。

予実管理ではあらかじめ設定した予算と実績を照らし合わせ、予算を達成しているかを確認します。目標を達成していなければ、原因と対策を検討することになるでしょう。

このように、経営における目標を達成しているかどうかを予算という視点から、具体的な数値で把握できるため、PDCAを回す際の定期的な予実管理が重要です。

予算管理の具体的な業務や必要なスキルとは?企業における重要性も解説

今から予算管理を始める中小企業が覚えておくべき予算管理の流れ

今から予算管理を始める中小企業が覚えておくべき予算管理の流れを紹介します。

(1)実績の把握と分析

実績の把握と分析から始めます。実績を明確に把握しなければ、予算との差異が分からず、予算統制を行うことができません。

古い実績データを把握・分析しても、正確な差異を把握できないうえ、立案する改善施策も的外れなものになってしまう可能性があります。そのため、実績は最新のデータを把握しましょう。

(2)予算と実績を比較・差異の確認

予算と実績を比較・差異の確認も大事です。

実績の把握と分析が完了したら、予算と実績を比較し、差異が発生しているのかを確認します。具体的な差額にくわえ、その差額が全体の何%となるのかなど、多角的に差異を把握することが重要です。

その際は、経営状態を詳細まで把握するためにも、年間だけでなく月次試算表を作成し、月ごとの予実を確認するとよいでしょう。

会計システムを導入している企業では、自動計算機能などを活用することで、人為的な作業を最小限に抑えられます。

(3)予算と実績の差異の原因究明・改善

予算と実績の差異の原因究明・改善をしていきましょう。なぜ差異が発生したのかと原因を分析する際は、売上高・新規顧客獲得数・リピート率・顧客単価など、要因ごとに数値を確認することが大切です。

どの数値が落ちているのか、逆にどの数値が目標を達成しているのかなど、差異発生の原因を具体的に見つけましょう。原因が分かれば、どのように改善していくのか、具体的な施策を立案することができます。

予算管理の精度を向上させる方法とは?シミュレーションの考え方

(4)予算と実績の差異を経営陣に報告

予算と実績の差異を経営陣に報告します。その際は、なぜこうなってしまったのか・今後どうしたらいいのかなど、原因と改善方法を経営陣に話しましょう。

また、予算は基本的に各部門に振り分けられ、部門ごとに管理されます。しかし、差異が発生し予算の改善が必要になった場合、各部門で判断してしまうと企業全体の予算をオーバーする可能性があります。

このように、予算の再編成は企業全体の予算をもとに検討しなければならないため、経営陣の意思決定を待ちましょう。

(5)分析結果を元に対策を実践

分析結果を元に対策を実践しましょう。予実差異の把握・分析から対策の実施までを一連の流れとして、PDCAサイクルを定期的に回すことが大切です。

年に一度だけでは、「差異が大きくなりすぎて何から改善すればよいか分からない」という事態に陥りかねません。そのため、予算管理におけるPDCAサイクルは1か月程度を目途に、定期的に回し続けましょう。

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中小企業の予算管理への考え方

中小企業の予算管理への考え方は、以下のように管理を進めるとよいでしょう。

(1)前年度の売上から年間目標を現実的に決定する

前年度の売上から年間目標を現実的に決定することが大切です。その際は、利益を追い求めるばかりに予算を削りすぎることに注意しましょう。

また、具体的な実績データを分析しないまま予算編成を行うと、担当者の期待値に左右された予算になり、大幅な差異が発生するかもしれません。

そのため、前年度の売上実績をもとに、現実的な年間目標を設定しましょう。

前年度の売上実績だけでなく、仕入高や経費などの実績も参考に年間目標を検討することが大切です。

(2)月間で予算達成率を細かくチェックする

月間で予算達成率を細かくチェックすることも重要です。予算は編成するだけでなく、月間ごとに予算達成率を細かくチェックしましょう。

ただ、実績データを月に一度まとめて入力しようとすると、記録漏れや記録自体が面倒になってしまう可能性があります。

そのため、受注や仕入れ高の数値に追加・変更があればその都度情報を記録しましょう。

また、予算達成率の確認が年に一度であれば、差異が改善されないまま経営活動を行うことになるため、効率的に利益を生み出せていないかもしれません。

月間ごとに予算達成率を確認し、いち早く課題を発見すると、経営状況が不安定なまま企業活動を進めることを回避できるでしょう。

(3)目標に達成していない原因を放置しない

目標に達成していない原因を放置しないことも大切です。予実管理をするうえで、目標を達成していないこともあるでしょう。

この場合は、予実差異を広げないためにも、必ず原因の究明と改善を行うことが大切です。

予実差異が大きくなると、企業の赤字や衰退につながりかねません。そのため、原因を解消できるまでPDCAサイクルを回し、改善施策を立案・実践し続けましょう。

予算管理システム導入のメリット・デメリットをそれぞれ徹底解説!

中小企業におすすめの予算管理の方法

中小企業におすすめの予算管理の方法は2つあります。

(1)Excelで予算管理表を作成する

1つ目は、Excelで予算管理表を作成する方法です。Excelに必要項目を入力したうえで、月次に分けて達成率を管理したり、Excelの数式を使えば自動集計をすることも可能です。

ただ、Excelでの予算管理は手作業が多く担当者の負担が増えることや、適切な分析がしにくいなどの課題があります。

Excelでの予算管理方法について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

予算管理はエクセルでは厳しい?問題点やシステムを導入すべき理由

(2)予算管理システムを導入する

2つ目は、予算管理システムを導入する方法です。予算管理システムは、予算編成だけでなく予算達成率のリアルタイム反映・予実分析・シミュレーション機能など、予算管理におけるあらゆる業務の効率化を実現します。

Excelでの管理に比べて人為的な作業が少なく、過去のデータをもとにした精度の高い予算編成が可能なため、Excel管理よりおすすめの予算管理方法です。

ただし、予算管理システムといっても機能や特徴が異なることから、自社に適したものを選ぶ必要があります。

【2023年最新】おすすめ予算管理システム16選!機能や費用を徹底比較

中小企業向けの予算管理システムの選び方

中小企業向けの予算管理システムの選び方を紹介します。

(1)コストが適切かどうか

コストが適切かどうかを確認しましょう。予算管理システムを導入・運用するにはコストがかかります。サブスクリプション形式で提供しているものが多いため、継続的に発生するコストとして検討しなければなりません。

予算管理システムのなかには無料で利用できるものもありますが、活用できる機能が限られている可能性があるので、求める機能が備わっているかどうかを必ず確認しましょう。

また、利用料金が高額なものは機能性が豊富な傾向がありますが、必要以上の機能があっても使いこなせなかったり、導入によって得られる利益よりかかるコストのほうが大きくなる可能性があります。

そのため、導入・運用にかかるコストと導入によって得られるであろう利益を照らし合わせながら検討することが大切です。

無料トライアルありのおすすめ予算管理システムを紹介!

(2)Excelとの互換性はあるか

Excelエクセルとの互換性はあるかも大事です。予算管理をExcelで行っていて予算管理システムの導入を検討しているのであれば、Excelとの互換性があるかどうかを確認しましょう。

担当者がExcelでの管理に慣れている場合、システムへの入力作業のほうが負担に感じることがあります。また、Excelに蓄積されたデータをシステムに移行する作業が膨大になるという課題も挙げられます。

しかし、Excelとの互換性がある予算管理システムであれば、操作性が似ていたり、自動でデータを移行できたりするなど、スムーズな導入が可能です。そのため、すでにExcelで予算管理を行っている企業では、必ずExcelとの互換性を確認しましょう。

(3)他システムとの連携は可能か

他システムとの連携は可能かチェックしましょう。

会計・給与計算システムなどを導入していたり、これから導入の予定がある場合、外部システムとの連携が可能なものを選ぶことが大切です。各システムをそれぞれで活用するより、連携して活用することで効果や利便性を高められます。

すでに外部システムを導入している場合は特に、既存システムとの連携が可能かを確認することが必要不可欠でしょう。

(4)自社社員が操作しやすいか

自社社員が操作しやすいかにも注目しましょう。自社社員にとって操作性が悪いと、入力業務が面倒で後回しにされたり、社員の負担が増えたりするかもしれません。

また、最新のデータを正確に記録できなければ、適切な分析も行えないでしょう。

そのため、社員が使いやすいと感じる予算管理システムを導入することが大切です。無料トライアルが提供されていれば積極的に社員に使ってもらい、その感想や意見をもとに導入するシステムを決定しましょう。

予算管理はどの部署の仕事?各部門の担当者の予算策定についても解説

(5)導入コンサルタントの練度は高いか

導入コンサルタントの練度は高いかを確認しましょう。予算管理システムを導入する際、コンサルタントによるサポートを提供している事業者もあります。

はじめて予算管理システムを導入する企業では、スムーズな導入・運用につなげるため、コンサルタントの活用がおすすめです。

導入手順だけでなく、実績に基づいた運用ノウハウを提供してくれるコンサルタントもいるため、どの範囲までをサポートしてくれるのか、コンサルタントの練度が高いかどうかを事前に確認しましょう。

中小企業におすすめの予算管理システム

中小企業におすすめの予算管理システムを5つ紹介します。

(1)bixid

bixidは、予算管理をはじめ会計データの可視化・月次決算・キャッシュフローの把握・資金繰り対策など、豊富な機能が揃う経営支援クラウドサービスです。

経営報告のデータをビジュアル化できるため、課題を発見しやすく、迅速な経営判断を実現できるでしょう。

提供元株式会社 YKプランニング
初期費用無料

初期導入サポート:71,500円(税込)~

料金プラン
  • フリー:無料
  • ライト:660円(税込)/月
  • シミュレーション:5,390円(税込)/月
  • プランニング:10,780円(税込)/月
導入実績導入事業者数14,000社以上
機能・特徴月次経営報告、経営分析、経営管理、コミュニケーション、会計データチェックなど
URL公式サイト

(2)Board

Boardは、請求書作成や見積書発行などのバックオフィス業務を効率化する業務管理システムです。

売上見込の把握やキャッシュフロー予測が可能なため、経営判断の際に役立ちます。

また、見積もりや受注などの更新があると、その都度データが更新されることから、常に最新の見込みを把握できるでしょう。

提供元ヴェルク株式会社
初期費用無料
料金プラン
  • Personal:1,078円(税込)/月
  • Basic:2,178円(税込)/月
  • Standard:4,378円(税込)/月
  • Premium:6,578円(税込)/月
導入実績有料導入4,300社以上
機能・特徴各種書類の作成、案件ごとの管理、書類のメール・郵送・捺印申請、電子契約サービス契約での回収、情報の集約・共有、会計ソフトへの連携、案件単位の収益管理、最新の見込み確認、未請求・未払いの防止、インボイス制度(適格請求書)対応など
URL公式サイト

(3)SAP Business One

SAP Business Oneは、企業の成長に応じてソフトウェアの拡張が可能なビジネスマネージメントソフトウェアです。

自社仕様にカスタマイズすることで、ビジネス管理能力を強化できるでしょう。

また、主要プロセスの合理化・インサイトの精度向上・データのリアルタイム反映により、適格な経営判断ができるため、収益性の高い企業成長が期待できます。

提供元SAP ジャパン株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴財務管理、販売・顧客管理、購買・在庫管理、ビジネスインテリジェンス、分析とレポート、業種別の機能、モバイル、インメモリープラットフォームなど
URL公式サイト

(4)Main財務管理

Main財務管理は、Webサイトからダウンロードする形で無料利用できる基幹業務ソフトです。

ITツールをはじめて利用する方でも使いやすく、操作性が高いという特徴があります。予算残高を年間推移で試算表にまとめてくれるため、予算管理における分析も可能です。

提供元メインソリューション株式会社
初期費用無料
料金プラン無料
導入実績ダウンロード数19,000社以上
機能・特徴仕訳処理、会計帳票、分析帳票、消費税、決算処理、拡張機能、台帳処理、導入処理、データ管理など
URL公式サイト

(5)BizForecast BC

BizForecast BCは「脱Excel」ではなく、「活Excel」と題しExcelと合わせて活用することで、予算管理業務の効率化を支援する予算管理システムです。

Excelで予算管理を行っていた企業にとっては、同ツールの操作感がExcelに似ていることから、導入後もスムーズな活用ができるでしょう。

提供元プライマル株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン基本料金

■Standard

  • 年払いプラン:55,000円(税込)/月/3ユーザー(66万円(税込)/年)
  • 月払いプラン:55,000円(税込)/月/3ユーザー

■Enterprise:要問い合わせ

ユーザー追加料金
■Standard

  • 年払いプラン:5,500円(税込)/月/ユーザー(60,000円(税込)/年)
  • 月払いプラン:5,500円(税込)/月/ユーザー

■Enterprise:要問い合わせ

機能・特徴配賦処理機能、通期見込機能、Webクライアントによる運用、外部システムとのデータ連携、柔軟なレポーティング、容易な画面・レポート設計、任意のテーブル作成による多様なデータの管理・分析、多言語・多通貨対応、アラート機能など
URL公式サイト

中小企業こそ予算管理が重要!システムで効率的に管理しましょう

大企業しか行っていないと考えがちな予算管理ですが、運用できる資金が大企業と比べて少ない中小企業こそ予算管理が重要です。

予算管理によって限られた予算をどのように活用していくのか、具体的な目標を明確にすることで、効率的に利益を生み出せるでしょう。

適切な予算管理を行いたい場合は、自社に適した予算管理システムの導入がおすすめです。

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ビズクロ編集部
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